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おぞましい結果をもたらした兵庫県知事選 疑惑追及の手を緩めてはダメだ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/364012
2024/11/26 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
公益通報の犯人捜し、個人情報ばらしの見せしめ、脅迫行為の立花孝志氏と選挙運動、補助金キックバック疑惑追及逃れに欠席… あまりにもおぞましい(C)日刊ゲンダイ
兵庫県知事選はおぞましい結果だった。これを看過すれば民主主義の危機が訪れるだろう。権力者、独裁者はやりたい放題が可能になるからだ。
公益通報した職員に対して斎藤側近たちが犯人捜しを始めて、パソコンを勝手に押収。それで公益通報とは関係ない個人情報を探し出して脅し、証言を止めようとした。
選挙中も継続し、ついには公益通報と関係ない個人情報をばらして見せしめに走った。専門家もこれらの行為が公益通報者保護法に違反することを明言している。こんなゲシュタポまがいの行為が通れば独裁政治が横行する。「抵抗すれば皆こうなる」と示したようなもので、ある種の恐怖政治を見せつけられたわけだ。
選挙の手法については、極めて大きな問題を起こしたのが立花孝志氏だ。彼は当選する気がないのに立候補。結果、斎藤陣営は他陣営の2倍の選挙活動が可能となった。それ自体おかしな話だが選挙戦では「分業」。斎藤は自分の実績だけを語り、立花氏は公益通報と関係ない個人情報をばらして、故人の名誉を徹底的に傷つけるやり方を展開した。
加えて、選挙中にもかかわらず、百条委の奥谷委員長の自宅前に押しかけ「引きこもっていないで出てこい」と言い「これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」と、右翼の街宣さながらの脅迫行為に及んだ。
さらに言えば、対立候補の稲村和美元尼崎市長陣営のXのアカウントが2度も止められた件も選挙妨害で、こちらも徹底的に追及すべきである。こうしたある種の「フェイクファシズム」を許すと、言論の自由を奪っていくことになるからだ。
一方で斎藤は「SNSは冷静によく見ながら使っていくことが大事だ」とシレッと言い、SNSで誹謗中傷を禁止する条例を出すという。立花と一緒に選挙運動をしているのを誰もが見ているのに、自分は手を汚していないと言いたいのだろうが、許してはいけない。
そうした中、25日の百条委員会に斎藤は出るべきなのに、全国知事会を理由に欠席。プロ野球チームの優勝パレードの資金を補うために地元金融機関への補助金を水増しし、それをキックバックしたという重大疑惑への追及を免れようとしている。これは税金の流用であり、背任容疑でもある。関わった職員が自死した疑いまで浮上している。不当な選挙で再選したからといってこうした問題の説明から逃げることは許されない。知事選自体の不正を徹底的に追及すべきだ。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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