http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/438.html
Tweet |
※2025年1月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年1月7日 日刊ゲンダイ2面
手を打つことなしの日本経済の先行き不透明感、「楽しい日本」とのたまう前に…(C)共同通信社
JNNの世論調査でまた不支持率が上がっていたが、延命のための丸のみ戦術でますます、色褪せていく石破カラー。
ネコババした政治資金を赤い羽根に寄付する神経にも呆れたが、トランプに袖にされ、USスチール問題もただ傍観の情けなさ。
大発会の株価こそ、石破日本の象徴だ。
◇ ◇ ◇
石破首相が6日、年頭会見に臨んだが、何とも空疎な決意表明だった。
30年ぶりに自公が少数与党となる中、「責任与党」として議論を尽くして政権運営に当たる考えを強調。さらに、作家で経済評論家の故・堺屋太一元経済企画庁長官が提唱した「楽しい日本」に言及した。堺屋氏は明治政府が目指した「強い日本」、戦後の「豊かな日本」に代わる価値観として「楽しい日本」を掲げたのだが、これは昨年来、石破のお気に入りのフレーズだ。石破はその価値観について自らの考えをこう披瀝した。
「全ての人々が安心と安全を感じ、多様な価値観を持つ一人ひとりの国民が『今日より明日はよくなる』と実感し、自分の夢に挑戦し、自己実現を図っていける──。そういう活力ある国家であると考えている」
まるで、三流アーティストが紡いだ安っぽい歌詞のようだが、そう感じたのは本紙記者だけではないだろう。実態は、多くの国民が将来に不安を感じ、「明日はどうなるか分からない」と閉塞感にさいなまれ、夢への挑戦や自己実現どころではないのではないか。
そうした現実を象徴するように、6日の大発会で日経平均株価は昨年末比587円安の3万9307円で取引を終えた。下落幅は2008年以来の大きさである。
株価下落の原因は、日本経済の先行き不透明感だ。米国で今月20日に就任するトランプ次期大統領は選挙期間中、製造業の国内回帰のために輸入品に原則10〜20%の関税をかけると宣言。米国に輸出している自動車メーカーを筆頭に、日本企業に悪影響を及ぼすのは確実だ。さらに、少数与党による政権運営への不安も重なる。トランプに面会すらできなかった石破で、未曽有の危機を乗り切れるのか──、マーケットが不安視しているということだ。
必要なのはアベノミクスからの脱却
米政権による日本製鉄のUSスチール(USS)買収阻止問題への対応を見ても、石破の頼りなさが分かる。一民間企業の買収劇とはいえ、「脱中国」を掲げる日米の国策に資する案件なのに、石破政権はただただ手をこまねき、傍観するだけという情けなさだった。
本来、「ディール」を重視するトランプには、交渉の余地があるはずだ。製造業の国内回帰を目指すトランプにとって、米国内の高炉にも投資する予定の日鉄の買収計画はメリットがあるからだ。なのに、石破政権は打つ手なし。武藤容治経産相はきのう、会見で「極めて残念で理解しがたい」とこぼし、「(日鉄に対し)これから政府として具体的にどのような支援ができるか考えていかなくてはいけない」と悠長なことを言っているのだ。
無策な石破では、日本中を覆う閉塞感を打ち破ることはできないだろう。
内政に目を向けても、石破は24日召集予定の通常国会を切り抜け、延命したいがために国民民主党が主張する「103万円の壁」の見直しや、日本維新の会が掲げる「教育無償化」といった政策を丸のみしようとしている。そうした政策を無駄と言うつもりはないが、それだけで国民生活が上向くとは思えない。
むしろ、円安加速で庶民を苦しめ、金持ち優遇で格差を広げたアベノミクスからの脱却といった抜本的な政策転換こそが必要なはずだ。石破は自民党総裁選の際に、アベノミクスの是非を検証すると主張していたが、いまやそんな「石破カラー」は雲散霧消している。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「世界的な選挙イヤーだった昨年は、米大統領選を含め多くの国で与党が苦戦を強いられ、過激な極右やポピュリズム政党が台頭しました。その根底には物価高と『民衆の生活苦』があった。多くの選挙で富裕層と低所得者層の対立が、民意という形で表れたのです。日本の衆院選でも与党が大敗。裏金事件のみならず、物価高と賃金の停滞が影響したと言えます。これを放置しておくと対立は深まり、社会の荒廃は避けられない。食い止めるには、経済を立て直すしかないと思います。重要なのは、大企業と富裕層優遇のアベノミクスからの脱却です。石破首相が口をつぐんでしまったのは、大企業と富裕層にソッポを向かれるのを恐れているからでしょう。しかし、これでは分断と閉塞感は解消できません」
意味不明な8億円寄付に国民は嘆息
政権維持だけが目的だった岸田前首相と同じ(C)日刊ゲンダイ
石破の無策はそれだけじゃない。象徴的なのは、自民党の裏金事件を巡る対応だ。
石破自民は昨年末、問題にけじめをつけるため、「赤い羽根共同募金」で知られる中央共同募金会に8億円を寄付。内訳は、不記載相当額が約7億2000万円で、おわびの意味の上乗せ分が約8000万円なのだそうだが、サッパリ意味が分からない。一体、なぜ8000万円なのか不明だし、上乗せして寄付すれば「みそぎ」になるとでも思っているのだろうか。
そもそも、原資が一般の党員から受けとった党費というのも理解不能だ。裏金議員の歳費から徴収すべきだし、寄付よりまず、裏金議員の納税が先だろう。
これには、自民党の高市早苗前経済安保相がX(旧ツイッター)で「派閥の政治資金パーティーの原資は企業や個人の支払いで党費ではない」「党費は党活動に使うべきだ」といった元党職員の声を紹介した上で、「納得感はありません」とバッサリ切っていたが、その通りだ。
JNNの世論調査(4〜5日実施)では、8億円の寄付について85%の人が「けじめにならない」と回答し、「けじめになると思う」はわずか9%だった。内閣不支持率は前回調査から2.8ポイント上昇し55.2%。支持率は0.7ポイント下落して41.4%となったが、当然の結果と言えよう。
昨年末の政治資金規正法の再改正を巡っても、政策活動費の廃止などは明記されたものの、肝心要の企業・団体献金の扱いは自民党の抵抗でウヤムヤにされてしまった。
やることなすこと「党内の論理」
何より重要な裏金事件の実態解明については、全くもって進んでいない。石破は「新事実が発覚したら調査する」と言っていたのに、この間、大きく報じられた都議会自民党による裏金疑惑についてもまるで手つかずのままである。都議会自民の裏金疑惑はこれまでの派閥裏金とは全く別の案件なのに、無視する腹積もりに違いない。それで国民が納得するとでも思っているのか。
石破は何をやってもズレまくり。一事が万事、この調子である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「非主流派だった頃の石破首相は鋭い発言を繰り返していましたが、いまや安倍政権から続く自民党のメインストリームにのみ込まれ、彼らしさは消えてしまいました。岸田前首相と同じで、政権維持、延命だけが目的になり、やることなすこと全てが『党内の論理』で、国民の期待から大きくズレている。そんな人物に、今の閉塞感を打破することはできないでしょう。そもそも、裏金事件のみならず、大軍拡や原発再稼働に突き進み、世の中の閉塞感を生み出したのが自民党政治です。こうした悪政と決別する気概を持ち合わせた人物でなければ、閉塞感は破れない。安倍、菅、岸田の悪政を踏襲する今の石破首相には、とても無理だと思います」
「党内野党」と呼ばれた石破はかつて、自らの勉強会で「『なんか自民党、感じ悪いよね』と国民の意識が高まっていった時に危機を迎えるのが私の経験だ」と発言し、党内を引き締めていた。それが、今はどうだ。今まさに石破日本が嫌な感じに覆われている。
「楽しい日本にする」などと、よくぞ言えたものである。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK296掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。