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※2025年1月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年1月10日 日刊ゲンダイ2面
都合の悪い歳出には財源論で難色、かたや米国には勝手に口約束の国民負担増…(C)日刊ゲンダイ
自分たちに都合の悪い歳出には財源論で 難色を示し、米国には勝手な口約束で 国民に負担増。つくづく身勝手な政党だ。
国民民主も怪しいが、両者のバカし合いには 警戒と監視が必要。
◇ ◇ ◇
「財源の裏付けのない政治は国をおかしくする」──随分と強気だ。発言の主は自民党の森山裕幹事長。8日、党熊本県連主催の会合で講演し、所得税の課税最低ライン「年収103万円の壁」の見直しについて、相応の財源が必要との認識を示した。
1月24日召集の通常国会に持ち越された「年収の壁」の再協議を前に先制パンチ。“口撃”の矛先は言うまでもなく「178万円」への引き上げを求める国民民主党だ。自公両党は昨年12月の税制改正協議で、178万円に引き上げれば7兆〜8兆円の税収減になると主張。国民民主を振り切り、いったん「123万円」でまとめた。
森山は「トラス・ショックみたいなことが起きればエラいことになる」と牽制。2022年に財源の裏付けに乏しい大型減税策で通貨・国債・株のトリプル安を招き、退陣に追い込まれた英国のトラス政権を例に挙げ、国民民主をくさしたのだ。
すかさず国民民主の玉木代表(役職停止中)が反応し、きのう自身のXに〈取り過ぎの税金を国民に返せばいい〉と投稿。23年度には計約9.4兆円に達した「予算の使い残し」(約6.9兆円)と「税収の上振れ分」(約2.5兆円)の活用を訴えたが、「壁」引き上げは税制の恒久措置となる。取り過ぎた税金の還元は当然にしても、恒久的な財源としては安定さに欠ける。
ここ数年の予算の使い残しは新型コロナ禍の不測の事態に備え、通常よりも予算を多めに確保したせいで不用額が膨らんだに過ぎない。税収の上振れも景気が後退すれば逆に下振れしかねない。実際、新型コロナが初上陸した20年度の税収は、経済活動の縮小により8兆円も下振れした。
いつまでも財源を示さず、議論をかき乱し、時には「財源を考えるのは基本的には与党」(古川元久代表代行)と居直る。「手取りを増やす」という聞こえのいいスローガンの下、国民ウケを狙った政策に固執する国民民主の姿には、ポピュリズムの怪しさが漂う。
票欲しさに財源先送りの無責任
全ての誤りは2022年5月の日米首脳会談から(C)共同通信社
こんなワガママ政党に先の臨時国会では平身低頭、補正予算成立の協力を得ようと壁引き上げを受け入れたのは森山以下、自民の面々だ。
年が明けるや、いきなり財源論で難色とは鼻白む。新年を迎えても少数与党の悲哀は変わらず、通常国会では25年度予算案の成立に向け、再び国民民主の協力を仰ぐ立場だ。森山発言は、野党に譲歩を重ねることで党内にくすぶる不満の“ガス抜き”に過ぎないのだろう。強気な言葉とは裏腹に政権延命のため、また国民民主など「ゆ党」にスリ寄るのは目に見えている。
大体、自民は他党の財源論をエラソーにあげつらえる身分なのか。
23年度から5年間で防衛費を総額43兆円、27年度にはGDP比2%にまで増やす閣議決定から2年余り。石破政権は25年度予算案で過去最大の防衛費8兆7005億円を計上した。史上初の8兆円超えどころか、ほぼ9兆円。22年度の5.4兆円から実に約1.6倍に跳ね上がった。
今回の予算案で総額43兆円のうち約27兆円(62%)を積み上げた計算だが、まだ財源確保には至っていない。自公与党は防衛費増額に伴う法人・たばこ両税の増税開始時期を決めたものの、残る所得増税の開始時期は3年連続の先送り。石破首相が「『財源がどこにあるかわかりません』というようないい加減なことをしてはならない」と昨年内の決着を明言していたにもかかわらずだ。
その理由は「年収の壁」見直しの減税議論を進める中、政策の整合性を欠き、今夏の参院選前に「増税イメージ」が付くことを恐れたため。穴の空いた所得増税分は「税収の上振れ分」で補うというから、ますます国民民主を批判できない。票欲しさに財源を欠いたまま、「規模ありき」の防衛費増額だけが独り歩きしていく無責任。つくづく、ご都合主義の身勝手な政党だとあきれるしかない。
トランプに呼応しGDPは青天井
そもそも防衛費増額の財源は計1兆円強に上る防衛増税だけではない。国の決算剰余金や歳出改革など恒久財源には程遠い中身だらけで、おまけに「異次元の少子化対策」の財源捻出も歳出改革で賄う。歳出改革はすなわち国民へのサービス低下を意味する。
分かりやすい例は、防衛費増額に伴う「防衛力強化資金」の創設だ。繰り入れるのは国の税外収入や国庫への返納金などで、中には国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金も含まれる。本来、国民の医療に使うべき公金が軍拡予算に転用されてしまうのだ。もうムチャクチャである。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「これだけ無軌道な防衛予算を是とする自民党が、他党に財源を問う資格はありません。しかも全ての始まりは勝手な口約束です。22年5月、初来日したバイデン米大統領との首脳会談で、当時の岸田首相が『防衛力の抜本的な強化』と『防衛費の相当な増額』を公約。すると国会でロクに審議もせず、同年12月には一足飛びで、いわゆる安保3文書を策定。総額43兆円の軍拡予算確保と敵基地攻撃能力の保有を決めたのです。敵基地攻撃とは敵の射程圏外からの攻撃であり、『専守防衛』に反する先制攻撃に他ならない。米軍の世界戦略の片棒を担ぐため、平和憲法の精神をかなぐり捨てたのです。自民の憲法破壊は財源ウンヌン以前の問題です」
9兆円近い25年度防衛予算案の内訳もメチャクチャだ。約4.5兆円と初めて全体の半分を超えるのは、過去に購入した兵器の支払い分の「歳出化経費」。安倍政権時代の米国製兵器の爆買いがたたり、軍事ローンが膨張したのが最大要因だ。
それでも石破政権は懲りずに総額約2540億円で購入する米国製巡航ミサイル・トマホークを当初予定の26年度から25年度に前倒しで配備。海自のイージス艦に順次搭載するが、その半数を性能の劣る旧型に置き換えてまで配備を急ぐ。
アジアの衰退国の身の丈に合った予算を
その上、トランプ次期米大統領は現地時間7日、同盟国のGDP比に占める国防費の割合を「2%」に飽き足らず、「5%にすべきだ」と大幅につり上げた。トランプのむちゃブリに呼応するように、石破は「GDP比何%ということが判断基準になるべきだと思っていない。(安全保障環境が)厳しいほど増やすことは判断としてあるべき」と先の臨時国会で答弁。すでにGDP比の上限撤廃を示唆していた。
27年度に防衛予算は11兆円を超える見込みだが、さらに天井知らずで上昇させようとは軍事オタクの本領発揮だ。現状の防衛増税だけで賄いきれるわけもなく、さらなる負担増は既定路線である。
しかし「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代ならいざしらず、今や日本は先進国の地位から衰退の一途。1人あたりGDPは22年には韓国に、昨年は台湾にそれぞれ抜かれ、もはやアジアの代表国とも言えない。青天井の軍拡予算に耐えきれる国力など、もう残されてはいないのだ。
「財源の裏付けなきバラマキ策は問題ですが、防衛費の聖域化はより大きな由々しき事態です。米国の顔色をうかがい、さらなる国民負担を強いて、できもしない軍拡路線を貫けば、この国は外敵に攻められる前に内側から崩壊してしまう。身の丈に合った額まで防衛予算を削り、国防より生活を守る予算を優先すべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
財源を示せと迫られても、国民民主が防衛費に切り込めないのは「予算編成権を持つ与党に逆らわず、ひたすら『おこぼれ』を待つ身だから」(金子勝氏=前出)。しょせん、自民の補完勢力に過ぎないのだ。年収の壁を巡る両党のバカし合いには、やはり警戒と監視が必要である。
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