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※2024年11月16日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
安易な妥協は難しくなった?(国民民主党の玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長=左)/(C)日刊ゲンダイ
自公国が所得の壁の議論を始めるらしいが、ガソリン補助や生活困窮者への一時金でこの低迷経済が反転するわけがない。デフレからの脱却を言う一方、物価高対策をバラマく支離滅裂、少子化を放置し、半導体も付け焼き刃、積年のデタラメをチンケな所得増でごまかされたらたまらない。
◇ ◇ ◇
いわゆる「103万円の壁」について、自民、公明、国民民主の3党による「税制協議」が週明けからはじまることになった。
衆院選で「手取りを増やす」をキャッチフレーズに掲げて議席を伸ばした国民民主は、いまのところ一歩も引かない構えだ。所得課税の最低ラインを103万円から178万円に引き上げることと、ガソリン減税の2つを「重点項目であることは間違いない」と宣言している。
課税最低ラインが178万円に引き上げられたら、年収178万円以下の人が税金ゼロになるだけでなく、多くの人が「減税」の恩恵を受けることになる。減税額は、年収200万円の人は8万2000円、500万円だと13万3000円、800万円は22万8000円になる。
自、公、国の3党は、12月中旬までに「103万円の壁」をどこまで引き上げるのか決着をつける方針だ。衆院選後、「103万円の壁」が一大テーマとなり、減税に対する国民の期待が高まっているため、もはや「小幅引き上げ」では済まない状況だ。
しかし、国民民主の「言い値」どおり178万円に引き上げると、毎年、7兆3000億円もの税収減となってしまう。うち、約4兆円は地方税のため、ただでさえ税収不足に悩む地方自治体を直撃するのは間違いない。
いったい、どこが落としどころなのか。
「ポイントは、ただ一つ。どうやって国民民主の玉木代表のメンツを立てるかです。衆院で過半数を割った自公政権は、国民民主を抱き込まないと法案一本、通らない。逆に言うと、玉木さんが『これでいい』とOKすれば即、決着する。財務省は少しでも減税額を減らす方針です。いま囁かれているのは、いくつかある『壁』を基準にするプランです。その一つが、社会保険料負担が生じるため、就労控えの原因となっている『130万円の壁』です。非課税枠を130万円に引き上げる。178万円に比べ、税収減はかなり少なくて済みます。また、課税最低限の引き上げは小幅にとどめ、扶養控除の適用範囲を大幅に広げるプランも浮上しています。扶養基準を大幅に引き上げれば、それほど税収を減らすことなく、学生や専業主婦の就労を後押しできます。財政への影響は1兆1000億円程度でしょう。『壁』を突破し、就労控えが減ることになれば、玉木代表のメンツも立つはず、と期待しているようです」(霞が関事情通)
その一方、グラドル不倫が発覚した玉木代表は、安易な妥協が難しくなり、178万円を譲れないのではないか、という見方も強まっている。
この減税額では全く足りない
どうやって玉木のメンツを立てるか…(国民民主党幹部との会談後、取材に応じる自民党の宮沢洋一税調会長と小野寺五典政調会長=右)/(C)日刊ゲンダイ
しかし、仮に課税最低ラインが「満額」の178万円に引き上げられたとして、はたして、それでアベノミクス以降、苦しくなる一方の国民生活が劇的に豊かになるのかどうか。かつての暮らしを取り戻せるのか、疑問だらけだ。
この20年間「増税」と「社会保険料アップ」によって、労働者の手取りは激減しているからだ。年収600万円のサラリーマン(妻と子ども1人)の手取りは、この20年間でなんと約29万円も減ってしまったという。最新号の「週刊ポスト」が詳細に検証している。
とくに大きいのは、給料から天引きされる厚生年金、健康保険、介護保険などの社会保険料のアップだ。
2003年、社会保険料率(労使合計)は、給料の24.4%だった。それが、安倍政権下で「社会保障と税の一体改革」が実施されたこともあって、現在、30.9%にハネ上がっているという。
年収600万円のサラリーマンが天引きされる社会保険料は、03年は約72万円だったのに、約92万円へと20万円も増えている。その分、手取りが減っているということだ。
さらに、所得税と住民税の「定率減税」が廃止され、「年少扶養控除」も撤廃された。
それらを合わせると、年収600万円のサラリーマンの手取りは、503万円から474万円へ、約29万円も減っているというのだ。国民民主の訴えどおり課税最低ラインが178万円に引き上げられても、年収600万円のサラリーマンの減税額は15万2000円にしかならない。「増税」と「社会保険料アップ」によって目減りした29万円には、まったく足りないのだ。
「増税と違って社会保険料のアップは気づきづらい。この20年間、知らず知らずのうちに手取りが減らされたのが実態です。その一方、税収はこの5年間で58兆円から72兆円へ14兆円も増えている。課税最低ラインを103万円から178万円に引き上げると、約7兆3000億円の税収減になりますが、そのくらい、国民に還元してもバチは当たらないでしょう。しかも、省庁の“第2の財布”と呼ばれる基金が現在約200もあり、昨年、使いきれない繰越金が16兆円もあった。使い道のない税金があるということです」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
絶対に庶民は、10万、20万円というチンケな所得増にごまかされてはダメだ。
間違った再配分が元凶
「103万円の壁」の議論をスタートさせた石破政権は、それと同時に、物価高対策として非課税世帯に3万円を支給し、ガソリン補助金も延長する方針だ。
政府の経済対策には「家計を温め、生活者が豊かさを実感できるよう、幅広い方策を検討する」との一文が加えられた。
しかし、わずかな減税や、3万円の支給で、物価高に苦しむ国民生活が目に見えてよくなったり、長期低迷している日本経済が反転するはずがない。
この国は、日本人が考えるよりも、はるかに貧しくなっているからだ。以前、ノンフィクション作家の高野秀行氏が朝日新聞(2月16日付)でこう語っていた。
「アジアやアフリカ、南米の辺境を30年以上、旅してきました。60カ国以上を訪れましたが、如実に感じるのは、今や日本こそ辺境の地だということです/ここ10年の日本の沈没ぶりは目を覆わんばかり。どの国から戻ってきても、成田や羽田ほどパッとしない国際空港は、まあ珍しい。まるで田舎の終着駅に着いた感じです」
実際、外国人からみたら、すでに日本は憧れの先進国ではなく、安くて安全だから遊びに行くには最適という位置づけなのではないか。かつて日本人が、自然や人情を求めてアジアやアフリカを旅したのと似た感覚である。
安い国に転落した日本は、もはや、少し手取りを増やした程度では、どうにもならないのではないか。アベノミクス以降やってきたことと、まったく違う発想でやるしかない。
なのに、石破政権は、デフレからの脱却を掲げる一方、物価高対策としてバラマくという支離滅裂ぶりなのだから、どうしようもない。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「本来、富の再配分は、カネ持ちから税を取り、貧しい人に配るものです。ところが自民党政権は、苦しい庶民から税を取り、儲かっている大企業や富裕層を優遇してきた。消費税増税を行い、法人税を減税してきた。稼いでいるところに甘く、つらい状況の庶民の懐に手を突っ込んできた。この5年間、GDPはほぼ横這いなのに、個人消費と住宅投資は8兆円も減っている。その一方、大企業は空前の好決算をつづけ、内部留保を膨らませています。これでは大衆の活力が失われ、経済が長期低迷するのも当然です」
くれぐれも庶民は、わずかな減税に騙されてはいけない。
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