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※2024年1月4日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
なんでもあり、だからこそ…(代表撮影)
暮れの番組では同日選や大連立など、言いたい放題だった石破首相。バラエティー番組にも出て、いい気なものだが、今年は何でもありの大政局。国民にはますます、監視と覚悟が必要だ。
◇ ◇ ◇
大地震や航空機事故こそなかったものの、今年の正月の日本列島は厚い雲に覆われているかのようだった。国内外ともに「先が見えない」ことばかりだからだ。
国内政治は少数与党で不安定。米国では「独裁宣言」のトランプ大統領がカムバック。韓国では大統領の逮捕を巡り、捜査本部と警護庁が一触即発で揉めている。世界中で何が起こるかわからないのだが、中でも、五里霧中なのが石破政権の先行きだ。
昨年暮れ、石破首相はラジオやテレビで、「大連立」や「衆参同日選挙」に言及したが、瞬く間に話題になった。
「大連立は選択肢としてはある。ただ、何のためにがない大連立は一歩間違うと、大政翼賛会になる」
「衆参同日選、これはある。政府の予算、法律に国会がダメと言えば、国民に決めていただくのが憲法の仕組みだ。参院と衆院の時期が同時ではいけないという決まりはない」
どちらも一般論の域を出ない発言が注目されたのは他でもない。わざわざ言及したのは野党への「牽制」だし、この「牽制」の裏側の政局を見ると妙なリアリティーがあるからだ。
大メディアが石破発言に飛びついた背景
政治評論家の野上忠興氏はこう言った。
「少数与党の石破政権は野党の協力なくして、予算案を通せない。補正予算は国民民主、維新の協力でクリアしましたが、補正は能登対策など緊急性があるため、野党も反対しづらい状況があるのに対し、本予算はガチンコになる。野党も簡単には妥協しません。まして、今年は都議選、参院選を控えている。存在感をアピールするために野党は徹底抗戦の構えでしょう。予算案がもたつけば、自民党内もざわつく。そこで、いざとなったら他の野党との連立や衆参同日選のカードを切るぞ、と牽制したわけですが、メディアが大きく反応したのは、『あり得る』状況だからですよ。といって、石破首相自身に、戦略があるとは思えない。裏を返せば、何でもあり。だからこそ、リアリティーが出てくるのです。通常国会終盤の石破降ろし、ならばと勝負の衆参同日選挙、そこまでいかなくても参院選での負け方次第で新たな連立の動きが出てくる。大連立はもちろん、自民党分裂まである。今年は大政局の年になるとみています」
大メディアの政治部記者もそうみているから、石破の一般論にパクッと飛びついたのである。実際、永田町は正月早々、異常な緊張感に包まれている。石破は年頭所感で「本年の干支は乙巳です。字のごとく衆知を集め、豊かさと笑顔を皆様に届けていく一年にしてまいります」などと書いていたが、少数与党の漂流政権の戯言だ。誰もがフンと思ってみている。
この政権が行き詰まるのは自明の理で、その時、石破は何をするのか。退陣か、同日選か、解散もできず参院選に負けて退陣か、それとも過半数は維持して大連立か、とむしろ、こちらの方に関心が集まっている。2025年は未曽有の混乱必至、国民も今から覚悟をしておいた方がいい。
野党周辺からも大連立に期待する声のきな臭さ
どこか信用できない(立憲民主党の野田代表)/(C)日刊ゲンダイ
大連立といえば、野党サイドからも期待する声が出てきたのも気になるところだ。野田政権の内閣官房参与で財務副大臣や党税調会長などを歴任した峰崎直樹氏は先月30日付の朝日新聞でこんなことを言っていた。
<私は、今求められているのは、大連立ではないかと思っています。「救国内閣」のような強い政権をつくらないと、少子化対策、格差の解消や雇用の改善、財政再建という三つの大きな問題に根本から対処することは難しい。その三つの課題は、それぐらい差し迫っていると思います>
峰崎氏は「103万円の壁」引き上げについて、その財源が社会保障になるのであれば、「あり得ない話」と切り捨て、これで喜ぶのはメリットが大きい高額所得者であり、新自由主義者ではないか、と論じていた。
確かに、石破政権の部分連合は、各党の要求を丸のみしたサービス合戦となっていく。今年は都議選と参院選があるからなおさらだ。減税バラマキ・ポピュリズムが横行する。
そうならないように、大連立で腰を落ち着けた政治をやるべきではないか、という趣旨は一見、マトモに見えるが、冗談ではない。
「与党第1党と野党第1党が組むなんて、選挙結果を踏みにじるものです。正反対の民意を自分たちの都合でくっつけることに何の正当性もありません。戦争や災害に対する緊急避難以外は許されないことです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
これが憲政の常道というものだ。加えて、これが野田元首相周辺から出てきたことにも「危険なにおい」がプンプンする。野田といえば、選挙公約になかった消費税引き上げの「3党合意」を自公と交わし、事実上の大連立を組んだ末、自民党に政権を手渡した戦犯だ。それだけに、いくら口で「対決」を言っても、どこか信用できないところがある。石破とは「熟議を好む」シンパシーもあるからなおさらだ。そこにもってきて、元側近の提言だ。やはり、水面下で、そういう話があるのか。だとしたら、今度も敵に塩を送ることにならないか。米国ベッタリ、軍拡大連立になりはしないか。そんな心配がよぎってくる。
政権維持のための大連立がもっとも危険
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)にも聞いてみた。
「EUでも今や、連立政権が当たり前で、さまざまな組み合わせで政権交代が続いています。大連立は目的があいまいなまま組むと民主主義が機能しない大政翼賛会になってしまう。EUの場合は台頭する極右政党に政権を渡さないために中道、左派が組むケースがよくある。ただ、日本の場合は自民と組もうとしている野党が自民よりも右寄りだったりする。政権維持のために妙な連立になる懸念があります。それよりも軍拡を求める米国と対峙する。あるいは夫婦別姓のような課題に決着をつける。そうした目的の政界再編ならまだしも、ただ政権維持のための連立ほど、危険なことはありません」
野党はゆめゆめ、目先の権力に飛びつかないことだが、ここが怪しいから、油断も隙もありゃしない。国民の監視が必要なのである。
一時しのぎよりも未曾有の混乱の覚悟を
言うまでもないが、先の衆院選で示された民意はおごりたかぶった自民党の下野だ。政治とカネの悪事が発覚するたびに口先でゴマカし、反省したふりで生き延びてきた自民党は、今度こそ、退場させ、利権政治を断ち切らせる必要がある。本来であれば、予算案が行き詰まったところで、野党は一致団結して不信任を突きつけ、下野させるのが当たり前だ。
1993年の宮沢内閣の時は自民党内から脱藩者が出た。今度も党内から石破降ろしの動きが出てきて、分裂騒動になるかもしれない。
そこで、解散・総選挙、衆参同日選になれば、その結果次第で大政局になっていく。
「妙な連立で石破政権が生き延びるより、自民党が下野する政権交代の方が日本の政治には良いと思う。自民党は一度下野、あるいは分裂しないと変わらないでしょう。モタモタしているうちに政党不信が増していき、妙な政党が乱立する懸念もあります」(五野井郁夫氏=前出)
政党不信の末、軍部の台頭、大政翼賛会の誕生を許したのが戦前だが、若い世代を中心に広がる既成政党不信までは今も一緒だ。この先に何があるのか。
妙な一時しのぎよりも「混乱の覚悟」が国民には求められているのかもしれない。
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