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※2024年9月24日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年9月24日 日刊ゲンダイ2面
有権者は希望を見いだせるのか (C)日刊ゲンダイ
お祭り騒ぎに興じる自民党総裁選の裏で、23日行われた立憲民主党の代表選。あまり注目されていなかったが、下馬評通り、野田佳彦元首相(67)が新代表に選出された。
もっとも、ブッチギリの圧勝だったわけではない。野田、枝野幸男前代表(60)、泉健太代表(50)、吉田晴美衆院議員(52)の4人が立候補する中、1回目の投票で過半数を超えた候補はおらず、野田と枝野の決選投票にもつれこんだ。
立憲の代表選は党所属の国会議員、国政選挙の公認候補予定者、地方議員、そして党員・サポーターの投票により、それぞれ割り当てられるポイントの合計で争われるが、1回目の投票では野田267ポイント、枝野206ポイントと僅差。地方議員票では野田が58ポイントで、枝野は71ポイントと上回った。
決選投票は野田232ポイント、枝野180ポイントの差だった。国会議員票に限れば、野田は72票で、枝野の63票とわずか9票差だ。ここに立憲の議員と支持者の複雑な心境が見て取れる。
なにしろ野田は、民主党政権時代に国民との約束を反故にして消費税増税に突き進み、2012年には安倍元首相との党首討論で解散を約束。年末の総選挙で惨敗し、自民党に政権を明け渡した“戦犯”なのである。多くの仲間を落選させ、その後の「安倍1強」の礎を築いた野田に対し、批判的な声は党内に根強くある。
「民主党政権の野田首相は自公と手を組んで消費税増税を実現させただけでなく、霞が関や原子力ムラに操られて原発再稼働を認めたり、TPPを推進したり、尖閣諸島を国有化して中国との関係を悪化させたりした。すっかり自民党化して国民の信を失い、民主党政権を崩壊させた張本人だということを忘れるわけにはいきません」(政治評論家・本澤二郎氏)
「ドジョウ演説」で総理に
そもそも野田は「演説のうまさだけで総理になった男」と言われていた。11年の民主党代表選で、本命の前原誠司前外相と数の力で有利とされた海江田万里経産相(いずれも当時)を破ったのも「ドジョウ演説」のおかげだった。
「ドジョウはドジョウの持ち味があります。金魚の真似をしてもできません。赤いベベを着た金魚にはなれません」「ドジョウかもしれません。ドジョウの政治をとことんやり抜いていきたいと思います」という例のヤツだ。ドジョウ、ドジョウと連呼して、「ドジョウ」は野田の代名詞になった。
この成功体験に味をしめたのか、今回の代表選で野田は「朝顔」の話を繰り返していた。
「朝顔が早朝に可憐な花を咲かせるために大事な要件は、日が当たる前の夜の闇と夜の冷たさだ」
「夜の闇を知ってこそ明かりがありがたいと思う。冷たさを知ったればこそぬくもりがうれしいと思う」
「強い自民党、公明党と戦って勝ち続ける人はほとんどいません。我々は夜の闇と夜の冷たさを知っている」──。
民主党の下野で自民1強という闇と冷たさをもたらしたのは誰なのかという話で、野田の演説を割り切れない気持ちで聞いていた支持者も少なくないだろう。ちなみに、「朝顔」の話は11年の代表選でも使った焼き直しだ。
政権与党の腐敗堕落が極まり、格好の政権交代のチャンスを迎えているタイミングで「昔の顔」が「昔と同じ話」で代表に選ばれた。自民党政権にウンザリしている有権者は、そこに希望を見いだせるのだろうか。
中道保持の幻想は自民党の補完勢力になるだけか
究極の選択(C)日刊ゲンダイ
野田は23日、新代表に選出された直後の演説で「私は本気で政権を取りに行く覚悟だ。衆院解散・総選挙は間違いなく、早い段階で実施されるだろうから、その戦いの準備が今日から始まる」と話していた。
しかし、どうやって政権を取りに行くつもりなのか。足元では候補者擁立もおぼつかないのが実情だ。立憲は今年2月の党大会で「小選挙区200人擁立」を目標に掲げたが、それもまだ達成できておらず、公認候補が全員当選でも単独過半数(233議席)に届かないのだ。総選挙が近いなら、なおさら準備が間に合わないだろう。
立憲が本気で政権を取りに行く、つまり自公を過半数割れに追い込むには、野党共闘で候補者を一本化するしかない。まさにそれが、新代表に野田が選ばれた理由だ。
「安倍元総理の国会追悼演説は保守層からも高く評価された。野田さんなら、保守系野党の国民民主党や日本維新の会とも連携できる。小選挙区で野党候補を一本化できれば、自公過半数割れが見えてくる。民主党政権時代にマニフェスト違反の消費税増税をめぐって激しく対立し党を割った小沢一郎さんが、恩讐を超えて野田さんを推したのも、その一点に尽きます」(立憲民主党関係者)
小異を捨てて野党が連携し、政権交代への執念が結実すればいいが、懸念もある。日本維新の会は「第2自民党」を自称していたし、国民民主党は自公政権の予算案に賛成して「自民党のアクセル役になる」とか言っていた政党だ。
「維新や国民民主と共闘するには、改憲や原発容認、防衛安保政策の一致が求められるでしょう。それは自民党の政策に同調することになる。いま立憲がリベラル政策を捨てて保守に大きく傾けば、立法府は改憲・軍拡の大政翼賛会になってしまいますよ。こんな恐ろしい政治状況が生まれたら、戦前の二の舞いです。立憲代表に野田氏が選ばれたことが歴史の大きな転換点になる可能性があるのです」(本澤二郎氏=前出)
松下政経塾つながりで歓迎の声
27日の自民党総裁選で誰が選ばれ次の首相になるかはまだ分からないが、有力候補の石破茂元幹事長はかねて「野田さんとは考え方や政策が似ている」と言っている。
高市早苗経済安保相は松下政経塾での後輩にあたり、野田が初めて千葉県議会議員選挙に出馬した時は、住み込みで応援した間柄だという。23日も、野田が立憲の代表に決まったことを受けて、「しっかりとした保守思想の持ち主で自民党と近い政策も多々あるのではないか」と歓迎していた。
そこまで親和性が高いと、野田と自民は何が違うのかという話になってくる。同じなら自民党政権から代える必要もない。中道保守層は自民に投票し続けるだけだ。
「そもそも立憲民主党とはどういう政党なのか。代表が交代するたびに右に振れたり左に振れたりするようでは支持者も困ります。野田代表になって何が変わるのか、立憲にとって譲れない芯の部分は何なのか。きっちり国民に説明して、納得させることができなければ、表紙を替えたところで政権交代は無理でしょう。前身の民主党が下野してから12年間、再びの政権交代に向けて政策を固め、ブラッシュアップしてきたかどうかが問われます。与党の体たらくで政権交代のチャンスなのは間違いないのだから、自民党との対立軸を示す必要がある。それを来たる総選挙で民意がどう判断するかです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
腐敗しきった自民党をきちんと倒してくれるなら、ドジョウでも朝顔でもいい。野田が戦犯の汚名を背負って政権交代を成し遂げるという捨て身の覚悟を見せれば、世論の後押しもあるだろう。さもなくば、立憲も自民党の補完勢力になり下がるだけだ。
政権交代の大義か、一気に大政翼賛化か、二つにひとつ。立憲は究極の選択をしたことになる。
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