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「知識経済化」を阻んだアベノミクスがイノベーションを潰した 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/365416
2024/12/24 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
裏金や政治献金をバラまいた経団連企業と癒着、その成れの果てが日本の衰退(C)日刊ゲンダイ
日本メディアの劣化には目を覆わんばかりだ。いまだに金持ち優遇の基礎控除引き上げの減税を無批判に垂れ流している。為替は一時1ドル=157円台にまで円安が進み、11月の企業物価指数は前年同月比3.7%の上昇だ。そんな中、赤字国債依存で減税すれば、ひどい物価上昇をもたらすだけなのに、その批判さえない。そもそも、減税によって日本経済の衰退を克服できるのか。問題の本質をキチンと見なければいけない。
成長する北欧諸国と比べてみよう。1990年代以降、北欧諸国では、不良債権処理に対する責任追及と大規模な国有化や公的資金の注入がなされると同時に、教育無償化やイノベーション促進によって知識経済へ大きくシフトした。北欧諸国は「イノベーティブ福祉国家」と呼ばれる大きな転換を遂げたのだ。
教育無償化を背景にしながら、科学技術政策やイノベーションに対して非常に積極的で、かつ福祉も単なる給付ではなく、医療や介護や教育といった対人社会サービスに投資して、雇用をつくり出した。知識経済化で産業転換しながら、福祉でも雇用をつくり出すという方針を取ってきたのだ。
デンマークはノボノルディスクという製薬会社や、べスタスという世界一の風力発電会社をつくった。フィンランドはノキア、スウェーデンはエリクソンという世界的なIT企業が伸びている。その中で、医療や介護、教育研究職の雇用が大きく伸長。一方、製造業や農業は生産性を上げながら人はどんどん減っていった。同時に、ITや医療を含めた新たなサービス業が大きく伸びている。
それに比べて日本はどうか。貿易赤字が定着するようになり、特に、デジタル赤字は昨年の5.5兆円から6兆円超にまで拡大した。明らかに日本は知識経済化に失敗した。日本はスマホの“使用料”を、技術を持つ米国のIT企業に吸い取られるような状況になっている。
こうした知識経済化の動きを止めたのがアベノミクスだ。民主党政権が「コンクリートから人へ」という方針で教育無償化や子供手当といった、人への投資を重視する政策を進めたのに、それを「悪夢の民主党政権」と言って打ち捨てた。その代わりに、裏金や政治献金をバラまいた経団連企業と癒着。ひたすら財政赤字と金融緩和でバラマキを続けてきた。その結果、知識経済化に失敗し、企業は守りばかりで内部留保をため込み続け、賃金も上がらなくなった。
この構造を転換するには、いま一度、知識経済化に立ち返るしかない。目先で赤字国債依存の減税論の「落とし穴」にはまってはダメだ。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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