<■2078行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 「女性の安全守るべき」トイレ訴訟の最高裁判決を保守党・島田洋一氏が批判 衆院法務委 2024/12/13 10:21 https://www.sankei.com/article/20241213-TUD3IQ72P5FKBH6NVEVJCWLON4/ トランスジェンダーの経済産業省職員に対する女性用トイレの使用制限を違法とした昨年2023年7月の最高裁判決などについて、2024年12月12日の衆院法務委員会で日本保守党の島田洋一氏が政府に問題点を質した。 島田氏は 「違憲立法審査権は慎重かつ抑制的に用いなけれならない」 とした上で、 「この問題で一番大事なのは、女性専用スペースで如何に女性の安全を守るかということだ」 と指摘。 一般論として 「トランスジェンダーを自認する人の中には、オートガイネフィリア、自己女性化性愛症という、生物学的男性であって女装したり女性の格好することに性的快感を覚えるが性的な対象は女性であるというタイプがいることが研究で明らかになっている」 「こういう方が女性専用スペースに入るのは極めて危険だ」 と批判した。 鈴木馨祐法相は 「個別の判決についての答弁は差し控える」 と述べた。 島田氏は、最高裁判事の任命に国会が関与してチェック機能を果たすべきだとしたが、鈴木法相は 「内閣が最高裁判事の任命を通じて司法権にある程度影響を与えることを認めたのが憲法の趣旨」 と答弁した。最高裁が嵌った「性自認至上主義」 正論2024年1月号 弁護士 滝本太郎 2023年10月25日の最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定には驚かされた。 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法) に定められた性別変更の要件についての憲法判断で最高裁は、申立人(男性から女性への変更)の訴えにあった特例法3条4号 「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖機能喪失要件)」 について 「違憲」 と判断してしまった。 更に同法3条5号 「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観要件)」 について、高裁段階で審理が尽くされていないとして、自らの判断を示さぬまま広島高裁に差し戻したのだ。 4号の生殖機能喪失要件が、憲法13条に定めた幸福追求権に反し違憲としたのは、15人全員だった。 三浦守、草野耕一、宇賀克也の3人の裁判官は、5号の外観要件についても差し戻しをせずに違憲だと判断すべきだとしてその意味での反対意見を示した。 残る12人は5号要件の憲法判断を回避した。 最高裁は憲法判断から逃げたのである。 最高裁によるとんでもない暴走である。 女性の権利を劣後させ、余りに矮小化している。 女性が差別され、不利益を被るのは、性別(SEX)を根拠としているという歴史的事実を無視して、つまりは男性の身勝手、女性の侮蔑、差別主義である 「性自認至上主義」 に侵された最高裁になってしまったということである。 「性自認至上主義」 をひた走った先進国では相次いで、女性の安心・安全が害され、脅かされている。 深刻な事態を招いた結果、その反省に立って正常化に舵を切ろうとしながらも、苦労しているイギリスの実態などについて、決定文では何の言及もなかった。 男性として思春期を幾分でも経験した者は女子スポーツ選手権への参加資格はないとした国際水泳連盟や世界陸連の判断なども決定文では一顧だにされていない。 15人の裁判官は何も知らないのだろうか。 不勉強極まると言う外ない。 決定文から読み取れることは、 「性自認は他者の権利法益より優先すべきである」 とする 「性自認至上主義」 に基づく論理展開ばかりなのだ。 私は本誌2023年12月号で、本決定について4つの可能性があると予測した。 第1は 「違憲であり性別変更を認める」 第2は 「違憲状態だ、国会は法を改正せよ」 第3は 「永続的に生殖腺の機能を欠いているなどとして変更を認め、違憲かどうかの判断は回避する」 第4は 「2019年1月の判例と同様、法的性別の変更を認めない、いわゆる手術要件は合憲である」 である。 まさか、4号と5号を分け、4号だけを違憲とし、5号については差し戻しをするとは思わなかった。 仮に広島高裁で5号を違憲として性別変更を認めたならば、最高裁への上訴はなく、高裁決定で確定し、実に不安定なままとなる。 高裁で5号を違憲とせずに 「ホルモン療法で陰茎が小さくなる、などしていれば陰茎ではない」 などと無理に評価し、法的性別の変更を認めてしまう手法を取れば、それが独り歩きしてしまうだろう。 そもそも最高裁は、法律の違憲判断をするかどうかという重大局面なのだから、国(法務省)に家事事件手続法と法務大臣権限法に基づき、利害関係人として参加してもらうべきだった。 最高裁にとって影響が大き過ぎて責任を負えないのならば、法務省に参加を打診すれば良かったのである。 法務省は決定後の2023年11月9日、自民党の 「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(女性を守る議連) で 「通例は裁判所から要請があって参加する」 と説明するなどこれまた逃げを打っていた。 議連も私どもも法務省(国)宛てに参加を要請し続けたのに、法務省も参加申し出をしないままだった。 挙げ句の4号違憲判決であり、5号は高等裁判所に差し戻して違憲となってしまう可能性がある。 行政の長である首相らに政治責任があると思われる。 差し戻し審があるのだから今からでも参加すべきだろう。 ■性別変えず支障なき社会を 決定文には、生殖能力喪失要件について 「2014年に世界保健機関等が反対する共同声明を発し、また2017年には欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をした」 などとあった。 申立人側の主張そのままであろう。 死刑制度について国際的に批判を浴びても世論動向などを踏まえながら決して違憲判決を下さないのが日本ではなかったのか。 性別変更は死刑問題よりも格段に国民生活に影響を与える問題であるにもかかわらず、最高裁が暴走してしまった。 決定文には 「性同一性障害者がその性自認にしたがって法令上の性別の取り扱いを受けることは・・・個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益である」 とあったが、だからと言って制度である 「法的性別」 を歪ませて良い理由になどならないではないか。 「本件規定がなかったとしても、生殖腺除去手術を受けずに性別変更を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めてまれであると考えられる」 ともあった。 従前から女性という性自認を持ちながら父となった方も相応に居るのだから、生殖腺を失わずに性別変更ができるのであれば 「父である女」 が続々と出現するだろう。 メディアでも報道されているが、乳房切除までしたが、パートナーとの間に子を設けた例もある。 性別変更が認められれば 「母である男」 となる。 決して稀なことではなかろう。 「そもそも平成20年改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなった」 ともある。 しかし、平成20年の改正では未成年の子がいる場合は、法的性別は変更できないままだった。 子の出生時点で 「出産した母だが男だ」 「父だが生物学的な女だ」 という事態を招くこととは局面も意味合いも全く異なる。 「強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一」 という記述も変だ。 手術は身体違和がきついから、自分の意思でするのであり、決して断種手術ではない。 むしろそれまで手術を受けて性別変更してきた人たちにとっては戸籍や身分証明上の性別と身体とが一致しているからこそ信頼が得られていたのだ。 それが失われるデメリットを考えなかったのだろうか。 まして精巣の除去は卵巣や子宮の除去に比較して実に容易である。 身体違和がさほどきつくなく、精巣の除去を含めて性別適合手術を必要としない方は、法的性別を変更しなければよいのである。 精巣と陰嚢を持ったままに、書類上である法的性別を女性に変更することが、どうして 「人格的存在と結びついた重要な法的利益」 と言えるのか。 生殖腺機能喪失要件が 「過酷な二者択一」 と言えるのか。 法的性別など変更でずとも、生活に差し支えない社会を作ることこそが重要ではないのか。 女性だと認識し、いわゆる女性装を日々する人も、排泄は認識からではなく、身体からするのだから男子トイレに入ることも相応にある。 その際に時に男性から揶揄され、時に暴力を受けることがある。 それこそが排除であり、差別であろう。 法的性別を変更して女性トイレを利用する権限があるなどとする前に、男子トイレで男性からの揶揄・暴力のない状態にすること、就職差別などないようにすることが重要な人権ではないのか。 4号の生殖腺機能喪失要件、そして5号の外観要件が外れれば、文字通り 「男性器ある女性」 が続々と登場する、その先には 「性同一性障害」 ではなく、ジェンダーアイデンティティ(性同一性・性自認)に基づく法的性別の変更は決定文中1人の裁判官が何度も言及した。 ドイツにおける性自認至上主義の如く、裁判所の関与さえないままに法的性別が変更できる方向となっていくだろう。 性犯罪目的の男や、女性を侮蔑・差別したく、その専用スペースを侵害することで喜びを得ようとする一部の男は、何としても診断書を取り、法的性別を女性に変更するよう努力するだろう。 週刊新潮2023年11月9日号には、診断が取りやすいことで有名な医師が登場し、 「そもそも性自認は当人がどう感じるかだけ」 「医者が決めることがおかしい」 「医師はウソ発見器じゃないですから、本人の言っていることをそのまま聞く。それが基本」 などと述べている。 法律を違憲とすることは法の形成過程の1つで、今回の最高裁決定は、まさに性自認至上主義を大きく伸展させる法律の登場に繋がるものだ。 先行する国々では混乱が多々あるのに、日本に周回遅れでこれに従えとするもので全く異常である。 岡正晶裁判官は補足意見で、立法府の対応について 「(4号要件の)目的を達成するために、より制限的でない新たな要件を設けることや(中略)社会一般の受け止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正」 「立法府に与えられた立法政策上の裁量権に全面的に委ねられている」 と述べている。 確かにこれは立法府が定めるべきことである。 3人の裁判官は、5号外観要件も違憲だからこの際、決断すべきとしたが本来、4号、5号とも立法府の広い裁量に委ねられていると言うべきだろう。 見解を異にする方もいると思うが、婚姻時の選択的夫婦別姓を導入していないことについては、憲法には両性の合意のみで婚姻できるとしているのに、最高裁は未だ立法裁量の問題としている。 多くの女性らが不便を被っている案件でその状況なのである。 「手術をしたくないならば法的性別を変えなければ良い」 だけの話なのに、どうして 「日々、トイレや風呂で見る身体違和には耐えられるが、書類上の性別の食い違いには耐えられない」 といった、率直に言って不可思議な権利主張を、そこまで保障しなければならないのか。 先程、最高裁は逃げたと述べた。 これは言い換えれば、最高裁は 「陰茎のある法的女性を出現させて良いか」 について判断するという、負わされた責任から逃げたという意味である。 最高裁から責任を押し付けられた広島高裁は国会の動向を待って判断すべきであろう。 決して2023年中とか2023年年度内に結論を出そうなどと、司法の傲慢に陥ってはならない。 ■要件の再構築を求める 左派野党と公明党は、この最高裁決定を受けて早速に法改正を言い出し、立憲民主党は4号、5号要件の削除、また3号にある 「未成年の子が居る場合は変更を認めない」 という要件も削除するという案を言い出している。 一体、 「陰茎がある法的女性」 が出現することや 「他の性別に変わったものと見做す」 ことの重さをどう考えているのだろう。 「どこでも女性として遇せよ」 という法規範が成立した場合の女性スペースの混乱をどう考えているのだろうか。 私が世話人をしている 「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下連絡会) では、議論を重ね、 「女性スペースに関する法律案」 と 「女子スポーツに関する法律案」 を2023年11月14日に公表し各党に送付した。 2023年の 「LGBT理解増進法」 の制定論議の際、合わせて作ってほしいと作ったものを更新し、特例法の改正案を加えた。 特例法3条の4号と5号の要件は削除するが、新たな4号として 「男性から女性への性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと」 と入れるものである。 「女性から男性へ」 と性別変更する場合には要件がないので、比較すると一見不平等に見えるかもしれない。 だがこれは合理的で差別にはならない。 圧倒的多数の性犯罪は陰茎のある者による。 単に要件を削除するだけでは、性犯罪目的の者まで次々と法的女性になろうとする蓋然性がある。 また陰茎という外観上からして明白に男性である者が法的女性となって女性らに不安感・恐怖感を持たせるのは避けるべき強い必要があるからである。 その恐怖は合理的なものであり、決して 「研修」 により消し去れる類のものではない。 女性スペースに関する法律案は、 「女性」 の定義を 「生物学的女性のうち、特例法に基づいて性別を男性と見做されていない者、そして女性と見做された者のうち陰茎を残していない者」 とする。 仮に5号外観要件が削除された特例法により 「陰茎がある法的女性」 となっても、この法律の上では 「法的女性」 とはしない。 特例法4条では 「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」 としており、他の法律による異なった対応を許容しているのである。 今の浴場を男女別にすることについては、理解増進法が成立後の2023年6月23日に通達が出ており、それは 「身体的な特徴による」 とある。 これは主に陰茎の有無の趣旨であろう。 法律案は通達を法律に格上げし、かつ女子トイレ、更衣室等の女性スペースの全体を対象とするものだ。 性自認に重きを置いて考える性自認至上主義の立場であれば、 「トランス女性は女性」 となって 「女子トイレの利用公認を」 となるだろう。 ここが最初から最後まで闘いの焦点である。 ただ 「トランス女性は女性である」 と主張する論者らにも、 「女湯については入れないものとする」 と主張する者は多く、事実上 「法的女性」 を一律に扱わないとする合意形成は可能であろう。 だから、理を尽くして女子トイレの安心安全の確保のためには、陰茎がある限り利用を公認できないことを説得していくこととなる。 また、2023年7月11日の経産省トイレ裁判の最高裁判決も考慮しない訳にはいかない。 そこでは 「特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を尊重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない」 と対応する外ない。 女子スポーツに関する法律では、2022年6月の世界水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を踏襲する。 男としての思春期を経験した者は、その後、陰茎があってもなくても、女子スポーツ選手権への参加資格がないとするものである。 ただ、ルールは各団体の自治で定められるものである。 公的資金の援助や後援などに限ったルールとなる。 連絡会は、社会全般に対して10項目に及ぶ要望を2023年10月30日の声明と共に示した。 今後、どうすべきかという点で重要なのでこれを最後に紹介したい。 第1に、政府各省庁が、様々な調査をすることだ。 性自認や性別変更を巡って先行した国々のここ数年間の状況と動向、トイレ、共同浴場などにおけるトラブル・刑事事件の調査、性同一性障害の診断の実態と信頼性に関する調査、法的性別を変更した人のその後の調査などである。 第2にメディアには、性同一性障害はトランスジェンダーのうち15.8%に過ぎないのだから、混同して議論することを厳に慎み、国民に様々な見解・情報を伝えるよう求めたい。 第3に、国民は先入観に捉われることなく、自らの意見形成に努めてほしいと願う。論者による議論を拒否する姿勢のまやかしを知ってほしいし、自由な言論空間を確保し合いたい。 第4に、各政党に求めたいことは、当連絡会を含め多くの国民の様々な意見を聴取し、党内で自由に議論して方針を定めてほしい。 第5に、それらの議論にあっては、女性が性別(SEX)によって未だに経済的・社会的に様々な不利益を被っていることを直視されたい。 第6に、国会に求めるのは5号要件が決して違憲判断が下されたものではないからそれも削除すれば良いというものではないことを確認すると共に、様々な調査や国民的に議論した上で新たな要件等を定めてほしい。 第7に、この裁判を差し戻しされた広島高裁は、早期に本件の判断をすべきではなく、様々な調査結果と国民的な議論の行方をよく見極め、国から参加申出があった時は直ちに認めるべきである。 第8に、国はこれからでも法務大臣権限法と家事事件手続法に基づきこの裁判に利害関係人として参加すべきである。 第9に、国民は次の衆議院議員選挙における国民審査において、対象裁判官に罷免の意思を示すべきである。その対象は憲法の規定で10年以内に審査された裁判官を含まないこととなっているが、私は国民からの民主的統制を強めるために、毎回15人を審査できるように憲法を改正すべきと考える。 第10に、内閣は最高裁判官に定年等で欠員が出たならば、このような「性自認至上主義」に嵌っていない方をこそ指名すべきである。私はまた、任命の前に、国会で予定者への質問をする機会を作るべきと考える。 最高裁は今、 「性別」 を蔑ろにして法的性別の概念を弄び、 「性自認至上主義」 により、安易に 「女性」 「男性」 の定義を変更する道を歩み始めてしまった。 司法が暴走した時、それを止めるのは国権の最高機関、国会であり主権者国民である。 「性自認至上主義」 は欧米で猛威を振るい、女性の権利が剥奪されるなど、様々な混乱がもたらされてきた。 その反省から方針を転換、正常化させるべく悪戦苦闘しているイギリスのような例もあるのに、日本は周回遅れでこれから 「性自認至上主義」 に嵌ろうとしている。 何とか止めなければならない。 薬生衛発0623第1号 令和5年6月23日 都道府県 各 保健所設置市 衛生主管部(局)長 殿 特別区 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長 (公 印 省 略) 公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001112499.pdf ○國重委員 (略)公衆浴場、いわゆる銭湯や旅館等の宿泊施設の共同浴室について、現在それぞれ衛生等管理要領が定められておりまして、その中で男女別の定めがされています。 これらは風紀の観点から混浴禁止を定めていることから、男女の別は身体的な特徴の性をもって判断することとされていると、事前に政府の方からも説明を受けております。 そこで、念のため確認をさせていただきたいんですけれども、これらの共同浴場における男女の判断基準はトランスジェンダーにも当てはまる、つまり、トランスジェンダーの場合も性自認ではなくて身体的特徴に基づいて判断することになると理解をしていますけれども、これで間違いないかどうか、答弁を求めます。 ○佐々木政府参考人 お答えいたします。 公衆浴場や宿泊施設の共同浴場につきましては、厚生労働省が管理要領を定めております。 具体的には、公衆浴場における衛生等管理要領や旅館業における衛生等管理要領になります。 この中で、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどと定めております。 この要領で言う男女は、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、トランスジェンダーの方も含め、身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の方が女湯に入らないようにする、こういう必要があると考えております。 実際の適用につきましては、都道府県等が条例を定めております。 この条例によって、基本的にこの要領と同じような形で男女の浴室を区別し、混浴を禁止しているものと承知しております。 ○國重委員 トランスジェンダーの方であっても、心ではなくて身体的特徴で判断するというようなことだったと思います。 では、共同浴場において、先ほど答弁いただいたとおり、風紀の観点から心の性ではなくて身体的特徴をもって男女を区別する、このような現在行われている取扱いというのは憲法十四条に照らしても差別に当たらないと、念のため確認しますが、差別に当たらないということで間違いないかどうか、答弁を求めます。 ○伊佐副大臣 憲法十四条、いわゆる法の下の平等でありますが、この原則が規定されております。 この趣旨としては、合理的な理由なしに区別をすることを禁止するという趣旨でございます。 つまり、合理的と認められる範囲内の区別を否定するものではないというふうに理解をしておりまして、先ほど委員御指摘の、公衆浴場における入浴者については男女を身体的な特徴の性をもって判断するというこの取扱いは、風紀の観点から合理的な区別であるというふうに考えられております。 憲法第十四条に照らしても差別に当たらないものというふうに考えております。 【決定全文】最高裁はなぜ、性別変更の生殖機能をなくす要件を「違憲」としたのか 最高裁15人の裁判官は、生殖機能をなくす「手術要件」を全員一致で違憲と判断。「過酷な二者択一」だとした ハフポスト日本版編集部 2023年10月26日 15時0分 JST |更新 2023年10月26日 JST https://www.huffingtonpost.jp/entry/japan-supreme-court-gender-change-rule-unconstitutional_jp_6538bcb5e4b0783c4b9f005a 裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 山口 厚 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守 裁判官 草野耕一 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 岡村和美 裁判官 長嶺安政 裁判官 安浪亮介 裁判官 渡邉 惠理子 裁判官 岡 正晶 裁判官 堺 徹 裁判官 今崎幸彦 裁判官 尾島 明 最高裁も迷走 とんでもないことをしてくれた岸田LGBT 理念法と言いながら、地方自治体で独自の条例成立が加速する恐れが・・・ WiLL2024年1月号 港区議会議員 新藤加菜 作家 橋本琴絵 ■「女性ならでは」・・・ ★新藤 岸田首相が内閣改造で女性閣僚5人を登用した際に 「女性ならではの感性や共感力も十分発揮して頂きながら、仕事をして頂くことを期待したい」 と発言し、物議を醸しました。 ★橋本 うーん、 「女性ならでは」 という考え方は果たしてあるのでしょうか。 女性を積極的に活用しようと言われていますが、実際、どのように感じておられるのか。 ★新藤 率直に言って、LGBT法を成立させた岸田首相の口から、そんな発言が出ること自体おかしい。 ジェンダーロール(性的役割)の押し付けだと左派に批判されるとは思わなかったのでしょうか。 ★橋本 初入閣した女性閣僚はいずれも2世議員であり、特に女性起用という印象を受けません。 そもそも、例えば女性閣僚が増えたから、女性の支持層が増えると期待すること自体、性差別主義者の特徴的な考え方です。 「女性ならでは」 というのは、育児や助産などでは能力を発揮します。 しかし、そもそも政治とはあらゆる人の統治に関することですから、女性云々は考慮に値しません。 諸外国では既に 「時代遅れ」 として廃止の方向にある女性優遇枠を大学入試でも今後始めるそうですが、閣僚枠でもやるとは周回遅れも甚だしい。 ただ、政治の世界で女性が少ないのは懸念されます。 私が所属する港区議会は34人中14人が女性なので、バランスが取れていますが、他の区議会など、地方行政の世界は男性議員が圧倒的多数です。 女性の意見は排除されることも多いですから、それこそ 「女性ならでは」 の視点が尊重されるようになってほしい。 でも、 「女性だから」 と要職に就かせるなど、無理矢理下駄を履かせるのは本末転倒です。 ■ピントが外れている ★橋本 他にも岸田首相の発言で首を傾げたくなることがありました。 自民党の大家敏志議員が2023年1月の国会で 「育休・産休の期間に、リスキリング(学び直し)によって一定のスキルを身に付けたり、学位を取ったりする方々を支援できれば、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」 と発言。 それを受け、岸田首相は 「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々を後押ししていく」 と答えましたが、国会内外で批判を浴びました。 SNS上では 「育児は『休暇中』ではない」 「(育休中にリスキリングをしていたら)ママの負担が増えるだけ」 といった批判が巻き起こりましたが、私も同感です。 子育てはそんなに暇ではありません。 最近の岸田首相は眼鏡を取ったりして、イメージチェンジを図っているようですが、どうもピントが外れている。 ★新藤 「女性が活躍する社会」 とは耳に心地よいのですが、キャリアアップを望んでいない女性まで活躍させようとするのは間違い。 「専業主婦」=悪と見られていますが、そんなことは決してありません。 私自身は区議会議員としてキャリアを始めたので、妊娠・出産について悩むこともあります。 少子化対策を課題に挙げながら、女性の社会進出を強要するような風潮を作るのは矛盾です。 安心して家庭にいることができる社会という考え方も”多様性”の一環であり、 「女性ならでは」 の活躍でしょう。 ■不透明な中身 ★橋本 「異次元の少子化対策」 と言っても、中身については不透明で何も分かりません。 期待もできないでしょう。 とにかく女性が妊娠・出産を若い年齢の時から選択肢の1つとして入れられる社会にしてもらいたい。 出産可能年齢はどうしても決まっています。 でも、今の社会だと女性でも大学進学・就職するべきと考えられている。 若い時に出産し、その後、働きたいとか、柔軟な働き方ができるサポートを望みます。 ★新藤 それに、たくさん子供を産んでも、現行制度では見返り(報奨)がありません。 子供を産み・育てると、金銭面・体調面で負荷が掛かる。 たくさん産み・育てられるような制度を整備することは急務です。 橋本さんはSNSで子供の人数に応じて 「扶養控除にしてほしい」 と訴えられましたが、同感です。 後は所得制限を取り払ってほしい。 ★橋本 今の制度の多くはシングルマザーが得する構造になっています。 ★新藤 ええ、実におかしい。 更にシングルマザーで不安や鬱障害などの精神疾患を抱えていると認定されたら、所得控除の額が一気に増えます。 しかも優先して安い都営住宅に入居することができます。 港区の場合、湾岸エリアだったらタワーマンションのような所も都営住宅なので、月数万円で暮らせます。 そのように支援を受けるだけ受けて、それで生活しているシングルマザーが実際に居ます。 ★橋本 シングルマザーは、皆、港区に住みたくなりますね(笑)。 ■性愛の有無は関係ない? ★新藤 各自治体では、同性愛カップルにもシングルマザーと同じような優遇措置を取る所が増えています。 でも、一番お金が要る20代、30代の結婚している世代には回っていません。 ★橋本 不公平極まりない。 LGBT関連で地方自治体毎に条例がどんどん作られています。 ★新藤 ええ、今回のLGBT法は理念法と言っていますが、その法律によって地方自治体で独自の条例成立が加速する恐れがあります。 港区は2023年6月の議会で、同性パートナシップに対して婚姻関係と同等の手当てを認める条例案を可決しました。 今回は港区議員だけを対象にしていますが、今後は徐々に拡大していく可能性があります。 東京都から23区全体に通達があり、議案として上がり、進められた話です。 港区以外でも推進しています。 しかも同性パートナシップ制度は認定要件も各自治体で異なり、自治体間の情報共有もありません。 また既存の婚姻制度のように戸籍に一生残るものではないため、申請の心理的ハードルが非常に低いのです。 在住者でなければ認定されない場合や、さいたま市のように在勤・在学でもOKという場合やカップル同士で住む、もしくは片方在住でもいい、という場合もあります。 港区の議会では、 「性愛の有無は関係ない」 との”名言”も飛び出しました。 性愛がなくてもよいなら、制度の悪用を目的とした友達同士での申請も可能です。 ★橋本 不正が罷り通ってしまう。 ★新藤 しかも、虚偽の申告が判明しても、現段階で罰則規定はありません。 渋谷区の場合、公正証書なので刑法罰になるという意見もありますが、曖昧です。 実際に調査しようと一歩でも踏み込むと、 「人権侵害だ」 と批判される。 申請の重複も問題なくできてしまう可能性があります。 認定要件に 「社会一般で言う婚姻関係と同等であること」 とありますが、これは人により考え方が異なります。 既存の価値観に捉われない生き方を応援するためのものが、却って多様性を排除しているのではありませんか。 ★橋本 むしろ、LGBT当事者の方が、蔑ろにされている。 ★新藤 私は決して性的マイノリティの方の権利を否定したいわけではありません。 しかし今後、欧米のように過剰な保護により、社会の多くの人が不安と混乱に悩まされる事態を危惧しています。 男性・女性の定義も 「ジェンダーアイデンティティ」 などを持ち出して曖昧にしようとしている。 その一方で、どんどん制度を整備しているわけですが、将来どのように悪用されるか恐ろしい限りです。 ■性別は変えられない ★橋本 小学校の性教育でLGBTが積極的に取り上げられたら、どうなるのか。 自分の子供がそんな教育を受けることに懸念を抱くのは母親として当然です。 ★新藤 特に思春期の性教育は慎重にすべきです。 私は女子高出身ですが、多感な頃、異性が異質な存在として映っていました。 そんな中、 「私は女性の方が好きなんじゃないか」 と思い込んだこともあります。 実際に学校内でリアル・レズも盛んでした。 しかも、そういう女子たちは 「BL(ボーイズ・ラブ)」 にも嵌っていましたね。 ★橋本 ええ、大人になったら気持ちも落ち着き、男性と付き合ったり、結婚したりする。 ところが、若い頃、過度なLGBT教育を受けることで、性転換したいと、乳房の切除や、ホルモン投与を選択させられたらどうなるのか。 男性の場合は性器を切除することもある。 でも、手術をしたために元の体を取り戻せなくなったら、それこそ悲劇です。 実際に手術した後、後悔する人もいますし、ホルモン投与によって心臓に異常を来したり、関節や骨盤に痛み感じるようになり、ベッドから起き上がれなくなった例も海外ではあります。 『WiLL』2023年10月号の 「性別は変えられない」(ウォルト・ヘイヤー、聞き手:我那覇真子) は実に示唆に富んでいます。 ■法務省の人権意識の低さ ★橋本 ジェンダー平等やLGBT差別をなくそうという美名の下に、公金チューチュー制度がどんどん作られている。 実に憂慮すべき事態です。 実際に気になる動きがありました。 2023年10月11日、静岡家裁浜松支部では、遂に生殖腺の手術がなくても戸籍上の性別を変更できるという決定が出ました。 この事案は女性から男性への変更ですが、決定理由にはしっかりと2023年6月に成立した、LGBT法を根拠にしたことが述べられています。 この法律があるため、公共のトイレや浴場等施設の利用の在り方について社会で様々な議論があるものの、生殖腺手術要件について判断の可否を妨げるものではないと断言しています。 国会答弁で 「生物学的男性の女湯利用が認められるものではない」 などと言っていましたが、現実はこの通りです。 本当に恐ろしいことをしてくれたものです。 ★新藤 最高裁でも信じられない判決が出ました。 ★橋本 はい。 2023年10月25日に最高裁は、今までは性別変更には成人、現在独身、未成年の子供なし、生殖腺除去、希望する性別の性器に似た外観具備という5要件が必要でしたが、うち生殖腺切除を違憲だと判示しました。 ★新藤 今から約20年前、心の性別とは違う性器があるのは苦痛だから切除したいという人々の願いによって性別変更の法律ができたのに、20年経ったら今度は心の性別とは違う性器があることは全く苦痛ではなく、むしろ大切であるが戸籍上の性別表記が苦痛だという人々が現れ、最高裁がその訴えを認めたわけです。 本当におかしい。 ★橋本 今回は外観についての破棄差し戻しなので、今後は高裁で裁判をやり直しもあり得ます。 過去には2周つまり6審した例もありますから、確定的なことは言えませんが、少なくとも 「女性の父親」 や 「男性の母親」 が今後出現する可能性を最高裁は認めたと言えます。 女性の内性器とは違い、男性は外性器ですから 「外観具備要件」 さえ守られれば男性器は切り落とすか、股間に埋没させ縫合するため一応使用不能になりますが、これさえも違憲となれば、女湯や公衆女子トイレはもう女性が使用不可能になると言えるでしょう。 ★新藤 その理由には、やっぱり岸田政権が立法したLGBT法の存在が挙げられていますね。 全くとんでもない事をしてくれたと思います。 現在も、 「タック」 といって男性器を接着剤で股間に張り付け、女湯に侵入してくる男性がたくさんいますが、女性は怖くて何も言えない。 そうしたら最高裁は 「特に女性から抗議はなかったので問題ない」 と言う。 女性の人権を否定する限度がなく本当に怖い。 ■声が大きいフェミニスト ★橋本 一連の動きが推進される背景には一部のフェミニストたちや活動家などの声が大きいこともあります。 ジャニーズ(現在は「SMILE-UP.」に社名変更)の性加害問題についても、一部の活動家が署名運動する動きがありました。 例えば、任意団体 「PENLIGHT(ペンライト)ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」 がそうです。 ところが、 「PENLIGHT」 の正体は、韓国の慰安婦支援団体 「キボタネ」 であることがネット上で暴露されました。 フェミニズムも活発に発言しています。 『論点・ジェンダー史学』(山口みどり・弓削尚子・後藤絵美・長志珠絵・石川照子:編著/ミネルヴァ書房) が刊行されましたが、その中には 「ジャニーズと戦後日本」 というコラムも掲載されています(周東美材・著)。 「テレビ時代の茶の間(近代家族)の人気者となることを基本戦略とした」 「学生らしさ、可愛らしさを売りに、少女ファンばかりでなくその親にもアピールしていったのである」 と指摘していますが、ジャニーズ問題をジェンダー的観点から見ると、私はそこまで非難されるべきとは思いません。 というのも、日本の歴史を振り返ると、ジャニーズの一連の顛末は若衆歌舞伎と全く同じ構図です。 伝統芸能である歌舞伎は、最初、阿国(おくに)歌舞伎つまり女歌舞伎から発展しましたが、売春の横行によって寛永の頃(1624〜1644年)、取り締まりを受けました。 すると今度は、美少年を踊らせる若衆歌舞伎が台頭しましたが、まだデビュー前の 「陰の間」 にいるという意味で、美少年たちは 「陰間(かげま)」 と言われるようになった。 若い役者は出番もなく賃金も安いため、同性愛者のパトロンが付き、性的奉仕の対価に金銭的支援やデビューのサポートをしたのです。 「陰間(かげま)茶屋」 といって美少年を抱く専門のラブホテルまで建設され、幕府の許可を得て江戸市内に50カ所以上建てられ、天保の改革(1841年 - 1843年)で性病蔓延を理由に禁止されるまで続きました。 つまり、明治が始まるほんの26年前まで、日本では同性愛産業が活発だった。 ★新藤 そのような伝統があったのですね。 ■人権式の低い法務省 ★橋本 若衆歌舞伎は風紀の乱れをもたらしたため、幕府は重く見て慶安の頃(1648年〜1652年)に禁止し、以後、現代と同じく美少年の要素を排した野郎歌舞伎になります。 女歌舞伎は「AKB48」など美少女アイドルとして、若衆歌舞伎は「ジャニーズ」として現代に連綿と続いてきたのです。 美少女と美少年という2つの娯楽要素を取り除いたものが現代の野郎歌舞伎というわけです。 こうした歴史的観点から見れば、ジャニーズの性的な問題は非難に値しないのではないでしょうか。 ジャニーズの喜多川氏の特殊な性癖を別にすれば。 ★新藤 ジャニーズに入所させる親も、ある程度の覚悟はあったのではないでしょうか。 ジャニー喜多川氏の性加害については、噂が蔓延していましたから。 それでもスターになって、華やかな道を歩んでいるアイドルもいます。 ★橋本 もちろん、そうは言っても江戸時代と違い基本的人権の観点から見れば、御法度であるのは言うまでもありません。 特に、ウイグル民族強制労働による生産品を非難してきた立場から言えば、人権侵害を黙認してきたジャニーズを広告として企業が採用するのは看過できないでしょう。 特に最悪なのが、法務省が少年の人権擁護啓発でジャニーズを使い、この問題が露呈した後もしばらくジャニーズを使っていたことです。 法務省の人権意識の低さにはいつも驚かされます。 ■日本はジェンダー平等社会 ★新藤 そもそも今回のジャニー喜多川氏の性加害問題が大きく取り上げられるきっかけとなったのが、英BBCのドキュメンタリー番組 「プレデター(邦題・J・POPの捕食者)」 が放映されたためです。 制作を担当したモビーン・アザー記者は、日本のメディアにも登場し、 「日本のメディアが何十年もこの問題を無視し続けてきたことは、非常に問題です」 「事務所が何十年も力を持っていた、それは危険な事です」 「1つの組織や会社が何をニュースにすべきか、何に沈黙するかについて決める力を持つべきではない」 と発言しました。 外国の目を気にして、日本のメディアの対応が変化したと見えても仕方がありません。 ★橋本 実に情けないですね。 LGBT法にしても外圧が大きく作用した結果と言えます。 日本では、未だに 「欧米では〜」 と、 「出羽守(でわのかみ):他者の例を引き合いに出して物事を語る人」 的な発想が根強くあります。 欧米諸国で新しい価値観が出て来たら、それが正しいとすぐに飛びついてしまう。 一方で、日本人のそういうメンタリティを理解し、逆輸入させようとする日本人がいることも無視できません。 ★新藤 欧米の価値観が、日本人の幸せに繋がるかどうか、しっかり判断すべきです。 英国では公共のトイレを全てジェンダーレストイレにした結果、性被害が横行し、女性がトイレに行けなくなる事態に発展、結局、撤去されました。 日本はそういう動向を冷静に見るべきです。 ★橋本 新宿・歌舞伎町のジェンダーレストイレは、僅か4カ月で廃止されました。 ★新藤 当然の結果です。 ところが、日本は欧米の失敗例を積極的に取り入れようとする。 不思議で仕方ありません。 ★橋本 2023年版 「ジェンダーギャップ指数」 が発表されましたが、日本は146カ国中125位で、過去最低に後退したと大騒ぎする。 気にする必要はサラサラないのに。 こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、日本ではジェンダー平等は既に実現しています。 それは運転免許を見れば分かります。 欧米諸国では女性が運転できるようになるまで大変な道のりがありましたが、日本では大正時代に男女同時に運転免許が交付されました。 また、女性の大学入試自体も大正初期からで(東北大学は1923年、九州大学は1925年、北海道大学は1930年、大阪大学は1935年)、そもそも女子大もあります。 欧米はとにかく男女を同じフィールドに入れることをジェンダー平等と定義しますが、日本では男女それぞれに特権があることでジェンダー平等を担保しています。 これは漫画の世界でも同様です。 欧米は1つの作品内に男女平等を盛り込もうとしますが、日本ではそもそも少女漫画という分野があります。 欧米は少女が経済力を持つことはなかったので少女漫画なる分野はほとんど存在せず、一方、日本では少女漫画雑誌が何十誌とある。 ★新藤 『論点・ジェンダー史学』(山口みどり・弓削尚子・後藤絵美・長志珠絵・石川照子:編著/ミネルヴァ書房) では、橋本さんが指摘されるような日本の性の歴史や観点がすっぽり抜け落ちています。 結局、欧米の流れを主流と捉え、そこから抜け出すことができないでいる。 ★橋本 実に浅い見方ですね。 真っ当なジェンダー論、今後ともよろしくお願いします! 世間知らずの最高裁 このままでは変態大行進 性別適合手術を受けずとも性別を変えられる?! この判決は日本に禍根を残す WiLL2024年1月号 美容研究家・トランスジェンダー 岡江美希 ■親から貰った身体が一番 私は22歳の時、性別適合手術(性転換手術とも)を受け、男性性に別れを告げました。 私はニューハーフ(出生時は男性の身体で生まれたものの、自分の事を女性と認識している人)つまり、トランスジェンダーであり、LGBTの当事者でもあります。 なぜ性別適合手術を受けたのか。 私自身は幼い頃から、精神的な性と身体的な性の不一致が原因で生きづらい思いをしていました。 当時、男に生まれたのだから男らしくしなければならないという考え方が普通で、女性化へのモラル的抵抗もありましたが、一方で、どうしても男性である自分を受け入れられず、女性になりたいという思いもあった。 思春期の頃は、自分の身体が大人の男性になっていくことへの嫌悪感がたまらなかったのです。 小中学校の修学旅行では、男性であることが嫌でたまらず、男風呂に入ることに抵抗があった。 成人し、性別適合手術を受けた時は 「やっと女性になることができた」 と気持ちが晴れ晴れとしたものです。 しかし、それから30年近く経ちますが、実感しているのは親から貰った身体が一番であるということです。 胸を作るためシリコンを入れますが、身体が拒絶反応を起こすので痛みが酷く、シリコンも硬くなったりするので、マッサージは必要です。 人工膣を作っても癒着が始まり、膣口が浅くなって性行為がしにくくなります。 それだけ性別適合手術は危険であり、身体のケアが他の人の何倍もかかってしまう。 世の中ではLGBTに対して寛容であれという風潮が蔓延していますが誤った知識で捉えられることに懸念を覚えます。 ■”無知な寛容”は危険 そんな私は、今回の最高裁の判決を非常に危惧しています。 今回の最高裁の判決では、戸籍上の性別を変更するために、生殖能力をなくす規定(生殖能力要件)が憲法に違反するかどうかが争われ、最高裁は2023年10月25日、規定を違憲、無効とする判決を出しました。 これまでは 「性同一性障害特例法」 に則り、性別適合手術をしていることが、性別変更において分かり易い条件であったのですが、今回、手術の必要がないという判断を最高裁は下した。 私は驚きました。 確かに、生殖腺(卵巣や精巣)の除去は身体に強い負担をかけることになりますし、性別適合手術にかかる経済的負担(手術方法により費用は様々だが、概ね100万〜200万円ほどかかる)を考えると、自由に性別が選べるようになることは良いことのように思えます。 でも、私は、身体を女性化すべく、性別適合手術を受けたくて受けたわけですが、これまで性同一性障害と診断された人は、性別適合手術をしなければ、自分の人生を開拓することができませんでした。 性別変更に手術が不要となると、これまで高い手術費用と手術に伴うリスクを覚悟して手術した人たちにとっては、やらなくてもいい手術をやったことになる。 これまでの 「性同一性障害特例法」 は何だったんだと不満が残るのは確かです。 しかし、そんなことは瑣末な問題であり、最も恐れなければならないのは、今回の最高裁の判決(性別適合手術なしで、性別の変更が可能になったこと)を悪用したい人が必ず存在するということです。 今回の判決を下した最高裁は、自分たちが理解できる範囲でしか物事を理解しようとしていない。 この判決を喜ぶ性犯罪予備軍の存在を無視しているのか、あるいは気付いていないのか。 LGBT法の成立以後、社会全体に蔓延りつつある”無知な寛容”は非常に危険です。 自由や平等、個人の解放といった 「性善説」 のみで人間を捉えてしまっては、どういった危険があるのか考えようとしなくなる。 世の中には、自分では理解の及ばないような人たちだっているわけです。 最高裁はそういった所まで配慮しているのか疑問が残ります。 実際に、性別適合手術をして、女性が男性になっても男性のことが好きになったり、男性が女性になっても、結局、女性のことを好きになったりする人がいるのを見てきました。 肉体を女性化したとしても女性が好きだったり、肉体を男性化したとしても男性が好きな人がいる。 つまり、手術した後であっても、恋愛対象が同性になることが普通にあるのであれば、性別の変更に手術の必要をなくしてしまうと、確実に 「性モラルの崩壊」 を招いてしまいます。 ■稲田さん、言ってた事と違う これまで、性別変更は、性別適合手術をしていることが分かり易い条件でした。 では、手術の必要がなくなれば、どうやって性別の判断を行っていくのでしょうか。 「変態が大手を振って街を闊歩できる世の中への足掛かりとなってしまう」 今回の最高裁の判決では私はこのように感じました。 既に問題は表面化しています。 最高裁の判決後、1カ月も経たないうちに、恐れていた事件が起こりました。 2023年11月13日、三重県桑名市の温泉施設の女湯に侵入したとして建造物侵入の疑いで43歳の男性が現行犯逮捕されました。 男性は、女湯に入ったことを認めた上で 「心は女性なのに、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか理解できない」 と話しているらしい。 LGBT法の成立を推し進めた稲田朋美議員は、かつて 「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」 と発言していますが、この事件をどのようにお考えなのでしょうか。 性のモラルの低い人たちが、性別を自由に変えてしまう。 一部の人間の歪んだ社会的に認められない欲望の被害者は、常に女性です。 人間を見た時に、男女の違いさえ分からなくなるというのは、女性にとって恐怖でしかないと思います。 性自認を悪用する人たちにとって、性の多様性なんて言葉は、喜びでしかない。 男(と思った人)と出会っても男ではないかもしれない。 女(と思った人)を好きになっても女ではないかもしれない。 トランスジェンダーと教えられずに性行為をし、子供ができた後に、カミングアウトされた場合、生まれてくる子供はどうなるのでしょうか。 問題はそれだけではありません。 例えば、妻も子もいる男性が、離婚したいとなった。 そこで性自認を悪用し、 「実は言ってなかったんだけど、僕は女性なんだ」 と言って離婚に持ち込むケースも出てくるかもしれない。 ■性別は他人の問題でもある 大前提として男性と女性では、身体的特徴(体の作り)からして、差があり過ぎるのです。 事実、男性の身体に恐怖を覚える女性は一定数いますが、女性の身体に恐怖を覚える男性は極端に少ない。 先述した三重県桑名市の温泉施設の女湯に男性が侵入した事件が、仮に女性が男湯に侵入していたらどうなっていたでしょうか。 事件化すらしなかったと思います。 この、性差における非対称性が消えない限り、精神的な性と身体的な性を自由に選ぶことができるとは思えません。 私は、心の性別は別として”持って生まれた性”に対する責任を持つことが大切だと考えます。 何故なら、ほとんどの人が 「生殖能力」 を保有しているからです。 生殖能力とは、男性で言えば、パートナー(女性)を妊娠させる機能であり、女性で言えば、妊娠・出産する機能のことですが、人間がこうした機能を持っている限り、新しい命への責任が伴います。 であれば、心が男か女かの前に、自分が生物学的にどちらの性を保有しているのかしっかりと自認し、それによって起こり得るリスク(妊娠)をしっかりと理解するべきです。 自分の生殖能力への責任として、これまでの特例法通り、戸籍上での性別変更を望む場合は、性別適合手術を行う。 つまり生殖能力を断つべきです。 特に男性が女性になりたい場合は、絶対に 「女性化」 が必要です。 女風呂に入ったとしても違和感がないくらいの女性化は必要でしょう。 分かり易く言えば、男性器はない方がいい。 何故なら、相手の女性に不安を与えてしまう恐れがあるからです。 また、精巣の除去は男性ホルモンの分泌を減少させるため、性的衝動を抑えるのに極めて効果的です。 常識的に考えて、皆さんは青髭の生えたおじさんを女性として見ることができますか。 男性であっても女性であっても青髭のおじさんを女性と見ることはできないはずです。 つまり、性別とは、個人の問題でもありますが、同時に 「周り(他人)の問題」 でもあるのです。 人間は生きていく上で、他人がいて、その他人に配慮することが 「思いやり」 です。 ジェンダーにおいてもそうした周囲への思いやりを持つことが大切なのではないでしょうか。 今回の判決で今後困るのは、手術なしで性別変更を求める当事者ではなく、周囲の人間だということ。 これまでお付き合いしていた人が、突然 「私は女だから、女性として扱ってください」 と胸を張って言われた時、周囲の人間がそれを素直に受け止めて納得することができるのでしょうか。 むしろ、周りの人が苦痛を強いられてしまいます。 LGBT法や今回の最高裁判決では、トイレやお風呂といったことばかり取り沙汰されていますが、もっと低次元の話で苦痛を感じる人間も現れてくる。 私は自分の性自認を他人に押し付けてくる人間をたくさん見てきました。 男性のまま女性を気取っている人の有害さを知っています。 私の体験に基づくと、彼らは、人に合わせることをせず、自分勝手な人が多い。 納得させるまで自分の性自認を言い続けるので、自己主張も強いのです。 ジェンダーを振りかざす人ほど迷惑な人はいません。 だからこそ、今回の最高裁判決に懸念を覚えるのです。 行き過ぎた寛容性は、悪戯な混乱を招くことを肝に銘じるべきです。 最高裁をも籠絡したLGBT活動家 Hanada2024年1月号 元参議院議員 松浦大悟 ■歴史を大きく変える裁判 最高裁大法廷では、2003年に作られた性同一性障害特例法が憲法違反に当たるかどうかの審査が行われていた。 戸籍の性別を変更するには、5つの要件が課されている。 @18歳以上の成人であること Aその段階で結婚していないこと B未成年の子がいないこと C生殖機能がないこと D変更後の性別の性器部分に似た外観があること だ。 このうちCとDを達成するには性別適合手術を行わなければならず、健康な体にメスを入れることは人権侵害だとの訴えを受けてのものだった。 もし、CとDに違憲判決が出れば、ペニスが付いていても女性、子宮が付いていても男性として、国は制度を整えなければならない。 申し立て人は、身体男性のトランス女性。 2019年に起こした裁判では、岡山家裁と広島高裁岡山支部は共に変更を認めなかった。 最高裁も、4年前の2019年は手術を合憲としている。 ところがこの間、欧米の潮流は変わってしまった。 自分の性別は自分で決めるというイデオロギー、 「トランスジェンダリズム」(性自認至上主義) が席巻したのである。 今回の裁判も、その流れの中にあった。 案の定、最高裁は2023年10月25日、4号要件である 「生殖腺の除去」 について、個人の尊重を定めた憲法13条に反しているとの判断を示した。 最高裁は、5号要件である 「外観」 については憲法判断を避け、高裁に差し戻した。 しかしこの件について、トランスジェンダーで群馬大学准教授の高井ゆと里氏は、SNSに次のように投稿している。 <特例法。差し戻しの高裁では、5号要件が違憲判断となることがほとんど完全に確定しています。法曹の方に目安を伺いましたが、およそ半年くらいで、違憲判断が出ます> 何故か、LGBT活動家サイドでは内部の関係者しか知り得ない情報が出回っており、裁判官と裏で繋がっているのではないか、と疑いの眼差しが向けられている。 ■今後の展開は深刻だ 判事の1人、草野耕一氏が代表を務めていた西村あさひ法律事務所は、有名な活動家である松中権(ごん)氏が代表の 『work with pride』 に審査料を数万円払い、職場でのLGBTに関する取り組みが評価される 「PRIDE指標」 において、2020年から4年連続でゴールドを受賞している。 岸田総理は参議院予算委員会で、公明党の谷合正明議員の質問に答え、最高裁判決を 「厳粛に受け止める必要がある」 と述べた。 この法律は議員立法であるが、今、超党派で議論すれば何年経っても決着はつかない。 よって岸田総理は、4号5号要件削除を閣法(国会で、内閣が提出した法案のこと。内閣提出法律案。内閣発議立法。政府提案の立法。政府提出法案。)で提出してくる可能性がある。 谷合議員の母、谷合規子(のりこ)氏は埼玉県で新座市議を務め、どの政党よりも早くトランスジェンダーを支援してきた人物である。 そうした経験から、トランスジェンダーには公明党支持者が多い。 解散総選挙に向けてポイントを稼ぎたい公明党と、支持率低下に喘ぐ岸田政権の利害は一致しているように感じる。 岸田総理は軽く考えている節があるが、今後の展開は深刻だ。 まず、国賠訴訟(国家賠償請求訴訟)がなされるだろう。 戸籍変更のため性別適合手術を受けた人は1万人以上おり、 「やらなくてもいい手術をやらされた」 と不満を漏らす声が出てきている。 トランスジェンダーは極貧生活を送っている人が多く、手術にかかった莫大な料金を取り戻そうと考えてもおかしくない。 事実、スウェーデンとオランダでは国家賠償(国家賠償請求訴訟)を行った。 次に、戸籍表記の問題が出てくる。 現在は性別を改変したとしても最終的に国家が追跡できるように、手術を行った者の身分事項に 「平成15年法律第111号3条による裁判確定日〇年〇月〇日」 と記入されている。 こうしたトレーサビリティ(追跡可能性)は当事者の安全を脅かすとして、活動家は削除を要求している。 国会では、出生時の履歴を完全に抹消することの是非が必ず議論になる。 更には、マイナ保険証の問題も浮上してくる。 性別欄に、身体的性別ではなく性自認での性別を記載して本当に大丈夫なのか。 男女それぞれに特有の疾患もある。 患者の身体的性別が分からない中で診療し医療過誤が起これば、今度は医師が訴えられることになる。 一体、この裁判の背景には何があるのか。 以下、詳しく見ていこう。 ■代理人は有名な活動家夫夫 最高裁判決後に記者会見した代理人の2人の弁護士ー。 南和行弁護士と吉田昌史弁護士は 『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』 という本も出版している有名なゲイカップルであり、今回の裁判だけでなくLGBTにおける様々な訴訟に関与している人物だ。 特に南弁護士は、2015年にアメリカ国務省から招聘され、オバマ政権の下でLGBT研修を受けている。 2013年には、ゲイである筆者たち4人が第1期生としてスカウトされ訪米したが、翌翌年2015年に選ばれた5人が南弁護士たち第2期生となる。 次世代のLGBT運動のリーダーを育成するための研修である。 約3週間に渡って行われるこの研修は、飛行機代は無料。 旅の始めにキャッシュカードが渡され、ホテル代や食事代、お土産代はそこから思うままに支払うよう申し渡される。 至れり尽くせりのアメリカ国務省プログラムの目的は何か。 それは、自由や多様性といったアメリカの価値観を全世界に広げるために、阿吽の呼吸で動いてくれるエージェントを育てることにある。 要は、ソフトパワー戦略の一環だ。 筆者たちがそこで習ったのは、社会の動かし方だ。 @メディアを使え A司法を使え Bアライ(支持者)を増やせ という3つの方法で、アメリカは社会変革を成功させた。 研修生たちは帰国後、それを日本で実践しているのだ。 最近、とみに増えたLGBTドラマには、全てLGBT活動家が監修に関わっている。 南弁護士も、同性愛カップルの親権問題を扱った映画 『his』 の監修を行っている。 これらは@を忠実に実行していると言えるだろう。 また、南弁護士は、情報番組にも数多く出演している。 2023年6月には大阪のABC朝日放送が制作している『正義の味方』でLGBT法案について解説し、その際の発言が物議を醸した。 「みんな大好き杉田水脈議員ですけどね、西宮が生んだ大スター」 「この人が(LGBT理解増進法の採決時に衆議院本会議を)欠席にとどめたというところは、僕は『この法律知らんかった。ごめん』という意味があったと思うんですよ」 「今迄の杉田さんだったら、ここでここぞとばかりに、この政治問題を『人、傷付けること言うたんねん』っていう場に使ったり、自分の炎上アピールに使わはったと思うんです」 「でも、『あっ、そんなんしたら私がアカンっていう風に思われるな』って思ったから、今回スッと欠席にとどめはったんやと僕は思うんです」 この揶揄に、同番組のレギュラーコメンテーターであるお笑いタレントのほんこん氏は激高し、すかさずツッコミを入れた。 「先程ね、先生がね、杉田さんのことを炎上とか言うてはったけど、俺は炎上でも何でもないと思ってるし、杉田さんが言うてたことは一文取られてね、報道されてる部分がある」 「『切り取り』であるから、それは全部読んであげたら分かることやし」 「そういうこともあるから、それもこうやって言うてたらヘイトになるじゃないですか」 「そういうことやと思うんですよ、何でも」 実は、この番組から最初にオファーを受けたのは筆者だった。 台本まで送られてきていたが、前夜にはプロデューサーから電話があり、キャンセルしたい旨を告げられた。 理由は、選挙が近いので日本維新の会秋田1区支部長の筆者を出すわけにはいかないとのことだった。 だが、レズビアンを公表している立憲民主党の尾辻かな子元議員は選挙前に同性結婚式を開き、テレビ各局は大特集を組んだ過去がある。 控えめに見ても、整合性に欠ける話だ。 そして、代わりに登板したのが南弁護士だったのである。 LGBT活動家は、 「松浦を使うな」 と方々のメディアに勧告しているやに聞いている。 自分たちとは違う意見をマスコミに流通させないことも、@の戦略なのである。 ちなみに南弁護士は、ほんこん氏に叱責された後、すぐに 「杉田さん、ごめん」 と謝罪し、その率直で誠実な姿を見た視聴者から、SNSで一定の評価を受けている。 ここが彼の凄い所であり、リスクマネジメントも含めた適応力の高さは流石だと言える。 南弁護士はロースクールに通わず、独学で司法試験に合格した叩き上げである。 彼のような人たらしの活動家たちが、メディアで、司法で、あるいはNGOで、日本のLGBT運動を牽引している。 テレビプロデューサーを懐柔することなど、赤子の手を捻るより容易いのである。 ■薄っぺらなパターナリズム 冒頭に記した通り、最高裁の判事たちも、LGBT活動家に折伏(執拗に説得して相手を自分の意見・方針に従わせること)されている蓋然性が高い。 筆者は月刊『Hanada』2023年10月号で、最高裁の戸倉三郎長官が2023年5月3日の憲法記念日の定例会見において、大法廷の判事たちにLGBT研修を受けさせると述べたニュースを紹介した。 「可哀相なトランスジェンダーを救えるのは我々しかいない」 と鼻息を荒くしているのだろうが、彼らの薄っぺらなパターナリズム(強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること)が眼鏡を曇らせているのだ。 まず押さえておかなければならないのは、性同一性障害特例法の対象は性同一性障害者であり、トランスジェンダーではないということだ。 性同一性障害者は、身体の性別と性自認が一致しないので苦しくて仕方がない。 故に、手術してまでも身体の性別を性自認に近づけようとする人のこと。 一方、トランス女性/トランス男性は、身体の性別と性自認にそれほどの違和感はない。 故に、異常装をしたり化粧をしたりすれば手術しなくても生きていける人のことである。 性同一性障害者をトランスセクシュアル(身体的性別を越境したい人たち)、トランス女性/トランス男性をトランスジェンダー(社会的性別を越境したい人たち)と区分けすれば分かり易いだろう。 このトランス女性/トランス男性の活動家たちが 「戸籍変更のために性別適合手術を強制することは国家による断種だ」 と叫んでいるのだが、むしろ性同一性障害者は手術がなくなると困るのである。 彼らにとって子宮を取り除くことが断種でない証拠に、次のようなエピソードがある。 筆者が参加した2018年のGID(性同一性障害)学会では医師が登壇し、子宮移植への協力を呼び掛けていた。 子宮が原因で懐胎(子をはらむこと。身ごもること。懐妊。妊娠。)できない女性は日本に6〜7万人いる。 子宮を臓器移植するしかないが、現行の臓器移植法は脳死の人からの子宮提供を認めていない。 たとえ合法となったとしても脳死ドナーは少なく、万一、遺体から取り出す場合でも生命維持臓器が優先されるので、新鮮な子宮は望めない。 そこで医学会が注目したのが、FTM(「女性から男性へ」の略)の人たちだ。 現在、FTMの人たちは、高い金を払って年間700〜800個の子宮を除去してもらっているが、もしドナー登録が可能になれば、タダで手術できることになる。 逆に、子宮提供を受ける側は2000万円かかるが、それでもウィンウィンの関係であることは間違いない。 アンケートでは、8割のFTMが協力の意志があるという。 取り出した子宮は、FTMにとってはただのゴミであり、通常はそのまま廃棄される。 これが、性同一性障害者にとっての子宮という臓器に対する感覚なのである(2023年10月、日本医学会の検討委員会は、子宮がない女性に対し、子宮の生体移植を認める報告書をまとめた)。 ■特例法ができた経緯 元々、性同一性障害特例法は、海外などで性別適合手術を受けていた性同一性障害者たちが、外見が変わっているのに元の性別で生活するのは困難なので戸籍の性別を変えてほしいと2001年に家庭裁判所に要求したところ、却下されたことから始まっている。 戸籍法第113条では 「その記載に錯誤」 があれば訂正を申請することになっており、多くの当事者はこれを利用しようとした。 ところが裁判官は、 「戸籍の記載に錯誤があるとは言えない」 と、にべもなく突き放した。 それで当事者たちは立法府に泣きついたのである。 恐らく、この時の贖罪意識が裁判官たちにはある。 性同一性障害特例法を作った中心人物は、南野知惠子(のおのちえこ)元法務大臣(現在87歳)だ。 助産師だった南野氏は、当事者の話を聞いているうちに赤ちゃんを取り上げた時の記憶が蘇り、 「私が出生証明書の性別欄に『男』とマルを付けた人が、成長して女になりたいとしたら・・・」 「不幸な生活を送る人の力になりたい」 と、自民党内をまとめたのであった。 手術は国が強いたわけではなく、ずっと前に手術によって体を変えていた人を救済するための法律だった。 ただし、手術をしたからといって生物学的に女性/男性になれるわけではない。 特例として、 「法律上は女性/男性と見做す」 としているだけなのだ。 それは、困った人たちを助けながらかつ社会秩序を壊さないための保守派のアイデアだった。 裁判官が活動家からどんな 「ご講義」 を受けたか知らないが、国民的コンセンサス(複数の人による合意)も取れていない性別の定義変更(ペニスが付いていても女性/子宮が付いていても男性)を一部のエリートだけで行おうとしているのなら、それは驕りと言う他ない。 ドイツでは1年間の期間をおけば、自己申告で何度も性別をチェンジできる。 我が国も、そんな 「先進国」 を目指すのだろうか。 ■男が妊娠・出産?! では、自己申請だけで性別変更が出来るようになると、社会はどうなるか。 北海道千歳市では2023年、男性が妊娠・出産した。 トランスジェンダー男性のゲイと、シスジェンダー男性のゲイの同性カップルから、赤ちゃんが誕生したのである。 「トランスジェンダー男性のゲイ」 というのは、身体は女性だが性自認が男性、そして好きなる対象も男性という人のことだ。 「シスジェンダー男性のゲイ」 というのは、身体は男性で性自認も男性、好きになる対象も男性という人のことだ。 つまり、トランス男性のゲイは子宮を除去していないので、シス男性のゲイと性交すれば子供が出来るのである。 当初、このトランス男性は性同一性障害と診断され、胸を切除し、ホルモン治療を続けていた。 いずれ子宮と卵巣も取る予定だった。 だが、妊娠が分かったことで 「産みたい」 との欲求が高まり、ホルモン療法を中止した。 札幌医科大学附属病院の担当医師は、 「心が男性の人であれば妊娠は希望しないはずだと思っていた」 「女性の体で生まれたが、男性として生きることを望む人が妊娠したというのはどういうことだろう」 「身構える感じはあった」 と、地元テレビ局の取材に答えている。 妊娠・出産は、自分が女性であることを一番感じなければならない行為だ。 女性であることが耐えられなくて男性に移行しようとしていた人が、何故それを受け入れることが出来るのか、疑問が湧いて来る。 その点について担当医師は何度も質問し確認しようとしたが、このトランス男性は口ごもり言葉を濁すのだそうだ。 取材した女性記者は 「妊娠・出産は女性だけのものではない」 と胸を張るものの、果たしてそのような整理の仕方で良いのだろうか。 リベラリズムは自由を際限なく拡張する。 しかし、どこかに 「定礎」 がなければ、人も言葉も国家も液状化していく。 ■悲劇を生む活動家の聖典 「自分が、男性だと思えば男性/女性だと思えば女性」 という考え方の源流は、ジョグジャカルタ原則にある。 2004年、イギリスでは世界で初めて、医療行為なしで法的に性別変更できるジェンダー承認法を成立させた。 その2年後の2006年、キングス・カレッジ・ロンドンのロバート・ウィンテミュート教授たちが、インドネシアのジョグジャカルタに集まり作成した国際文書がジョグジャカルタ原則だ。 法的拘束力はないが、世界中に多大な影響力をもたらした。 第3原則にはこう書いてある。 <各々が自分で定義した性的指向や性自認は、その人の人格と一体化しており、自己決定、尊厳、自由の最も基本的な側面の1つである> <何人も、自らの性自認を法的に認めるための要件として、性別適合手術、不妊手術、ホルモン療法などの医療行為を受けることを強制されない> これを 「医療モデルから人権モデルへ」 という。 つまり、科学的根拠は関係ないということだ。 以降、欧米を中心とした国では、男性器の付いた人でも自分が女性だと言い張れば女性となった。 性自認を第三者が否定することは差別となった。 ところが、ジョグジャカルタ原則を作った本人のウィンテミュート教授は、近年になって悔恨の念を述べている。 2006年当時は、セルフID(自己申告での性別)について理解が進んでいなかった。 男性器を持ったままの人が女性の空間にアクセスするとは誰も考えていなかった。 その後、イギリスでは女子刑務所に入り込んだトランス女性がレイプを繰り返したり、国1番の規模を誇るタビストック・ジェンダークリニックで1000人以上の少年少女が誤診によって第2次性徴抑制剤を投与されてしまったりしたため、2023年10月、遂にリシ・スナク首相がテレビカメラの前で演説する騒動にまでなった。 <我々は 「人間はなりたい性別になれる」 と無理矢理信じ込まされるべきではありません> <そんなことは出来ないんです> <男は男、女は女> <それが常識なんです> ロシアや中国の首相が演説しているのではない。 イギリスの首相がスピーチし、国民から拍手喝采されている所を公共放送のBBCが報道しているのだ。 これが世界の最先端の動きであり、日本のLGBT報道は10年遅れている。 トランスジェンダーの苦悩は分かる。 だがそれは、もう一方の当事者である生得的女性たちの苦悩を無視して良いことにはならない。 我々は、イデオロギーによって女性概念を人工的に改変するのではなく、トランスジェンダーのまま差別されずに生きていける社会を目指すべきではないだろうか。 LGBT異常判決と「電通利権」 Hanada2023年10月号 元参議院議員 松浦大悟 ■本当に「可哀相」か 男性器の付いている経済産業省トランスジェンダー職員(戸籍上は男性)が女子トイレを使用させてほしいと要求した。 ところが、勤務するフロアから2階以上離れた場所しか認められず、人事院に処遇の改善を求めたものの退けられたため国を訴えていた裁判で、最高裁はトイレの使用制限をした国の対応は違法だとの判決を出した。 今、多くのLGBT当事者から 「この裁判はおかしい」 との声が上がり始めている。 一体どこが問題なのか、ゲイを公表して政治活動を行っている筆者が考察してみたい。 マスコミは、原告の経産省職員のことを 「7年以上にも渡る法廷闘争の末、逆転勝訴した可哀相なトランス女性」 として伝えたが、実態は違う。 彼女のツイッターでのアカウント名は 『わきまえないトランスジェンダー 霞が関にゃんにゃんOL』 といい、市井のLGBTの間では有名な存在だった。 これは裏アカではなく、れっきとした本アカである。 「キンタマキラキラ金曜日」 「ちんちんフラフラFRIDAY」 が彼女の決め台詞だ。 <女性でヘテロで彼氏か旦那さんがいるのなら、夜はちんぽ咥えて、つっこまれて喜んでいるんでしょ?> といった卑猥な投稿を繰り返し、閲覧した人は 「これがあの原告なのか?」 と誰もが眉を顰めていた。 批判してきた人には <夜道に気をつけてね> <駅のホームも端っこには気を付けてね> と脅し、 <愚民どもは社会のシステムや法が分かっていないからな。やはり我々エリートの支配階級が正しい方向に指導してやらないといけない> と、臆面もなく本音を漏らす。 その”エリート”である彼女は、上司から 「(男性器を除去する)手術をしないんだったら男に戻ったらどうか」 と助言されたことに傷付いたとして1年間休職したが、国家公務員の身分は手厚く保証されており、休んでいる間も出勤していた頃と遜色のない額の給料を貰っていたという。 そもそも、彼女は 「手術を受けるためにRLE(*)が必要なのだ」 として女子トイレの使用を要求していたのであり、手術を受けないのであれば話は変わってくる。 *日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」では、身体的治療を希望する者は、治療を行う前に移行先の性別での生活を行ってみる(実生活経験=RLEを行う)ことが推奨されている。 ■診断書の入手、実は簡単 生物学的女性たちが訝しく思っているのは、 「なぜ彼女は頑なに手術を拒むのか」 という点である。 「健康上の問題」 との説明がなされているが、どのような健康上の問題なのか、詳細は明らかにされていない。 また、判決文には <血液中における男性ホルモンの量が同年代の男性の基準値を大きく下回っており、性衝動に基づく性暴力の可能性が低いと判断される旨の医師の診断を受けていた> と書かれているのだが、ツイッターの投稿を見る限り、とてもそうは思えない。 本当にこの診断は正しかったのかどうか、最高裁は担当医師を呼んで確認すべきではなかったか。 実は、性同一性障害の診断書は簡単に入手できる。 本来なら時間をかけて診察しなければならないのだが、たった1日で診断書を書いてくれる医者が何人もいて、ネットではどのような受け答えをすればスムーズにいくのかマニュアルさえ出回っている。 身体的治療に移るためには2名以上の医者からの診断書が必要だが、セカンドオピニオンにおいても1回でOKを貰える場合が多い。 元SMAPの草場剛氏がトランス女性役を見事に演じ切った映画『ミッドナイトスワン』にも、商業主義に陥り、3分診療で診断書を出すジェンダークリニックの姿が描かれている。 「『性自認』は自己判断だからダメだが、『性同一性』は厳格な審査基準があるので女性の安全を脅かさない」 というのは、現場を知らない者の戯言に過ぎない。 精神科医によると、確かに 「性同一性」 の診断には、 その性別でどのくらいの期間を過ごしているかという 「時間軸」 と、 第三者から見てどのような性別に見えているかという 「社会軸」 が加味される。 しかしながら、24時間クライアントを監視カメラで見ているわけではないので、結局のところ、彼らの主観ベースの話を信じるしかないのだという。 自分史を書かせる医療機関もあるが、これさえも本当かどうか確かめる術はないのである。 経産省職員の彼女は自分のことをトランス女性だと自己規定しているが、そもそも性同一性者とトランス女性はイコールではない。 性同一性障害者、体の性別と性自認が一致しないため苦しくて仕方がない。 だから、自分の体にメスを入れてさえも性自認に体の性別を近付けていこうとする人たちのことだ。 しかし、トランス女性は違う。 身体的性別と性自認の乖離に違和感はあるものの、手術をするほどの苦しみはない。 そのトランス女性の彼女が性同一性障害の診断書を持っていたことで、最高裁は見誤ったのではないか。 ■裁判への布石だった? この訴訟は個別事案であり、直ちに公共施設全体に適用されるものではないという補足意見は付いたが、名古屋市、千葉県、茨城県などでは 「今回の判決を踏まえた対応をしていきたい」 と担当者が取材に答えている。 これは考えてみれば当然であり、同様の訴えを起こされれば最高裁まで戦っても負けることが証明されたわけで、行政職員として瞬時にコスト計算をしたのだとしても不思議ではない。 こうした動きについて、我が国では特段大きな反発の声は出ておらず、国民は概ね良好に受け取っている。 今後は中央政府や地方政府に倣う形で、小・中・高校や大学、民間施設に至るまで、横並びの対応が取られていくだろう。 今回の判決は、このような世間の反応を見るために最高裁が打ち上げたアドバルーン(観測気球)だったのではないか、というのが筆者の推測だ。 なぜなら最高裁大法廷では、今 「性同一性障害特例法」 が課している 「手術要件」 についての違憲審査が行われており、2023年9月27日には申立人側の意見を聞く弁論が開かれる。 こうした家事事件において、最高裁が国民に公開する形での弁論を開くのは初めてのことだという。 身体は男性で性自認が女性の申立人は、高額の手術費や後遺症への不安から精巣の摘出手術は受けていない。 最高裁は世論の涙をバックに、一気呵成に 「性別の定義変更」 を図ろうとしている可能性がある。 最高裁の戸倉三郎長官は2023年の憲法記念日における記者会見で、最高裁判事にLGBT研修を受けさせる旨を述べている。 経産省トイレ裁判の判決文には異例にも、5人の判事全員による意見が付されており、その内容が 「まるでLGBT活動家のようだ」 と、一般のLGBT当事者からも訝しがられている。 男性器の付いたトランス女性が女子トイレを使用することに不快感を持つなら、それはそう感じた女性の方がおかしいのだから、その人には研修を受けさせるべきという意見は常軌を逸している。 一体、裁判官は誰のLGBT研修を受けたのか、国民には知る権利がある。 裁判官の判断に影響を与えているわけだから、これは重要な情報だ。 国会議員は是非最高裁を呼んで、ヒアリングをしてほしい。 筆者が講師として招かれた 「性的マイノリティに関する特命委員会」 には最高裁の事務方が出席し、高階恵美子委員長から意見を求められていた。 三権分立とはいえ、最高裁を呼べない理由はない。 なぜ筆者がそこまで言うかというと、トランスジェンダー当事者の意見は真っ二つに割れているからである。 手術要件廃止派の一方的意見だけ聞いているとしたら、大問題だ。 キリスト教圏に影響を受けた日本のLGBT活動家は、生殖腺を取り除く性別適合手術を国家による 「断種」 だと言い募り、LGBT後進国の日本は非人道的な性同一性障害特例法を廃止しろと叫ぶ。 だが、この法律を欧米のような文脈で語るのは筋違いだ。 1964年に起きたブルーボーイ事件は、男性器を切除する手術を行った産婦人科医が優生保護法によって逮捕された事件である。 それ以降、我が国においては、性を移行したい者にとっての希望が断たれることとなった。 もちろん、これは拷問が目的だったわけではなく、当事者の苦悩に寄り添った結果としての手術だった。 そのことを当事者たちはよく分かっていた。 しかし、手術を受けた人たちが男娼だったため、センセーショナルに伝える週刊誌によって、性転換に負のイメージが付けられてしまった。 それから幾年、やっと手術が合法になったのが2003年。 性同一性障害特例法の成立を、多くの当事者は涙を流して歓迎したのだった。 ところが、そこから取りこぼされた人たちがいた。 手術をするほどの苦痛がないトランス女性/トランス男性たちである。 手術しなければ戸籍上の性別を変更できないこの法律では自分たちは救われないとの不満を抱えながら、それでも 「1人でも多くの仲間が助かるなら」 と利己を押し殺して法案の成立に合意したのだった。 だが、その思いは限界に達した。 当時は主流派ではなかった彼らが今、世界的な潮流に乗り、主客交代劇を繰り広げているのである。 「今度は俺たちが幸せになる番だ」 と。 しかし、手術要件がなくなってしまうと、今度は性同一性障害者たちが困ってしまう。 手術は 「医療」 ではなく 「趣味」 で行うものと見なされ、 「美容整形と何が違うの?」 と言われるからだ。 当然、安倍政権で導入した保険適用も廃止になる。 2021年現在、性別適合手術を受けた人は約1万1000人に達する。 社会の中で、男性/女性として真っ当に暮らしているこの人たちの人生を否定してはならない。 ■確信犯で嘘を付く 性別適合手術を廃止し、自己申告だけで戸籍の性別を変更できるよう要求しているのは、性同一性障害者ではなくトランス女性/トランス男性の活動家である。 彼らにしても、伊達や酔狂でやっているわけではない。 自分が信じる正義のために必死なのだ。 社会をグレートリセットさせるためなら少々の嘘は許容範囲だ、と思っている節がある。 例えば 「LGBT法連合会」 という団体は、LGBTの代表でも何でもないただの民間組織だ。 だがマスコミは、それを当事者代表の声として報道する。 2023年3月には、トランス女性へのデマが広がっているとして 「法律ができても、トランス女性は女湯や女子トイレに入りません」 と記者会見したのだが、スピーチに立ったトランス男性である杉山文野自身が戸籍の性別とは違う浴場やトイレに侵入しており、そのことを知る筆者たち関係者は、テレビの前で一斉に椅子から転げ落ちた。 渋谷でのレインボーパレードを主催しているNPO法人 「東京レインボープライド」 共同代表でもある杉山文野氏は自らのツイッターで、男湯に入って歌舞伎町の市川海老蔵氏と遭遇したことを報告している。 同じ内容を海老蔵氏のブログでも確認できるので、是非読んでみてほしい。 タイトルは『男湯に女いた』。 胸を切除しているが子宮は摘出していない杉山氏は、戸籍上は女性だ。 LGBT理解増進法施行に伴い、厚生労働省は 「公衆浴場の男女別は身体的特徴で判断を」 と通知を出したものの、日本で一番有名なLGBT活動家である杉山氏を警察は逮捕できるはずがない。 そんなことをすれば、国際的スキャンダルになるだろう。 杉山氏は信念の下に男湯や男子トイレを使っているのであり、今後もやめることはない。 厚労省の通知は無意味なのだ。 また、身体が男性のトランス女性が女湯に入っていることも、筆者たち当事者の間では常識だ。 「股間タック」 という言葉で検索してみてほしい。 睾丸を指で体内に入れて恥骨に引っ掛け、余った皮で包んで接着剤で止めれば女性器そっくりになる。 そのまま女湯や女性トイレに入っても恍惚とした表情で自撮りをしている画像が、SNSでいくらでも発見できるだろう。 東大教授のクィア学者、清水晶子氏はこれを 「埋没した棘」 と表現し、 「今だって彼女たちは女性スペースに存在する」 「でも女たちは気付いていない」 「気付かないのだからいいじゃないか」 という趣旨の論文も書いている。 よく保守論壇は、戸籍とは違う性別の浴場やトイレを利用する是非について、 「自分たちはトランスジェンダーを差別しているのではない」 「犯罪者との見分けがつかないことを問題にしているのだ」 といった議論をする。 だが、それは本質からずれている。 真の問題は、トランスジェンダーの当人たちが、既にそうした場所に入っているという事実だ。 経産省のトランス女性職員も、省内のトイレは理解が得られず使えなかったが、デパートなどの民間施設では当然女子トイレを利用しているとツイートしている。 三省堂の国語辞典は、2022年版から「男」「女」の項目を変えた。 <生まれたときの身体的特徴と関係なく、自分はこの性別だと感じている人もふくむ> としたのだ。 このように既成事実が積み上がっていき、最高裁は 「社会は変わった」 との最終判断を下すことになる。 ■りゅうちぇる氏の死 タレントのりゅうちぇる氏が自殺した。 そのこと自体は大変残念で悲しい出来事であるが、それに乗じて多様性の素晴らしさを説く生前の彼の言葉を何の躊躇もなく放送することはWHOの自殺報道ガイドライン違反に当たるため、厳に慎まなくてはならない。 自殺者を称賛することは、自殺の連鎖に繋がるからだ。 そして、それによって性同一性障害者の本当の思いが覆い隠されようとしていることにも注意を喚起したい。 りゅうちぇる氏は、同じくタレントのぺこ氏と結婚し、子供をもうけていた。 ところがその後、男性が好きだという気持ちが大きくなり、離婚。 どんどん容姿の女性化が進み、胸も膨らんでいった。 そんな彼に、SNSなどを通して誹謗中傷が届くようになる。 「子どもが欲しいからといってぺこに産ませておいて。女の人生をなんだと思っているんだ」 「家事も育児もぺこに押し付けて自分だけ綺麗になって。男だからできるんだよ。同じことを女がやったらバッシングの嵐だ」 など。 こうした心無い批判が原因で死に至ったと多くのコメンテーターは分析したが、性同一性障害者からは、そうではなくホルモン療法が原因だったのではないか、との問題提起がなされている。 男性から女性になるためには女性ホルモンを投与しなければならないが、ホルモン注射は精神のバランスを崩し、うつ病となって自殺するケースも少なくない。 人によって合う合わないが激しく、長年に渡り偏頭痛に苦しむ人もいる。 りゅうちぇる氏に必要だったのは 「あなた、綺麗ね。素晴らしいわね」 と持ち上げる表面上の友ではなく、 「ちょっと変化が早過ぎるよ。1年かけて考えてみたら?一旦ストップしようよ」 と警鐘を鳴らす真の友だったのだ。 しかし、保守派の性同一性障害者、奥田幸雄氏は、それでも愚行権としてホルモン注射を認めてほしいという。 「真の同一性障害は死んだ性同一性障害だけ」 と言われるくらい性同一性障害の時点で希死念慮はあり、これはホルモン以前の問題だ、もとより死は覚悟している、と。 言われてみれば確かにそうで、自分の体が苦痛でたまらない当事者たちは、親指を噛み切ったり、ガソリンをかぶって焼身自殺したりする。 見るに見かねた医師たちが、 「それだったら」 とホルモン注射を打ち始めたのだった。 打たなくても地獄、打っても地獄は承知の上だった。 こうした当事者の激烈な思いと向き合うことなく、ここぞとばかりに 「多様性」 や 「ダイバーシティ」 の必要性を煽る左派メディアは、無責任と感じる。 NHKで放送されたドイツのドキュメント番組『レインボーファミリー』は、母親が女性を好きになり離婚したことを美談として伝える。 異性愛者の夫婦であれば不倫となり、LGBTであれば褒め称えるというのは、二重規範以外の何物でもない。 婚姻の途中にジェンダーアイデンティティが変わることはないとは言えないが、子の福祉のことを考えると、りゅうちぇる氏の死を利用した 「ショックドクトリン」 によって、拙速に最高裁で性別の定義変更が行われないように切に願う。 ■LGBTにおける歴史戦 安倍晋三元総理は、拉致問題や慰安婦問題、佐渡金山世界遺産登録問題などで歴史戦を戦ってこられた。 月刊『Hanada』2022年6月号では、 「歴史戦で厄介なのは、日本の内部に敵がいること」 とおっしゃっていた。 筆者は、LGBTにおいても歴史戦が始まっていると感じている。 杉山文野氏は、複数のLGBT活動家と共に安倍元総理と会食をしている。 安倍元総理は筆者に、 「誰だか分からないが、昭恵が会ってくれと言ったから会ったんだよ」 とおっしゃっていた。 LGBT活動家は自らを保守と偽り、政権の中枢にまで入り込んでいるのである。 また、LGBT活動家には野党側の活動家だけではなく、自民党側の活動家もいることは案外知られていない。 LGBT理解増進法が成立後、自民党側の活動家のものと見られる音声がSNSで拡散され、大炎上したことがあった。 法律ができれば、学校や企業の講演会などで自分の所に大きな利権が回って来るという内容だ。 LGBT理解増進法の真の目的は、地方自治体でやりたい放題のLGBT活動家の動きを止めるためだと自民党は説明するが、野党側の活動家に代わって自民党側の活動家が元締めとなったところで、利権を貪る主体が変わるだけだ。 だいたい、LGBT理解増進法で左派の動きが止まるとも思えない。 その根拠は、野党側の活動家と自民党側の活動家の比率だ。 筆者の肌感覚で、99.5%対0.5%といったところだ。 これから学校や企業での研修を全国展開するには、左派LGBT活動家の力を借りるしかないのだ。 何故なら、彼らしか人材がいないからである。 そんな彼らが、これまでの主張を変えるはずがない。 石川県では、荒井秘書官の発言で岸田首相を謝罪に追い込んだLGBT活動家、松中権(ごん)氏が多様性条例有識者会議のメンバーになっており、 「LGBT理解増進法は地方の条例を縛るものではなく、運用上はこれまでの流れを受けて『性自認』という言葉を使っても良いということをきちんと明記すべきだ」 と発言している。 松中氏は前出の杉山氏と親友であり、杉山氏の女性パートナーに精子を提供し、子供を2人もうけている。 当初、杉山氏は女性パートナーと2人で生活を送るつもりだったが、途中で松中氏に父親心が芽生え、今では3人親として子育てをしている。 アメリカでは同性婚が認められた次に、こうした多重婚の婚姻形態を求める裁判が起こされている。 LGBT理解増進法は制御装置ではなく、LGBTイデオロギーを更に加速させる機能を果たす。 一旦導火線についた火を消すことはできないのである。 ■時給2000円で活動家が 松中氏は 「電通」 出身であり、各広告代理店は今後10年を見据えて動いている、と筆者は想像している。 通常、電通は自民党側、博報堂は野党側の担当なのだが、LGBTにおいては捻じれ現象が生じている。 元電通マンの松中氏が野党側に付き、自民党側には博報堂から出向しているゲイ当事者が付いているからだ。 こうした状況からも、自民党側の活動家が野党側を排して覇権を握ることは困難だと分かる。 いずれは電通の力を背後に持つ松中氏がピラミッドの頂点に立ち、全てを統合する。 自民党側の活動家は、おこぼれを貰うことで精一杯だろう。 LGBT利権についてよく例に出されるのが、一般社団法人 「社会的包摂サポートセンター」 が行っている国の自殺対策委託授業 「よりそいホットライン」 だ。 これを作ったのは、当時民主党政権だった福山哲郎議員。 自殺率の高い秋田県の筆者がPTの事務局長を担当した。 2013年の落選後、筆者にLGBT部門の電話相談員にならないかと誘いがあった。 しかし、面接と実地試験を受けたところ、筆者は見事に落とされたのである。 当時の時給は2000円。 朝から晩までLGBT活動家がシフトに入り、それだけで生活費を賄っていた。 公明党や共産党の市議も、お小遣い稼ぎをやっていた。 こうした事情を筆者に知られたくなかったのかもしれない。 問題は、情報がクローズドで行政事業レビューができないことだ。 筆者が出た電話には、妊娠出産したレズビアンから 「そろそろ浮気をしたいのだがどうすればいいか」 といった相談や、 「統合失調症ゆえに自分をゲイだと思い込んでいる男性が精神病院から電話をしてくる」 といった事案が目立った。 こうしたリピーターが多いので、本当に相談を必要としている人には繋がらないという欠点もあった。 利権と言えば利権に相違ないのだが、そんなレベルではない大きなお金が今後は動いていくだろう。 正論 抜本的システム改革必要な最高裁 福井県立大学名誉教授・島田洋一 2023/11/15 8:00 https://www.sankei.com/article/20231115-3SFYXDURGJO2NIULAHFBKWE7ZM/ ■憲法81条は妥当か否か 最も声を上げるべき国会議員が、意識すらしていないと思える憲法改正の重大テーマがある。 日本国憲法第81条が果たして妥当か否かである。条文を引いておこう。 『最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である』 即ち曲がりなりにも国民の直接選挙を経た国会が成立させた法律を、選挙を経ない(内閣の指名のみで職に就いた)15人の裁判官が違憲と判断し無効にできる。 最高裁の決定は過半数で行われるため、より厳密に言えば8人の国民が全く知る機会を与えられずに就任した人々が、密室の協議で 『国の唯一の立法機関』 たる国会の決定を覆せる。 しかもその決定は 「終審」 とされ、国民は抵抗できない。 国会は最高裁決定に沿った法改正を迫られる。 国民主権の原則に照らしても、三権分立の原則に照らしてもおかしいだろう。 まず、憲法改正が必要なく、法改正だけで対応できる国民審査制度について見ておこう。 現行の最高裁判所裁判官国民審査法は、罷免を可とする裁判官に×印を付し、無印の場合は承認票に数え、×票が無印票を超えると罷免される方式を取っている(過去に罷免の例はない)。 これについて、東大法学部の芦部信喜憲法担当教授の手になり、広く参照される 「憲法」第8版(岩波書店、令和5年) は、次のように解説する。 『最高裁は、国民審査の性質はリコール制であることを理由に、積極的に罷免を可とする投票以外は罷免を可としないものとして扱うことはむしろ適当である、と判示している』 『しかし、現行法の方式が違憲だとは言えないとしても、信任は○、不信任は×、棄権は無記入、という方法がより適当である、とする意見が有力である』 常識的な意見だろう。 そもそも裁判官の国民審査の方式を裁判官自らが 「判示」 するというのも妙な話である。 国会が、三権相互の「抑制と均衡」(チェック・アンド・バランス)の理念に基づき、 「信任は○、不信任は×、棄権は無記入」 とする方向で、速やかに法改正を行うべきである。 ■性別変更巡る最高裁決定 芦部「憲法」も次のように念を押す。 『この制度の目的が裁判官の法律家としての適否を判断することではなく、裁判官のものの考え方ないし意識と民意との間のずれを是正することにあることを評価し、より実効的な制度にするよう、活性化を図ることが適当であろう』 まさにその通りであり、ここに言う 「裁判官のものの考え方ないし意識と民意との間のずれ」 が厳しく問われたのが、一定の条件下で性別変更を認めた性同一性障害特例法の 「手術要件」 を一部違憲とした2023年10月25日の最高裁決定である(一部は高裁に差し戻し)。 その結果、男性の生殖機能を持ちながら性自認は女性とする人々が法的権利として女性専用スペースに入る道を開いた。 海外での悪用事例が報告される中、一般女性が抱く不安を 「差別感情」 と一蹴することはできないだろう。 裁判官も一般人同様、不完全な人間であり、判断を誤ることもある。 問題は、最高裁に、一方通行的な優越的権力を与えている現行システムにある。 一方向的なチェックを双方向的なチェックに改めねばならない。 ■米国での論議をみると アメリカでも同様の問題は先鋭化しており、様々な改革案が出されている。 例えば、レーガン政権で司法長官首席スタッフを務めた、憲法史に詳しい論客マーク・レビンは次のような改憲案を提示している。 即ち、最高裁の違憲立法審査権は認めるが、議会上下両院が5分の3以上で再可決した場合、最高裁の違憲無効決定は覆され、法律は再び有効となる。 州議会の5分の3以上が、最高裁の決定を否とする決議を成立させた場合も同様とする。 ちなみに、米上院は、5分の3の同意がなければ法案審議を打ち切って採決に入れない院内規則を保持しており、この数字には制度的な先例がある。 3分の2以上とすると、憲法改正の発議要件と同じになり、ハードルが高すぎるという判断も働いている。 尚、米国憲法の改憲規定は、連邦議会の両院の3分の2による修正発議に加え、3分の2の州議会が請求する時は、連邦議会は 「修正を発議するための憲法会議を招集しなければならない」 と定めており、州にも最高裁決定に対抗する権限を与えるのは自然な発想と言える。 日本でも、次の2点において憲法改正が必要だろう。 @最高裁の違憲決定を、国会が過半数より高い数字の再可決によって覆せる道を作る A最高裁裁判官を、オープンな公聴会を伴った国会同意人事とする。 最高裁が 「抑制的司法」 の矩(のり)を越えた以上、国会も動かねばならない。 産経抄 国会と司法にはびこる善魔たち 2023/11/4 5:00 https://www.sankei.com/article/20231104-62SHDIERSRM4DJIFPLB3LIAKEQ/ 芥川賞作家、遠藤周作さんは度々悪魔ならぬ 「善魔」 という言葉を用いた。 特徴は 「自分以外の世界を認めないこと」 と 「他人を裁くこと」 だと遠藤さんは述べている。 「自分の愛や善意の感情に溺れ、眼が眩んで自己満足しているのだ」。 日本社会では今、この善魔が跋扈してはいないか。 ▼性的少数者らへの理解増進を図るLGBT法成立に始まり、心と体の性が一致しない経産省のトランスジェンダーの女性に、職員女性用トイレ使用を制限するのは違憲だとし、更に戸籍上の性別変更に、生殖不能手術を条件とする特例法条項を違憲とした一連の最高裁判決…。 背景に国会議員や判事の善意があるのは事実だろう。 ▼だが、この急速な動きは意見や立場が異なる人々を置き去りにする結果となり、新たな対立と分断を生んだ。 社会の変容に息苦しさを覚える者にとっては、 「悪意のように見える不遜な善意もある」(哲学者、ニーチェ) のである。 ▼「当事者が警戒の目で見られ、差別が一層深まることも考えられる」。 性適合手術を経て女性に性別変更した 「特例法を守る会」 の美山みどり代表は、最高裁判決に憤る。 安心な場所を求める女性の権利と保護も阻害される。 ▼立憲民主党の長妻昭政調会長は2023年11月2日、最高裁判決を受けて特例法改正案の国会提出を検討する考えを明らかにした。 国会は最高裁判決に対応せざるを得ないが、近年、司法は立法府に対して越権的ではないかとも感じる。 ▼社会学者、ウェーバーは善からは善のみが生まれるものではなく、しばしば逆になると喝破した。 「これが見抜けないような人間は、政治のイロハも弁えない未熟児である」。 社会常識が善魔には通じないのがもどかしい。 性別手術は違憲?最高裁の立法乗っ取り 米弁護士ギブンズ 2023/11/1 7:00 https://www.sankei.com/article/20231101-QG2B2I7ZZJLMNFUR27QH2ZDVLQ/ これは最高裁判所が判断すべきことなのか。 民意によって選ばれた国会が決めるべきことであり、司法による立法権の侵害なのではないか。 こう危惧せざるを得ない。 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには、生殖不能にする手術などを条件とする 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(特例法) の条項を違憲と判断した先日(2023年10月25日)の最高裁決定は、司法はあくまで国会が制定した法律を尊重すべきだという憲法原則から大きく逸脱していたと言うべきだろう。 裁判所には、国会の法律が憲法に適合しているか審査する 「違憲審査権」 はあるが、憲法13条には 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」 とあるのみである。 その曖昧な文言を用いて、特例法の条項を無効とした15人の最高裁判事の判断は、司法権の適切な領域を超え、立法権を乗っ取ろうとしているように見える。 私はここで、戸籍上の性別変更を認める条件として、生殖を不可能にする手術を義務付けることの、政策として良し悪しを問題としているのではない。 これに関しては大いに政策的な議論がなされるべきだ。 私が問いたい本質的な問題は、その政策を決定する主体は、国会と裁判所のどちらかということなのである。 戦後80年近く経つ中、日本の最高裁が法律を違憲と判断したのは、今回の事例を含め僅か12例に過ぎないが、それは、政策は国民の代表たる国会や政府が決めることであり、裁判所はあくまで憲法上の審査をする司法機関に徹すべきだいう 「司法消極主義」 という原則が守られてきたからと言ってよい。 しかし、最高裁は今回、その司法消極主義を捨て、憲法解釈を積極的に利用し、自らが政策形成の主体となろうとする 「司法積極主義」 へと舵を切った。 ■利用された「違憲審査権」 憲法の曖昧な言葉の解釈を利用した司法積極主義が、極めて反民主的な結果をもたらすことは、私の母国である米国の経験からも明らかである。 米国で、人の体に宿った新しい生命を断つ中絶という行為を権利として認めるべきかという重大な問題を巡り民意が2つに分かれた時、連邦最高裁は憲法修正14条の定める 「Due Process(適正手続き)」 や 「Equal Protection(平等保護)」 といった抽象的で曖昧な理念に基づき、これを女性の権利であると宣言した。 そのことによって、この重大な問題は議会が判断することではなくなり、事実上、民主的な議論と交渉の場から排除されることになった。 決定権は裁判官だけに握られることになった。 つまり、国民から中絶の是非について決定する権利を奪ったのである。 また、米国で同性婚条例について、多くの州議会が民衆の支持を得られないために制定を断念した時、活動家たちは同性婚を憲法上の権利として定めるために、この問題を自分たちの意に沿うような裁判所に持ち込んだ。 つまり民主主義の結論を覆すために、司法の違憲審査権が利用されたのである。 今回の日本の最高裁による違憲判断は、これらと何ら変わることはないものと言えるが、判断を下した最高裁判事たちは、その重大さを全く認識していない。 その決定が如何に従来の司法権の範囲を超えた急進的なものだったか。 判事たちが新たな政策決定の主体になろうとしたか。 15人の判事が、過去の判例を覆した点に注目すべきだろう。 今回の決定では、前述の曖昧な憲法13条の文言について 「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」 を保障するものだとした上で、性別変更を求める人に手術などの条件を付ける特例法の条項は、その自由を制約するのだという論理が展開されている。 しかし、4年前の2019年、同じ最高裁はこの条項について 「意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もあることは否定できない」 としながらも、 「現時点では、憲法に違反するものとは言えない」 と、全く反対の合憲判断をしていた。 司法は、判事が個人の考えで法律を運用しないように、過去の判例の集積の上に立つべきものとされている。 だから通常、裁判所は極めて客観的な法的理由がない限り、自らの判例を、特にこれほど短期間で覆すことには消極的だが、今回の15人の判事たちは、4年前の2019年の判断の破棄を正当化するため、2つの理由を述べた。 第1に、性同一性障害について、 「医学的知見が進展」 し手術は最早必ずしも必要な治療とは言えなくなったこと。 しかし、性同一性障害患者を治療するために、手術が必須ではなくなったことと、戸籍上の性別を変更するための要件は何であるべきか、ということは全く別の話である。 これは単なる医学的な事実の問題ではなく、非常に政治的な問題なのだ。 第2に、性自認が国内外で広く尊重されるようになったこと。 要するに、2019年から2023年の4年間で社会の価値観が変わったというのだが、もしそうであれば、この新しい価値観を法律に反映させる適切な機関は裁判所ではなく、国民の声を直接聞く機能を持つ国会である。 時代遅れとなった法律の改正の責任は国会にあるのだ。 ■民主的な議論はどこへ? 今回の最高裁の決定は、実に広範で厄介な影響を及ぼすことになるだろう。 最高裁は、性自認によって自らの性別を選択する権利が憲法上の権利であると明言しているわけではないが、そのことを強く示唆している。 だとすれば、性同一性障害者に対し手術以外にも性別変更に条件を付けている現在の特例法は、今後も違憲訴訟の対象となり、存在意義が問われることにもなる。 だからといって、国会が特例法を完全に廃止すれば、今度は性同一性障害者の性別変更手続きを正当化する法的根拠はなくなる。 それが憲法13条違反になるだとすれば、国会は新たな法制定を求められることになる。 その意味では、最高裁の判断は、司法が国会に法制定を命じているに等しい。 最高裁の論理は、それだけに止まらず、例えば同性婚を巡る議論にも影響を与え得る。 現状では、同性婚は憲法上保障されていないというのが国の立場だが、それも揺らぐことになり得る。 もちろん、性同一性障害や同性婚を巡る議論も、国会が民主的な議論の末に結論を出すならば、それは、どんなものであっても最終的には認めざるを得ない。 ただ、世論が大きく分かれるこのような重大な問題を、選挙で選ばれたわけでもない裁判官が決定するのは誤っている。 国民は個々の裁判官についても、彼らがどのような理由で選ばれたのかについても、全くと言っていいほど知らされていない。 その彼らが、本来、民主的議論で決められるべきことを、自分たちだけで決めるのは、国民に対する反逆と言わざるを得ない。 最高裁の唐突な司法積極主義への傾倒に、日本国民は抗議すべきである。 「15人で国の根幹変えてよいのか」ジャーナリストの櫻井よしこ氏、性別変更手術要件の違憲決定に 2023/10/25 20:05 https://www.sankei.com/article/20231025-NQVS2A2S6JMJNCKNLNQTMACDU4/ 性別変更に生殖機能をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定を最高裁が2023年10月25日の決定で違憲としたのは、要件を外すことに反対する性同一性障害当事者の多くの意見が無視されたものだ。 強い違和感と危惧を覚える。 決定の多数意見には 「(特例法施行後)これまでに1万人を超える者が性別変更審判を受けるに至っている中で、性同一性障害を有する者に関する理解が広まりつつあり」 とある。 だが、自らも手術を受けて性別を男性から女性に変更した 「性同一性障害特例法を守る会」 の美山みどり代表らは、1万人以上が手術を受け、手術要件が社会制度として定着しているにもかかわらず、手術をせずに男性の姿のままで女性であるということが通じるのは良くないと主張してきた。 美山氏らは、手術要件が違憲となれば 「女性専用スペースに男性器のある女性が入ることが可能になったり、出産する男性が出てきたりして社会が混乱する」 とも訴えてきた。 多数意見は 「手術を受けずに性別変更審判を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めて稀」 としているが、 「混乱は限定的だから無視してもいい」 という理屈は成り立たない。 15人の最高裁裁判官が幾百世代も繋がって来た日本の価値観や社会の根幹を変えようとしている。 たった15人の判断でこんなに大事なことを変えていいのだろうか。 日本では最高裁の裁判官について1人1人のキャリアや考え方など詳細な情報はほとんど知られていない。 指名・任命権は内閣にあるが、弁護士会枠や外務省枠などがあるのが実態だ。 法律は日本国民の望む方向に社会を作っていくためのものだ。 何故こんなに多くの国民が不安を感じ、多くの女性が信頼できないと思っているような方向に社会を変えていくのか、理解できない。 最高裁の裁判官は国会同意人事にすべきだ。 正論 最高裁のあり方根本的見直しを 福井県立大学名誉教授・島田洋一 2023/10/9 8:00 https://www.sankei.com/article/20231009-RWMFL5NWYFM65L2RBJ2QQVDQCY/ ■米最高裁人事を巡る闘争 民主国家においては、最高裁人事は最高度の政治闘争である。 米国では良くも悪くもその意識が徹底している。 議会の上下両院が通し大統領が署名して成立した法律を、連邦最高裁(定数9人)はその多数決で、即ち僅か5人の判断で無効化できる。 あるいは議会全体として合意が得られない、ないし議会は通過したが大統領が拒否権を発動して成立に至らない問題についても、国民の選挙を経ていない 「5人の法官」 が判断を下し得る。 その決定は往々にして、米国社会を根底から揺るがす。 特に保守派が 「判事席からの立法行為」 と批判する営為である。 最高裁人事が政治闘争の最激戦地と見なされるのは当然だろう。 よく 「大統領を獲るのは2権を獲ること」 と言われる。 上院の承認という関門が待つものの、最高裁に空席が生まれた時、後任を指名する権限を持つのは大統領である。 行政の頂点であるホワイトハウスの鍵を摑むことが、同時に司法の最高機関の構成を左右することに繫がる。 現在、米最高裁の勢力図は、保守派6人対左派3人だが、2016年の大統領選で民主党のヒラリー氏がトランプ氏に勝っていれば、全く逆の構図になっていただろう。 左派が好む判決が次々出されたはずである。 分断が先鋭化する米国で、大統領選がますます 「仁義なき戦い」 の様相を呈する大きな理由の1つがここにある。 ■日本の最高裁はどうか 翻って日本の状況はどうか。 現行憲法は 「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」 と規定する(第81条)。 日本の最高裁は法文上、米最高裁以上に強大な権限を有する(米国憲法は裁判所の違憲立法審査権を明文化しておらず、最高裁が判例を通じて自己付与してきた)。 ところがその極めて重大な最高裁の人事に関して日本社会は、余りに無防備であり続けている。 長官、判事合わせて15人の思想傾向はおろか経歴や名前すら知る国民はほとんどいないだろう。 上院の承認が必要な米国と違い、日本では事実上、内閣総理大臣(および側近数名)の一存で判事人事が行われる。 現在、会計検査院はじめ39機関の委員等のポジションが、衆参両院の承認を要する 「国会同意人事」 となっている。 ところが、それらより遥かに重要な最高裁人事に国会は全く関与できない。 「こんなバカな話があるか」 「憲法を改正して国会の同意人事とし、首相が指名した候補者に公開で質疑応答を行い、個々の議員の賛否を明らかにする透明性ある形に変えるべきだ」 との声が、当事者たる国会議員の間から当然上がるべきだと思うが、なぜか全く上がらない。 そのため、各種利益集団による密室談合の結果を首相が惰性で追認する不適材不適所人事が後を絶たない。 還(かえ)ってきた5人の拉致被害者を北朝鮮に送り返すよう主張した外務事務次官や、平和安全法制に反対した内閣法制局長官を 「論功行賞」 で最高裁判事に任用した例など正に言語道断だろう(詳細は拙著『腹黒い世界の常識』参照)。 その最高裁が2023年9月27日、生殖能力をなくす手術を性別変更の要件とした現行の 「性同一性障害特例法」 は差別的で違憲とする申立人の弁論を聞き、即日結審した。 かつて合憲判断を示した最高裁が改めて大法廷で審理する以上、判例を覆し、手術なしで性別変更可能とする方向で決定を下すのではないかと見られている。 ■憲法改正すべきだ ちなみにトランスジェンダー問題について米最高裁は、雇用差別は許されないとした以外は、多数を占める保守派判事が、連邦議会や各州の動きを見守る 「抑制的司法」 の姿勢を堅持しているため、何らの判断も下していない。 そうした状況下、保守派が強いフロリダ州等では、 「法令上の性別」 は出生時の生物学的特徴によって定まり、以後、性転換手術を受けようが受けまいが変えられないとの立場を州法で成文化した。 手術で法的な性を変更できるとすると、性別違和を感じる若年者が手術を急ぎ、後に激しく後悔する、取り返しのつかない事態を招きかねないからである。 本人がトランスジェンダーを主張し、周りがそう遇するのは自由だが、 「法令上の性別」 は変えられない、となれば手術を急ぐ理由は少なくとも法的にはなくなる。 日本のように、手術を要件とした 「特例法」 を作ると、必ず次の段階として、肉体的、経済的に負担の大きい手術を強いるのは人権侵害だとする今回のような訴訟が起こされる。 特例法を廃止し、 「法令上の性別」 変更は不可とした上で雇用差別を禁じるなどの措置を講じるのが正解ではないか。 最後に繰り返せば、最高裁判事は 「内閣が指名し国会が承認する」 と憲法改正すべきである。 まさか反対する国会議員はいないだろう。 性自認に基づく性別変更制度導入を否定 自民有志の議員連盟が声明「日本にはそぐわない」 2023/11/9 18:53 https://www.sankei.com/article/20231109-YDU7VYTRKZPFLFEKCKNOW64O2A/ 自民党有志議員で作る 「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」 は2023年11月9日、国会内で総会を開き、海外の一部で導入されている、性自認に基づく性別変更を可能とする制度に否定的な声明を取りまとめた。 「心理的な性別だけで性別変更を認める制度は、日本にはそぐわない」 と指摘した。 戸籍上の性別変更の際に生殖能力の喪失を要件にした性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断した最高裁の2023年10月の決定については 「何らかの法改正を行う必要がある」 と明記した。 ただ、生殖不能要件が撤廃されれば、妊娠や出産が可能な戸籍上の男性が登場しかねず、声明は 「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥らないか」 として関連省庁を挙げた対応を求めた。 法改正の議論では、生殖不能要件撤廃の妥当性や、新たな要件の可否などを検討する方針も示した。 議連の片山さつき共同代表は総会の冒頭、最高裁決定について 「性別の取り扱いの変更と社会一般の受け止めの調整を図り、立法府の責任を発揮していく」 と述べ、議連として対応に力を入れる考えを強調した。 自民・女性守る議連「心理的性別だけで性別変更そぐわない」手術不能要件違憲決定に 2023/11/9 14:50 https://www.sankei.com/article/20231109-FUOKJUBEJJGNPPYJG5PPOVV3C4/ 自民党有志議員で作る 「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連) は2023年11月9日、性自認に基づく性別変更を可能とする 「ジェンダー・セルフ・ID制」 の導入に否定的な声明をまとめた。 「心理的な性別だけで法律上の性別変更を認める制度は、LGBT理解増進法が成立したばかりで理解増進の流れを醸成していく段階にある日本にはそぐわない」 と指摘した。 議連は、最高裁が2023年10月25日に性同一性障害者が性別変更する上で生殖能力の喪失を要件とする性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断したことを受け、国会内で会合を開き、声明をまとめた。 約20人が参加した。 最高裁の決定に伴い、与党内では特例法の改正など対応に当たる必要性が共有されている。 一方、 「生殖不能要件」 が完全に撤廃されれば、妊娠や出産が可能な法的な男性が登場しかねない。 声明も、 「何らかの法改正を行う必要がある」 とした上で、 「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥ることとならないか、危惧される」 と指摘し、内閣の責任で関連省庁を挙げた法令の調査の必要性を訴えた。 議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は会合の冒頭、 「性別の取り扱いの変更と、社会一般の受け止めの調整を図りつつ、立法府に身を置く者の責任をフルに発揮しないといけない」 と強調した。 共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は、 「先行する欧米が修正する混乱に周回遅れで敢えて突っ込み、社会的分断や対立を起こすことにならないかを考えねばならない」 と訴えた。 <独自>千葉県の多様性条例案、LGBTに「懸念」175件 意見公募の内容判明 2023/11/7 21:26 https://www.sankei.com/article/20231107-PW4RQ3NHGNPKHNJOWJBQFB6364/ 千葉県が 「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」 の骨子案へのパブリックコメント(意見公募)への意見提出状況をまとめたことが2023年11月7日、分かった。 669人・団体が提出し、延べ1279件の意見があったとしている。 2023年12月議会に条例案を提出する方針の県は、各会派に2023年11月8日、意見提出状況など条例案について説明する予定。 意見提出状況では、単純な賛成、反対の集計は困難であるとして、主な意見に分類し、件数(暫定値)などを紹介している。 主な意見の内訳では 「条例の趣旨に賛同」47件、 「条例制定後の施策への期待」42件、 「条例制定に対する懸念(外国人関係)」81件、 「条例制定に対する懸念(LGBT関係)」175件、 「『性自認』の文言を修正・削除すべきとの意見」42件、 「条例化する必要性がないとの意見」112件、 「時期尚早・議論不足との意見」58件、 「社会の活力向上や活躍よりも、その人らしく生きられることや生きづらさの解消を重視すべきとの意見」155件、 「差別禁止や罰則規定を設けるべきとの意見」44件、 「男女共同参画条例に関する意見」56件。 趣旨に賛同では 「在住外国人が増える中、今まさに必要とされている」 など2つの意見を紹介した。 施策への期待では 「性別を問わず、法律婚を選ばなかったカップルの権利を守るパートナーシップを県全体で認めていただく流れになることを期待している」 といった3つの意見を紹介している。 一方、外国人関係の懸念では 「外国籍の人による様々な問題が起きており、課題解決が先ではないか」 など2つの意見を載せた。 LGBT関係の懸念に関しては 「性自認を主張するだけでそれが尊重されることには反対」 「一般的な県民や女性や子供の安全な暮らしが損なわれ性犯罪などの可能性が増加してくると思われ不安」 など2つの意見を記している。 条例化する必要性がないとの意見では 「日本は元々多様性に富んだ国柄なので、わざわざ条例は作る必要はない」 など2つを紹介した。 その他として、 「東京2020五輪・パラリンピック県内開催、成田空港の機能強化、道路ネットワークの整備進展は、多様性尊重と関係ないのではないか」 といった3つの意見が示されている。 集計では、参考値として女性407▽男性211▽団体21▽不明30−から意見が寄せられたと明記している。 県政策企画課は取材に対し、 「2023年11月22日の議会開会の前には集計結果の詳細を公表したい」 と応えた。 性別適合手術は受忍限度内の措置 正論 2023年12月号 麗澤大学教授 八木秀次 「性同一性障害者の取扱いの特例に関する法律」(特例法)は、家庭裁判所が性同一性障害者の請求によって、その者の性別の取扱いの変更を審判する際に5つの条件を定めている。 @18歳以上であること(年齢条件) A現に婚姻をしていないこと(未婚条件) B現に未成年の子がいないこと(子無し条件) C生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖不能条件) Dその身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観条件) 5つの要件を全て満たし、性同一性障害に係る医師2名の診断書の提出がなされれば、家庭裁判所はその者の性別を変更する審判をすることができる。 審判を受けた者は、民法その他の法令の適用について、他の性別に変わったものと見做され、変更した性別による婚姻や養子縁組等が可能となる。 尚、審判前に生じた身分関係や権利義務関係への影響はないとされている。 2020年末までに性別の取扱いの変更を行った者は累計で1万301人になる(「日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会」調べ)。 5つの要件のうち、CDを合わせて性別適合手術と言うが、現在、最高裁でその合憲性が争われている。 大法廷が2023年10月25日に決定を出す予定になっており、2023年9月27日には申立人(男性)側の弁論が行われた。 判断次第では手術要件が撤廃されるが、親子関係などの社会秩序や性別で区別される制度・慣行を揺さぶり、社会を大きく混乱させる可能性がある。 性別適合手術とは、精巣や卵巣などの生殖腺の切除(C)と、例えば、男性から女性への性別移行には陰茎の切除(D)を指す。 女性から男性への性別移行には男性ホルモンの投与で陰核が肥大し陰茎に近似した形状になるため、男性から女性への性別移行よりも負担が少ない例が多い。 性別移行には身体を傷付ける手術を必要とすることから憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)と14条1項(法の下の平等)に反すると主張されている。 2023年10月12日、静岡家裁浜松支部は 「生殖腺を取り除く手術は、生殖機能の喪失という重大で不可逆的な結果をもたらすもの」 で、 「性別変更のために一律に手術を受けることを余儀なくされるのは、社会で混乱が発生する恐れの程度や医学的見地から見ても、必要性や合理性を欠くという疑問を禁じ得ない」 と、Cの生殖不能要件を違憲とし、無効とする決定を出した。 最高裁判断に先立ったもので注目される。 ■性自認と生殖能力は別物 最高裁は同じテーマについて2019年1月23日、第2小法廷で 「現時点では、憲法13条、14条1項に違反するとまでは言えないものの、その疑いが生じていることは否定できない」 としたため、約5年後に改めて大法廷で結論を出すことになった。 2019年時点で最高裁が性別適合手術を是認したのは 「変更前の性別の生殖腺により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」 からだった。 明示はないが、性自認と生殖能力は別物で、性自認は生物学上の性別から別の性に変わっても、変更前の性別の生殖腺が残れば、それに伴う生殖能力が残るとの認識があるものと考えられる。 また、性自認は変化する。 即ち性同一性障害者を含むトランスジェンダーであった者が生物学上の性別に伴う性自認に戻るケースも多く確認されているという事情への理解も前提にあったものと思われる。 生物学上の性別に伴う性自認に戻るケースが多くあることは、米国のトランスジェンダーの相談サイトの主宰者ウォルト・ヘイヤー氏が本誌で語っている(「『男→女→男』の私が言う『性』は変えられない」『正論』2022年5月号)。 同氏は自らも元トランスジェンダーでこれまで1万人以上の相談を受け、性自認が元に戻るケースを多く確認している。 その意味では性別適合手術は元の性別に伴う生殖能力を完全に失わせ、子が生まれることがないようにするための不可逆的な措置だと考えられる。 法律上の性別を変更した以上、変更前の性別に伴う生殖能力は完全に失わせ、肉体を変更後の新しい性別に近似させ、たとえ性自認が生物学上の性別に伴うものに戻ったとしても、再び法律上の性別変更がないようにするための措置だと考えられる。 性別適合手術を行い、その後は生涯に渡って変更後の性別で生きていくことを決意させる措置とも言える。 本人の性自認を尊重する考え方からすると、性自認に合わせて法律上の性別を変更しても構わず、身体を傷付ける性別適合手術を要件とするのは苛酷ではないか、ということにもなろう。 性別適合手術は社会保険適用がなく、高額な自己負担が必要にもなる。 同情の余地がないわけではないが、問題はそう簡単ではない。 ■性別の概念が壊れるケースも 2019年に最高裁が 「変更前の性別の生殖腺により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」 として性別適合手術を合憲とした際には具体例を示していないが、性別変更前の生殖腺を残したまま法律上の性別変更ができ、婚姻も可能であれば、以下の事例が生じ得る。 1)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性との間に非配偶者間人工授精(AID)で第三者の男性の精子提供で子を儲ける場合、法律上は夫の摘出子となるが、その子の法律上の父は女性の生殖腺を残した生物学上、女性である。 外見が女性であることも考えられ、性自認も元の女性に戻る可能性もある。 事実上の女性同士による同性婚ともなる。 2)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性と結婚するが、自分も子を産みたいとして第三者の男性の精子提供で出産した場合、生まれた子の母は法律上、男性である。 この場合も性別変更前の女性の生殖腺を残していることから妊娠・出産は可能である。 外見が女性であることも考えられ、性自認が元の女性に戻ることも考えられる。 事実上の女性同士の同性婚であり、双方が妊娠・出産する場合も考えられる。 3)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性と結婚するが、不貞行為によって第三者の男性との間に子を儲けた場合、子の母は法律上、男性である。 この場合も性別変更前の女性の生殖腺を残していることから妊娠・出産は可能となる。 性自認が元の女性に戻ることも考えられる。 この場合も不貞行為は別として、女性の生殖腺を持つ者同士の関係であり、婚姻の段階で同性婚が成立していることになる。 4「男性から女性へ性別変更した人」(MtF)が男性と結婚するが、不貞行為によって第三者の女性を妊娠させ、出産した場合、子の父は法律上、女性である。 この場合は男性の生殖腺を残していることから第三者の女性を妊娠させることは可能となる。 外見が男性で性自認が元の男性に戻る場合もあり、この場合は事実上の男性同士の同性婚となる。 5)「男性から女性へ性別変更した人」と「女性から男性に性別変更した人」が結婚して子を儲けた場合、子の母(出産した者)は法律上、男性であり、父は戸籍上、女性となる。 男女が逆転しているケースだが、共に性別変更前の生殖腺を残していれば、元の性別での生殖能力により、妊娠・出産できる。 外見が元の性別のままであり、性自認も元の性別に戻る場合もある。 こうなれば、最早性別は意味を持たなくなる。 性別の概念自体が壊れる。 実際には稀なケースだろうが、生じない可能性はない。 性別変更前の生殖腺が残っており、それに伴う生殖能力が維持されていれば、十分に生じ得るケースだ。 まさに 「親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」 事例と言ってよい。 その間で生まれ育つ子供の福祉についても考慮しなければならない。 少数でも生じれば、受け入れるよう家族制度全体の変更も余儀なくされる。 1)について補足しておくと、性別変更によって女性から男性となった人(夫)の妻がAIDによって第三者の提供精子で子を懐胎・出産した場合、かつては、その子の夫の摘出でない子(非摘出子)として取り扱ってきた。 しかし、最高裁第3小法廷は2013年12月10日に 「性別の取扱いの変更の審判を受けた者については、(中略)一方でそのような者に婚姻することを認めながら、他方で、その主要な効果である同条(民法第772条)による摘出の推定についての規定の適用を、妻との性的関係の結果儲けた子であり得ないことを理由に認めないとすることは相当ではない」 との決定を出し、法律上、夫の摘出子となるとした。 夫の摘出子としなくとも、特別養子縁組で法的な親子関係を生じさせることもできる。 それを敢えて夫の摘出子と正面から認めることで生物学上は女性である父親の存在を公認したことになった。 この問題は本誌でも西部邁氏との対談で批判したところだ(「《対談》何サマや最高裁!婚外子・性転換『父』子裁判の浅慮と傲慢を糺す。」『正論』2014年3月号)。 ■性別の再変更による混乱 2013年の時点では最高裁は性別適合手術を行って女性には再び戻らない存在を法律上の父と認める判断をしたが、10年後には性別適合手術の撤廃を求める判断をし、女性の生殖腺を維持し、場合によっては外見や性自認も女性のままの法律上の父を認めることになるかもしれない。 これは 「女性の肉体をした法律上の父親」 「男性の肉体をした法律上の母親」 を誕生させるなど親子関係を混乱させる。 しかし、実は既に元女性で現在は男性の母や元男性で現在は女性の父は存在する。 特例法が規定する5つの要件のうちの 「B現に未成年の子がいないこと(子無し要件)は2003年の制定当初は 「現に子がいないこと」 とされていたが、2008年に現行の規定に改正された。 当初の 「現に子がいないこと」 との要件は 「女である父」 や 「男である母」 が生じることによる家族秩序の混乱や子の福祉への影響を懸念する議論に配慮したものだった。 最高裁も2007年10月19日、第3小法廷で 「(この規定は)合理性を欠くもとは言えないから、国会の裁量権の範囲を逸脱するものと言うことはできない」 と合憲判断したが、既に子がいる性同一性障害者について一律に性別変更ができないとすることへの批判が強まり、 「現に未成年の子がいないこと」 へと改正され、要件が緩和された。 これにより成年に達した子との関係では 「女である父」 や 「男である母」 が生じることになった。 性別変更前の生殖腺を残したまま性別変更し、婚姻できるとすることは、1)2)3)4)の事例のように事実上の同性婚を認めることを意味する。 女性の生殖腺を維持し、外見も女性だが、法律上は男性である者と、生まれながらの女性との婚姻を可能にする。 場合によってはその法律上の男性の性自認は女性に戻っている可能性もある。 その逆に男性の生殖腺を維持し、外見も男性だが、法律上は女性である者と、生まれながらの男性と婚姻を可能にする。 場合によってはその法律上の女性の性自認は男性に戻っている可能性もある。 次には性自認が女性に戻った法律上の男性は、法律上の性別を男性から女性に再変更することを求めてくるかもしれない。 逆に性自認が男性に戻った法律上の女性は、法律上の性別を女性から男性に再変更することを求めてくるかもしれない。 もうこうなってくると法律上の性別が何を意味しているのかも分からなくなる。 現行法では性別の再変更は不可能だが、可能にする法改正を求めるかもしれない。 性別の再変更が実現すれば、法律上の女性同士、法律上の男性同士の婚姻となる。 ■外見とは別の法律上の存在 最高裁は既に2023年7月11日、第3小法廷で経済産業省に勤めるトランスジェンダー女性職員が職場の執務階の女性トイレを使用することを制限されたことについて、制限は 「違法」(国家公務員法違反) として撤回を求める判断をした。 裁判官の補足意見には 「(原告は)性別適合手術を受けておらず、戸籍上は尚男性であっても、経済産業省には、自らの性自認に基づいて社会生活を送る利益をできる限り尊重した対応を取ることが求められていた」 [宇賀克也裁判官(学者出身)] 「自認する性別に即した社会生活を送ることは、誰にとっても重要な利益であり、取り分けトランスジェンダーである者にとっては、切実な利益であること、そして、このような利益は法的に保護されるべきものと捉えること」 [長嶺安政裁判官(外交官出身)] とする意見もあった。 本人の性自認の尊重を 「切実な利益」 「法的に保護されるべき利益」 と擁護している。 この判決の原告は性別適合手術を健康上の理由から受けていない。 宇賀裁判官は補足意見で 「性別適合手術は、身体への侵襲が避けられず、生命及び健康への危険を伴うものであり、経済的負担も大きく、また、体質等により受けることができない者もいるので、これを受けていない場合であっても、可能な限り、本人の性自認を尊重する対応を取るべきと言える」 と性別適合手術要件の撤廃を主張している。 性別適合手術が不要になれば、専門医の診断が必要であるが元の生殖腺や外性器を残したまま性別変更ができる。 そうなれば、これまでの性別概念は崩れる。 生殖腺や外性器で判断せず、本人の性自認を重視することになれば、男性の外見をした法律上の女性や女性の外見をした法律上の男性が存在することになる。 生殖腺や外性器、外見などで男女の性別を区別してきた性別概念が意味を持たなくなり、性別を前提とした社会制度や慣習が瓦解する。 性自認を虚言して性別変更すれば、同性婚も可能だ。 性自認や外性器を残したままであれば、性自認は別として生殖能力もある。 ■性自認は主観的な領域 性自認は心の問題で優れて主観的な領域だ。 性自認が固定せず、流動的な人もいるとされ、極端な場合は日替わり、ある時は男性、またある時は女性という場合もある。 更に性自認と性的指向は必ずしも対応せず、様々な組み合わせがある。 性自認を女性とする自分や女装した自分に、男性として性的に興奮を覚えるというケースもある。 性的嗜好(好み)は多様で、性自認だけを取り上げて尊重すればよいというものでもないらしい。 例えば、トランスレズビアンと呼ばれる生物学上は男性だが性自認は女性で性的指向は女性に向かう人たちは、性別適合手術をしていない場合が多数だが、彼らには男性の生殖能力があり、かつ女性を性愛の対象にする。 性自認の尊重が 「法的に保護される利益」 となれば、こういった人たちの性自認は可能な限り尊重されなければならない。 性自認は女性であるからトイレを含む女性専用スペースへの立ち入りも認められなければならない。 しかし、生まれながらの女性には拒否感情や恐怖の念がある。 男性の生殖能力や性欲を持つことへの恐怖心だ。 海外では女性刑務所にトランスレズビアンを収容し、女性受刑者がレイプされ、妊娠した事件もある。 女子スポーツ界へのトランスジェンダー女性の参入についても、性別適合手術が不要になれば、男性の生殖能力や外性器を持つ人たちを女性として受け入れることになる。 体格や心配能力、腕力が一般の女性より優れていることに加えて、男性ホルモンを分泌しており、闘争心が強い。 スポーツの公平性が問われる。 性別適合手術は身体を傷付ける外科手術であり、当人には苛酷だが、変更した性別で生きることと社会を混乱させないことを両立させるための不可避の受忍限度内の措置と言える。 最高裁には社会全体の在り方を考えた賢明な判断を期待したい。 「手術は唯一の客観的基準」 手術で性別変更の女性、最高裁決定に憤り 2023/10/25 18:49 https://www.sankei.com/article/20231025-SCSXJVEAIZKYDEW5IQSMYJI6FA/ 「性同一性障害特例法の規定は私たちと社会との『約束』」 「それを覆す判断は認められない」。 性別適合手術を経て女性に性別変更した当事者で 「性同一性障害特例法を守る会」 代表の美山みどりさん(61)は、生殖不能要件を 「違憲」 とした2023年10月25日の最高裁決定に憤りを露わにした。 「私たちは手術を受けることで社会に受け入れられてきた」 とする美山さんらは2023年8月以降、最高裁に生殖不能要件をはじめとした手術要件を違憲としないよう求めて署名活動を行ってきた。 性同一性障害の当事者を含め、2万筆を超える賛同が集まったという。 美山さんは多様な生き方を尊重しつつも 「手術は、客観的に性別変更の証明が可能なほぼ唯一の手段」 「それが社会の判断の根底に置かれるべきだ」 と説明。 今後、生殖不能要件が撤廃されれば 「当事者が警戒の目で見られ、差別が一層深まることも考えられる」 と懸念する。 海外でも性自認を巡って社会の分断が生じており、 「社会全体で丁寧な議論を積み重ねていくことが重要だ」 と訴えた。 手術要件の条文削除など法改正へ 性同一性障害特例法 2023/10/25 18:31 https://www.sankei.com/article/20231025-QAT2SHYDNFKFVLE7ERNFHZCFA4/ 性別変更に生殖機能をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定が2023年10月25日の最高裁決定で違憲で無効とされたことで、政府は特例法の改正を目指すことになる。 平成16年に施行された特例法は、戸籍上の性別が性自認の不一致から公的手続きなどで生じる障害を取り除くのが目的。 複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている の要件を全て満たせば、家事審判を経て性別変更できると定める。 Bは当初、単に 「子がいないこと」 とされていたが、平成20年に要件が緩和された。 @についても、民法改正による成人年齢の引き下げに伴い、2022年4月から性別変更可能な年齢が20歳から引き下げられた。 今回の最高裁決定を受けて、政府は法務省を中心に、Cの規定を条文から削除するか、文言を変更するなどして特例法の改正案をまとめ、国会に提出することが求められる。 一方、決定ではDの要件についての憲法適合性は判断されなかったが、審理が差し戻された高裁での判断や国会などの議論の行方次第では、この要件についても改正の対象になる可能性があり、幅広い検討を迫られそうだ。 戸籍上の性別変更、認められたのは20年間で1万人超 2023/10/25 18:11 https://www.sankei.com/article/20231025-YEXLYKD7KRJOZCRTDGEYATQBXQ/ 戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定について、最高裁は2023年10月25日、規定を 「違憲」 と判断した。 自認する性別が出生時と異なるトランスジェンダーの人が同法に基づき戸籍上の性別を変更するケースは、年々増加している。 最高裁によると、全国の家庭裁判所などで性別変更が認められたのは特例法の施行翌年の平成17年には229人だったが、令和元年は過去最多の9480人に。 その後も年間600〜800人台で推移し、令和4年までの累計で1万1919人にのぼっている。 一方、生殖機能をなくす手術要件を巡っては、2014(平成26)年に世界保健機関(WHO)などが手術の強要は人権侵害で、自己決定や人間の尊厳の尊重に反するとして廃絶を求める共同声明を発表。 海外では要件としない国も増えている。 生殖不能手術要件は「違憲」 性別変更規定巡り最高裁が初判断、4年前から変更 2023/10/25 15:16 https://www.sankei.com/article/20231025-PHRZXWXMHBPZTB3MDTZENUM3CE/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする法律の規定の合憲性が争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は2023年10月25日、規定を 「違憲」 と判断した。 裁判官15人全員一致の結論。 4年前の2019年に 「合憲」 とした最高裁判断を変更。 国は規定の見直しを迫られることになる。 最高裁が法令を違憲としたのは12例目。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている の5つの要件を全て満たせば、性別変更できると定めている。 Cを満たすには精巣や卵巣を摘出して生殖能力をなくす手術が欠かせず、Dについても外観の手術が必要となるケースが多いとされる。 家事審判の申し立て人は、戸籍上は男性だが性自認は女性の社会人。 手術は心身や経済的な負担が大きく、ホルモン治療などにより手術なしでも要件を満たしていると訴えた。 1、2審段階ではCの規定を理由に性別変更を認めず、Dについては判断していなかった。 大法廷は2023年10月25日付の決定で、Cの規定について違憲と判断。 Dについては憲法適合性を判断せず、審理を2審に差し戻した。 Cの規定を巡っては、最高裁第2小法廷が平成31年1月、手術せずに性別変更前の生殖機能で子が生まれると 「社会に混乱を生じさせかねない」 として 「現時点では合憲」 と指摘。 ただ 「社会の変化などに応じ変わりうる」 としていた。 2023年10月に入り、女性から男性への性別変更を求めた別の家事審判で静岡家裁浜松支部がCの規定を違憲とする初の司法判断を出していたが、下級審への拘束力はなく、15人の裁判官全員で審理する最高裁大法廷の判断が注目されていた。 性別変更には手術を…は違憲か 25日に最高裁大法廷が判断 2023/10/23 16:36 https://www.sankei.com/article/20231023-H65BJQF72FN3VCD2U3QFKJUVCI/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術は必要か−。 こんな争点の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が2023年10月25日に決定を出す。 4年前の2019(平成31)年1月に最高裁で 「合憲」 とされたが、2023年10月に入り家裁で 「違憲」 とする初の司法判断が出た。 社会情勢の変化などを踏まえ、最高裁がどう判断するか注目される。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか、生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている を全て満たせば、家事審判を経て性別を変更できると定める。 Cを満たすには男性は精巣、女性なら卵巣の除去手術などが必須。 Dについても、特に男性から女性への性別変更では手術が必要な場合が多い。 今回、家事審判を申し立てたのは戸籍上は男性で性自認が女性の社会人。 手術は心身への負荷や経済的な負担が大きく、ホルモン治療で生殖機能も減退しているなどと訴えた。 1、2審はCの規定を理由に性別変更を認めず、Dについては判断を示さなかった。 Cの規定を巡っては最高裁第2小法廷が2019(平成31)年1月、手術せずに性別変更前の生殖機能で子が生まれると 「社会に混乱を生じさせかねない」 として 「現時点では合憲」 と指摘。 ただ 「社会の変化などに応じ変わり得る」 とも言及していた。 一方、女性から男性への性別変更を求めた別の家事審判で静岡家裁浜松支部が2023年10月11日付で出した決定では、2019(平成31)年の最高裁決定を踏まえ、生殖腺除去手術を受ける場合のリスクと社会への影響を検討。 ▽性別変更後の出産は稀で、混乱も限られる ▽国際的に手術要件は廃止される傾向にある ▽性的少数者への理解増進法が今年施行されるなど社会情勢の変化がある などとして規定を違憲として性別変更を認めた。 今回、最高裁がCを違憲と判断すれば、特例法の要件自体を見直す必要が生じ、手術を受けずに性別変更を望む当事者全体に影響する。 判断されていないDについて、どの程度踏み込むかもポイントとなる。 性別変更「手術要件」堅持を 女性団体、最高裁に要請 2023/10/19 22:17 https://www.sankei.com/article/20231019-LC5UOI3XKVJNVELVOVCJCBFOTQ/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、性別適合手術を要件とする現行法の規定の合憲性が争われている家事審判を巡り、女性有志の市民団体 「女性の定義を守る会」 は2023年10月19日、最高裁判所に要件の堅持を求める要請書を提出した。 家事審判は2023年10月25日に最高裁大法廷が決定を出す。 2004(平成16)年施行の性同一性障害特例法は、性別変更の審判を受ける要件に 「18歳以上」 「未婚」 などに加え、 「生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある」 と定めている。 特例法で性別を変更するには、性別適合手術を受けた場合がほとんどだ。 同会は要請書で、法的な性別変更を可能にした特例法そのものが 「女性の尊厳を著しく侵害している」 と主張。 「性別の在り方を自分で決められる権利は他者の人格を侵害する」 と訴え、家事審判について合憲判決を求めた。 同会の青谷ゆかり共同代表は産経新聞の取材に、要件緩和の流れについて懸念を示し、 「(性犯罪目的の男が制度を悪用し)性犯罪が今よりも起こりやすい環境になってしまう」 「(自らの性を自身で決める性自認で法的な性別の変更を可能とする)『ジェンダー・セルフID』の制度化に繋がりかねない」 と語った。 「手術要件」 を巡っては、2023年10月11日に静岡家裁浜松支部が、別の家事審判で 「違憲」 とする初の司法判断を出している。 性別変更の手術要件、25日に再び判断 最高裁大法廷 2023/10/18 17:44 https://www.sankei.com/article/20231018-6JUWKZPBBVM35ARNRN5EBG2MNY/ 性同一性障害のある人が戸籍上の性別を変える場合、生殖能力をなくす手術が必要とする法律の規定が合憲かどうかが争われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は2023年10月18日、決定を2023年10月25日に出すと当事者側に通知した。 規定を巡っては最高裁が4年前の2019年1月に 「現時点では合憲」 とする初判断を示しており、改めて判断される。 この規定を巡っては、2023年10月に入り静岡家裁浜松支部が、別の家事審判で 「違憲」 とする初の司法判断を出し、確定。 ただ他の裁判所を拘束する効力はなく、社会情勢の変化などを踏まえて最高裁が再び出す結論に注目が集まる。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか機能を永続的に欠いている D変更後の性別の性器に似た外見を備えている の要件を全て満たせば、家事審判を経て性別変更できると定める。 今回、最高裁で審理されている家事審判を申し立てたのは、戸籍が男性で性自認が女性の社会人。 長年のホルモン治療で生殖能力は減退しており、手術しなくても要件を満たしていると訴えている。 最高裁第2小法廷は2019(平成31)年1月、Cの規定について、親子関係や社会の混乱への配慮に基づいており 「現時点では合憲」 としつつ 「社会の変化に伴い継続的な検討が必要」 とする判断を示していた。 今回の家事審判は最高裁の裁判官15人全員で審理する大法廷に回付され、2023年9月に当事者側の訴えを聞く弁論や、当事者が非公開で陳述する審尋が開かれていた。 性別変更時の手術要件は「違憲」 静岡家裁浜松支部が初判断、当事者の申し立て認める 2023/10/12 20:36 https://www.sankei.com/article/20231012-XBK4I5HQLRL5TB5RB4MTKFIAAE/ 性同一性障害の診断を受け、戸籍上は女性で性自認が男性の鈴木げんさん(48)が生殖機能をなくす性別適合手術をしないまま、戸籍上の性別変更を求めた静岡家裁浜松支部への申し立てについて、同支部は2023年10月12日までに、性別変更に手術を求める現行法の規定は 「憲法違反で無効」 との判断を示し性別変更を認めた。 2023年10月11日付。 弁護団によると、初の司法判断。 鈴木さんは、幼少期から女性として扱われることに違和感があり、40歳で性同一性障害の診断を受けた。 2021(令和3)年10月に家裁に申し立てた。
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