http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/467.html
Tweet |
※紙面抜粋
無策が続く(C)日刊ゲンダイ
なぜ、実質賃金が上がらないのか。アベノミクスを総括せず、日銀に政治的圧力を続け、物価高を放置し、賃上げは企業任せの“やってるふり”。手取り増だって、赤字国債だから、インフレ懸念が高まるばかり。チグハグ政権の行く末は株価がとっくにお見通し。
◇ ◇ ◇
いったい、いつになったら生活は楽になるのか。
「実質賃金」は、またマイナスだった。厚労省によると、物価の変動を反映させた昨年11月の実質賃金は、前年同月比0.3%減だったという。これで4カ月連続のマイナスである。
実質賃金は2022年4月以降、過去最長の26カ月連続のマイナスを記録したあと、24年6、7月は夏のボーナスによる底上げという“特殊要因”によって一時的にプラスに転じたが、8月以降、またマイナスに転落。実質賃金は、かれこれ3年近くマイナスがつづいている状況である。
実質賃金が上がらない原因はハッキリしている。異様な物価高騰がつづいているためだ。物価の上昇に賃上げが追いつかない。
なにしろ、値段の上がり方はハンパじゃない。昨年11月、生鮮食品は8.7%の上昇だった。主食であるコメは、63.6%の値上がりである。これでは、多少の賃上げがあっても焼け石に水である。
3年近くも物価上昇に見舞われ、さすがに家計はヘトヘトだ。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」(24年10月発表)によると、暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」が52.7%に達している。「1年前に比べ、物価は何%程度変化したか」は、平均+14.5%だった。14%もモノの値段が上がったら「ゆとりがなくなる」のは当たり前である。
ヤバイのは、この物価高騰は止まりそうにないことだ。
帝国データバンクによると、25年1月から4月までに値上げが予定されている食品は、6121品目に達するという。24年の同じ時期に比べて500品目以上も多い。しかも、1回当たりの値上げ率も平均18%と、24年(17%)を上回っている。
どうかしているのは、これだけ庶民が苦しんでいるのに、自民党政権は物価高騰を放置していることだ。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「石破政権は物価高に対する危機感がホントに薄い。3年近くも物価上昇がつづいているのに、いまだに『デフレ脱却を目指す』などとしているのだから完全にズレています。いま、政府が最優先で取り組むべきなのは、物価高対策でしょう。物価高の実態が分かっていないのではないか。意図的にインフレを放置している疑いさえあります。インフレになると税収が増えるからです。実際、税収は4年連続で過去最高を更新しています」
もはや円安はマイナスが大きい
値上がりが止まらない(C)日刊ゲンダイ
なぜ、ここまでインフレが進行しているのか。「円安」が大きな要因となっているのは間違いないだろう。円安によって輸入物価が上昇してしまうからだ。
物価高にブレーキをかけるには、もはや日本銀行が金利を上げるしかないのではないか。物価高が落ち着けば、実質賃金だって上がるはずだ。インフレに見舞われた国は、どこだって中央銀行が金利を引き上げている。金利がアップすれば「円安」にだって歯止めがかかるはずである。なのに、自民党政権は、日銀に政治的な圧力をかけ、利上げにストップをかけているのだからどうかしている。
肝心の賃上げにしたって、企業に“口先介入”をして、やっているふりをしているだけの話だ。
労働者の手取りを増やすために、いわゆる「103万円の壁」を123万円に引き上げると決めたのは結構だが、それだって無駄を削って財源を捻出するわけではなく、安易に「赤字国債」を発行して賄う始末である。赤字国債の増発は、インフレ懸念を高めるだけだ。
自民党政権がつづく限り、もはや「実質賃金」は上がらないと思った方がいいのではないか。
「アベノミクスに象徴される自民党政権の経済政策は、要するに、円安にすることで輸出大企業を儲けさせればいい、という発想です。たしかに、輸出企業の生産拠点が国内にあった80年代までは、円安効果は大きかった。円安によって輸出量が増えれば、国内生産が活発になり、雇用や設備投資につながった。日本経済全体に恩恵があった。しかし、いまや多くの輸出企業は海外で現地生産しています。しかも、海外で稼いだカネを日本国内に還流させず、そのまま現地に再投資している。いくら円安にして輸出大企業を儲けさせても、国内に住む日本人には、ほとんど恩恵がないのが実態です。むしろ、円安によって輸入価格が割高となり、物価高に苦しむというマイナスの方が大きくなっている。なぜ、自民党はアベノミクスの失敗を認めて方向転換しないのか。このままでは、いつまでたっても物価高は沈静化されず、実質賃金も増えませんよ」(斎藤満氏=前出)
庶民生活よりスポンサーが大事
自民党政権が物価高を放置しているのは、とどのつまり、庶民生活など、どうでもいいと考えているからなのではないか。頭にあるのは、巨額なカネを献金してくれる大企業だけなのではないか。
その証拠に、この30年間、自民党は法人税を7回も減税し、その代わりに消費税を3回も増税している。なぜ、ボロ儲けしている大企業を甘やかし、苦しんでいる庶民の懐に手を突っ込むのか。
以前、作家で数学者の藤原正彦氏が、自民党と企業献金について「文芸春秋」(24年6月号)でこう書いていた。
「輸出大企業にとって消費税は痛くも痒くもない。例えばある大企業の輸出売上高が十兆円あっても、輸出奨励のためそれに消費税は一切払わなくてよいという特典がある。さらに製品を作るための原料仕入れに八兆円かかったとすると、そのために支払った消費税八千億円は国から還付してもらえるという特典まである。だから輸出大企業のトップ二十社への消費税還付金は二〇二一年度、何と合計一兆七千億円にもなった」
「経団連が毎年のように法人税下げと消費税上げを唱えている理由、そしてその通りになった理由は容易に想像がつく。『カネを出すが口も出す』とは賄賂であり買収に他ならない。政治献金とは、献金のできる強者を喜ばせ、できない弱者を泣かす不公正なものである」
自民党政権が、スポンサーである輸出大企業の利益を優先している限り、「円安」は是正されず、「物価高」も止まらない。これでは「実質賃金」が増えるはずがない。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「大企業が内部留保を600兆円にまで膨らませる一方、庶民生活は追い詰められています。あまりの物価高に買い控えが強まり、家計支出は4カ月連続マイナスです。牛肉や豚肉を避けて、安価な鶏肉を買っている。貯蓄の取り崩しも進み、貯蓄率は3年連続低下しています。自民党政権は、こうした庶民の暮らしが分かっているのでしょうか。スポンサーしか見ていないのではないか。1月20日にトランプ政権が誕生したら、日本経済はどうなるか分からない。このままでは、実質賃金のアップは絶望的です」
日経平均株価は3日続落している。ズレまくっている石破政権の経済政策の結末を見通しているのではないか。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。