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決戦の投票日に取るべき行動
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2024年10月27日 植草一秀の『知られざる真実』
決戦の投票日を迎える。
選挙の最大テーマは「政治とカネ」。
自民党は問題を甘く見ていたと言える。
85人もの裏金議員が確認された。
政治資金規正法の根幹は政治資金収支の公開。
政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるように政治資金収支の公開を定めている。
自民党は組織的に意図して政治資金収支を記載せず裏金にしていた。
1000万円を超える議員が21人。
警察・検察が法に基づいて摘発する責務を負うが適正な刑事手続きは取られなかった。
裏金が個人的に流用されていれば脱税にもなる。
国民が経済停滞と大増税、インフレで苦しみあえぐなか、自民党は問題発覚後も厳正な対応を示さなかった。
石破内閣が発足し、裏金の衆院選立候補者に公認を与えない、重複立候補を認めないなどの措置を取り、裏金問題が改めてクローズアップされて有権者の投票行動に大きな影響を与える状況が強まった。
2012年の第2次安倍内閣発足後の日本はあまりにひどかった。
もり・かけ・さくらの重大犯罪事案が表面化したにも関わらず、政治権力側の議員の犯罪は何一つ立件されなかった。
安倍晋三氏暗殺は自民党と統一協会との癒着を浮き彫りにしたが自民党は統一協会との関係に関する十分な調査を行わなかった。
これらの安倍政治に対する審判が下されようとしている。
本来は政権交代が実現しておかしくない状況だが新しい政権の枠組みは主権者の前に提示されていない。
立憲民主や国民民主は議席を大幅に増大させると見込まれているが、自ら得点を上げて議席を増やすというより、敵失で議席が転がり込んでくるイメージ。
絶対権力は腐敗する。
これは永遠の真理であろう。
総選挙を通じて安倍政治が一掃されるなら、それは一歩前進である。
政権交代がある政治状況は政治の浄化にとって望ましい。
政権交代実現の可能性が拡大することも望ましいことではある。
しかし、見落とせないことがある。
それは、国民にとって最重要の問題は政策であるということ。
政権が変わっても政策が変わらなければ国民にとって大きな変化が生じるとは言えない。
政権交代は手段であって目的でない。
政権を変え、政策をどのように変えるのかが重要だ。
今回の選挙では「政治とカネ」がクローズアップされ、政策に関する論議が不足した。
主権者にとって最重要の政策テーマが三つある。
第一は原発。
フクシマ事故が風化されようとしているが、フクシマ事故の教訓を生かさないことは日本国民の愚かさの象徴である。
フクシマ事故の原因は地震と津波。
最大の問題は日本の原発が巨大地震に耐えられる設計で建造されていないこと。
原発が建造された時代、関東大震災は400ガル程度と考えられていた。
400ガルの揺れに耐えられる設計で原発は建造された。
ところが、これが大間違いだった。
現時点では震度7の地震が1500ガル以上であることが確認されており、1500ガルを超える揺れをもたらす地震が頻発していることが明らかになっている。
福井地方裁判所の樋口英明裁判長が大飯原発等の運転差止を命令したのはこのことが主因だ。
フクシマ事故を再現させないためには原発を断念せざるを得ない。
第二は消費税。
格差拡大と経済低迷の主因は消費税大増税にある。
社会保障の水準が高い国では消費税の選択がある。
しかし、日本の社会保障の水準はあまりにも貧困。
貧困な社会保障と高い消費税率の組み合わせはあり得ない。
第三は集団的自衛権の行使を許さないこと。
憲法改正を経ずに憲法の内容を改変することは許されない。
安保法制を廃止するべきである。
10月27日の投票に際しては基本政策路線を確認し、賛同できる政策公約を提示する政治勢力、候補者に清き一票を投じるべきだ。
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