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※2024年10月22日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2024年10月22日 日刊ゲンダイ2面
石破内閣支持率「ご祝儀相場」完全崩壊…「墓穴で自滅」絵に描いたような転落劇
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/362307
2024/10/22 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
田中角栄元首相の教え「握った手の数しか票は出ない」/(C)日刊ゲンダイ
朝日新聞の選挙報道、共同の内閣支持率などに自民党の候補者たちは半狂乱だが、すべて、身から出た錆、自業自得だ。国民愚弄のシャッポのすげ替え、早期解散の野党潰しと国会軽視、いい加減な組閣、形だけ裏金決着、挙げ句が連立枠拡大とは、天下無双の浅ましさ。
◇ ◇ ◇
3週間ほど前まで国民的な人気者だった石破首相に対する逆風は強まるばかりだ。変節の果ての「最速解散」で自民党の悪弊をウヤムヤにし、禊を済ませたことにしようとの企みはやはり悪手だった。衆院選の投開票まで残り5日。報道各社などによる情勢調査では、石破と自民に向けられる視線は日を追うごとに厳しくなっている。
朝日新聞(21日付朝刊)は1面トップで〈自公、過半数微妙な情勢〉と大見出しを打ち、自民党が単独過半数(233議席)を割り込む公算が大きいと報じた。世論調査(19、20日実施)に取材で得た情報を加え、自民は公示前の247議席から50議席ほど減らす見通しと分析。連立を組む公明党についても、公示前の32議席から減らし、30議席を割り込む見通しとしている。与党が沈む分、野党はおおむね浮上。立憲民主党は公示前の98議席から大幅に増やし、140議席が視野に入るという。党勢衰退に歯止めがかからない日本維新の会を除く、ほぼすべての主要野党が議席を増やすとの見立てだ。
石破自民党の失速を裏付けるように、内閣支持率も低迷。共同通信の世論調査(19、20日実施)では支持率は41.4%で、不支持率の40.4%を辛うじて上回る程度だった。公示前の調査(12、13日実施)と比べ、それぞれ0.6ポイント減、3.7ポイント増だったから、石破が「選挙の顔」として機能していないことがよく分かる。早朝に議員宿舎を飛び出し、超過密スケジュールで各地を回り、マイクを握って「信頼してもらえる政党になる」などと訴えても、票が離れる一方なのだ。
ブレるリアル石破で大失点
こうした数字に自民の候補者たちは半狂乱のようだが、すべて身から出た錆だ。裏金事件が象徴する宿痾の金権腐敗。反日カルト集団の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との断ちがたい癒着。憲法をないがしろにする軍国化。安倍1強が醸成したおごりが党内に蔓延し、庶民の暮らしには目もくれようとしなかった。首相交代による「ご祝儀相場」がアッという間に完全崩壊したのは、自業自得なのだ。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)は、こう指摘する。
「国民が期待を込めて描いていた石破首相像と、リアルな石破首相の乖離は広がるばかりです。自民党に身を置きながら、歯に衣着せぬ正論吐きの姿を評価されてきたのに、イザとなるとあっちに配慮、こっちに配慮。行動につながらない。ブレてしまったことで、取り返しのつかない大失点を喫してしまった。国民からすれば、自民党の最後の希望だった石破首相をしてこの体たらく。やはり自民党はどこまで行っても自民党なのだと、呆れた有権者は少なくないでしょう」
国民愚弄のシャッポのすげ替え。早期解散の野党潰しと国会軽視。立憲民主党の泉前代表が21日、「自民党は裏金で八十数人、世界平和統一家庭連合でも数十人は役職に就けない。そういう意味でいま閣僚になっているのは実は二軍三軍の選手たち。控え選手が内閣を構成するような状態だ」とクサしていた通りで、副大臣と政務官はほぼ居抜きのいい加減な組閣。最も度し難いのが、形だけの裏金決着だ。事件の総本山である旧安倍派を中心に12人を非公認とし、34人に比例代表との重複立候補を認めなかったが、そこは勝てば官軍。石破は当選すれば「党の同志としてお迎えをすることはある」として追加公認を否定せず、政権の役職起用も「適材適所だ」と含みを持たせている。再び同じ釜の飯を食うために、同僚議員が応援するのももちろんOKだ。
連日の全国ツアーで裏金カルト議員を支援
追い風吹く立憲民主の野田代表(C)日刊ゲンダイ
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「石破首相は連日、比例重複を認めなかった裏金議員の応援に出向いています。公明党は『クリーンな政治』の金看板よりも選挙区事情を優先し、非公認2人と比例重複の命綱がない議員の大半に推薦を出している。誰が見てもおかしな話で、問題の整理がてんでついていない。裏金議員にペナルティーなんか科されていないんですよ」
だから、石破は裏金議員の選挙区にせっせと入り、堂々と支持を訴える。
公示された15日には、少なくとも348万円の裏金をつくった亀岡偉民前議員(福島1区)の地元で街頭演説。16日には裏金168万円に加え、統一教会との関係もある井原巧前議員(愛媛2区)を応援した。17日には裏金368万円をつくり、選挙で教団のボランティア支援を受けていた若林健太前議員(長野1区)への投票を呼び掛け。18日は裏金990万円の和田義明前議員(北海道5区)の演説会に参加。20日は政界引退で処分を免れた二階俊博元幹事長の三男の伸康氏(和歌山2区)と並んでマイクを握り、「政治とカネについて深くおわび申し上げる」「公正公平、謙虚な政治をもう一度取り戻す」などとブッていた。対抗は裏金で離党に追い込まれ、無所属で鞍替えを狙う世耕弘成前参院幹事長。どちらも選良にふさわしいとは言えまい。
石破も統一教会とは浅からぬつながりがあり、関係議員の応援となると、ますます力が入るのか。本来、裏金議員は立候補する資格すらないはずだ。裏金カルト議員はなおのことだ。出る方も出る方だし、推す方も推す方。マトモな有権者と分かり合えるわけがない。
石破の全国ツアーはラストサタデーまで続く。21日は大阪で裏金908万円の中山泰秀元議員(大阪4区)と、新人なのに裏金が40万円もあった加納陽之助候補(大阪10区)を応援。22日は愛知入り。裏金を230万円つくり、統一教会とも関わりがあった青山周平前議員(愛知12区)らへの支持を訴える予定だ。
3年前はラスト3日で一変
このまま行けば「墓穴で自滅」。絵に描いたような転落劇の様相である。挙げ句が連立政権の枠組み拡大とは、天下無双の浅ましさだ。NHK「日曜討論」に生出演した森山幹事長が自公で過半数割れした場合の連立のあり方について問われ、「過半数割れしようとしまいと、同じ政策をもって国の発展を図ろうという政党とは前向きに協議していくべきだ」と言及。維新や国民民主党を念頭にした発言とみられ、波紋を広げている。
「左隣に座っていた公明党の西田実仁幹事長のメンツは丸潰れ。選挙戦の最中に公明党が警戒する連立拡大をにおわせたら、支持者だってカッカする。ただでさえ名誉会長の逝去で集票力が落ちているのに、配慮がなさすぎる」(与党関係者)
下駄の雪もいよいよ解け時か。
「もっとも、岸田前首相の下で実施された3年前の総選挙は、最後の3日間で情勢がガラリと変わった。公示前の自民党は単独過半数割れが懸念されていたのに、結果は単独で絶対安定多数を獲得。岸田前首相の政権基盤固めにつながりました。死に物狂いの自民党、緩みがちな一部野党。投票箱のフタが閉まるまで、形勢は予断を許さない」(角谷浩一氏=前出)
前出の朝日調査では、この衆院選に「大いに関心がある」との回答は32%で、投票に「必ず行く」と答えた人は66%。前回の2021年衆院選では「大いに関心がある」は32%、投票に「必ず行く」は68%だったというから傾向に大きな変化はない。この時の小選挙区の投票率は55.93%。政権交代が起きた09年の69.28%と比べるとはるかに低い。一人でも多くの有権者が票を投じなければ、3年前と同じ結果を招きかねないということ。肝に銘じておきたい。
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