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※2025年1月16日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年1月16日 日刊ゲンダイ2面
何が楽しい?(C)共同通信社
倒産件数が11年ぶりに1万件を突破、円安によるコスト増で中小企業がバタバタと倒れている。それなのに、一部大企業だけを優遇し、そこだけの賃上げで胸を張り、「楽しい日本」などとホザく首相。
今年はさらに地獄絵なのにイカれた企業・団体献金政権ではどうにもならない。
◇ ◇ ◇
2024年に倒産した企業が1万件を超えた。大台突破は東日本大震災の影響が残る13年以来、実に11年ぶりである。
14日の東京商工リサーチ(TSR)の発表によると、昨年の倒産件数(負債額1000万円以上)は前年比15%増の1万6件。うち中小企業がナント、99.98%を占める。円安・物価高による原材料価格の高騰や人手不足に伴う人件費の上昇などが経営を圧迫。泣く泣く苦しい決断を迫られた中小の経営者たちの悲鳴が聞こえてきそうだ。
驚くのは先週6〜10日にTSRが次々発表した昨年の倒産データだ。
〈「学習塾」倒産 件数、負債が過去最多〉〈「介護事業者」倒産が過去最多〉〈「経営のプロ」コンサルの倒産が過去最多〉〈「農業」倒産 過去最多〉〈建設業の倒産 過去10年間で最多〉〈「児童福祉事業」倒産が過去最多〉〈「焼肉店」の倒産が過去最多〉──。まさに「過去最多」だらけの倒産ラッシュ。幅広い企業が苦境に耐え切れず、バタバタと倒れているのだ。
「あらゆる業種が円安や人手不足に伴うコスト増にあえいでいます」と語るのは、TSR情報本部情報部部長の松永伸也氏だ。こう続けた。
「人件費や原材料費など固定費の上昇分を価格に転嫁するには、よほど取り換えの利かない価値ある商品やサービスを提供しなければ交渉できません。そうした強みのある企業でなければ、従業員も集まらない。人材の確保と流出防止のため、やむを得ず賃上げに踏み切ったものの、コスト増で収益が悪化した『賃上げ倒産』も起きています。中小企業の中でも、価格転嫁が進んだ『勝ち組』と転嫁できない『負け組』の明暗がクッキリ分かれてしまったのです」
過去30年で最多の85%が「不況型倒産」
累積赤字など「既往のシワ寄せ」や「販売不振」「売掛金等回収難」を原因とする、いわゆる「不況型倒産」も増えている。昨年は8515件(前年比15.9%増)と3年連続で前年を上回った。全体の倒産件数に占める割合は85%と、1995年以降の過去30年間で最高となった。
「新型コロナ禍には実質無利子・無担保の『ゼロゼロ融資』や、社会保険料・税金の納付猶予といった特例措置で資金繰りが緩和され、多くの企業が救われました。しかし経済活動再開で特例措置が終わった途端、急激な円安進行やコストの増加などコロナ禍には想定できなかった『不況』に見舞われ、たちまち資金繰りが悪化。販売が追いつかず、債務が膨らみ、破産に至るケースが増えているのです。コロナ禍の前から経営の厳しかった企業の倒産が特例措置で先送りされ、不況型倒産の増加として今、顕在化していると言えます」(松永伸也氏=前出)
東京海上日動は最大41万円、明治安田生命保険は33.2万円、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは33万円、大手の金融機関、総合商社、ゼネコンも軒並み30万円超──と大卒初任給の引き上げが加速しているが、そんな景気のいい話に浮かれているのは大企業に限られる。倒産危機に震える中小企業の経営者にすれば「どこの国の話」で、まだまだ不況は続いているのだ。
かくして昨年1年間で勤務先が倒産の憂き目に遭った従業員の数は計5万694人。9年ぶりに5万人台に乗せた。彼らの家族を含めれば、さらに多くの人々が路頭に迷っていることだろう。
それなのに、この国のトップは「楽しい日本を目指す」などとホザく、おめでたさ。石破首相のノーテンキはもはや救い難いレベルではないか。
献金額の多い大企業優遇策を最優先
今年はさらに厳しい(C)日刊ゲンダイ
昨年11月の政労使会議で石破は「今年の勢いで大幅な賃上げの協力を」と呼びかけていたが、その賃上げにしても中小企業は取り残されている。
厚労省の賃金調査によれば、昨年の1人あたりの平均賃金引き上げ率は4.1%。企業別でみると従業員5000人以上の大企業は4.8%で、100〜299人の中小は3.7%だ。定期昇給と、賃金体系を底上げするベースアップを実施した比率は大企業の78.5%に対し、中小は47.2%と大きな開きがある。
経営体力のある大手ほど初任給アップや賃上げにシャカリキだが、中小には限界がある。この賃金格差をさらに広げているのが、政府・与党の大企業優遇策だ。
「今年度は大企業向けの『賃上げ促進税制』を強化し、給与総額を前年度から7%以上増やすなどの条件を満たせば、増額分に応じて最大35%を法人税から差し引く特典を与えました。中小企業にも同様の措置を施すとはいえ、6割は赤字経営で法人税を納めていないため、恩恵の対象外。大企業だけに税優遇のゲタを履かせ、『33年ぶりの賃上げ率』などと胸を張っているのが、今の自民党政権の実態です」(経済評論家・斎藤満氏)
賃金格差の拡大で中小の人手不足はより深刻さを増し、昨年の「求人難」や「従業員退職」などによる人手不足関連倒産は前年比81.7%増の289件。13年の調査開始以来、最多となった。
ばかげた大企業向けの優遇税制は腐るほどあり、その一例が「研究開発減税」だ。もともとは研究費を積み増した分だけ法人税を控除する仕組みだったのが、03年から対象が研究費の「総額」に。当然、巨額の研究費を注ぎ込める大企業ほど恩恵の額は跳ね上がる。22年度には研究開発減税の実績総額7636億円のうち、トヨタ自動車1社の減税額だけで約802億円と全体の1割以上を独占していたとみられる。
カネにならない弱者はとことん冷遇
自民党に対する企業・団体献金の額は、23年の1年分だけで総額約24億円に上る。トヨタは献金額トップの常連で、13〜23年の間に計6億6000万円余りを献上。この間の研究開発減税の総額は推定約9000億円に上る。巨額減税の恩恵で、しっかりと献金の見返りを受け取ってきたわけだ。
かくも分かりやすい構図で一部大企業だけを優遇し、中小企業の塗炭の苦しみには目もくれない。この自民党政治の悪しき伝統を平然と引き継いでいるのが、石破である。
企業・団体に派閥のパーティー券を売りまくり、ノルマ超過分をキックバックした裏金事件の反省なし。この後に及んで法律で禁止すれば「表現の自由」を保障する憲法21条に抵触すると屁理屈をコネて、企業・団体献金の温存に血道を上げる始末だ。
今年は植田日銀による追加利上げが現実味を帯び、貸出金利が上昇すれば中小企業の資金繰りはますます悪化する。それだけに債務軽減や価格転嫁が困難な企業ほど、経営の厳しさは増す。TSRも「今年の倒産件数は、24年を上回る可能性が高い」と予測。中小企業にはさらなる地獄絵が待ち構えているのに、イカれた企業・団体裏金政権ではどうにもならない。前出の斎藤満氏が言う。
「世の中を治めて民を救う『経世済民』の言葉こそ経済政策の基本です。意味するところは弱者への目配り。自民党政治は真っ向から反しており、献金額の多い大企業優遇策が最優先。強い者だけに貢献し、カネにならない弱者には冷たい。だから中小企業の苦境を理解できないのです。これ以上の円安進行を食い止めるのに、利上げは避けられませんが、中小企業は確実に大打撃を受けます。雇用の約7割を支えていることを考えれば何らかの対策を講じるべきですが、石破首相にもその認識は感じられません。経済オンチを支える人も周囲にいないから、もう目も当てられません」
自民党政治が続けば、強者がより栄え、弱者はもっと衰えゆくばかりだ。こんな日本のどこが「楽しい」ものか。
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