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※2025年1月23日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年1月23日 日刊ゲンダイ2面
王様のショータイム(C)ロイター
小躍りしながら、大統領令に署名し、世界の秩序を破壊した独裁者に石破政権は戦々恐々。米国の雇用に貢献メニューを持参し媚びるらしいが、それでも付きまとう世界一律関税などの経済リスク。報道関税合戦になれば、米国景気には暗雲、NISAにも懸念。軍事費5%を突きつけられたら、即アウト。
◇ ◇ ◇
予測不能な米新政権がスタートし、トランプ大統領の就任式当日にあたる21日の東京株式市場は、売り買いが交錯する乱高下。ただ、恐れられていた就任初日の全世界一律関税が発動されなかったことで市場は安堵し、22日は終値が前日比618円高の大幅続伸だった。
だが、それは嵐の前の静けさにすぎない。トランプの貿易戦争はすでに始まっている。初日に、カナダとメキシコに対し、来月1日から25%の関税をかける可能性を表明。2日目は中国と欧州連合(EU)が標的になった。
トランプは22日、中国にも来月1日から10%の追加関税を検討していると明らかにし、理由は「中国がメキシコとカナダにフェンタニル(合成麻薬)を送っている事実に基づく」と説明。EUに対しては「米国にひどい扱いをしている。米国の自動車も農産物も買わない」とボロクソで、「関税をかけることが公平さを得る唯一の方法だ」と言い放った。
一方的な仕打ちに、各国はもちろん黙ってはいない。カナダのトルドー首相は米国への報復関税を示唆し、中国も「貿易戦争に勝者はいない。中国は断固として自国の利益を守る」(外務省の毛報道局長)と抵抗を見せている。
「タリフマン(関税男)」を自称するトランプである。各国への一律関税に踏み切るリスクは消えていない。大統領選中に口にしていたのは一律10〜20%の関税だ。「まだ準備ができていない」と言うだけで、発令の構えは崩していない。これをディール(取引)の材料にする目的も透けて見える。世界が戦々恐々だ。
「SNSで発信するトランプ大統領は、真夜中でも爆弾投稿がある。振り回される日々が再び始まる」(金融関係者)
株式市場も当面、大混乱だろう。
石破首相は本来、「対米自立」
気候変動の国際枠組み「パリ協定」と世界保健機関(WHO)からの脱退など、大統領令と大統領覚書に計42本署名したトランプ。就任初日の署名数としては戦後最多らしい。自分の意のままに政策を大転換。署名に使ったペンを支持者に向けて放り投げ、小躍りしながらのパフォーマンスは、さながら“王様のショータイム”だった。
世界の秩序を破壊した独裁者が日本にも関税など無理難題を突きつけてくる可能性は高い。石破政権はどう対応するのか。
石破首相は2月前半に訪米し、トランプと首脳会談を実現させようと調整中だ。大統領就任式に出席した岩屋外相が、22日にルビオ米国務長官と会談した際に、「日本は最大の対米投資国であり、さらに投資を拡大する」と伝えたという。トランプが喜ぶ“手土産”を石破がたっぷり持参するということなのか。
共同通信によれば、日本政府は包括的な対米投資計画を作成し、石破が訪米時にトランプに提示する案を検討するという。対米投資分野として、共同での研究開発や人工知能(AI)、ナノテクノロジーを対象とする見通しだとされる。
また、日経新聞によれば石破政権は、対米外交のカギはいかに米国で日本が雇用を生み出すビジネスを展開しているかを示せるかどうか、にかかっていると見ているらしい。トランプに対し、対米投資の実績を強調し、「米国第一主義」への貢献を分かりやすくアピールする戦略を描いているという。
元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「米国への投資や経済的貢献について説明すること自体に問題はありませんが、トランプ大統領を喜ばせるために無理して企業の尻を叩いたり、企業に対して日本政府が補助金を出してやるから何とかしろみたいなことまでやるのは違う。本来、石破首相の持論は『対米自立』ですから、本当は米国に媚びるようなことはしたくないと思うはずなのですが、心配なのは、自民党内で『石破降ろし』に走りそうな右派の人たちが腕まくりしていて、それを石破官邸が警戒していること。トランプ大統領を怒らせると自民党内が石破叩きに走る可能性があるので、材料を与えるのを防ぎたいという変なバイアスがかかって、保身のために無理をする恐れがある。もっとも、政府がああしろ、こうしろと言って企業が簡単に動くものではありませんが……」
世界も日本も、米国自身の経済も痛めつけられる
株価は当面、乱高下だろう(C)日刊ゲンダイ
大統領選期間中からトランプはメキシコやカナダ、中国などへの関税を明言していたため、その影響についてさまざまな試算が出されている。
例えば、英調査会社オックスフォード・エコノミクスは、米国、メキシコ、カナダが関税を掛け合う「貿易戦争」に発展すれば、3カ国間の貿易量は半減する可能性があると試算。メキシコに多くの生産拠点を持つ自動車産業が「特に大きな影響を受ける」といい、3カ国の経済に打撃を与えると警告している。
つまり、狂乱の“トランプ関税”は、米国に高インフレと消費減速を招く恐れがあり、結果的に自らの経済を痛めつけることになるのである。
もちろん、世界で貿易が縮小し、世界経済全体も押し下げられる。世界銀行は最新の世界経済見通しで、米国が一律10%の関税を発動した場合、2025年の世界経済の成長率が0.3ポイント低下すると試算した。当然、日本にも暗雲が漂う。
経済評論家の斎藤満氏はこう話す。
「トランプ大統領が各国に関税をかけようとする目的は3つあり、税収を上げること、脅してディールの材料にすること、貿易不均衡の是正です。その点、日本は対米貿易黒字の金額が大きいので、かなりの確率で関税の対象になる。貿易不均衡の“主犯”として自動車が狙い撃ちされたら大変です。日本の輸出は年間100兆円余り。その2割の20兆円が米国向けで、うち7兆円が部品を含む自動車関連です。10%の関税で7000億円、20%なら1兆4000億円の関税を負担しなければならなくなります。これにメキシコ経由の対米自動車輸出を加えると、10兆円分がダメージを受けることになる」
日本にも関税がかけられれば、輸出企業の株価は大暴落だろう。岸田前政権が「資産運用立国」で進めたNISAにも懸念が生じる。庶民の暮らしへも影響が出かねない。
「自動車産業は今春闘で賃上げできるのかどうか。輸出関連企業も先行きの不透明感から賃上げを抑制する可能性がある」(斎藤満氏=前出)
防衛費より国民生活のための予算を
関税とともにトランプから強硬な要求がありそうなのが防衛費のさらなる増額だ。
国防総省ナンバー3の国防次官(政策担当)に起用されるコルビー元国防副次官補が、日本は防衛費をGDP(国内総生産)比の3%程度まで引き上げるべきだと言っている。
トランプに至っては、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対してGDP比5%の国防支出を迫っているから、日本にも同様に5%をゴリ押ししてきてもおかしくない。
防衛費は今年度、8兆9000億円まで膨らんでいるが、この額でもGDP比1.6%。それが5%になれば、単純計算で27兆8000億円だ。ただでさえ少子高齢化で社会保障関連の財源がドンドン削られているのに、軍事費が5%なんかになったら、この国は即アウトである。
前出の古賀茂明氏が言う。
「米国への貢献で、危ないのはむしろ外交安全保障です。もっと防衛費を出せ、もっと武器を買えという要求が出てきた時に、トランプ大統領を喜ばせておいた方が自民党内で叩かれなくて済むと考えて、どんどん米国の言うことをのんでしまう可能性がある。民間投資を増やすより、軍事費を増やすリスクの方が高い。しかし、それはやっちゃいけない。石破さんがどれだけ自分をしっかり持って、困っている国民生活のための予算を優先することができるかが問われています」
石破首相がどこを向いて政権運営しているのか。トランプとの首脳会談でそれがハッキリする。日本の意地を見せてもらいたいものだ。
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