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岸田政権“ドヤ顔”の定額減税やっぱり効果なし…消費冷え込みクッキリ、長引く物価高
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/359065
2024/08/14 日刊ゲンダイ
岸田首相は胸を張っていたが…(C)日刊ゲンダイ
「日本経済は新たなステージへの力強い移行が続いている」──。マイナス続きだった実質賃金が6月に27カ月ぶりにプラスへ転じたことを受け、岸田首相は胸を張っていたが、何のこっちゃだ。経済指標を見れば、景気の先行きはもとより、景気を支える消費の落ち込みは一目瞭然。肝いりの定額減税も焼け石に水だったのに、よくも「力強い移行」などと言えたものだ。
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日銀が13日発表した7月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は123.1と、前年同月比3.0%上昇。昨年8月以来、11カ月ぶりの伸び率だった。
押し上げ要因は、主に政府による電気・ガス代の補助金がいったん終了したことや、天候不順による農林水産物の値上がりなど。企業物価指数は家庭が購入するモノ・サービスの価格の動きを表す消費者物価指数の先行指標だ。先行きについて日銀は「政府の電気・ガス代補助金が8月使用分から再開し、全体の押し下げに働く」と分析しているが、どうなのか。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「7月の輸入物価を見ると、円ベースで前年同月比10.8%プラスです。6月の伸び率よりもさらに高い。円安による輸入コストの押し上げも大きく、政策的、季節的な要因だけでは片づけられません。円安によって原材料価格が上がれば、企業間の取引に影響し、財すなわち物品の価格に跳ね返ってきます。日銀は『物価の番人』たる本来の役割を忘れ、株価本位の動きを見せています。利上げに踏み切ったものの、マーケットの反応におののいて、内田副総裁が『市場が不安定な状況では利上げしない』と修正を図ってしまった。一時的に円高に振れても円安基調に変わりなく、物価高に悩まされる状況が続きそうです」
物価高に悩まされ続ける
「物価の番人」とは(日銀の植田和男総裁)/(C)日刊ゲンダイ
ただでさえ、過去最高の賃上げ水準で企業の人件費コストは上がっている。財・サービスともに上昇圧力が高まりやすい環境になっている中、企業がコスト増を吸収すれば業績悪化につながるし、価格に転嫁すれば消費を落ち込ませかねない。痛しかゆしの感がある。
岸田が消費の起爆剤として打ち出した定額減税はフタを開けてみれば、ほとんど効果ナシだった。定額減税が始まった6月の家計調査によると、2人以上の世帯が消費に使った金額は実質で前年同月比1.4%減。消費者態度指数は6月から7月にかけて0.3ポイント上がっただけ。肝心の7月の消費者マインドの基調判断は〈改善に足踏みがみられる〉だ。6月判断から据え置きである。
頼みの定額減税は不発で、消費者物価に先行する企業物価は爆上がり、物価の押し上げ要因である円安基調は根強いまま。この状況で、どうして消費が上向くのか。いわんや日本経済においてをや、である。
「6月の家計調査を見ると、貯蓄率が上がったことが分かります。裏を返せば、定額減税分は消費ではなく貯蓄に回ったということ。一時的に所得が増えると貯蓄に回りやすいという『恒常所得仮説』を裏付ける結果になりました。実質賃金が27カ月ぶりにプラスになったのも、ボーナスによって底上げされたから。消費増の環境が整っていません。まずは物価抑制が最優先。物価高を放置してきたから消費が冷え込んだのであって、利上げが景気を冷え込ませるという定説はもはや成り立たない状況です。日銀は本来の役割を取り戻し、マーケットにとって多少の痛みが伴うとしても、物価抑制を第一にするべきです」(斎藤満氏)
日銀は株価を気にして、追加利上げに腰が引けている。円安基調に歯止めがかからず、また値上げの波がやってくるか。
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●関連記事『【もっと読む】植田日銀はハト派→タカ派→再びハト派へとコロコロ…「対話の失敗」が招いた為替と株の乱高下』では、植田総裁の“コミュニケーション欠如”について詳報している。
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