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※2024年9月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
※2024年9月10日 日刊ゲンダイ2面
「日本をもう一度世界のてっぺんに」だと(高市早苗経済安保相)/(C)日刊ゲンダイ
自民党の総裁選が裏金みそぎセレモニーであるのは言うまでもないが、改革の安売りに国民は辟易。一方、野党もため息しか出てこない面々と野党共闘の場当たりと安直。昨今の株価の下落こそ、政治不毛への率直な評価ではないのか。
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ポスト岸田を決める自民党総裁選(12日告示、27日投開票)の本番が迫る中、女性が初めて手を挙げた。高市早苗経済安保相だ。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着を背景に横死した安倍晋三元首相の支援を受けた3年前に続き、2度目の挑戦となる。
9日の出馬表明会見では「国の究極の使命は国民のみなさまの生命と財産を守り抜くこと。領土、領海、領空、資源を守り抜くこと。そして国家の主権と名誉を守り抜くこと」とタカ派全開で力説。憲法改正による自衛隊明記のほか、「何よりも経済成長を追い求める」と積極財政を強調するなど、アベ路線継承を訴えた。ほぼ1時間にわたって独演状態。質疑は「テレビの生出演が控えているので」と、30分足らずで切り上げた。
高市のキャッチフレーズ「日本列島を、強く豊かに。サナエあれば、憂いなし。」が典型的で、裏金事件への対応が注視される総裁選はヘタクソな大喜利状態だ。さながら刷新感と改革もどきの叩き売り。裏金議員の党処分見直しについて高市は「総裁が代わって、ちゃぶ台返しをしたら独裁だ」と逃げを打ったくせに、「政府において、総理大臣給与、大臣給与、いりません。『特別職の職員の給与に関する法律』の別表(第1)を改正して廃止いたします」などと大見えを切っていた。どこから見ても逆さまだ。
内閣はいつから自民党の所有物になったのか。問われているのは、組織的につくった裏金をバラまき、カネで票を買って権力を維持してきた自民党の金権腐敗だ。身内の宿痾には目をつむり、行政機関のカネ回りに手を突っ込んで「クリーンな政治」をアピールなんてデタラメ。おこがましいにもほどがある。
「刷新感」は労働者イジメ
総裁選候補は誰も彼もがうわべだけ。高市と保守票を争うコバホークこと小林鷹之前経済安保相が一番乗りでブチ上げたのは「自民党は、生まれ変わる。世界をリードする国へ。」で、背水の陣の石破茂元幹事長が「日本の未来を守り抜く。」。ナルシシズムだだ漏れの河野太郎デジタル相は「国民と向き合う心。世界と渡り合う力。有事の今こそ河野太郎」、岸田政権ナンバー2の林芳正官房長官が「人にやさしい政治。林ヨシマサ」、「令和の明智光秀」の異名を裏切らない手のひら返しを繰り出す茂木敏充幹事長は「経済再生を実行へ。」ときた。本命視される小泉進次郎元環境相は「決着 新時代の扉をあける」だ。
それで俎上に載せているのは、年末調整の廃止だとか、解雇規制や労働時間規制の緩和。自分たちの積年の悪事は棚に上げ、労働者の大半を占める勤め人をイジメ抜こうという魂胆には開いた口が塞がらない。8人目として10日に名乗りを上げる加藤勝信元官房長官のキャッチコピーは、「協創 新しい日本」。これまた全く刺さらない。総裁選が裏金のみそぎをするセレモニーであることは言うまでもないが、改革の安売りに国民は辟易だ。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)は、こう指摘する。
「本来、総裁選の本丸である『政治とカネ』の問題はどの候補にとっても目の上のたんこぶ。切り込めば国会議員票が離れていく。だから総じて『刷新感』を打ち出すわけですが、自民党には政治改革ができないという事実がよりハッキリしました。国家像も見えない。岸田政権の政策に対するスタンスも見過ごせません。世間を混乱させ、とりわけ高齢者の評判が悪いマイナ保険証への一本化をめぐり、強硬姿勢を崩さない河野氏の対応は問題がありますが、首相の女房役の林氏が今になって見直しに言及し始めたのには疑問符が付く。党ナンバー2の茂木氏にいたっては、防衛増税も子育て支援金の負担も停止するという。現政権は閣内不一致、与党とも意思疎通せずに3年間突っ走ってきたのか。岸田政権の政策への賛否を候補者全員に聞く必要があります」
「昔の顔」対決はふにゃふにゃ戦略
立憲民主は「昔の顔」対決(左から吉田晴美、泉健太、枝野幸男、野田佳彦4氏の候補者たち)/(C)日刊ゲンダイ
一方、野党第1党の立憲民主党の代表選(23日投開票)にしても、政権交代に向けて鼻息こそ荒いが、ため息しか出てこないような面々だ。12年前に政権転落を招いた野田佳彦元首相、創設者ながら3年前の衆院選敗北で引責辞任した枝野幸男前代表、再選を目指す泉健太代表に、当選1回の吉田晴美衆院議員。選挙戦の軸は元首相と前代表だ。「刷新」ではなく「刷新感」と、ご祝儀相場を当て込んだ早期の衆院解散・総選挙で逃げ切ろうとする自民党の向こうを張るのが、「昔の顔」じゃあ盛り上がるわけがない。
そうでなくても、立憲だけでは衆院選の立候補予定者が単独過半数(233議席)に達しておらず、単独での政権奪取はほぼ不可能だ。ならば腹をくくって幅広い野党でスクラムを組み、小選挙区で与野党が「1対1」の構図で戦うべく候補者調整を一気呵成に進めるかといえば、そこはふにゃふにゃ。現職の泉が「他党に頼らず、自分たちで勝つ最大限の努力をする」と言えば、「立憲共産党」と揶揄されたトラウマを引きずる枝野は「立憲への支持を集めるのが王道」と筋論へ回帰。野田は「可能な限り選挙区で候補者一本に絞っていく努力を最後までやる」とやや前向きだが、念頭にあるのは関係が良好な日本維新の会の存在だ。
注目されない次期リーダー
いずれも兄弟政党の国民民主党との協力には前向きだが、各選挙区で一定の基礎票を持つ共産党との連携は眼中にない。立憲と国民の支援組織である連合の芳野友子会長の強烈な共産党アレルギーも影を落としている。
「芳野会長は立憲と国民の連携強化を猛プッシュする一方、共産党と組むのは何が何でもNO。けれども、弱肉強食の新自由主義を是とする維新はOKというスタンス。非自民勢力の結集という大きな絵は見えていない」(連合関係者)
今さらながら、労働者の民意を反映すべきポストにふさわしい人物なのかどうか。野党共闘の場当たりと安直が浮き彫りである。ヌエにたとえられるしぶとい自民党を倒し、世論が喝采する場面は想像がつかない。与野党ともに政治が変わる気配なし。バカ騒ぎのテレビを尻目に国民は嘆息するばかりだ。
このところの株価下落こそ、政治不毛への率直な評価ではないのか。日経平均株価は9日まで5営業日続落。終値としては1カ月ぶりの安値水準となる3万6215円75銭まで下げた。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「与野党問わず、日本にはリーダーとして期待できる政治家がいない。国家ビジョンを持つ人材がいない。リーディングインダストリーもない。足元の株価は米市場の影響を受けた側面がもちろんあるものの、次期首相が誰になろうが、日本は注目に値しない国に成り下がったということ。つまり、ジャパンナッシングです。世界が無視し得る程度の経済力であるという現実が株安につながっています。30年間も自動車メーカーが産業界のトップに君臨し、成長産業に無頓着。果てはアベノミクスの金融緩和をダラダラ続けている。米国が扱いやすい世襲政治家が跋扈した結果が、この体たらくなのです」
戦後80年を前に「安いニッポン」がデフォルトとなったわけである。
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