<■747行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> <主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか 2024/12/4 5:00 https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/ 石破茂首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が、国会で行われている。 政治とカネの問題について活発な論戦が展開される一方で、外交安全保障の議論が低調なのは残念だ。 自民党の松山政司参院幹事長は、中国が台湾を巡り 「必ず完全統一を実現する」 と主張していることや、ウクライナ侵略を続けるロシアと北朝鮮との関係強化に触れ、東アジアの安保環境が大きく揺らぐことのないよう、着実な防衛力の強化を求めた。 首相が答弁で抑止力と対処力の強化を図るとしたのは妥当だが、 「台湾海峡の平和と安定」 が重要だという問題意識や、そのための具体的方策を語らなかったのはいただけない。 安全保障を真剣に考えていないと見做さざるを得ないのは最大野党の立憲民主党だ。 野田佳彦代表は日中関係を巡り、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への中国の加盟問題や相次ぐ邦人の拘束などを取り上げたが、首相同様に 「台湾」 への言及はなかった。 野田氏はロシアと北朝鮮の軍事協力を踏まえ、朝鮮半島有事の際のロシア参戦の恐れを指摘し、 「我が国の安全保障上の危機」 との認識を示した。 それはもっともだが、ロシアのウクライナ侵略自体も論じるべきではなかったか。 辻元清美代表代行は5年間の防衛費43兆円について 「軍事から人へ付け替えたらどうか」 「足枷になっている」 と語り、別の用途への充当を求めた。 これは、力の信奉者である中国や北朝鮮などに誤ったメッセージを送り、平和を保つ抑止力を低下させてしまう危うい議論だ。 もし、台湾有事などが起きれば、国民の生命や巨額の国富が失われてしまうのである。 代表質問に立った公明党や立民など各野党が台湾問題を重視しないのは理解に苦しむ。 政治とカネの問題では立民や日本維新の会、共産党が企業・団体献金の禁止を求め、首相は 「不適切だとは考えていない」 と答弁した。 企業・団体の政治活動の自由も引き続き認められるべきである。 立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。 選択的といっても、片方の親と子の 「強制的親子別姓」 である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。<主張>所信表明演説 対中認識が甘すぎないか 社説 2024/11/30 5:00 https://www.sankei.com/article/20241130-KKRAQ7IFABPOBCBC4GTUYQGQK4/ 石破茂首相が臨時国会で、所信表明演説を行った。 政権運営の基本方針として 「国民の声を踏まえ他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう、真摯に謙虚に取り組む」 と語った。 首相は国民民主党が求めている 「年収103万円の壁」 の解消に向け、非課税枠の引き上げを表明した。 少数与党に転じたことを受けての姿勢だが、前途は多難だろう。 内政と共に大事なのが外交安全保障だ。 驚いたのは中国に関する首相の認識だ。 先の習近平国家主席との会談に関し 「噛み合った議論を行うことが出来た」 と改めて自賛したのは理解に苦しむ。 首相は中国軍の活発な活動や深圳での日本人児童殺害などを巡る懸念を 「率直に提起した」 と語ったが、ほぼゼロ回答だったではないか。 中国は日本人に対する短期滞在ビザ(査証)の免除措置を2024年11月30日から再開すると発表した。 首相は 「私が指摘した」 と誇ったが、そもそも中国は在留邦人を不当に拘束する国だ。 最近では無差別殺傷事件も相次ぐ。 喜ぶような話ではない。 首相は 「主張すべきことは主張する」 「協力できる分野では協力する」 「それが国益に基づく現実的外交だ」 と述べた。 主張なら誰でも出来る。 中国の行動を実際に改めさせるのが国益だと、何故考えないのか。 台湾有事が懸念される中、対中抑止力を高めることが必要で、防衛力と日米同盟の強化が欠かせない。 そのためにも首相とトランプ米次期大統領との会談は重要だ。 首相は大統領就任前の面会は困難という理由で断られたが、トランプ氏は少なくともアルゼンチンの大統領とは会っている。 引き続き早期の会談を模索すべきだ。 北朝鮮による拉致問題については、金正恩朝鮮労働党総書記に会談を呼び掛けなかった。 安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の歴代首相は国会演説で金氏と向き合う決意を示してきた。 石破首相が会談を求めなかったことが、北朝鮮に誤ったメッセージとなった可能性がある。 憲法改正では岸田前首相は国会演説で 「条文案の具体化」 に言及していたが、石破首相は2024年10月と今回の2つの所信表明演説で条文化を語らなかった。 憲法改正の必要性を本気で訴えねばならない。 少数与党として「幅広い合意形成図られるよう謙虚に取り組む」 石破首相所信表明演説全文 2024/11/29 18:56 https://www.sankei.com/article/20241129-6CRCTNZKWJKSXCIINQDA3P72XE/ 石破茂首相は29日の衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。演説の全文は以下の通り。 □ 一 政権運営の基本方針 (民主主義のあるべき姿) 「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、各々の立場を明らかにしつつ、力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍していくようにしなければならない」 これは、昭和32年2月の石橋湛山内閣施政方針演説の一節です。 この言葉に示されているとおり、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、より良い成案を得ることだと考えます。 先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第一党として、自由民主党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく、取り組んで参ります。 二 3つの重要政策課題への対応 全ての国民の幸せを実現するため、3つの重要政策課題への対応を進めます。 (一)首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策 (基本的考え方) まず第一は、外交・安全保障上の課題への対応です。 国際秩序に大きな挑戦がもたらされています。 ロシアによるウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮の兵士がウクライナに対する戦闘に参加しています。 中東地域で続く報復の応酬は未だに終わりが見えません。 我が国周辺に目を転じれば、今年後半だけを見ても、中国、ロシアの軍用機がわが国領空を相次いで侵犯した他、中国空母が我が国領海に近接する海域を航行しました。 戦闘機を含む中国空母2隻の艦載機は約1200回に及ぶ発着艦を太平洋で行いました。 ロシアの哨戒機は我が国を周回する飛行を行いました。 北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含め、近年かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。 こうした厳しく複雑な国際社会においても、国家の舵取りを行うに当たっての基本は変わりません。 即ち、我が国としての、そして同盟に基づく抑止力・対処力を維持・強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことです。 これにより、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持して参ります。 (首脳会談の成果) 私は、先般、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、ブラジルでのG20(20カ国・地域)に出席し、自由貿易体制の維持・強化、飢餓・貧困の撲滅といった国際社会の諸課題につき、我が国の理念、施策を発信すると共に、各国首脳との間で個別に意見交換を行いました。 アメリカ合衆国のバイデン大統領とは、今後も、揺るぎない日米同盟をさらに発展させていくことで一致しました。 合衆国では、来年2025年1月には第2期トランプ政権が発足します。 日米安保体制は、我が国の外交・安全保障政策の基軸です。 しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ています。 当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります。 だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます。 トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とも、来年2025年、国交正常化60周年を迎える中、首脳会談も頻繁に行い、日韓関係を大いに飛躍させる年にしよう、ということで一致しました。 日米韓3カ国の首脳会談も行いました。 中国の習近平国家主席とも、嚙み合った議論を行うことができたと感じています。 日中間には様々な懸案、意見の相違があります。 首脳会談の際、私からは、中国軍の活動の活発化や深圳での児童殺害事件など、我が国の懸念について率直に提起を致しました。 また、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大も求めました。 私が指摘した短期滞在の日本人への査証免除再開については、既に中国側から明日2024年11月30日に開始するとの発表がありました。 このように、諸課題について、主張すべきことは主張する。 しかし、その上で、協力できる分野では協力していく。 それが私の考える国益に基づく現実的外交です。 中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習主席とも確認した、 「戦略的互恵関係」 の包括的推進、 「建設的かつ安定的な関係」 の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。 日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。 (防衛力の抜本的強化) 外交と防衛は車の両輪です。 私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進めると共に、同盟国・同志国との連携を更に深めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。 防衛力の最大の基盤である自衛官の充足が約90%に留まっていることは、極めて深刻な課題と認識しています。 自衛隊の人的基盤の強化に向け、私を議長とする関係閣僚会議を既に3回開催し、議論を重ねています。 隊員の生活・勤務環境の改善等、早急に実現可能な方策は経済対策に盛り込み、併せて、若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計を確立し、退職後も社会で活躍するための施策の方向性についても、年内に結論を得て、可能なものから令和7年度予算に盛り込みます。 沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます。 普天間飛行場の1日も早い返還を実現するため、辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に基づき、着実に工事を進めて参ります。 沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感して頂けるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続します。 加えて、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めると共に、駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます。 サイバー攻撃の脅威は差し迫った課題であり、有識者会議の提言も踏まえ、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させるための法案を、可能な限り早期に国会に提出すべく、検討を更に加速します。 (拉致問題) 拉致問題は、単なる誘拐事件であるに止まらず、その本質は国家主権の侵害です。 拉致被害者やそのご家族がご高齢となる中で、時間的制約のある、一時も揺るがせに出来ない人道問題であり、政権の最重要課題です。 国家としての、また、私自身の断固たる決意の下、その解決に取り組んで参ります。 先に述べました日米、日韓の首脳会談においても、引き続きの連携を確認致しました。 (二)日本全体の活力を取り戻す (基本的考え方) 重要政策課題の第2は、日本全体の活力を取り戻すことです。 人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下しています。 こうした状況は、我が国の経済・社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少に繋がりかねません。 この流れを反転させるため、地域の活力を取り戻す地方創生の再起動、経済の活力を取り戻す 「賃上げと投資が牽引する成長型経済」 への移行、全世代型社会保障の構築等の3つの取組を強力に進めて参ります。 (地方創生2・0) 地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の、多様な幸せを実現するための社会政策です。 元気な地方から元気な日本を作る試みは、多くの点となって息づいていますが、未だ全国的な広がりには欠けています。 これを集めて面にして、やがては日本中の皆さまに、 「面白い」、 「楽しい」 という思いを広げていかなければなりません。 宮崎県小林市では、フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークなわが 「まち」 紹介動画を作成し、話題となりました。 これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したものでした。 故郷を離れてしまう前に、故郷に誇りを持ってほしい、そして故郷のために活躍してほしいとの市長の願いからでした。 鹿児島県伊仙町では、町長が集落を回り、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者から、子供たちのためにもっとお金を使ってほしいとの意見がでました。 出産や子育て環境を充実させ、平成15年から平成24年までの間、合計特殊出生率日本一となる、 「2・42」、 「2・81」 を実現しました。 これらを決して、1つの 「まち」 の物語に留めてはなりません。 日本中の同じ課題を抱えている皆様と、これまでの地方創生の成功事例から学び、 「産官学金労言」 で英知を集め、我が 「まち」 を輝かせるため、共に取り組んでいく所存です。 デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めていきます。 「地方創生2・0」 を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増します。 新しいICT(情報通信技術)技術もフル活用しながら、持てるポテンシャルがまだまだ眠っている地方の農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化を進めると共に、新たな重点として文化芸術・スポーツの振興にも取り組みます。 来年2025年4月に開幕する大阪・関西万博の機会も最大限に活用します。 この2024年夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しい所です。 人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保します。 農林水産業に携わる方々が安心して再生産でき、食料システム全体が持続的に発展し、活力ある農山漁村を後世へ引き継げるよう、施策を充実・強化します。 地方の取り組みが花開くためには、国としての環境整備も必要です。GX(グリーントランスフォーメーション)の例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力に繫がる動きが始まりつつあります。 投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模の先行投資支援を行い、官民で150兆円を超えるGX投資を実現します。 GXによる産業構造や産業立地の将来像について、2040年に向けたビジョンを2024年年内に示し、核となる拠点を広げていきます。 エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画もまとめて参ります。 「地方創生2・0」 には、魅力ある働き方・職場作りも重要です。 男女間の賃金格差が地域によって異なる中、若者や女性が安心して暮らせる 「働き方」 とは何か。 非正規雇用の方の正規化をどのように進めるか。 時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も大いに活用すべきです。 女性の雇用における 「L字カーブ」 の解消、男性の育児休業の推進にも取り組み、社会の構造・意識の変化に繋げて参ります。 「人づくりこそ国づくり」。 教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めます。 (経済全体の活力) 30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です。 そして、1位だった国際競争力は、今、38位に落ちました。 配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました。 デフレ経済の中、雇用は安定してきたが、給料は上がらない、安い商品はあるが、革新的な商品・サービスはあまり生まれてこない、という状況だったのではないでしょうか。 しかし、ようやく約30年ぶりの高い水準の賃上げと、過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが表れています。 コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換を進めなければなりません。 ドイツや韓国と比較すると、GDPに占める輸出の割合が低いわが国においては、経済安全保障の観点からも、付加価値の高いサプライチェーン(供給網)を国内に回帰・立地させていくことも重要です。 先般の政労使の意見交換において、約30年ぶりの高い水準となった今年2024年の勢いで、来年2025年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を、私から要請しました。 また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を、関係閣僚に指示しました。 DXを切り口として、日本の潜在的な強みであるAI(人工知能)、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーションとスタートアップの支援、スキル向上などの人への投資を進めてまいります。 今こそ、 「賃上げと投資が牽引する成長型経済」 を実現し、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国として参ります。 (社会保障等) これらの取り組みと合わせて、子育て支援を強力に推進すると共に、国民の皆様に安心して頂ける社会保障制度を構築します。 本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者をはじめ女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う、全世代型の社会保障を構築していきます。 今月2024年11月、関係大臣には 「改革工程」 に掲げられた事項の具体化を指示しました。 丁寧な議論を行って、実現できる項目から着実に実施して参ります。 来月2024年12月2日には健康保険証の新規発行が終了します。 マイナ保険証の利用を促進しつつ、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、これまで通り診療が受けられるようにしています。 国民の皆様の不安には迅速に応え、丁寧に対応するというのが私の考えです。 「経済あっての財政」 との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作っていきます。 (三)治安・防災 (基本的考え方) 重要政策課題の第3は、治安・防災への更なる対応です。 国民お1人お1人に、生き生きと、充実した日々を送って頂くための基盤となるのは、安心・安全な社会です。 (「防災庁」・防災対策) 地理的な条件が不利であり、財政的にも厳しい地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということは、国家としてあるべき姿ではありません。 避難所での生活環境を改善し、災害関連死を防ぐためにも、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準を、発災後早急に、全ての避難所で満たすことができるよう、事前防災を進めて参ります。 また、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを2倍に加速します。 能登半島地震・豪雨での教訓も踏まえ、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーなどの迅速な派遣のための官民連携による登録制度の創設、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材・物資の分散備蓄、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設など、避難者の皆様の生活環境の向上のため、最大限の対応をして参ります。 被災者が災害関連の各種申請を容易に行うことが出来るよう、更なる改善に取り組みます。 被災地では、被災者でもある自治体職員の負担を軽減しつつ、災害対応に万全を期する必要があります。 他の自治体に派遣する職員に対する訓練や、職員派遣による経験の蓄積を促進すると共に、特に大規模な災害については、予め支援自治体を定めるなどの準備も進めて参ります。 政府における体制も着実に強化します。 内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化することに加え、被災者の方々の声を必ず施策に反映させるとの強い思いから、2024年11月1日に立ち上げた 「防災庁設置準備室」 において、令和8年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進めて参ります。 (東日本大震災からの復興) 「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし。」 全閣僚が、こうした決意の下、被災者の生活や産業・生業の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進に、全力で取り組んでまいります。 (治安対策) 最近、いわゆる 「闇バイト」 による強盗・詐欺の報道を見ない日はありません。 他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはなりません。 悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層推進してまいります。 学校での啓発活動、若者に向けたSNS(交流サイト)による情報発信等を強化すると共に、 「闇バイト」 を募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めて参ります。 防犯カメラ等の整備、青パトによる活動などを国としても支援し、町ぐるみの防犯対策を更に促進して参ります。 また、性暴力、DV(家庭内暴力)、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。 三 経済対策・補正予算 国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じて頂くためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要です。 そのことを最重要課題として、 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」 を策定しました。 第1に、日本経済・地方経済の成長です。 家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。 まず、最低賃金の引き上げに取り組む他、中小企業をはじめとした事業者の皆様方が確かに儲かり、物価上昇に負けない賃上げをして頂けるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めると共に、省力化・デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化・成長のための支援を充実します。 地方の皆様方が希望と幸せを感じて頂くことも重要です。 地方創生の 「基本的な考え方」 を2024年年末までに取りまとめますが、地域活性化と合わせて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きなムーブメントを作り出していくため、いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、地方創生の交付金を倍増しつつ、前倒しで措置します。 将来も継続的に所得が増加する手立てを講じておくことも必要です。 資産運用立国および投資立国を実現します。 今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出します。 経済安全保障の強化や、リスキリングを含む人への投資も促して参ります。 第2に、成長型経済への移行に当たり誰1人取り残されないようにすることが重要です。 賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現までの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要です。 低所得者世帯の方々に対し給付金の支援を行います。 地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援の他、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにします。 家庭の電力使用量の最も大きい2025年1月から3月の冬季の電気・ガス代を支援します。 エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現のため、クリーンエネルギー自動車の購入支援や省エネ性能の高い住宅へのリフォームを支援します。 第3に、国民の安心・安全の確保です。 国民の皆様方が豊かさを感じられるのは、安心と安全があればこそです。 能登地域の皆さまが受けた地震・豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速します。 災害廃棄物処理の加速化、公営住宅の建設などの生活再建を進め、被災事業者の生業の再建を後押しします。 防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。 シェルターの確保等により国民保護の取り組みを強化します。 以上申し上げてきた、経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行って参りました。 いわゆる 「103万円の壁」 については、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げます。 いわゆる暫定税率の廃止を含む 「ガソリン減税」 については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。 これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。 政府としては、この経済対策を出来るだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出致します。 そして、国会でのご審議を頂き、早期の成立を目指します。 四 政治改革への対応 先の選挙結果は、主権者である国民の皆様からの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責であったと受け止めております。 「政治は国民のもの」 との原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら、政治改革に取り組んで参ります。 政党から議員に支出され、その先の具体的な使途が公開されていない政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第3者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めて参ります。 調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の使途公開および残金返納に向けて、既に国会でご議論頂いているところです。 国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、2024年年内に、必要な法整備も含めて、結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意、尽力して参ります。 五 憲法改正 憲法改正については、私自身、これまで長らく衆議院憲法審査会の委員を務め、議論に参加して参りました。 国会による発議の実現に向け、今後、衆議院および参議院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めて頂くことを期待します。 六 結語 石橋湛山内閣の施政方針演説では 「常に国家の永遠の運命に思いを致し、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしていくように努めたい」 とあります。 外交においても、内政においても、国民の後押しほど大きな力はありません。 国民の皆様に信頼を頂けるよう、誠心誠意取り組んで参ります。 国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。 <主張>臨時国会召集 立民は重責自覚し運営を 社説 2024/11/29 5:00 https://www.sankei.com/article/20241129-CSECZLGOFFJ5HENYCTIR3XWTSY/ 臨時国会が召集された。第2次石破茂内閣の発足後、初の本格的な論戦が行われる。 衆院選で与党が過半数割れし、立憲民主党が議席を大きく伸ばしたため、委員長・審査会長ポストの半数近くを野党が占めた。 強調しておきたいのは、国会運営の影響で国政の停滞を招いてはならないということだ。 30年前の羽田孜内閣の際も少数与党だった。 国会は混乱し、平成6年度予算の成立は同年6月にずれ込んだ。 審議が尽くされたにもかかわらず、採決を引き延ばすような恣意的な運営は許されない。 予算委員長や憲法審査会長などの重要ポストを得た立民は、国民に対し重責を負っていることを忘れてはならない。 予算委で審議する令和6年度補正予算案は政府の総合経済対策の裏付けとなるものである。 歳出規模、民間支出分を含めた事業規模は共に昨年2023年の経済対策を上回る。 自民、公明、国民民主の3党は年内の早期成立で合意しているが、需要不足が縮小する中で昨年2023年以上の規模にする必要があるのかなど見極める必要がある。 安住淳予算委員長に課せられた責任は重い。 議論の停滞が懸念されるのは憲法審査会だ。 枝野幸男審査会長は、これまで憲法改正の動きにブレーキをかけてきた。 憲法への自衛隊明記は改憲に前向きな政党で意見集約が進んでおり、早期実現が求められる。 南海トラフ巨大地震などの大規模災害や有事への懸念が高まる中、緊急事態条項の創設も急務だ。 自衛隊明記にも緊急事態条項創設にも、立民は反対しているが、枝野氏は憲法審で積み重ねてきた議論を尊重すべきである。 国会は改憲の動きを後退させてはならず、改憲原案の条文化を進めてほしい。 立民は法務委員会を舞台に選択的夫婦別姓制度を実現させようとしており、そのために法務委員長のポストを獲得した。 公明の斉藤鉄夫代表は制度の導入に向けて自民に働き掛けを行う考えを示している。 立民は与党の意見の食い違いを拡大させようとしている。 だが、党利党略で運営すべきでないのは当然だ。 石破首相や自民は家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更を受け入れてはならない。 <産経抄>臨時国会始まる、政治家の「責任」とは 2024/11/29 5:00 https://www.sankei.com/article/20241129-5NJLUUWRJNLANAGAEQXV2AH7SE/ 一説に、 「責任」 には2種類あるという。 自分が 「引き受ける」 ものと他人から 「押し付けられる」 もの。 「自己責任」 は、語感からして後者か。 <たいがいは他人がつける「自己」という語をはね返し「責任」よ立て>俵万智 ▼ピリッとした一首に背筋が伸びるのは、当方だけではあるまい。 辞書にある 「責任」 の語釈は、 「引き受ける」 という自発的な色が濃い。 ところが昨今は、 「自分は負わない」 式の無責任が目につく。 その代表格が石破茂首相というのが情けない。 ▼臨時国会が始まった。 首相が自らの判断で国民に信を問い、招いた少数与党の試練である。 大敗の責任を未だに取ろうとしない姿勢はいかがなものか。 トップに居座り続け、信頼を取り戻せると考えているのだろうか。 野党もまた国会運営にこれまで以上の責任を負っている。 ▼衆院の常任委員会や審査会では委員長・会長ポストの半数近くを立憲民主党などが握る。 憲法改正に待ったをかけるのは論外だ。 社会の基本を崩す選択的夫婦別姓制度では、拙速な議論を慎まねばならない。 「103万円の壁」 の撤廃を掲げる国民民主党の責任も問われている。 ▼所得税の非課税枠を引き上げれば、中央や地方の税収が減る。 「財源は与党の責任で」 は、議論が始まった当初の同党の姿勢だった。 議席を大幅に増やした国民民主が国会運営のキャスチングボートを握っている以上、責任の丸投げは許されない。 ▼<おろすわさびと恋路の意見/きけばきくほど涙出る>(柳家紫文著『人生に役立つ都々逸読本』から)。 恋路を政治に変えれば、石破首相の苦境にも当てはまる。 ピリッと引き締まった論戦を国民は望んでいる。 政治家の 「責任」 の取り方を示してもらおう。 <主張>総合経済対策 成長に資する効果みえぬ 社説 2024/11/24 5:00 https://www.sankei.com/article/20241124-YH6SGRF43JI3NMK66FDGOQ6UG4/ 中身よりも規模優先なのだろう。 政府が閣議決定した総合経済対策は、これを裏付ける令和6年度補正予算案が13・9兆円程度、民間支出分などを含む事業規模が39兆円程度となり、共に昨年2023年の経済対策を上回った。 石破茂首相は衆院選で昨年2023年を上回る対策にすると訴えた。 その際に政策の中身を軽視していたことは、旧態依然とした施策を漫然と並べた仕上がりを見れば明らかである。 深刻な物価高などに適切に対処すべきは当然だ。 必要なら大胆な財政措置も求められる。 だが、経済の需要不足が縮小する中でこれほど大規模にする必要があったのかは疑問が残る。 政策効果などを十分に吟味すべきなのに、その形跡もほとんど見受けられない。 新型コロナウイルス禍で膨張した歳出構造を元に戻す政府方針も石破首相には意味をなさないのか。 少数与党の苦境を挽回しようと、バラマキで国民の歓心を買おうとしているのなら見当違いだ。 物価高対策の1つは住民税が課税されない低所得世帯への3万円の給付金だ。 岸田文雄前政権でも実施した。 低所得世帯に絞るのはいいが、住民税非課税の高齢者世帯には多くの金融資産を持つ世帯もある。 真に支援が必要な世帯を支えているかどうかを見極めるべきだろう。 電気・ガス料金の補助を再開し、ガソリンの補助金は来年2025年1月以降も継続する。 これらは再開や延長を繰り返し、既に11兆円規模を投じてきた。 脱炭素や省エネに反するとの批判もある施策をダラダラと続けるだけではこの先の展望も開けない。 石破首相が重視する地方創生を巡っては 「新しい地方経済・生活環境創生交付金」 の創設などを盛り込んだ。 だが、交付金を増やせば地方が活性化するという単純な話ではあるまい。 地方創生は長年の懸案だ。 まずは従来施策の問題点を厳しく検証し、それを打開する効果的な政策を講じていくべきだ。 この点は他の施策も同様である。 政策効果の検証や見極めが不十分なままでは、いくら財政・税制措置を講じても政府の目指す 「成長型経済」 の実現は望めまい。 自民、公明両党と国民民主党の合意で経済対策に盛り込み、今後3党で協議する 「103万円の壁」 の見直しやガソリン減税についても、認識しておくべきことである。 石破茂首相、日朝連絡事務所設置案「維持か」 保守党・島田洋一氏、政府答弁書に懸念 2024/11/22 12:58 https://www.sankei.com/article/20241122-Y77FNK2V7FGK5NZTL74IOQQHOY/ 政府は2024年11月22日、北朝鮮拉致問題への対応を巡り、日朝間に連絡事務所を設置するとの石破茂首相の持論について 「覆す考えがあるか」 などと問われた質問主意書に対し、 「今後の対応に支障を来す恐れがあることから回答は差し控える」 とする答弁書を閣議決定した。 日本保守党の島田洋一衆院議員が、石破政権の拉致問題解決に向けた基本姿勢を主意書で質問した。 @拉致被害者家族会が反対している、東京と平壌の相互への連絡事務所設置案について、覆す考えはあるか A石破首相が(首相就任前に)家族会などと一体で活動している超党派の「拉致議連」から、北朝鮮に融和的とされる「日朝議連」へと活動の軸足を移した理由 B「日本はかつて北朝鮮を侵略して甚大な被害をもたらしたのだから、その事実を重く背負わないといけない」などとした日朝議連会長(衛藤征士郎元衆院副議長)の歴史認識を首相も共有するのか などを尋ねた。 ■「政府としてお答えする立場にない」連発 2024年11月22日の答弁書では、 @に関し、 「わが国の一貫した方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すというもの」 とした上で、 「解決に向けて何が最も効果的かという観点から、北朝鮮への対応を不断に検討していく」 「その点以外のお尋ねについては、今後の対応に支障を来す恐れがあることから、回答は差し控えたい」 とした。 また、Aでは、 「石破首相個人の政治活動に関するものであると考えられることから、政府としてお答えする立場にない」。 Bについても、当該歴史認識は衛藤氏個人の見解を前提としたものであり、 「政府としてお答えする立場にない」 とした。 連絡事務所案を巡っては、拉致被害者の居場所などに関する情報共有を目的としている一方、被害者家族会などは 「北朝鮮は被害者を厳重な管理下に置いており、今さら所在情報を共有する仕組みを構築する必要はない」 「相手の時間稼ぎに乗るだけだ」 などとして反対している。 主意書を提出した島田氏は産経新聞の取材に、 「首相は事務所設置案を捨てておらず、維持していると理解した」 「拉致問題への取り組み姿勢に関し、疑念や懸念を深めざるを得ない」 と語った。 逃げる、怖がる「国防のプロ」 石破首相が防衛省・自衛隊から嫌われるワケ 2024/11/19 6:00 https://www.sankei.com/article/20241119-C3AOIBQOPFMA7BUWFERAHUMIGQ/ 10年以上前の話だが、今振り返っても胃が痛くなる。 石破茂首相が第2次安倍晋三政権で自民党幹事長を務めていた時の話だ。 「杉本さん、やばいっすよ」 旧知の自民党職員から電話がかかってきた。 相当焦った様子だが、何の事だか分からない。 「インタビューですよ、インタビュー」 と言われてやっと思い出した。 この時点で、約束したインタビューの時間を過ぎていた。 取材相手との約束をすっぽかす記者などボンクラもいいところだ。 ましてや、相手は泣く子も黙る自民党幹事長。 急いで茶菓子を買い、泣きそうになりながら謝りに行った。 「これはなんだ? うまそうだなぁ」 石破氏は笑顔で迎え入れてくれ、ムッとした様子はおくびにも出さなかった。 これを機に石破氏の元に足繫く通って信頼獲得に努めるのが政治記者のあるべき姿であろうが、ボンクラのボンクラたる所以で、近寄れないまま時を過ごしてきた。 再び石破氏にインタビューを申し込んだのは、昨年2023年4月のことだ。 石破氏が小泉純一郎内閣で防衛庁長官、福田康夫内閣で防衛相を務めていた時の話を聞くためだった。 過去の失態の負い目があるから言うのではなく、石破氏の話は理路整然としていて、ハッとするような鋭い指摘もあった。 自身に対する周囲からの評価も冷静に受け止めていた。 石破氏は、当時の防衛省・自衛隊の雰囲気についてこう語った。 「この変な大臣、早く代わらないかな、という感じだった」 「国防のプロ」 として名を馳せてきた石破氏だが、防衛官僚や幕僚から嫌われていると感じているようだった。 ■今も残る反発 政治家である防衛相自ら防衛省・自衛隊の機構改革をリードした点で、石破氏は類例のない存在だ。 これも、嫌われる理由の1つだったかもしれない。 自衛隊を如何に動かすかを考える運用部門を背広組中心の内局から切り離し、実際に部隊を指揮する制服組中心の統合幕僚監部に統一する構想に先鞭をつけたのは石破氏だった。 自衛隊の装備調達や部隊編成を考える整備部門が内局と陸海空幕僚監部に分散していることを問題視し、組織を一本化する構想も石破氏拘りの政策だった。 いずれの改革も平成21年の民主党政権誕生と共に葬られ、運用部門の再編は第2次安倍政権で実現したものの、整備部門の改革は手つかずのままだ。 石破氏は昨年2023年のインタビューで 「これは(陸海空から)滅茶苦茶抵抗があったから今でも出来ていない」 と語った。 全国を5区画に分け、それぞれに陸上自衛隊方面隊を置く体制の見直しも見送られている。 「石破改革」 に賛同する防衛省・自衛隊関係者がいた一方で、今でも反発は残る。 実現した運用部局の改革に関しては、政治的考慮を抜きにして軍事合理性だけで運用を考えることはできない以上、内局の運用企画局を復活させるべきだと考える防衛省幹部もいる。 ■「私、辞めます」 石破氏が防衛省・自衛隊から嫌われる根本的な理由が政策論の是非というよりも、リーダーとしての資質にあるとすれば、事態は深刻だ。 平成26年の秋、安倍首相は石破氏を防衛相に起用する人事を考えていた。 石破氏はこれを断り、地方創生担当相に就任するのだが、自衛隊幹部は後にこう明かした。 「もしも石破さんが大臣になるんだったら、私は自衛隊を辞めようと思っていました」 防衛省・自衛隊の石破アレルギーを形成した要因の1つとして有名なのが、平成20年2月に千葉県沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」と衝突した漁船の2人が死亡した事故の際、防衛相の石破氏が取った対応だ。 この事故の5年後平成25年には、あたごの当直責任者ら2人が業務上過失致死などの罪に問われた刑事裁判で無罪が確定しているが、石破氏は事故直後に関係者の大量処分を断行した。 事故原因が分からない時点でフライング気味に 「自衛隊が悪い」 と決め付け、世論に阿ったと受け止める関係者は多い。 当時、海上幕僚監部防衛部長を務めていた河野克俊氏は後に石破氏の対応を繰り返し批判し、今年2024年11月1日発売の月刊『正論』12月号でもこう述べた。 「全てを部下の自衛隊員が悪いとし、部下を残して逃げられたのだという印象が否めません」 自衛隊が平成15年から平成21年までイラクで行った人道復興支援活動を巡る石破氏の振る舞いも評判が悪い。 防衛庁長官の石破氏がイラクを視察し、現地の安全を確認する案が調整されたが、結局、石破氏は平成16年9月に長官を退任するまでイラクには行かなかった。 当時の事情を知る防衛省関係者はこう語る。 「ああだこうだって言って行こうとしなくて、ようやく行くことになっても 『イラク視察の発表前にマスコミで報じられた』 って理由で結局行かなかった」 「石破さんの次に大臣になった大野功統さんは事前報道があってもイラクに行ったけどね」 石破氏にも言い分があるだろうが、防衛省・自衛隊内には 「石破さんはイラクに行くのが怖かったんじゃないか」 という声があるのも事実だ。 言うまでもなく、首相は自衛隊の最高指揮官でもある。 リーダーが嫌われたり怖がられたりするのは決して悪いことではないが、逃げたがりで、御身大事の怖がりだと思われれば、命を懸けて戦う自衛官は浮かばれない。 石破氏が防衛相を辞めてから16年が過ぎた。 この間、石破氏が最高指揮官になるための修養を積み重ねてきたと信じたい。 中国は信用できない相手なので、警戒を怠るべきではない。 <主張>日中首脳会談 かみ合ったと喜ぶ関係か 社説 2024/11/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20241117-6AX5JFYOTFMY3IYJT54QHGXTIA/ 石破茂首相が南米ペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。 日中両国が戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を理由に中国側が全面停止した日本産水産物輸入の再開合意の着実な履行を申し合わせた。 石破首相は会談後、記者団に 「非常に噛み合った意見交換だった印象だ」 と満足そうに語った。 習氏と会談を重ねていくことで一致したと明かし、 「首脳間を含むあらゆるレベルで意思疎通、往来を図り、懸案を減らしていく」 と語った。 「嚙み合った」 と本気で感じたのであれば、石破首相の外交感覚はピントがずれていないだろうか。 また、首脳間の往来が習氏の国賓としての来日を含むのであれば許されない話だ。 習氏はウイグル人などへの深刻な人権弾圧の責任者だからだ。 石破首相は習氏に対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、東シナ海情勢や領空侵犯など中国軍の活動に深い憂慮を表明した。 深圳での日本人児童殺害を取り上げ、現地日本人の安全確保を求めた。 拘束されている日本人の解放も求めた。 習氏の態度は、ほぼゼロ回答だった。 「日本人を含む全外国人の安全を確保する」 と述べたが、それは国家として当たり前の話に過ぎない。 水産物の輸入再開は実現の時期さえ示さなかった。 これで 「嚙み合った」 と語るセンスを疑う。 懸案を抱える中でも共通の利益の拡大を図るのが戦略的互恵関係だという。 岸田文雄前首相が昨年の習氏との会談で6年ぶりに復活させた。 だが、今の日中はそのような関係を推進できる間柄なのか。 習氏は、来年2025年登場する米国のトランプ政権を警戒し、日米が協力して中国に厳しい対応を取らないように対日姿勢を一時的に調整しているだけだろう。 中国共産党政権の首脳は全員、力の信奉者だ。 日本が防衛力や経済力、科学力などの国力を高めたり、日米同盟の結束を強めたりすることが、対中発言力を増すことになる。 その努力なしに、首脳の往来で握手を重ねても、日本の平和と安全、国益は確保できないと石破首相は肝に銘じてもらいたい。 石破首相、習氏と「かみ合った意見交換」 水産物輸入再開へ前進も政権浮揚見通せず 2024/11/16 18:12 https://www.sankei.com/article/20241116-33HKTDAYWZKADO6KNZLFG3V4SM/ 石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、南米ペルーの首都リマで就任後初めて米国のバイデン大統領や中国の習近平国家主席と会談した。 一連の会談は政権基盤が脆弱な首相にとって、外交で存在感を示す機会でもあった。 習氏から日本産水産物の輸入再開に向けて前向きな姿勢を引き出し、日米韓連携の 「制度化」 へ前進を図るなど一定の成果はあったが、政権浮揚に繋がるかは見通せない。 日中首脳会談の冒頭、右手を差し出して笑みを浮かべる習氏とは対照的に、首相は厳しい表情で両手で握手を交わした。 しかし会談後は一転、記者団に 「非常に嚙み合った意見交換だった」 と満足そうに語った。 会談では、日中間の懸案の1つである東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて中国が停止した日本産水産物の輸入再開について、中国側の態度軟化が目立った。 昨年2023年11月、岸田文雄前首相は米サンフランシスコで習氏と会談し、処理水の海洋放出を巡り激しいやり取りを交わした。 今回の会談について、外務省幹部は 「あの時とは大きく違う」 「ピリッとしたものではなかった」 と語る。 習氏自らが初めて、日中で合意した輸入再開に向けた取り組みの着実な実施に言及し、前向きな姿勢を示した。 習氏の言葉は 「しっかりやれという部下への指示でもある」 「「この問題を動かしていく意思がはっきりした」 と受け止める。 首相も会談後、習氏に応じるように 「首脳同士で会談することの重要性を改めて強く認識した」 と強調し、首脳間を含む人的往来の活性化に意欲を示した。 ただ、中国側の 「原則的な考えは変っていない」(外務省関係者)」 習氏は会談で従来通り処理水を「核汚染水」と呼び、輸入再開時期も不透明なままだ。 首相は会談で、日本周辺で活発化する中国の軍事活動に重ねて懸念を示したが、習氏は従来通り自らの正当性を主張したとみられる。 中国の軍事的脅威に対し、日本は日米同盟を軸に抑止力を高めると共に、中国側との直接対話で歯止めをかけたい考えだが、空振りが続く。 日中間の課題解決には、尚対話の積み重ねが必要となる。 一方、日米韓3カ国の首脳は2024年11月15日の会談で、協力の調整を担う事務局組織の設置で合意した。 北朝鮮の軍事動向が緊張の度合いを増す中、多国間協力の枠組みに消極的なトランプ米次期政権へ移行後も、3カ国連携を後退させないため布石を打った格好だ。 ロシアと北朝鮮による軍事連携の拡大など厳しい東アジアの安保環境を踏まえれば、3カ国連携の重要性は増している。 首相は会談を受け 「トランプ次期大統領との間でも日米同盟を新たな高みに引き上げ、日米韓の戦略的連携を強化するため努力していく」 と強調した。 石破首相、中国の軍事活動「極めて憂慮」日中首脳会談で指摘 水産物輸入再開へ合意再確認 2024/11/16 18:10 https://www.sankei.com/article/20241116-CHNXI5YXGZL6JI6CQFWHCAHGGQ/ 石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため訪問したペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初会談した。 両首脳は東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受け中国が停止した日本産水産物の輸入再開へ、日中両政府の合意を着実に実施することを確認した。 首相は会談で、2024年8月の中国軍機による初の日本領空侵犯など活発化する中国の軍事活動を 「極めて憂慮している」 と表明した。 2024年9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件にも触れ、在留邦人の安全確保を求めた。 習氏は 「日本人を含む全ての外国人の安全を確保する」 と応じた。 日中両政府は2024年9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで、中国を含む第3国が参加できるよう処理水のモニタリング(監視)体制を強化することを前提に、日本産水産物の輸入を 「着実に回復」 させることで合意した。 中国側は段階的な再開方針を示している。 首相は会談後、記者団に 「習氏自身が(合意の着実な実施に)言及したことは非常に重い」 と強調。 首相は会談で早期の輸入再開を求めたが、再開時期について習氏から言及はなかったという。 また、両首脳は、日中の共通利益を拡大する 「戦略的互恵関係」 の包括的な推進で一致した。 外相の相互訪問や高官レベルの人的交流などの実現に向けて調整を加速させることも確認した。 首相は会談冒頭、 「日中両国の間には多くの懸案が存在しているが、建設的かつ安定的な関係の構築へ大きな方向性を共有している」 と述べた。 中国外務省によると、習氏は会談で、日中関係について 「改善、発展の重要な時期にある」 と指摘。 「新時代の要求に合致した建設的で安定した関係」 の構築を進める考えを併せて示すなど、トランプ米次期大統領の就任を控え、日本との関係安定化に意欲を示した。 首相が習近平氏と初会談、「戦略的互恵関係」推進で一致 水産物輸入再開へ合意履行も確認 2024/11/16 10:43 https://www.sankei.com/article/20241116-AQCO4LD47RKWPOYWRKAARFUIN4/ 石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、アジア太平洋経済会議(APEC)首脳会議に出席するため訪問したペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。 両首脳は、日中の共通利益を拡大する 「戦略的互恵関係」 の包括的な推進で一致。 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて中国が停止した日本産水産物の輸入再開に向け、日中両政府の合意を着実に実施していくことを確認した。 首相は会談冒頭、 「日中両国の間には多くの懸案が存在しているが、建設的かつ安定的な関係の構築へ大きな方向性を共有している」 と述べた。 習氏は 「石破首相と意思疎通と協力を強化し、中日関係の長期に渡る安定した発展を推し進めていきたい」 と語った。 日中両政府は2024年9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで、中国を含む第3国が参加できるよう処理水のモニタリング(監視)体制を強化することを前提に、日本産水産物の輸入を 「着実に回復」 させることで合意。 中国側は段階的な再開方針を示している。 首相は会談後、記者団に 「習氏自身が(合意の着実な実施に)言及したことは非常に重い」 と強調した。 首相は会談で早期の輸入再開を求めたが、再開時期について習氏から言及はなかったという。 一方、首相は習氏に対し、2024年8月の中国軍機による初の日本領空侵犯など活発化する中国の軍事活動を 「極めて憂慮している」 と表明した。 2024年9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件にも触れ、在留邦人の安全確保を求めた。 習氏は、日本人を含む全ての外国人の安全を確保すると応じた。
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