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衆院選・福井1区の戦い ネット保守は裏切り者を許さない 古谷経衡 猫と保守と憂国
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/362009
2024/10/16 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
古谷経衡氏(提供写真)
いよいよ衆議院選挙が始まるが、福井1区で奇妙な戦いが行われている。参政党公認の田中こはる候補である。選挙事情に詳しい者なら、福井1区は自民党の稲田朋美氏の強固な地盤であることを知っているだろう。田中候補は、まさに「稲田つぶし」のためにこの選挙区から立候補した。ここに大山鳴動してネット保守が田中候補応援の嬌声をあげているのだ。
稲田は安倍晋三元総理の秘蔵っ子であり、岩盤保守層から猛烈な期待を受けて2005年に政界入りした。弁護士として、いわゆる「百人斬り訴訟」の原告弁護団長を務めたことが安倍氏の目に留まったのである。「百人斬り訴訟」とは、日中戦争時に日本軍の将校が、中国人俘虜を試し斬り競争したことについて、その事実は嘘で、朝日新聞などが遺族の名誉を傷つけているなどとして訴訟に及んだものである。要するに「日本軍による残虐行為はなかった」とする類いの歴史修正主義だったが、当然稲田らの訴えは棄却されて敗訴が確定した。
にもかかわらず、稲田はこの時期に論壇の寵児になり、また政治家としての人生を快調にスタートさせた。今でこそ女性の右派系議員では、高市早苗氏、片山さつき氏、小野田紀美氏などの名前が挙がるが、ゼロ年代後半から2010年代中盤まで、高市を抑えて稲田こそが「初の女性首相候補」として、ネット保守界隈が称揚し続けたのである。
実際、福井1区は元来強力な保守地盤で、いわゆる「郵政選挙」で自民党から離党した松宮勲氏の空席を埋める格好で、これまで稲田が6回連続で当選してきた。加えて、稲田の実父が日本文化チャンネル桜傘下の政治団体の役員を務めていた影響もあり、その選挙基盤は盤石。すわ初の女性宰相の声がこの界隈で高まったのも必定である。
ところが稲田は当選を重ねるうちに「常識」に目覚めたのか、しだいにネット保守から距離をとる。決定的な転換点だったのは朝日新聞の取材で、LGBTQの人々に寛容の政治姿勢を語ったものが掲載されたことだ。ネット保守にとってこれは許しがたい裏切りであり、評価が一変して一斉に稲田呪詛を始める。21年選挙では稲田の事務所に怪文書まで届いた始末という。ところが前述のとおり、福井1区の強固な地盤のため、稲田は「常識」を保ったままむしろネット保守を黙殺する戦法で現在に至る。
いまでは、岸田内閣で成立したLGBT理解増進法の黒幕は、稲田であったとネット保守は喧伝している。それがために、今次の選挙で何としても稲田に痛打を加えんと、冒頭の田中候補が福井1区に切り込みを入れる構図になっている。その根拠はLGBTへの憎悪と妄想が入り混じったものだが、裏切り者を執拗に追撃する熱情は福井1区に小さな波乱を呼び起こすだろう。
かつて関ケ原の役で、敗北した西軍諸将が最も恨んだのが東軍に寝返った小早川秀秋であった。その恨みの祟りで、小早川は22歳の若さで狂死したと当時は噂された。人を呪わば穴二つ。
古谷経衡 作家
1982年生まれ。立命館大学文学部史学科卒。令和政治社会問題研究所所長。「左翼も右翼もウソばかり」「日本を蝕む『極論』の正体」「毒親と絶縁する」「敗軍の名将」「シニア右翼」など著書多数。
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