<■1162行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> <正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 青山学院大学教授・福井義高 2024/11/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024 衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。 平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。 ここでは主に得票率に基づき、やはり2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。 ■比較第1党は自民党 まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。 他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。 公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。 小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。 更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。 比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。 にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったおかげで、競り勝った選挙区が増えたからである。 その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。 ■英労働党の大勝と保守票 英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。 政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。 一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。 保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。 保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。 ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率は僅か0・8%に過ぎない。 それに対し、得票率僅か0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。 保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。 にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。 日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。 比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。 ■フランスの場合は 日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。 小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。 第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。 第1回投票では、「極右」とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。 ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、「極右」政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。 そのため、日本でも、予想に反し「極右」が失速したと報道された。 しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。 日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。 逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。 一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。 いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。首相即時退陣こそ国益 美しき勁き国へ 櫻井よし子 2024/11/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20241104-5RFGKKZHKNJ55EIV7L2CMGI6BI/ 衆院選で歴史的惨敗を喫した石破茂首相は国民の審判を受け入れるべきだ。 小選挙区での得票数を約670万減らし、結果を受けた共同通信の世論調査では内閣支持率が50・7%から32・1%に急落した。 就任から1カ月、これほど急速に支持を失った事例は稀有だ。 石破氏は敗因を 「政治とカネ」 問題のせいにするが、真の原因は言動の定まらない本人の資質にある。 国民の声を大事にするのは、民主主義の基本である。 だが民主主義は絶対善ではない。 劣化して衆愚政治となった事例を、ソクラテスに下された死刑判決はもとより、ヒトラーの登場を含め、私たちは歴史の中にいくつも見てきたはずだ。 昭和天皇に月1回の頻度で進講した三上照夫氏が、『第三の文化の時代へ』(ぱるす出版)の中で民主主義について語っている。 人間集団にはこういう国造りをしたい、こういう家庭造りをしたいという共通の目標がある。 この建国の理想を、日本人は奈良朝時代から 「国体」 と言ってきた。 国体実現の手段として日米欧が選んだ政体が民主主義だ。 それはあくまでも手段としての政治原理であり、国家の目標・目的は別にある。 そして指導者に識見、国家観が欠落している時、手段であるはずの民主主義は目標に格上げされ置き換えられてしまう。 石破氏は国民の理解を求め続けて政治とカネ問題の先に行けない状況だ。 民主主義という手段を目的に格上げして自縄自縛に陥ったからである。 自業自得である。 結果として、より大事な国家目標実現の政策論がほぼ空白になり果てている。 長年の勉強不足もたたって、石破氏の提唱する政策は空疎を極める。 アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設や日米地位協定見直しはアジア全体を不安定にしかねない。 自民党は両案件を政務調査会で議論するという形で封印した。 鳩山由紀夫元首相の東アジア共同体構想と同類の空疎な石破提案はこうして処理された。 より深刻なのが対中外交だ。 岩屋毅外相が中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、戦略的互恵関係を再確認したい旨を、語っている。 戦略的―は2006年、第1次安倍晋三政権が打ち出した。 小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え込んだ日中関係を双方が修復しようとした。 だが中国に習近平政権が誕生し状況は一変した。 強権的中国との戦略的互恵関係は日本の国益に合致せず、2017年11月の安倍・習会談以降消えた。 石破政権が岸田文雄元首相の路線を継いで立ち戻るのは悪手である。 安倍晋三元首相が戦略的互恵関係を謳った2006年から18年が過ぎた現在、日中関係は一変している。 中国は軍事大国としての力を誇示し、世界秩序を書き換える野望を隠さない。 18年前2006年、彼らは喉から手が出る程に日本の協力を求めたが、現在は如何にして日本から全てを切り取るか、あらゆる形で攻勢を強めている。 その手法は、小さな動きを積み重ねて圧力を強めるサラミ戦術で、一例が尖閣諸島(沖縄県石垣市)だ。 第2次安倍政権樹立から間もない2013年4月26日、中国外務省報道官は尖閣諸島を 「中国の核心的利益に属する」 と発言した。 その同じ日2013年4月26日、安倍氏は来日中の米軍制服組トップ、デンプシー統合参謀本部議長と会談し 「日本固有の領土である尖閣諸島について、我が国は一切譲歩しない」 と語った。 すると翌2013年4月27日、中国外務省は2013年4月26日の発言を事実上修正した。 現在の中国にそんな配慮はない。 彼らは堂々と尖閣を核心的利益と宣言し、2023年8月に発表した標準地図で示した 「十段線」 の10番目の線は与那国島から12キロの我が国の領海をえぐり取っている(『国防の禁句』岩田清文、島田和久、武居智久 産経セレクト)。 中国軍は2022年8月には与那国島の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだ。 中国が初めて日本の庭先に実弾を撃ち込んだ事実に注目せよと岩田清文元陸上幕僚長は強調する。 2023年7月、尖閣諸島周辺の我が国のEEZ内で中国の情報収集用のブイが発見された。 2024年1月には中国海警局の船が尖閣上空の我が国の領空を飛行する自衛隊機に 「中国領空」 からの退去を要求した。 2024年6月には中国海警局最大級の巡視船が、尖閣諸島を周回した。 中国保有の軍艦は米国を上回り、2035年には435隻に迫る。 米国は2045年に至っても350隻にとどまる見込みだ。 その中国を岸田文雄政権は2022年末に策定した国家安全保障戦略で初めて 「これまでにない最大の戦略的な挑戦」 と定義した。 だが岸田氏は2023年4月の安保3文書についての国会報告で 「最大の戦略的挑戦」 というくだりを割愛し、更に2024年1月の施政方針演説では、日中は 「戦略的互恵関係を包括的に推進する」 と大幅に後退していた。 実は、戦略的互恵関係は岸田氏の施政方針演説の前、2023年11月16日の日中首脳会談で習近平主席が復活を持ちかけていたのだ。 習氏の意図は中国を最大の戦略的挑戦と定義した我が国の安全保障戦略を上書きすることだと、島田和久元防衛事務次官は警告した(『同書』)が、正しいと思う。 戦略的互恵関係の6年ぶりの復活には、再び日本を取り込む中国の狙いが込められている。 そこに岩屋毅外相が乗るというのだ。 だが、逆戻りしてどうするのだ。 対話の窓口は開けておくとして、我が国は今こそ静かに着実に、核の脅威も含めて中国に対処する力を強化し、体制作りを進める時であろう。 政治家にはそれだけの仕事を進める冷静な思考と胆力が要る。 石破氏がその任に相応しいとは思えない。 1日も早い退陣こそ国益だ。 高橋洋一「日本の解き方」 石破政権の命運が尽きる日 続投に意欲も居座り続けると…自民党は本当にぶっ壊れる 水面下で首相指名に向け多数派工作 2024.11/1 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H73BZLK7ABOXRCTQEW5GLA3X74/ 衆院選で大敗した自民党だが、石破茂首相は続投に意欲を見せている。 今後、石破政権はどこまで生き延びることができるだろうか。 自民党内や地方組織からも 「石破おろし」 が始まっている。 かつて石破首相は、第1次安倍晋三政権や麻生太郎政権の時、国政選挙で負けたり、支持率が低迷したりした時、退陣を求めている。 今回自分だけを可愛がるのは誰の目から見てもおかしい。 小泉進次郎氏が選対委員長を辞任したが、問題がそれにとどまるはずはない。 小泉氏の辞任を石破首相は認めたというが、責任を部下に押しつけるようで、これが組織トップの在り方なのか疑問だ。 かつて安倍元首相が、 「石破氏だけは首相にしてはダメだ」 と言っていたのもよく分かる。 新聞各紙の社説も石破首相に責任を取ることを求めている。 朝日新聞は「選挙の結果責任を負うのは、本来、トップ」、 毎日新聞は「政権トップとしての首相の責任は重大」、 読売新聞は「速やかに進退を決することが憲政の常道」、 産経新聞は「直ちに辞職し新総裁選出を」 としている。 石破首相自らが、勝敗ラインを 「自公で過半数」 と明言した。 これは普通ではあり得ないほどの低いハードルであるが、実際には自公で215議席と過半数を18も下回ってしまった。 無所属の追加公認を入れても、到底過半数には及ばない。 衆院選の結果は政治家にとって最も重いものだ。 それを、ゴールポストを動かしてはいけない。 筆者はこうした状態を揶揄)して 「石にかじりつきたい破れかぶれ石破政権」 とポストした。 既に、水面下で首相指名に向けた多数派工作が与野党間で繰り広げられている。 当初2024年11月7日に想定されていた特別国会の召集日を2024年11月11日以降に延期する交渉が行われている。 憲法では衆院投票日から30日以内に特別国会を召集し、内閣総辞職、首相指名が行われる。 つまり、特別国会の召集日は首相指名の帰趨を占う意味でも重要なのだ。 石破政権の寿命はまず、特別国会では内閣総辞職、首相指名が行われるので召集日までだ。 そこから生き延びることが出来るのは、首相指名で1位を確保できる場合だけだ。 石破首相では選挙が出来ないとする参院議員、不条理な制裁を食らったが選挙を生き延びてきた旧安倍派、総裁選で高市早苗前経済安保相を推した麻生派、旧茂木派は 「石破おろし」 を起こす可能性があり、石破首相側にいた人も反旗を翻すかもしれない。 そうなると、特別国会の召集日までに自民党内で両院議員総会を開いて、石破氏を引きずり下ろすだろう。 自民党はモタモタしていると、首相指名の多数派工作でまとまりにならず、野党が主導権を握ってしまう恐れもある。 高市氏が 「党執行部には今の自民党を徹底的に立て直して頂きたい」 としたのは当然だ。 このまま、石破首相が居座りを続けると、自民党が衆院選で負けて、党再建でも負けて、ぶっ壊れてしまう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき 2024.11/2 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/ 石破茂首相は国民民主党との 「部分連合」 を視野に入れている。 国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。 国民民主党の政策のうち、他党にない 「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」 について取り上げたい。 まず、178万円という 「中途半端」 な数字に驚く。 これは、1995年からの最低賃金上昇率1・73倍から、103万円を1・73倍して得られる。 103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。 そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。 ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。 控除の拡大は減税と同じだ。 控除額が増えれば、少なくとも所得税として 「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」 の額が手元に残るようになって、手取りが増える。 この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う 「ステルス増税」 をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。 例えば、給与所得控除について 「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」 と躍起になっている。 一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。 この 「減税」(控除の拡大) でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。 仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。 もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。 また、この政策との関連で、最低賃金について、 「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」 としている。 自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。 1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。 気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。 立民の 「0%超の物価目標」 は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。 かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく 「賃金上昇率目標」 を主張した。 元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した 「フィリップス曲線」 であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。 大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。 それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。 今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」 2024.11/1 15:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/ 自民党と国民民主党が 「部分連合」 に向けた動きを加速させている。 少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。 国民民主党は衆院選で公約に掲げた 「年収103万円の壁」 撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。 過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。 自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。 公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。 国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。 だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、 「税収が計約7兆6000億円減る」 「高所得者ほど恩恵が大きい」 などネガティブな論調が広がった。 玉木代表 「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」 玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で «財務省がマスコミを含めて 「ご説明」 に回っている効果はさすがです» と皮肉った。 «引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない» と強調する。 与野党の合意が実現しなかった前例もある。 日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。 馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で 「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」 「聞いてる振りはするが」 と話した。 国民民主党も、ガソリン税を軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。 石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。 「部分連合」 という名の微妙な関係が続きそうだ。 「軍事オタク」石破首相が自衛隊に入隊したら…「せいぜい3佐止まり」「宰相の器」ではない 自民党を仕切るには荷が重すぎか 2024.11/1 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-QZZY25QUHZIJDPESFQ6IRGUKLI/ 「安全保障の専門家」 を自任し、 「軍事オタク」 とも呼ばれる石破茂首相だが、防衛大学校から自衛隊に入隊していれば、どのくらいの階級まで昇進することができただろうか。 「せいぜい3佐(少佐)だろう」 ある自衛隊元幹部はこう言い切る。 海上自衛隊でいうと、2等海佐(中佐)ならば通常の護衛艦の艦長となる。 中佐は英語で 「Commander」 と呼ばれる。 つまり、石破氏は指揮官には相応しくないという意味だ。 防衛相経験者でもある石破首相だが、別の元幹部自衛官たちも 「石破さんと河野太郎さんだけは首相にしてはならない」 と口々に言う。 2024年9月27日に行われた自民党総裁選の決選投票で、高市早苗前経済安保相ではなく、石破氏に投票した国会議員たちに聞かせたかった発言だ。 2024年10月27日投開票の衆院選について、石破首相は自民党と公明党で過半数(233議席)という 「勝敗ライン」 を設定していた。 石破首相がライバル視する安倍晋三元首相も第2次政権時代、 「勝敗ライン」 を同じく自公で過半数と言っていたが、実際には自民党単独で300議席が目標だった。 目標には僅かに及ばなかったが、2012年で294議席、2014年が290議席、2017年が281議席だった。 2021年の岸田文雄前首相の時でも261議席だった。 石破首相が今回獲得した191議席が如何に低い数字であるかは一目瞭然だ。 にもかかわらず、石破首相は 「何で自分が辞めなければいけないんだ」 と開き直っている。 総裁選の決選投票で石破首相に投じた自民党の国会議員には分からなかったことが、国民にはよく分かっていた。 石破首相が 「宰相の器」 ではないということを。 「森山(裕)幹事長に足を引っ張られた」(自民党ベテラン) との見方もある。 確かに、石破首相は総裁選では新内閣発足後、予算委員会を開いて議論を尽くすべきだと発言していた。 だが、森山氏の1日も早い選挙の方が野党の態勢が間に合わず有利だとの説得に応じ、選挙日程を前倒しした。 森山氏は、パーティー券収入を政治資金収支報告書に記載しなかった候補を一時は公認するとしながら、批判を浴びると12人を 「非公認」 として混乱をもたらした。 選挙戦終盤では、 「非公認」 とした候補者が代表を務める政党支部に公認候補と同額の2000万円を支給し、決定的な打撃を与えた。 森山氏と事務方トップ、元宿仁事務総長の責任は大きい。 そして、最終責任を負うべきは総裁である石破首相である。 石破首相と森山氏に共通しているのは 「小さな派閥」 しか率いたことがないことだ。 自民党のような大所帯を仕切るには荷が重過ぎた。 本来ならば菅義偉副総裁が目配せすべきだったが、かつてのような切れを欠いている。 石破首相は2024年10月28日の記者会見で、 「国政は一時たりとも停滞が許されない」 と続投する意向を表明したが、信を失った石破政権が続くことは国益にならない。 (産経新聞特別記者・有元隆志) 国民が石破首相ノー¥A任1カ月「権力居座り」に党内外から批判噴出!「衆院選惨敗、責任をとる気配さえない」「党内勢力も尻込み」 2024.11/2 15:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-FKEB6WKBLBL6TLZR4NZ5CKKMSY/ 石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月1日、政権発足1カ月を迎えた。 戦後では内閣発足後最短の8日で衆院解散に打って出たが、選挙戦略は悉く失敗し、自ら勝敗ラインに設定した 「自公与党で過半数」 を割り込む大惨敗を喫した。 これまで、歴代首相を激しく批判しておきながら、 「国民の審判」 を無視して 「権力居座り」 を決め込む石破首相に対し、党内外から批判が噴出している。 「衆院選において大変、厳しい結果を頂戴した」 「厳粛に受け止めなければならない」 「示された民意を厳粛、謙虚に受け止め丁寧に政権運営に当たっていく」 石破首相は2024年11月1日、記者団にこう語ったが、民意は 「石破首相ノー」 なのだから、これほどのペテンはない。 自民党ベテラン議員は 「これまで、政治家の『責任』に拘ってき石破首相はどこに行った」 「自公過半数を勝敗ラインに設定した衆院選で惨敗したのに責任を取る気配さえない」 と断じる。 石破首相はむしろ 「政権居座り」 に意欲を強めている。 今月2024年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせ、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席らとの首脳会談を調整しているという。 ある保守系議員は 「バイデン氏も習氏も、『国民の負託』を得られなかった石破首相と真剣な話をしようと思うだろうか」 「ガバナンスが崩壊した政権に内政・外交を委ねれば、次は日本が壊れる」 と批判する。 ただ、権力にしがみつくトップを交代させるのは簡単ではない。 特別国会の首相指名選挙で、国民民主党は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に票を投じる方針のため、野党の票は分散し、石破首相が多数を獲得しそうな情勢だ。 政治評論家の有馬晴海氏は 「国民が石破首相に『ノー』を突き付けた」 「本来なら退陣待ったなしだ」 「小泉進次郎選対委員長だけが辞任して、石破首相と森山裕幹事長が続投するなどガバナンスも崩壊している」 「ただ、石破首相に反発する党内勢力も党が弱り切った中で『石破おろし』に尻込みしている」 「石破首相は『低姿勢』『反省』を示し、何とか成果を示そうと必死なのだろう」 と指摘した。 自民得票率、15年前の政権交代時と全く同じ「26・73%」衆院比例、民主系もほぼ同じ 2024/11/2 11:30 https://www.sankei.com/article/20241102-XDBGXUZYRFOH3FEVQDVDTT2XFY/?outputType=theme_election2024 2024年10月27日投開票の衆院選で、各政党の比例代表の得票率を政権交代が起きた平成21(2009)年の衆院選と比べたところ、自民党の得票率はいずれも26・73%で全く同じだった。 自民と公明党を合わせた与党と、民主党系など野党の割合もほぼ同じで、投票率が異なりながら15年前と酷似した状況が浮かんだ。 総務省の発表資料によると、平成21(2009)年と今回の衆院選比例代表で、自民の得票率は26・73%で全く同一だった。 自公を合わせた得票率も平成21(2009)年の計38・18%と今回の計37・66%でほぼ同じだった。 一方の野党も、平成21(2009)年の民主党の得票率は42・41%だったのに対し、今回の主要野党である立憲民主党と国民民主党、日本維新の会の3党の合計は41・88%でほぼ同じだった。 自民は今回、比例の得票を令和3年の前回選挙より約533万票減らした。 しかし、平成21年の投票率が69・27%と高率だったのに対し今回は53・84%と下がっているため、割合はくしくも同一となったようだ。 自民の比例得票率を選挙ごとにみると、平成21(2009)年の26・73%から平成24(2013)年27・62%、平成26(2014)年26年33・11%、平成29(2017)年33・28%、前回令和3年34・66%、今回の26・73%と推移している。 「岩盤保守層」は自民を見放した 過半数割れ「功労者」共産も最盛期から半減 大手町の片隅から 乾正人 2024/11/1 10:00 https://www.sankei.com/article/20241101-U4OIN3HVR5K47CVWO5W6XB2DQI/?outputType=theme_election2024 数字は美しく、残酷である。 昭和61年の衆参ダブル選挙以来、大手町の片隅で13回に渡って選挙報道に携わってきたが、毎回、得票数の精妙さに唸らされる。 衆院選が、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わってからは、比例代表の得票数が、時々の政治状況を鮮やかに切り取ってくれる。 今回、自民党の総得票数は約1458万票に激減した。 前回から27%、533万票も減らし、制度導入以来、過去最低の得票数となった。 平成21年に民主党が大勝し、政権交代が実現したときでさえ、1881万票を獲得していたことから類推すると、安倍晋三元首相の考え方や彼が推し進めた安保法制などの政策を熱烈に支持していた 「岩盤保守層」 のかなりの部分が、自民党を見放した、と見るべきだろう。 衆院選に初挑戦した参政党が187万票、日本保守党が115万票を獲得したが、合わせて300万人以上が自民党から両党に乗り換えたとみて間違いない。 残る230万人余は主に国民民主党へ流れたと推測できる。 ■立憲比例票は横ばいだった というのも、今回大躍進した立憲民主党は、比例代表ではほとんど票を伸ばしていないからだ。 3年前の前回が1149万票で、今回は1156万票と僅か7万票しか増えていない。 つまり、自民党が自滅したため、立憲は小選挙区で競り勝ち、議席数を5割も増やしたのである。 政権交代出来るだけの国民の広範な支持が得られていないのは、数字が冷酷に示している。 比例票から分析すると、危機的状況にあるのは、自民党だけではない。 公明、共産の両党も重症だ。 公明党は、平成21年に805万票を獲得していたのが、徐々に減っていき、今回ついに600万票を割り込む596万票にとどまった。 15年間で200万票以上が削げ落ちてしまったのである。 支持基盤である創価学会員の高齢化と共に、公明党を創設した池田大作氏が昨年2023年死去した影響も見逃せない。 ■最盛期から半減した共産党 共産党は、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る「裏金」問題や非公認候補側への2000万円振り込みを機関紙「しんぶん赤旗」がすっぱ抜き、自民党を大敗に追い込んだ最大の功労者だ。 だが、比例票は前回より80万票も減らして336万票しか取れず、れいわ新選組に軽く抜かれた。 平成8年には726万票を獲得していたから半減以下の凋落ぶりだ。 お気の毒に、としか言いようがないが、有権者は共産党の本質をよく見ている。 さて、自民党である。 今回の敗因は、表面的には 「政治とカネ」 への国民の怒りが爆発した結果と見える。 それだけなら軽症で済むが、問題の根は深い。 「岩盤保守層」 のうち参政党などに投票した300万人は、容易に自民党には戻ってこないだろう。 しかも連立相手である公明党のパワーは目に見えて落ちている。 少数与党に転落した石破茂政権は、国民民主党をなびかせるためにリベラル寄りの政策を打ち出さざるを得ず、 「岩盤保守層」 は益々離反するはずだ。 日本にもいよいよ分断と混乱の時代が到来しようとしている。 <主張>自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか 社説 2024/11/2 5:00 https://www.sankei.com/article/20241102-GDS25MDC7ZM75MJH3E5JS5FUQI/ 自民党と国民民主党が政策協議に入ることで合意した。 衆院選に大敗した石破茂首相(自民総裁)と森山裕幹事長が何の責任も取らずに協議を進めるのは、異様な光景という他ない。 石破首相と森山氏は辞任し、自民は新執行部の下で他党と協議に臨むのが筋だと改めて指摘したい。 石破首相は居座り、国民民主との 「部分連合」 の形成を図るつもりなのだろう。 森山氏と国民民主の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日、会談した。 森山氏は経済対策や令和6年度補正予算案、令和7年度予算案の編成、税制改正での協力を呼び掛けた。 「部分連合」 の構築に向け、両党の政調会長による常設の会議体設置も求めた。 これに対し、榛葉氏は会議体設置を拒み、案件ごとに対応する意向を示した。 森山氏は受け入れた。 国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する 「年収の壁」 の金額を178万円に引き上げることを最優先事項に掲げている。 林芳正官房長官が7兆〜8兆円程度の減収が見込まれるとの試算を示すと、国民民主の玉木雄一郎代表は 「全くやらないなら協力できない」 「その時は予算も法律も通らない」 と牽制した。 ガソリン税を一部軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除も看板政策の1つだ。 国民民主は衆院選で 「手取りを増やす」 ことを訴えて支持を得たため、その実現に注力するのは分かる。 ただ、両党の協議を巡り懸念はある。 個別政策を切り離して交渉した場合、他の政策とバランスが取れなくなる恐れがあることだ。 厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的強化を滞らせてはならない。 政府は令和9年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円と定めているが、増税時期は決まっていない。 防衛増税は令和10年度以降の防衛費をきちんと確保することも睨んだ措置である。 税制改正を行う場合は、税制全体との整合性を図ることも求められる。 国民民主は自党の政策実現だけを目指すのではなく、日本の平和と繁栄のための国家戦略をより明確に描き、日本を守り抜く政策でも責任ある姿勢を示す必要がある。 自民 衆議院 197人で活動へ 会派に無所属で当選の6人追加 2024年11月1日 15時28分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241101/k10014626171000.html 自民党は、国会で活動をともにする会派のメンバーに、今回の衆議院選挙で無所属で立候補して当選した6人を加え、合わせて197人の勢力で活動していくことになりました。 自民党は、2024年11月1日に開かれた衆議院の各会派の代表者による協議会で、今回の衆議院選挙で党の公認を得て当選した191人に、無所属で当選した6人を加えた197人の勢力で会派をつくることを届け出ました。 会派に加わったのは、 政治とカネの問題で自民党から離党勧告の処分を受け離党した ▽世耕弘成氏と 選挙に際し公認が得られなかった ▽平沢勝栄氏 ▽西村康稔氏 ▽萩生田光一氏の4人に、 自民党の公認候補と争った ▽三反園訓氏 ▽広瀬建氏 を加えた、合わせて6人です。 公明党の会派と合わせると、衆議院の与党の勢力は221人となりますが、過半数の233議席までは、12人足りない状況です。 世耕弘成、西村康稔氏らの会派入りを批判 立民の野田佳彦代表「反省足りない」 2024/11/1 14:15 https://www.sankei.com/article/20241101-DPCLWIFSRRJBFDDCZHVHVX5G64/ 立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月1日の記者会見で、自民党の派閥パーティ収入不記載事件に関与し、衆院選に無所属で当選した世耕弘成、西村康稔両氏らが衆院会派 「自民党・無所属の会」 に入る見通しとなったことを批判した。 「選挙が終わり禊が済んだと言うならば、思慮も反省も足りない」 と語った。 自民側の狙いに関しては、特別国会の首相指名選挙で石破茂首相を当選させるため 「数を確保しておきたいとの焦りがあるのだろう」 と指摘した。 言わんこっちゃない自民党大敗 総裁選で高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ 変わり身の朝日新聞、言い訳に笑い 2024.10/31 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-VCDRHRXXD5KM3JAK4LCZCNPLMA/ だから、言わんこっちゃない。 石破自民党が歴史的大敗。 自公で過半数割れは15年ぶりだ。 さすがに開票を見守っている時も、各社のインタビューでも石破茂総理に笑顔は一切ナシ。 それでなくても悪い目つきがますます悪くなっていた。 「なぜ、言わんこっちゃない」か。 1カ月前、2024年9月27日の自民党総裁選。 第1回投票で大方の予想に反し、高市早苗候補が、石破候補を圧したのだ。 高市候補 議員票72 党員・党友票109 計181 石破候補 議員票46 党員・党友票108 計154 ところが決選投票ではこれが逆転。 石破候補 議員票189 地方票26 計215 高市候補 議員票173 地方票21 計194 つまり、第2回投票で石破候補の議員票は143票も増えていたのだ(高市候補は101票増)。 岸田文雄前総理の指示か、菅義偉元総理の依頼かは知らないが、143人もの議員が、石破候補を新たに支持したことになる。 この時、高市候補を支持する議員が、あと22人増えてさえいれば高市総理が実現していたのだ。 もし、あの時、高市候補を選んでいれば、日本初の女性総理として、世界のメディアでも話題になったに違いない。 選挙中に自民党の、あのどんよりしたような暗い雰囲気はなく、清新な風が吹いていたろう。 石破総理は応援に来なくていい。 来れば票が減るなんてこともなく、高市さん、全国の候補から引っ張りだこだったろう(総理でなくても引っ張りだこで、全国を飛び回っていた)。 むろん選挙にも負けなかったに違いない。 繰り返すが、総裁選決選投票で石破さんに票を投じた自民党議員の責任は重い。 今回の自民党大敗は、あの時、高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ、だから 「言わんこっちゃない」 と言っているのだ。 むろん、新聞各紙、選挙後、石破総理を一斉に批判。 石破総理に厳しいのが産経。 <石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった> <自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた> <国会論戦も十分に行わず早期解散に走った> <これで選挙に勝てると思っていたのなら信じ難い> 意外だが、朝日新聞が一番手厳しい。 社説でハッキリ石破総理に引導を渡している。 <自民党がなお議会第1党だとしても、「自公で過半数」という自ら設定した最低限の目標を達成できなかった以上、石破首相は職を辞すのが筋だ> 党内野党として石破氏が安倍晋三元総理を批判していた時は、散々、持ち上げて、事あるごとに利用してきた朝日、さすがに変わり身が早い。 <期待が大きければ、その分、失望も大きい> と言い訳しているのが笑える。 党内では 「首相の責任は重大、続投は難しい」 の声も少なくない。 だが、石破総理自身は続投の意志を捨てず、 「色んな選択肢があるだろうよ」 と他人事のように 「続投を明言」 しているらしい(2024年10月28日産経)。 誰か、石破総理の首に鈴を付ける奴はいないのか。 (月刊『Hanada』編集長・花田紀凱) <正論>惨敗した首相に国民を守れるか 麗澤大学教授・八木秀次 2024/10/31 8:00 https://www.sankei.com/article/20241031-UK2MSTVJUFLK5JR4Y2VOXIN2HA/?outputType=theme_election2024 ■続投は理屈が通らない 平成19年7月、第1次安倍晋三政権でのことだ。 自民党は参院選で惨敗し、第一党の座を民主党に譲った。 衆参「ねじれ」の始まりだ。 安倍首相は続投の方針を表明したが、この時、党の総務会で 「選挙に負けたにもかかわらず、続投するのは理屈が通らない」 と公然と首相の辞任を求めた議員がいた。 現在の首相の石破茂氏だ。 その後、安倍氏は体調を崩して辞任した。 2年後の平成21年7月、麻生太郎内閣は低支持率に喘いでいた。 都議会議員選挙で自民党が敗れた際、内閣に身を置きながら派閥を率いて 「麻生おろし」 の先頭に立った閣僚がいた。 石破農水相だ。 麻生首相は飼い犬に手を嚙まれる思いだったという。 今月2024年10月27日投開票の衆院選挙で自民・公明の与党は目標とした過半数(233議席)をも大幅に下回る大惨敗を喫した。 参院選や都議選での敗北ではない。 政権選択選挙とも言われる衆院選で、だ。 与党過半数割れのままでは予算案も法案も通らない。 異常事態だ。 何より野党その他の総計が過半数を占めた状態では内閣不信任案をいつでも可決できる。 それでも石破首相は続投を重ねて表明している。 首相就任8日後という戦後最短で解散総選挙を行う理由を憲法69条に言及して 「新しい内閣について、国民に信を問うことが憲法の趣旨からもそういうことだ」 と述べていたはずだ。 国民の信任を得られなかったにもかかわらず、続投するのは 「理屈が通らない」。 過去の自分の言動によって 「後ろから鉄砲を撃たれる」 思いがしていることだろう。 長かった党内での野党暮らしは責任がなく気楽だったはずだ。 「正論」 も述べられた。 今、 「与党」 の首領として生き地獄の苦しさを味わっていることだろう。 ■国民的人気も幻だった 大惨敗の原因は 「政治とカネ」 の問題そのものではない。 政治資金の不記載問題は、一部の法令違反は処罰されて当然だが、それ以外は今後、記載を徹底し再発を防止するとすればよかった程度のことだ。 これの処理の仕方を誤って派閥解消などの大きな問題にしてしまい、 「国民の怒り」 を醸成したのが岸田文雄前首相だった。安倍派の力を削ごうとした節も否定できまい。 その岸田氏が低支持率で退任することになり、国民的人気があると勘違いして自民党総裁選で後継に選んだのが石破氏だが、総裁選で大言壮語したものの首相になるや 「変節」 やトーンダウンし、大した政策もなかったことを露呈した。 選挙はこの政策を実現するために力を与えてくださいと訴えて勝つものだが、訴える 「この政策」 がなく、 「政治とカネ」 への防戦一本となった。 当てにした国民的人気も幻で、発足時の内閣支持率は28%(時事通信、2024年10月17日公開)という2000年以降の歴代内閣の最低を記録した。 選挙応援に入る度に票が減ると言われ、自民党支持層まで野党に投票した模様だ。 大惨敗の原因は石破氏の存在が大きい。 不記載議員を原則公認する方針を決めたものの、メディアの批判に圧されて一転して非公認や比例重複なしの 「二重処罰」 にしたが、非公認候補側にも公認と同じ2000万円を振り込んだ。 当選後に追加公認を受けるようにとの狙いだろうが、如何にも場当たり的だった。 これが選挙の最終盤に発覚し報道されたことで 「政治とカネ」 の問題を蒸し返し、 「国民の怒り」 を買って数十議席を減らしたとされる。 判断した森山裕幹事長、小泉進次郎前選対委員長ら執行部の責任は大きい。 ■政策無視の「大連立」では 選挙の結果、安倍元首相が第2次政権以来、国政選挙に勝ち続けて築いてきた 「1強」 とも言われた強固な政権基盤はいとも簡単に崩壊した。 過半数割れの 「少数与党」 では政権運営に困難が伴う。 予算案や法案を通すためには野党との協力が必要になる。 当てにしていた国民民主党も日本維新の会も連立政権には加わらない方針だ。 益々野党の主張に歩み寄らざるを得ない。 首相は続投を表明した記者会見で野党の政策を取り入れるとも述べた。 これでは事実上の与野党の 「大連立」 だ。 野党の影響力が大きくなって懸念されるのは安全保障や経済だ。 台湾有事や朝鮮半島有事の危険が迫り、石破氏は否応なく、 「戦時下の首相」 となる可能性もある。 集団的自衛権の限定行使にさえ否定的な軍事音痴の野党第一党との協力で国民の生命を守れるのか。 間もなく選出される米国大統領にも対応できるのか。 財務省の意向に沿うべく積極財政の否定に向かうことはないか。 経済は低迷しないか。 安定的な皇位継承策の検討もこれまでと反対方向に向かうことはないか。 選択的夫婦別姓もそうだ。 憲法改正は進むのか。 党内野党を余儀なくされている高市早苗氏や旧安倍派の議員は党内政権交代に備えて政策を磨き、発信していってほしい。 <産経抄>居座る石破首相、言行一致の身の処し方を 2024/10/31 5:00 https://www.sankei.com/article/20241031-R6DMQT64N5MG7N6B3LUJYMNMZU/ 辞書に載る言葉には、業界用語を出自としたものが多い。 「暗転」 はその1つである。 <物事が悪い方に転じること> は後から加わった意味で、本来は <舞台を暗くして、幕を下ろさずに場面を変えること>。 つまり芝居用語だ。 ▼対義語を 「明転(あかてん)」 という。 <舞台が明るいままで場面を変えること>。 次の場面がすでに出来上がっており、回り舞台ではよく使われる手法である。 ただし <物事がいい方に転じること> の意味はなく、採録しない辞書も多いと聞く。 ▼先日の総選挙を下敷きにした舞台『国民の審判』は、過半数割れした 「自公の大敗」 編から 「少数与党の悲境」 編へと場面転換しそうだ。 脇を固めた若手選対委員長の降板をよそに、自身は主役に居座り、場面の明転を待つつもりらしい。 続投の意思を示した石破茂首相である。 ▼「国民の批判に適切に応え」 ながら職務に当たるという。 与党過半数を勝敗ラインと明言したのは他ならぬ首相で、続投は現政権を否定した選挙結果への答えになっていない。 「国政の停滞は許されない」 との説明も、責任逃れの方便に聞こえる。 ▼石破氏と言えば 「ねじれ国会」 を招いた第1次安倍晋三政権時に、安倍氏を舌鋒鋭く責めた姿が忘れ難い。 麻生太郎政権では閣内から事実上の退陣を迫りもした。 過去のご自分を鏡とし、言動にいささかのぶれもない身の処し方を、信を置ける政治家の作法を見せてもらいたい。 ▼安全保障、国民生活、災害対応。 どれ1つとして置き去りにできぬ課題で、国政が停滞すれば国民は甚だ迷惑する。 次の場面に移る前に、一案としてこんなト書きを台本に入れてみる。 <ト ここで暗転、主役交代>。 総裁選を行う気力くらい、なければ困る。 <主張>野田氏の支持要請 現実路線なしでは空論だ 社説 2024/10/31 5:00 https://www.sankei.com/article/20241031-L4VASTN36ZJOBF4YXY6QB5RHE4/ 立憲民主党の野田佳彦代表は、日本維新の会の馬場伸幸代表と会談し、特別国会の首相指名選挙で自身に投票するよう要請した。 議席を大幅に伸ばした野党第一党として、他の野党に協力を呼び掛けること自体は否定しない。 だが、基本的な政策を見ると、立民は政権担当能力を欠いている。 衆院選公約などで掲げた政策では日本の独立と繁栄、国民の命・暮らしを守れまい。 衆院選で勢いづいているとはいえ、野田氏が本気で政権を担うつもりなら、反省と基本政策の現実路線への転換が必要だ。 立民は衆院選で外交・安全保障政策について 「日米同盟が基軸」 とした一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という立場を変えなかった。 反撃能力の保有にも消極的だ。 これでは抑止力が損なわれ、日米同盟は旧民主党政権時のような危機に陥るだろう。 エネルギー政策では 「原発の新増設は認めない」 と宣言し、党綱領では 「原発ゼロ」 の実現を謳う。 脱炭素化や電力の安定供給に逆行している。 国の根幹をなす憲法改正にも後ろ向きだ。 自民党の自衛隊明記案に反対し、国会議員任期延長を含む緊急事態条項の創設も 「必要ない」 としている。 安定的な皇位継承策では、野田氏は 「女性宮家」 の非皇族男子の夫と子の皇族化に拘っている。 これは日本の皇統を断絶させる 「女系天皇」 に繋がる恐ろしい議論だ。 馬場氏は野田氏の要請を持ち帰り、 「大義や具体的な政治改革案がなければ、与することは出来ない」 「やはり政治とカネの問題だ」 と語った。 政治とカネの問題を主軸に交渉するつもりなら、首相指名選挙を履き違えることになる。 政権の舵取り役を決める選挙なのだから、皇室や外交安保、エネルギーなどの基本政策を重視すべきだ。 普通の国会共闘とは次元が違う。 馬場氏は2024年10月27日、立民について 「外交安保やエネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」 と批判していたはずだ。 野田氏は共産党の田村智子委員長にも首相指名選挙での協力を求めた。 党綱領に日米安全保障条約の廃棄を記すなど、基本政策が立民以上に非現実的な共産にまで要請したことは間違っている。 首相、衆院選惨敗を党の責任にすり替え 政策を争点としなかった戦略ミスの反省みられず 阿比留瑠比の極言御免 2024/10/31 1:00 https://www.sankei.com/article/20241031-C5A4Z42JZRJN7KN44VVPHMJ76Y/ 私事で恐縮だが、筆者が社会部から異動となり、政治部へと着任したのは26年前の平成10年7月12日、参院選の投開票日だった。 その日の深夜か翌未明に、当時の橋本龍太郎首相(自民党総裁)が次のように述べて、敗戦の責任を取って辞任を表明した。 「全てをひっくるめて私自身の責任だ」 「力不足」 「それ以上に言うことはない」 参院選で自民は16議席減らしたが、44議席を獲得した。 しかも参院選は、政権選択選挙と言われる衆院選とは位置付けが異なる。 にもかかわらずの橋本氏の引責辞任に、政治家、なかんずくリーダーの身の処し方、潔さというものを考えさせられたのだった。 一方、安倍晋三元首相は平成19年7月の参院選で大敗しても辞めなかった。 既に各種世論調査で自民劣勢が明らかだった平成19年7月29日の投開票日の数日前、安倍氏は筆者にこう話した。 「小泉さん(純一郎前首相)からも電話がかかってきて 『負けても絶対に辞めるな。参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい』 と言われた」 ■続投の安倍首相を攻撃 参院選は政権選択選挙ではないのだから、時の首相によってそれぞれの考え方や判断があるのだろう。 ただ、続投を表明した安倍氏に対し、こう激しく攻撃したのが石破茂首相だったことは踏まえておきたい。 「安倍首相は 『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』 と訴えたのに、どう説明するのか」(党総務会) 「安倍首相は 『反省すべきは反省する』 と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」(党代議士会) 石破首相は政権選択選挙である衆院選で惨敗し、与党での過半数も失ったことをどう受け止めるのか。 首相に 「ノー」 を突き付けた民意を無視して続投を決め込み、2024年10月28日の記者会見では次のように党の問題へと摩り替えた。 「自民党は反省が足りないとご叱責を賜った」 「党内の論理、党内の理屈は一切排除し、政治とカネについて抜本的な改革を行っていく」 「党内融和よりも国民のご理解ということの方を私は優先していかねばならないし、党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がったのではないかという反省を、私自身は思っているところだ」 せっかく党総裁選で政策論争に注目が集まっていたのに、衆院選では明確な基準も示さないまま党所属議員を非公認や重複立候補禁止処分とし、自ら政治とカネの問題を争点とした自分自身の戦略ミスや判断の誤りへの反省はない。 あくまで悪いのは他者であると強調し、党内融和には目を向けない。 こんな延々と魔女狩りや内ゲバを続けるような姿勢が、有権者の嫌悪感を誘うことには気づかないのだろう。 ろくに党内もまとめられずに、国民の願いや要望に応えることはできるのか。 ■「一瞬は人を動かす」 安倍氏は首相時代の令和2年6月17日、自身の次の首相候補とされた岸田文雄前首相と石破首相とを比較して、筆者に語っていた。 「政治は人を動かすかなりの要素、情熱が大事だ」 「岸田さんは最後は人を動かす所を見せないといけない」 「石破さんは本物ではないけど、一瞬は人を騙して動かす能力がある」 「彼こそ本当の『言うだけ番長』なのだけど」 その言葉通り、総裁選で石破首相は一瞬、所属議員を動かし首相の座に就いた。 石破首相に1票を投じた議員らは、自民の転落をどうみているのか。 (論説委員兼政治部編集委員) どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念 2024/10/30 21:03 https://www.sankei.com/article/20241030-EJ6PX23YLBNK7MYACULWRJYDPM/ 来月2024年11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙は、キャスチングボートを握る国民民主党が立憲民主党の野田佳彦代表に投票しない方向となり、自民党総裁の石破茂首相が選出される流れが強まった。 衆院本会議での1回目の投票では、ほとんどの議員が所属政党の党首に投じるとみられ、誰も投票総数の過半数を獲得できない見通し。 石破首相と野田氏の2人による決選投票が行われる公算が大きい。 衆院の過半数は233議席。決選投票は自民、公明両党(計215議席)が支持する石破首相、共産党も投票を前向きに検討している立民の野田氏(立民と共産で計156議席)の2人が他党票の取り込みを狙う。 ただ、 「票田」と なる日本維新の会(38議席)の馬場伸幸代表は2024年10月29日のBSフジ番組で 「どちらかに軍配を上げることはできない」 と語った。 国民民主(28議席)の玉木雄一郎代表も2024年10月30日の党会合で、決選投票でも玉木氏自身に投票する方針を説明した。 両党とも来年2025年夏に参院選を控える中、 「野合」 批判を避け、独自性をアピールする必要がある。 首相対野田氏の決選投票で投票用紙に 「馬場」 「玉木」 と書けば無効票となり、自公勢力が立共勢力を上回り、首相の勝利が有力だ。 ただ、馬場氏は2024年10月30日、記者団に、立民と政治改革に関する協議を行うと述べた上で、野田氏に投票する可能性について 「これからの協議の中身(次第)だ」 と完全に排除はしなかった。 また、自民内の一部には、衆院選で与党過半数割れとなった責任を首相が取って退陣すべきだとの声もある。 首相周辺は、首相指名選挙の投票を棄権する自民議員が出る事態を警戒している。 このため、現時点で可能性は低いものの、野党の大連合が成立したり、自民内の造反によって野田政権が誕生したりする可能性もゼロとは言えない。 石破首相「辞任必要ない」65・7% 内閣支持率は32・1%に急落 共同調査 世論調査 2024/10/29 18:30 https://www.sankei.com/article/20241029-A5DPYG3NWBMV3CYK7CDXWCWATE/ 衆院選の結果を受けて共同通信社は2024年10月28、29の両日、全国緊急電話世論調査を実施した。 石破内閣の支持率は32・1%で、内閣発足に伴う2024年10月1、2両日調査の50・7%から18・6ポイント下落した。 不支持率は52・2%。 与党過半数割れとなった自民、公明両党の連立政権継続を望むとしたのは38・4%で、望まないが53・0%だった。 自民の派閥パーティー収入不記載事件に関与し、当選した議員を要職に起用することに79・2%が反対し、賛成は16・3%だった。 望ましい政権の枠組みは 「政界再編による新たな枠組み」 が31・5%と最多で、自公の少数与党政権は18・1%。 一方、石破茂首相が過半数割れの責任を取り辞任すべきだとの回答は28・6%にとどまり、辞任は必要ないが65・7%だった。 自民の議席減に不記載の影響があったと思うとの答えは91・4%。 選挙結果で 「政治とカネ」 問題が根絶に向かうとの見方は23・9%で、向かわないが72・5%を占めた。 少数与党希望は自民支持層の4割 今後の政権枠組み、無党派層は「政界再編」が最多 世論調査 2024/10/29 18:53 https://www.sankei.com/article/20241029-5BJVP5UYLZLVTLY4M4STSCXYYA/ 衆院選の結果を受けて共同通信社が2024年10月28、29の両日に行った全国緊急電話世論調査で、今後の望ましい政権枠組みを政党支持層別に見ると、自民党支持層では 「自民、公明両党による少数与党政権」 が最多の39・8%だったものの過半数に届かなかった。 次いで多いのが 「自公に日本維新の会などを加えた政権」 の28・2%で、一部野党と連携してでも政権の安定化を望む意向がにじんだ。 公明支持層では、自公の少数与党政権が50・9%と過半数に上った。 立憲民主党支持層と共産党支持層は 「立民を中心とした多くの野党による政権」 が最も多く、それぞれ61・7%と59・1%。 維新支持層は 「自公と維新など」 が最多の40・5%だった。 「支持する政党はない」 とした無党派層は 「政界再編による新たな枠組みの政権」 が最多で42・4%。 国民民主党支持層の48・2%、れいわ新選組支持層の55・3%も政界再編を希望した。 自民内から「石破おろし」の声相次ぐ 首相、国民民主と連携に活路 立民も多数派工作 2024/10/28 21:20 https://www.sankei.com/article/20241028-FHBW6MW5XNNW7EZEDBSSZMWDAQ/?outputType=theme_election2024 自民、公明両党で過半数割れの大敗を喫した衆院選の翌2024年10月28日、自民内では石破茂首相(自民総裁)の責任論が相次いだ。 それでも続投を表明した首相は、躍進した国民民主党との連携強化で打開を図る。 だが、国民民主は連立入りを否定。 首相は同党の政策を取り入れて協力関係を築きたい考えだが、予算案や法案ごとに賛成を求めることになれば政権運営が不安定化するのは必至だ。 ■目に見える変化が肝要 首相は2024年10月28日の記者会見で 「『自民党は目に見えて変わったね』と実感して頂くことが肝要だ」 と述べ、政策活動費の廃止などを表明した。 自身が辞任するのではなく、衆院選の敗因は自民の改革姿勢の甘さにあると定義し、踏み込んだ改革案を打ち出すことで敗北の責任を取る−という筋書きと言える。 ただ、そんな思惑とは裏腹に、党内では 「石破降ろし」 が始まった。 「自民党石破政権への信を問うてこの結果、ということを軽視しすぎではないのか」。 小野田紀美参院議員は2024年10月28日、自身のSNSで、小泉進次郎選対委員長の辞任だけでは不十分との認識を示した。 山田宏参院議員もSNSに 「選対委員長の辞任で済む話ではない」 と投稿した。 小林鷹之元経済安全保障担当相も党幹部の責任論に言及する。 3氏とも、党内の 「反石破」 勢力から旗頭として期待される高市早苗前経済安保担当相に近い。 ■党内論理より国民理解を 党内の反発について、首相は 「等閑視するつもりは全くない」 と語る一方、 「党内融和よりも国民の理解を優先していかねばならない」 「党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がった」 と持論を述べた。 首相の念頭にあるのが、勢力を4倍に増やした国民民主との連携だ。 「議席を大きく伸ばした党がある」 「どのような主張に国民が共感、共鳴したのか」 「取り入れるべきは取り入れることに躊躇があってはならない」。 首相が記者会見でこう語ると、同席した森山裕幹事長は何度も頷いた。 森山氏は他党との交渉の中心的役割を担うだけに、政権継続のためには 「辞めさせられない」(別の党幹部)。 ただ、国民民主の玉木雄一郎代表は2024年10月28日、支援組織・連合の芳野友子会長に、自公連立政権に参画しない考えを伝えた。 国民民主は、自民に43議席差まで迫った立憲民主党からも触手を伸ばされている。 立民は同日2024年10月28日の執行役員会で、特別国会の首相指名選挙で、野田佳彦代表に投票するよう野党各党に協力を求める方針を確認した。 ■政権への協力は十分ある 野田氏は記者団に、一部野党が石破政権に協力する可能性は 「十分ある」 と指摘。 「注意深く見ながら、こちら(野党側)のチームをどう作っていくかに心を砕きたい」 と述べ、過半数割れした自公による野党勢力の切り崩しを警戒した。 焦りの裏返しか、他党との交渉に関し 「誠意のある対話」 というフレーズを何度も口にした。 もっとも国民民主は、野田氏への投票要請も受け入れない考えだ。 首相指名選挙は1回目の投票で過半数を得た候補がいない場合、上位2人の決選投票を行う。 首相と野田氏の一騎打ちになる公算が大きいが、玉木氏は2024年10月28日の民放番組で 「無効となっても玉木と書く」 と述べた。 榛葉賀津也幹事長も同日、連合傘下の産業別労働組合(産別)に、こうした方針を伝えており、立民の多数派工作も最初から躓きそうだ。 <主張>国民の審判 首相の居座りは許されぬ 直ちに辞職し新総裁選出を 社説 2024/10/29 5:00 https://www.sankei.com/article/20241029-CEB23AAJIJPI7NMIRKWA2U4OUQ/ 衆院選で大敗を喫した石破茂首相(自民党総裁)が2024年10月28日の記者会見で、引き続き政権を担う意欲を示した。 自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任を取らずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ。 責任を取って潔く辞職すべきである。 自民は比較第1党に踏みとどまった。 友党の公明党と共に政権構築を目指すのは分かるが、それは国民の信を失った石破総裁の下ではあり得ない。 自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい。 ■本当に反省しているか 石破首相は会見で、衆院選の審判を 「真摯に厳粛に受け止める」 と語った。 だがその言葉とは裏腹に、 「国政の停滞は許されない」 と繰り返し、 「安全保障、国民生活、災害対応に万事遺漏なきを期すことも私どもが負うべき責任だ」 と述べた。 そこには反省が感じられない。 国民は衆院選で石破首相に国政運営を託したくないという判断を示した。 それが何故分からないのか。 有権者の審判を無視するトップが政権の座に留まろうとして国民の支持を得られると思うなら甘過ぎるし、民主主義から外れている。 全ての自民国会議員は、石破首相の続投こそが、国政の停滞を招くと知るべきである。 自民の小泉進次郎選対委員長は2024年10月28日、 「選挙の結果責任は選対委員長が引き受ける」 として辞任した。 小泉氏は自身の進退について 「目標を達成出来なかったのに責任を取らない自民党では、不信感の方が大きいと思う」 と語った。 これは石破首相、森山裕幹事長にこそ言えることである。 自民千葉県連会長の桜田義孝元五輪相は 「議席をあれだけ減らした」 「責任はある」 と述べ、首相や執行部の早期退陣を促した。 これが国民感覚に沿った判断だろう。 石破首相は、第1次安倍晋三政権時の参院選で自民が大敗し 「ねじれ国会」 となった際に、続投を表明した安倍首相を攻撃した。 党総務会で 「(安倍)首相は『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』と訴えたのに、どう説明するのか」 と非難した。 代議士会では 「首相は『反省すべきは反省する』と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」 と責め立てた。 同じ事を石破首相に問いたい。 2024年10月28日の会見で 「自民党は心底から反省し、生まれ変わらなければならない」 と語ったが、トップである自身がまず責任を取るべきだろう。 麻生太郎政権時に農林水産相だった石破首相は、事実上の退陣を迫ったこともある。 過去の言動との整合性がなければ、石破首相への信頼は集まらない。 首相の言葉は限りなく軽いものとしてしか受け取られまい。 ■森山幹事長も責任重い 他人に厳しく自分に甘い、主権者である国民の審判を軽んじる。 そこに謙虚さは見当たらない。 このような有り様で与党は特別国会の首相指名選挙に確実に勝てるのか。 よしんば勝ったとしても、自民党内からは辞任論が出て、石破首相の求心力は低下している。 安定した政権運営が出来るのか。 森山幹事長の責任も重い。 選挙戦最終盤には、自民が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、 「政治とカネ」 を巡る批判に拍車を掛けた。 石破首相は 「選挙に使うことはない」 と述べたが説得力に乏しかった。 支給を主導したのは森山氏だったとされる。 石破首相の就任後に、臨時国会で予算委員会を開かず早期に解散するよう進言したのも森山氏である。 首相と森山氏は衆院選を有利に展開しようと党利党略に走ったが、思惑外れに終わった。 政府与党は首相指名選挙を行う特別国会を2024年11月11日に召集する方向で調整している。 だが、憲法第54条は衆院選投票日から30日以内の召集を定めている。 殊更引き延ばすことはあってはならないが、国会議員中心の自民総裁選を実施するくらいの日程的余裕はある。 自民は新総裁を選び、出直しを図らねば信頼回復は遠く、来年2025年の参院選でも有権者から厳しい審判を受けるだろう。 石破首相が今、日本と国民、党のために出来ることは速やかに辞任することしかない。 政治空白、許されぬ…政治部長・小川聡 2024/10/28 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241028-OYT1T50036/ 長期政権のぬるま湯に浸かり、有権者の意識とかけ離れた 「党の論理」 を捨て切れない自民党に、厳しい審判が下った。 これまでの自民党政治家と違う感覚で政権を運営するのではとの石破首相への期待は、瞬く間に失望に変わった。 予算委員会なしでの衆院解散や、政治資金問題に関わった前議員らの公認問題と2000万円の活動費支給を巡る対応などで、総裁選で掲げた 「国民の納得と共感」 よりも自民党の事情と都合を優先する姿勢が露呈し、国民の怒りの火に油を注いだ。 立憲民主党は、3年前2021年の衆院選を教訓に、自民党にお灸を据えようと考える中道保守層の投票の受け皿になった。 野田代表が、 「原発ゼロ」 をはじめとした非現実的な安全保障・エネルギー政策を封印し、共産党との連携に距離を置いたことが奏功したと言えよう。 立民は選挙戦で、 「政治とカネ」 問題への批判に注力し、景気対策や社会保障などの具体策を論じる機会は少なかった。 「敵失」 で議席を伸ばした面が大きく、自らの政策・主張が全面的に支持を集めたという過信は禁物だ。 日本を取り巻く環境は国内外で厳しさを増しており、一刻の猶予も許されない。 経済停滞や社会保障・財政の不安、自然災害への対応などを急がなくてはならない。 北朝鮮や中国による軍事的威圧や威嚇、一方的な現状変更や侵略の脅威に直面し、日本の主権や平和、繁栄を維持できるかどうかの岐路にある。 与党の過半数割れにより、当面、政権が弱体化することは避けられまい。 各党は、政局を優先して分断を加速させるのではなく、 真摯な議論を通じて現実的に答えを出していくことが不可欠だ。 内外の有事を前に、政治空白を作ってはならない。 衆院選、全議席が確定 自民191、立民148、維新38、国民28、公明24、れいわ9 2024/10/28 4:05 https://www.sankei.com/article/20241028-PRREEDNFJRJSFA344HTTAVVAPQ/?outputType=theme_election2024 2024年10月27日投開票の衆院選は2024年10月28日未明、比例代表東北ブロックで立憲民主党が最終議席を確保し、全465議席が確定した。 各党の獲得議席は、自民191、立民148、維新38、公明24、共産8、国民28、れいわ9、社民1、参政3、政治団体の日本保守党3、無所属12で確定した。 <主張>与党「過半数割れ」 審判を重く受け止めよ 安定した政権の構築を求める 社説 2024/10/28 5:00 https://www.sankei.com/article/20241028-FCCUJHFOJVJ47OD67N322RXKGY/ 第50回衆院選の投開票が行われた。 政権の信を問うと臨んだ石破茂首相は勝敗ラインに自民党、公明党の与党過半数を設定していたが、届かなかった。 立憲民主党は躍進し、国民民主党も議席を伸ばした。 自民にとって野党に転落した平成21年の衆院選以来となる歴史的敗北だ。 首相は選挙結果を重く受け止めねばならない。 今後自民は非公認当選者の追加公認を図る見通しだ。 国際情勢は厳しく、混迷の度合いを増している。 今後、特別国会で首相指名選挙が行われるが、各政党は安定政権を作るべく努力してもらいたい。 国政を停滞させてはならない。 ■言い訳選挙では勝てぬ 今回の大敗は、石破首相と自民執行部が 「言い訳選挙」 にしてしまったことが大きい。 言い訳選挙で優勢に戦うことなど望むべくもない。 自民の旧安倍派などの派閥パーティー収入不記載事件への有権者の怒りはくすぶっていた。 それにうまく対応できなかったのが首相だった。 就任後、不記載の前議員の非公認を増やし、比例代表との重複立候補を認めなかった。 しかも一気に事を決めず騒動を続けた。 世間の関心が 「政治とカネ」 一色になったのはそのせいでもある。 選挙戦最終盤には自民が、非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、首相は党勢拡大のためで 「選挙に使うことはない」 と釈明した。 これも有権者の投票行動を左右した可能性がある。 有権者や他党からどう見られるかを考えなかった石破首相や森山裕幹事長には、自民内から疑問の声が上がった。 石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった。 自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた。 国会論戦も十分に行わず早期解散に走った。 これで勝てると思っていたのなら信じ難い。 衆院選で政治とカネの問題への有権者の憤りが改めて示された。 各党は政治改革の具体策で合意し、速やかに実行に移すべきだ。 それを怠れば政治不信に拍車がかかる。 言い訳選挙になったのは、もう1つ理由がある。 それは、石破首相が政治とカネの問題を上回る、または匹敵するような政策上の大きな争点を国民に示せなかったことだ。 衆院選は常に日本の独立と繁栄、国民の生活と暮らしがかかった、日本の針路を決める政権選択選挙なのである。 にもかかわらず日本の針路を巡る本格的な論戦は展開されなかった。 とりわけ日本を守る安全保障が重視されなかったのは残念だ。 ■立民は国を守れるのか 台湾有事の懸念が高まっている。 公示の前日には、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な演習も行った。 今回の衆院選で選ばれた議員が台湾有事に直面する可能性がある。 北朝鮮の軍はウクライナ侵略に加担する見通しだ。 朝鮮半島有事がロシアを含む日本有事へ拡大することもあり得る。 その危機が十分には語られず、抑止力のための防衛力の抜本的強化、国民保護などの具体策の議論が深まらなかったのは問題だ。 立民の影響力は増大する。 野田佳彦代表は外交・安保政策の継続性を重視する考えを示す一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という党の立場を変えていない。 反撃能力の保有にも積極的ではない。 これで国民を守れるのか。 この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある。 政策上の欠陥を抱えたままの立民に政権担当能力があるのか疑問だ。 経済を巡っては、各党がこぞって消費税減税や給付金支給などの物価高対策を示した。 だが財源を含む具体化の道筋には曖昧なものが多く、バラマキ色が目立った。 物価高に負けない賃上げを果たし、デフレからの完全脱却を確実にするには、生産性を向上させて企業の収益力を高める取り組みが欠かせない。 そうした積年の課題を解決しなければならない。 憲法改正の動きを後退させてはならない。 自民の大敗に加え、改憲に前向きな日本維新の会が振るわなかった影響は大きい。 自衛隊明記や緊急事態条項の創設は急務で、国会は改憲原案の条文化を進めるべきだ。 衆院選自公惨敗 長期政権の驕りが不信招いた 2024/10/28 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50056/ ◆国政の停滞は避けねばならない◆ 自民、公明の与党が衆院選で惨敗し、過半数を割り込んだ。 今後、一部の野党の協力を得て、引き続き自公が政権を担い続けられるのか。 あるいは、立憲民主党を中心とした野党勢力が政権交代を起こせるのか。 政局は一気に流動化する情勢となった。 また、 「自公で過半数」 を勝敗ラインに設定していた石破首相の進退も焦点となる。 ■政局の流動化は確実 第50回衆院選が開票された。 自公は、2012年の政権復帰以降、経験したことのない逆風に晒された。 大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか。 一方、多くの野党は議席を増やしたが、理念や基本政策の異なる各党で協力できるかは見通せない。 自公、立民それぞれが過半数確保に向け、多数派工作を繰り広げることになりそうだ。 与野党の勢力が伯仲することで、予算案や法案を巡る攻防が激化して政策遂行が遅れる事態が懸念される。 実際、2007〜2008年の福田内閣当時は、野党が国会運営を主導し、国政が停滞した。 今後、政権の枠組みを巡って与野党が駆け引きを繰り広げ、混乱が長引く可能性もある。 山積する内外の難題に適切に対応できるのか。 与野党共に大きな責任を負うことになった。 今回の衆院選は異例ずくめだった。 石破政権が内閣発足直後の 「ご祝儀相場」 を当て込み、戦後最短での衆院解散に踏み切った。 だが、自民党は、政治資金問題を抱えた前議員らの処遇を巡り、原則として全員を公認する方針が批判されると、非公認を次々と増やし、定見のなさを露呈した。 選挙戦の終盤には、非公認となった候補が代表を務める党支部に対し、党本部が公認候補向けと同額の2000万円を支給していたことも発覚し、混乱を広げた。 執行部の失態と言う他ない。 自民が苦戦した背景には、 「岩盤」 と呼ばれた保守層の支持が離れたこともあるのではないか。 岸田前首相が昨年2023年、性的少数者(LGBT)理解増進法の成立に急に舵を切ったことや、総裁選での選択的夫婦別姓の議論に反発する支持者は多かった。 こうした政策に反対してきた参政党や、政治団体・日本保守党が一定の支持を集めたのは、自民に不満を持つ保守層を引き付けることに成功したからだろう。 既成政党に対する不信感が、新興勢力を勢い付けている側面もある。 ■現実的な主張が奏功か 先月2024年9月、15年ぶりに党首が交代した公明も厳しい選挙戦となった。 小選挙区選に初めて挑戦した石井新代表が落選したのは、支持母体の創価学会員の高齢化が影響しているとされる。 一方、立民の伸長は、自民の 「金権体質」 を争点化する手法が奏功したことが一因だ。 また、野田代表は、仮に政権交代が実現したとしても、現在の安全保障政策を 概 ね継承する考えを示した他、原子力発電を含むエネルギー政策について、党の綱領で定めた 「原発ゼロ」 に拘らない方針を強調した。 こうした現実的な主張が有権者に安心感を与えたようだ。 国民民主党も躍進した。 玉木代表が 「手取りを増やす」 と主張して、 「生活重視」 の姿勢を取ったことが、特に若い世代の支持拡大に繋がったのだろう。 日本維新の会が伸び悩んだのは、大阪・関西万博の会場建設費が想定以上に膨らんだことや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が影響したとみられる。 他方、選挙戦で政策論争が深まらなかったのは残念だ。 ■課題を蔑ろにするな 物価高を上回る賃上げをどうやって定着させていくかは喫緊の課題である。 社会保障制度を持続可能な仕組みとしていくにはどうすればよいか。 急速に進む人口減少への対策も待ったなしだ。 ウクライナ戦争や中東の紛争が長期化し、国際情勢は激変している。 先進7か国(G7)の一角を占める日本は外交力を発揮し、国際社会の安定に貢献すべきだ。 日本周辺の安全保障環境はかつてないほど悪化している。 防衛力の強化はもとより、日米同盟を深化させると共に、友好国を増やしていく必要がある。 野党の選挙戦術もあって、政治とカネの問題が焦点となったのはやむを得ないとしても、国政の課題を蔑ろにするような事態は避けなければならない。 [社説]自民不信を突きつけた厳しい審判 衆議院選挙2024 社説 2024年10月28日 2:00 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK271700X21C24A0000000/ 政治とカネの問題で自民党に厳しい審判が下った。 第50回衆院選は2024年10月27日投開票され、自民、公明両党は過半数を大きく下回り敗北した。 自公は政権に復帰した2012年以来の岐路に立った。 石破茂首相らの責任論は避けられない。 自公は野党に協力を求めて政権を継続する方針だ。 立憲民主党は躍進し、多数派の形成に向けて野党各党と協議に入る。 政局は流動化し、政権の枠組みが見えない不透明な状況になった。 ■世界の潮流が波及 自民は公示前の247議席から大きく減らし、下野した2009年以来の敗北となる。 接戦だった多くの小選挙区で競り負け、閣僚経験者や政治資金の不記載で非公認となった無所属前職ら有力議員の落選が相次いだ。 公明も石井啓一代表が落選したのをはじめ、牙城である関西で苦戦するなど、公示前の32議席を下回った。 立民は公示前の98議席から大幅に議席を伸ばした。 保守系の野田佳彦元首相を代表に据えたことで、自民支持から離反した保守層の受け皿になったとみられる。 自民との議席差を一気に縮める結果は、政権交代への足掛かりを築いたと言ってよいだろう。 自民の敗因が政治資金問題にあるのは明らかだ。 私たちは当初から 「政治とカネの問題は、扱いを誤れば政権の命取りになる」 と指摘してきた。 だが自民は生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭うことはできなかった。 与党の敗北は世界的な潮流でもある。 選挙イヤーの今年2024年、各国で相次いだ現職や与党に逆風が吹く流れが日本にも及んできたと言えよう。 物価高や賃金、雇用など身近な課題に既存の政治が十分対応できず、有権者がノーを突き付ける構図だ。 政治資金の杜撰な管理が物価高に耐える国民の不満を増幅したと見るべきだろう。 選挙戦の争点が政治とカネの問題に集中し、政策論争が深まらなかったのは残念だ。 物価上昇を上回る所得向上への道筋や社会保障の給付と負担の見直し、人口減少に伴う地方創生の在り方などは、どんな政権であっても重要課題として取り組まざるを得ない。 日本の政治の安定が損なわれることになれば、対外的に大きなマイナスだ。 米大統領選の行方が見通せない中、日米同盟や日韓関係の不安定要因にならないよう注意する必要がある。 日米韓の連携が動揺し、中国や北朝鮮、ロシアに対日政策の軽視や周辺地域での過激な行動を誘発する事態は避けなければならない。 政治の安定は海外から日本にヒト、モノ、カネを呼び込む誘因の1つでもある。 政局が混迷すれば、日本への投資を控える動きにつながる懸念がある。 ようやく成長軌道に乗りつつある経済に水を差すことがあってはならない。 そのためには出来るだけ早く安定した政権基盤を取り戻す他ない。 自公は過半数を割っても一部の野党と連携することで政権を継続したい考えだ。 連立政権の枠組みへの野党勢力の参加も視野に入れるが、現時点で野党側に自公連立に加わる動きはない。 ■熟議を取り戻す契機に 一方、立民は非自民勢力の結集に向けて野党各党と協議する意向だ。 ただ、どのような枠組みで政権を目指すのか、具体的な政権構想はこれからで、成否はまだ見通せない。 自民と立民の議席差が大幅に縮まったことで、衆院選後に開かれる特別国会での首相指名選挙に向け、両陣営の攻防が激しくなる。 国民民主党や日本維新の会などとの連携を巡る綱引きも予想される。 政権の枠組みが見えてくるには時間がかかりそうだ。 与野党の伯仲は政治の在り方として悪い事ではない。 政権交代を目指す立民の伸長は国会審議に緊張感を与える。 中道保守の第1党と第2党が熟議を通じ、重要課題を解決するのは政治の1つの知恵である。 立民にとっては政権担当能力を磨く場となり、政権への近道になるはずだ。 対外的にも日本の政治の安定と成熟を示すことになろう。 ウクライナ戦争や中東情勢は緊迫の度を増している。 与野党とも内向きの政争に陥るのではなく、国内外の情勢に目を向け、国際社会で求められる日本の役割を自覚して安定した政治を取り戻すことを急ぐべきである。
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