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※2025年2月14日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月14日 日刊ゲンダイ2面
野党協議は名ばかりで、狙うは国民締め付け負担の敵政策(C)日刊ゲ
与党は野党との予算修正協議を急いでいるが、安易な妥協で自公政権を生き延ばせたところで、この国の経済と暮らしは変わるのか。裏金に頬かむりし、のど元過ぎれば何とやらで、庶民いじめメニューを企む政権は一度下野させる以外なし。
◇ ◇ ◇
「各党の提案にしっかり耳を傾けて、良いものをまとめてほしい」
石破首相は13日も自民党の小野寺政調会長と官邸で面会し、そう指示を飛ばした。自公与党が2025年度政府予算案への賛成取り付けに向け、野党との修正協議を急いでいる。
予算案を確実に年度内で成立させるには3月2日までの衆院通過が必要だ。しかし石破政権は衆院で半数割れの少数与党の立場。予算案成立には、野党の協力は欠かせず、要求を受け入れた予算案修正は不可避の情勢だ。
予算案の修正には1〜2週間はかかり、逆算すれば今週から来週が協議のヤマ場。自公与党が野党切り崩しの第1のターゲットに据えるのは日本維新の会だ。
先の臨時国会でも教育無償化を議論する協議体設置で合意した上で補正予算案に賛成し、「実績」は十分。維新は25年度予算案に賛成する条件として、所得制限なしの高校授業料の無償化に加え、国民1人あたり約6万円の社会保険料引き下げを掲げる。
自公と維新はこの2点の修正協議を連日のように開催し、自公は教育無償化に関して25〜26年度に所得制限を段階的に撤廃する案を提示した。現行、国は年収910万円未満の世帯に年間11万8800円を、私立高に通う年収590万円未満の世帯に年39万6000円を上限に助成金を出しているが、前者の所得制限を25年度、後者を26年度にそれぞれ外す考えだ。
ただ、維新側は大阪府が実施する私立を含めた上限63万円を念頭に助成金の増額を要求。自公との隔たりは大きい。社会保険料の負担軽減策を巡っても溝は埋まらないまま。維新は先行すべき改革案として市販品で代替可能な風邪薬を公的医療保険の対象から外すなど3項目を突きつけたが、自公は「保険適用除外は困難」と返答した。
スケベ根性ムキ出しで政権延命に手を貸す
維新は予算案を人質に、さらなる妥協を引き出し、自分たちの政策を高く売り込もうとソロバンをはじく。そんな商売根性の維新に石破はすがりつく。トランプ米大統領との会談の席で4月開幕の大阪・関西万博への来場を呼びかけ維新へのアピールに必死だった。
とはいえ、本命にフラれることも想定して二股交際。国民民主党へのアプローチも忘れていない。こちらの「ゆ党」とも先の臨時国会で「年収103万円の壁」を巡り、25年から引き上げて「178万円をめざす」と明記した幹事長同士の合意書を交わし、補正予算案の賛成を取りつけた。
すでに政府・与党は昨年末の税制改正大綱に「壁」を20万円引き上げ123万円にすると明記。14日から順次、税制改正関連法案を衆院で審議入りさせる。一方で国民民主と協議を重ね、「最低生活費」と称する150万円前後を軸に「壁」の落としどころを互いに探り合っている。
維新も国民民主もハラはひとつ。訴えた政策を実現して有権者にアピールし、夏の参院選での議席増につなげようとする魂胆である。
だが、そんなスケベ根性ムキ出しで政権与党と安易に妥協し、自公政権の延命に手を貸したところで、この国の経済と暮らしは変わるのか。もう3年以上も続く物価高騰に悲鳴を上げる生活に希望の光が見えてくるのか。答えは絶対ノー。予算案の修正協議など姑息にすぎない。
驚いたのは、今月4日の衆院予算委員会における石破の答弁だ。日銀の植田総裁が「現在はデフレではなくインフレの状態にある」と答弁したのに対し、石破は「日本経済はデフレの状況にはないが、脱却できていない。今インフレと決めつけることはしない」と言い放ったのだ。
インフレを放置し、がん患者には死の宣告
花を持たせれば国民は見放す(日本維新の会・前原誠司共同代表、国民民主・玉木雄一郎代表=右)/(C)日刊ゲンダイ
「物価高騰に喘ぐ庶民の認識とは相当にかけ離れています」と語るのは、経済評論家の斎藤満氏だ。
こう続けた。
「これだけ物価が持続的に上昇し、誰もがインフレを実感する中、植田日銀でさえ、インフレを認めたのに、まだ政府はデフレだとうそぶくのか。赤沢亮正経済再生相に至っては、デフレから脱却していない理由として『GDPギャップがマイナスだ』などと屁理屈をこねる始末です。彼は石破首相の経済政策に関する知恵袋と称される人物でしょう。どうりで25年度予算案には過剰な企業保護策など、デフレ時代を引きずった政策が目立つわけです。こうなると石破政権は『デフレであって欲しい』という願望に支配されているとしか思えません。国の予算は権力行使の源泉です。デフレ下なら、放漫財政で予算規模をぶくぶく膨らませ、そのために金融をじゃぶじゃぶ緩和しても正当化できますから」
むろんデフレ政策の継続は、金融緩和で円安に振れれば儲かる輸出大企業を中心とした財界も望むところである。
「抱え込んだ巨額の借金の金利も抑えられるので、霞が関の官僚たちも大歓迎です。つまりデフレとの認識に立てば、政・財・官は大喜び。そこに国民生活への視点はありません。本来『今はインフレ』との認識であれば、過去最大115兆5415億円の予算案を計上すること自体、あり得ない話です。インフレ下では予算の支出を削り、財政需要を抑えるのが、経済学のイロハのイ。円安・資源高に苦しむ庶民生活を考えれば、金融を引き締め、原油の消費量を下げるべく省エネの技術革新を促すべきです。その方がよっぽどイノベーションを期待できます」(斎藤満氏=前出)
生存権と表現の自由の解釈がムチャクチャ
過去最大の予算規模はやはり、この政権が大企業優遇の政治しかできない証左でもある。だから石破自民は、旧安倍派の会計責任者の参考人招致に後ろ向きで裏金事件に頬かむり。この期に及んで企業・団体献金も、あくまで現状維持を決め込むわけだ。
物価高騰なのに、デフレ政策のアベコベに加え、庶民には負担増まで押し付ける。最たるものが「高額療養費制度」の改悪で、自己負担上限額を今年8月から2年かけて段階的に引き上げる。年収650万〜770万円の場合は最終的にひと月あたり13万8600円程度と現行から5万8500円も跳ね上がり、引き上げ率は70%をゆうに超えてしまう。
政府のタテマエは「現役世代の保険料負担の軽減」だが、軽減効果は微々たるもの。労使折半後は、ひと月たった46〜208円減にとどまる。本音は患者の負担を増やせば受診率などが低下し、医療費を削りたいだけだろう。一生のうちに2人に1人はがんにかかる時代だというのに、治療を諦めろと言っているに等しい。事実上の死の宣告ではないか。
この点だけでも自民党政権は庶民の敵だと、もうハッキリしているのだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう語る。
「高額療養費制度の改悪は、憲法25条が保障する生存権に抵触しかねない大きな問題です。石破首相は企業・団体献金を温存する口実に、憲法21条の表現の自由を持ち出したことがあります。一方で生存権を軽んじるとは、憲法解釈がムチャクチャです。予算案の修正協議にしても、与党は成立するまでは野党に『いい顔』をするでしょうが、のど元過ぎれば何とやら。好き放題を始めるのは目に見えています。維新も国民民主も、いかに自民と手を握って得をしようかと目先の党利党略に走っていますが、庶民いじめを企む政権に花を持たせれば、夏の参院選で見放されるだけです。有権者はよ〜く見ていますよ」
国民生活を第一に考えれば石破自民を下野させる以外に道はない。どの野党も予算案修正協議の出し抜け合戦に興じている場合ではないのだ。今こそ結束が求められる。
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