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※2025年1月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年1月27日 日刊ゲンダイ2面
この経済低迷・生活苦に危機感の欠落(C)日刊ゲンダイ
野党から酷評された石破首相の施政方針演説だが、この生活苦と経済低迷に「楽しい日本」を掲げる能天気とオメデタさには心底、唖然。
地方創生もスローガンだけで、具体策がなく、政治とカネも触れずじまい。真相を語らず、その場しのぎのゴマカシは、あのTV局の自滅会見とソックリだ。
◇ ◇ ◇
フジテレビは27日、中居正広とのトラブルについて、“やり直し”会見を行う。
記者を制限し、動画撮影も認めなかった前回の会見が非難ゴウゴウだったからだ。で、今度の会見はメディアを選別せず、質問時間も無制限でやるというのだが、さあどうなるのか。
おそらく、港浩一社長、嘉納修治会長の辞任は避けられないだろうが、言うまでもなく、トップが代われば済む話ではない。第三者委員会の結論が出るのはまだ先だし、他にも似たような“上納接待”“隠蔽”“タレントとの不適切な関係”が出てくる可能性があるからだ。最初の会見で露呈したように、公共の電波を担う放送局としての責任や自覚、人権感覚、コンプライアンスが決定的に欠如しているのがフジテレビなのである。
いま、AC広告ばかりになったフジテレビの番組を見ていると、いくら芸人がバカをやっても笑えない。キャスターが大真面目にニュースを読んでもしらけてしまう。ワイドショーに至ってはお笑い草だ。
こうして視聴者は離れていく。フジから人材も逃げていく。いい番組がつくれず、視聴率が戻らなければ、逃げたスポンサーも戻ってこない。経営危機は加速度的に高まっていく。
巷間では次期社長にニッポン放送の檜原麻希社長の名前が飛び交っているが、受けるのかどうか。フジテレビは最悪事態に向けてまっしぐらだ。
危機感の欠落にビックリした石破演説
さて、そんな中、“ひっそりと”と言うか、“地味〜に”行われたのが石破首相の施政方針演説(24日)だ。
報道の扱いが小さかったのはフジテレビのせいだけではない。野党が酷評したように、中身がスッカラカンだったからだ。
フジテレビの最初の会見を見た視聴者はおそらく、「フジテレビって、こんなに危機感がないの?」と驚いたはずだ。
これがソックリ、石破にもあてはまるのだ。
なにしろ、政治とカネについては見事にスルー。国民が不信感を抱いている根本原因にマトモに応えようとしなかった。そのうえで、またまた出してきたのが「楽しい日本」。これには国民も目を白黒だ。
<故・堺屋太一先生の著書によれば、わが国は、明治維新の中央集権国家体制において「強い日本」を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で「豊かな日本」を目指しました。そして、これからは「楽しい日本」を目指すべきだと述べられています。わたしもこの考え方に共感するところであり、かつて国家が主導した「強い日本」、企業が主導した「豊かな日本」、加えてこれからは一人一人が主導する「楽しい日本」を目指していきたいと考えます>
こう切り出した石破は「若者や女性に選ばれる地方」「物価上昇に負けない賃上げ」「日本経済の活力向上」などをつらつら並べたのだが、コメの値段が6割も上がり、悲鳴を上げている庶民からすれば、「何言ってんの?」ではないか。江藤農相は先週、政府備蓄米の緊急放出を発表したが、これは減反政策の非を認める大きな政策転換だ。そんな緊急事態なのに、「強い」「豊か」を前提にしているのか、次は「楽しい」だとかヘラヘラ言う。頭のネジが外れているとしか思えない。経済評論家の斎藤満氏もこう言った。
「究極の目標として楽しい国を挙げるのはいいですよ。でも、その前に食べるものもままならない人が大勢いるじゃないですか。政治が優先すべきは“楽しい”の前にふつうに暮らせる社会でしょう。そのためにはまず、物価の抑制、インフレの制御です。デフレからの脱却ではないのです」
日本の貧困率は15%前後で先進国では下から数えた方が早いレベルだ。一人親世帯に限ると、これが40%を超えてしまう。こうした現実を石破は恐らく、見たことがないに違いない。
賃上げは嘘っぱち、6割の人が「ゆとり」なし
日本の貧困率は15%前後。これは、先進国では下から数えた方が早いレベル…(C)日刊ゲンダイ
石破は「物価が高いと言っても、消費者物価指数は3%程度ではないか(総合指数は3.6%上昇=2024年12月)」「実質賃金も再び、プラスに転じたではないか」と反論するかもしれない。
そうしたレクをうのみにしているのだとしたら由々しきことだ。
日銀が20歳以上の個人に聞く「生活意識に関するアンケート調査」では衝撃の数字が出てくる。1年前に比べて、物価がどれだけ上がったと思うか、という問いで、平均値はナント17%(2024年12月)だったのだ。
「消費者物価指数を算出する際、機能が向上したパソコンなどは値段が同じでも値を下げて計上される。消費者物価指数にはこうしたカラクリがあるので物価は10%を超えていると見るべきです。実際、コメは6割、生鮮食品は十数%以上も上がっているのですから、“楽しい生活”など送れるわけがありません」(斎藤満氏=前出)
日銀の調査では「1年前と比べて景況感が悪くなった」が59.8%、景気が「悪い」「どちらかと言えば、悪い」が合計70.8%。「暮らしにゆとりがなくなってきた」は57.1%と目をむくような数字が続く。
おかしなことではないか。政府は暇さえあれば、「33年ぶりの賃上げの実現」を自慢している。それなのに、なぜ、生活にゆとりがなくなっているのか。
政府がいう賃上げは一部の指標で、全体では嘘っぱちもいいところだからだ。日銀調査でも収入が昨年と「変わらない」「減った」が合計81.9%なのである。
それなのに、政府は賃上げが定着しているかのように喧伝し、大新聞は御用機関なのか、ほんの一握りの企業の賃上げニュースを大々的に報じる。かくて価格転嫁、値上げが「当たり前」のようなムードとなり、代替がきかないものや生活必需品は遠慮なく上がっていく。これが昨今の状況なのだが、BtoCの飲食店を筆頭においそれと価格転嫁できない企業もたくさんある。そこに、物価高の仕入れコスト増がのしかかる。当然、賃金は上げられず、そうした企業の従業員は物価高で干上がっていく。
本当はこうした働き手が大半なのだ。だから、8割もの人の収入が上がらないままなのである。
「稼ぐが勝ち」の歪んだ価値観の是正を
それなのに、「楽しい」を連発する石破首相の能天気には呆れるばかりではないか。
地方創生みたいなことを強調し、「コメを世界に輸出するプロジェクトの推進」などと力んでいたが、これもトンチンカンな話だ。日刊ゲンダイオンライン講座で東大教授の鈴木宣弘氏は「コメ農家の時給はいまや10円しかない。コスト増なのに国による赤字補填がない。これではコメ作りを続けられるわけがない。国内も足りないのに、どうやって輸出するのか。集約化というが中山間地が多い日本ではほぼ不可能。田んぼがなくなれば、貯水機能も失われ、災害も起こる」と指摘した。こんな農政を続けていれば、地方創生どころか荒れ果ててしまう。
昨今は闇バイトをはじめ、凄惨で凶悪な事件が相次いでいる。石破は潜入捜査官の導入など、取り締まりの強化ばかりに目を向けているが、その背景にあるのは社会の分断と格差、貧困の拡大ではないか。ここを放置して、「楽しい日本」と言うのもズレている。「機会不平等」などの著書があり、格差社会を書き続けているジャーナリストの斎藤貴男氏はこう言った。
「賃上げ、価格転嫁を奨励すれば、それができない企業との格差はますます、広がっていく。それを是とする社会とは、金がすべての新自由主義に支配された歪んだモラルの世界です。稼ぐが勝ち、稼げないのは自己責任。今の若者は生まれてからずっとこうした新自由主義的な価値観のなかで育ってきて、もはや、何の疑問ももたなくなってしまった。だから、若者は働かず、金だけかかる老人を敵視する。分断をあおる政治家が登場し、若者から支持される。落ちこぼれた人は貧困から抜け出せず、健康すら害してしまう。石破さんが楽しい日本を目指すなら、こうした問題への処方箋も提示するべきです」
そもそも、少数与党で野党の股裂きにあっている石破さんは楽しいのか? このフレーズはもうやめた方がいい。
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