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※2024年12月18日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年12月18日 日刊ゲンダイ2面
対決姿勢の裏で…(石破首相と立憲民主の野田代表)/(C)日刊ゲンダイ
野党案を丸のみし、とにかく政権維持に汲々の石破政権。野党は「成果」を誇るが、与野党が熟議どころかメンツと数合わせで妥協とは、理念なき“その場しのぎ”ではないのか。
異様な政治状況の先に「大連立などないだろうな」という識者の嫌な予感と懸念。
◇ ◇ ◇
政治資金規正法の再改正案を含む政治改革関連3法案が、17日衆院本会議で可決。今国会で成立する運びとなった。この日は補正予算案も与党に加え、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で成立。とにかく政権維持に汲々の少数与党内閣が今国会のヤマ場をどうにか持ちこたえたのも、野党に譲歩を重ねた妥協の産物である。
政治改革関連法案を巡り、石破自民は野党案を丸のみ。政策活動費(政活費)の全面廃止に合意し、あれだけ「公開方法工夫支出」の必要性を熱弁しながら、土壇場で撤回したのだ。
そもそも政活費は政党から政治家個人に支出され、使途公開義務のない掴み金。この事実上の裏金を自民幹部は年間に億単位で手にしてきた。衆院選で自民惨敗後、石破首相はそれまでの「10年後に公開」案から一転、「廃止」を指示したが、自民の改正案は外交上の秘密などを非公開にできる「抜け道」を盛り込んだ弥縫策。工夫支出の新設は「新たなブラックボックス」と野党の攻勢に火に油を注ぐ始末だった。
石破が約束した政活費廃止の「年内決着」を実現するには、17日の衆院通過がタイムリミット。期限ギリギリになって野党に大幅譲歩し、何とか21日の会期末までに法案を成立させるメドをつけ、石破のメンツを保ったわけである。
「野党がそろって政策活動費の完全な廃止を求めたことが、このような結果を導いた。まさに与野党が逆転したことの大きな成果だ」
そう意気揚々と「成果」を誇ったのは、立憲民主党の笠浩史国対委員長だ。「政治とカネ」の透明化を求める有権者にすれば政活費の全面廃止は政界浄化に向け一歩前進。しかしモヤモヤした疑念が残る。はたして妥協したのは、本当に石破自民だけなのか──。
与野党が互いに花を持たせるトレードオフ
立憲だって本音を言えば、自民が最後まで譲らず今国会で政活費の廃止が決まらない事態は避けたかったはずだ。政治改革関連法案を審議する衆院の特別委員会は、立憲の渡辺周氏が委員長を務めている。与野党逆転で予算委員長と共に立憲が手にした重要ポストだ。
法案採決を含む審議日程や答弁者の指名などで、野党が主導権を握りながら、政治改革の焦点となった政活費を廃止できなければ、野党第1党のメンツは丸潰れ。
その政活費を完全廃止する法案を共同提出した立憲、維新、国民民主など野党7党が賛成すれば、与野党逆転の衆院では可決できた。しかし、参院は依然として自公与党が多数。否決されれば元のもくあみ。結局、政治は変わらないと有権者の失望を招くだけである。
それこそ与野党逆転の「成果」を得られなければ、国民民主に逆転を許した立憲の支持率は地に落ちただろう。自民の歩み寄りはまさに渡りに船。最終的には互いの数に頼らなければ、面目を失う状況は自民も立憲も変わらないのではないか。
その証拠が政治改革関連法案のもうひとつの焦点となった企業・団体献金の取り扱いだ。存続ありきの自民に対し、立憲は年内の結論にこだわらず、来年3月末までに「結論を得る」ことで妥協した。
自民が工夫支出の断念で花を持たせ、立憲は見返りに企業・団体献金の問題を先送りするトレードオフの関係だ。自民は派閥裏金事件の再発防止に一定のメドをつけたと主張できるし、立憲は政活費の完全廃止を与野党逆転の「成果」として胸を張れる。共に万々歳と言わんばかりに、与野党の国会対策委員会レベルで全ての方針が決まってしまったのだ。
立憲も国民民主も大増税連立の資格アリ
密室・談合に逆戻り(自民の坂本国対委員長=中央左と立憲民主の笠国対委員長=同右ら)/(C)日刊ゲンダイ
今国会は自公が少数与党に転落後、初の本格論戦の場だったはず。与野党ともに口にする「熟議の国会」は名ばかりで、目につくのは国対間の非公式協議でナシをつける旧態依然の国対政治だ。双方のメンツを重んじて互いに妥協を重ねる数合わせ。対決姿勢の裏で、こっそり手を握り合う。理念なき「その場しのぎ」の密室・談合政治にすっかり逆戻りである。
「自公が少数与党になっても野党は足並みがそろわず、野党主体の政権像は一向に見えてきません。逆に互いに手柄のアピールを競い合ってばかり。その功名心を手練手管の自民にあおられ、まんまと少数与党の石破政権の延命に手を貸している。1994年には少数与党の羽田政権の退陣後、国対政治の果てに旧社会党と自民が大同連立。自民に血を吸い取られるような形で旧社会党が衰退した歴史の教訓を今こそ学ぶべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
国民民主が「年収103万円の壁」の引き上げなどを目指すことで自公と合意。支持率が10倍近く急騰した陰に隠れているが、野党第1党の立憲にも自民はしっかり「手柄」を渡している。
補正予算案の審議過程で立憲の提案を受け入れ、能登地域の復興経費1000億円を積み増し。そして今回の政活費の完全廃止だ。「年収の壁」の合意が空手形に過ぎないのに対し、立憲には実のある「成果」を差し出しているのだ。
与野党第1党同士が裏で握り合っているのだとしたら、嫌な予感しかない。ますます政治資金改正の年内決着は素直に喜べない。この裏に何があるのか、この先に何があるのか。
矜持を失った野党に存在価値ナシ
「忘れてならないのは、防衛増税です。何しろ従来のザッと2倍。必要な追加財源は約14.6兆円に上ります」と言うのはジャーナリストの斎藤貴男氏だ。こう続ける。
「政府は追加財源の大部分を歳出改革や決算剰余金の活用などで手当てし、約1兆円程度だけを法人・たばこ・所得の3税の増税で賄うとPRしています。しかし、大増税の伴わない大軍拡などあり得ません。すでに2022年11月、安保3文書の改定直前に政府の防衛力に関する有識者会議は報告書で『(軍拡の)財源は、今を生きる世代全体で分かち合っていくべき』だと強調。昨年9月には経団連が社会保障制度の維持を持ち出し、消費増税を『有力な選択肢』だと提言しています。いずれ消費税率を大幅に引き上げ、大軍拡の財源に充てるのは既定路線としか思えません。自公与党が大増税を押し通す大連立のパートナーを担う資格が残念ながら今の立憲も国民民主にも十分にあります」
立憲の野田代表は首相時代に「社会保障と税の一体改革」の自公合意で消費増税に道筋をつけた。言うまでもなく、民主党政権終焉のA級戦犯だ。
「今なお野田代表にはその反省が見られず、中途半端に終わった一体改革の夢よ再びと思い描いているフシすらある。増税大連立に最もふさわしい党首です。立憲はかつて公約に掲げた『時限的な消費税減税』を既におろし、衆院選で税率引き下げをうたった国民民主は消費税に触れようともしない。むしろ『103万円の壁』引き上げに伴う税収減が消費増税の呼び水となりかねません。パート・学生の手取りアップには主婦や若者らの労働強化の側面があるのに、下手に逆らうと『ジェンダー平等に反する』という世論が巻き起こりそうなご時世です。増税反対の声はかき消され、行き着く先は、女性は男性並みに、高齢者は若者並みに働けとうながされ、老若男女を全て労働の駒とみなす社会です。それなのに、共産党を含めた今の野党は、多様な価値観と権利の尊重を求める『文化戦争』に引きずられっぱなし。性的少数派の権利拡大などの『成果』ばかりを追い求め、とめどなく広がった経済格差の是正や、反戦・平和の希求をとうに諦めているようにしか見えない。矜持を失った野党に存在価値はありません」(斎藤貴男氏=前出)
野党が大増税の補完勢力に成り下がり、事実上の翼賛体制に一直線──。そんな懸念をいやでも感じさせる異常な政治状況である。
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