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※2024年8月13日 日刊ゲンダイ1面 紙面クイック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
※2024年8月13日 日刊ゲンダイ2面
裏切られた広島県民(C)共同通信社
岸田政権になってから、軍拡、憲法破壊が決定的に進んでいるが、それでもイケシャーシャーと「不戦の誓い」を繰り返すのか。
「拡大抑止」に続く、長崎の平和式典ボイコット、保身のための改憲発言など、戦後最悪首相で迎える敗戦忌。
◇ ◇ ◇
戦後、最悪の偽善の式典になるのではないか。そんな寒々しい予感がするのが今度の終戦記念日だ。
岸田首相は武道館における追悼式で戦没者に向かって何を語るのか。おそらく、広島、長崎の「原爆の日」と同様、昨年と同じ文章を読み上げるのだろう。
すなわち、「今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを片時も忘れません。戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決然たる誓いを今後も貫いてまいります」。
毎度お馴染みの「不戦の誓い」だが、このセリフがなんと、空々しいことか。今年ほど虚無感が覆い、嘆息が漏れる「終戦記念日」はないのではないか。
世間は五輪のメダルラッシュで浮かれている。自民の幹事長は「今日本にはサーカスが必要」と言い放ち、テレビ局は全面協力。だから、多くの国民は「終戦記念日」など、眼中にないだろうし、そうした風潮に政府は「してやったり」なのだが、まだまだ、この国にはマトモな国民が大勢いることを忘れてもらっては困る。彼らの間の憂い、懸念はかつてないほど高まっている。
「抑止」を超えた「戦闘準備」がアチコチで
なにしろ、岸田がしらじらしい「不戦の誓い」をしている間にも、軍事同盟の日米は凄まじい勢いで戦争準備を進めているのだ。
中でも注目は米軍が2年に1度、太平洋地域で行ってきた「バリアント・シールド」と呼ばれる大規模演習だ。これに今年は自衛隊が初めて呼ばれたのだが、6月の中旬に行われた演習では、陸海空計4000人の自衛官と車両130両、航空機60機などが参加、ハワイやフィリピンのほかに、海自の八戸航空基地や宮城の空自松島基地など国内9都道県が舞台となった。つまり、自衛隊の基地内で米軍との共同訓練が行われたのである。
すでに日米は指揮・統制の一体化に向けて動きだし、先月開かれた「2プラス2」では「日本全国における日米共同演習や施設の共同使用のさらなる機会の追求」や「防衛装備品の共同開発・生産」などが盛り込まれた。オースティン国防長官は「過去70年で最も強力な進展」などと言っていたが、「こういうことだったのか」と驚くばかりだ。防衛ジャーナリストの半田滋氏はこう言う。
「日米の軍事協力は台湾有事などに備えた“抑止力”の機能として説明されてきました。つまり、戦争をさせないための軍事力です。しかし、“抑止”というのはいつか、破綻し、本当の戦争に至る。そうなれば、真っ先に在日米軍基地が狙われ、機能不全に見舞われる。その際は、自衛隊の基地を代替基地として使うしかない。バリアント・シールドはそのための備えで、だからこそ、米軍が初めて、自衛隊の参加を呼びかけ、日本の基地での演習を行ったのです」
すでに「抑止」ではなく、「戦闘準備」ということだが、当然、こういうことは国民には何も知らされていない。先の戦争も国民が気づいたときは「手遅れ」だったが、歴史は残酷なまでに同じ過ちを繰り返す。マトモな国民にしてみれば、「暗黒の終戦記念日」と言うしかない。
岸田政権下でさながら日本は「総動員体制」
戦争をする国、日本への代理人(エマニュエル米大使)/(C)日刊ゲンダイ
日米は「バリアント・シールド」のほかにも、陸自と米陸軍の共同訓練である「オリエント・シールド」、陸自と米海兵隊との「アイアン・フィスト」など、毎月のように軍事演習を繰り返している。地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」の共同生産力強化、サプライチェーンの構築、米艦船や航空機の維持整備など、いずれも岸田が勝手に大枠を決めてきて、矢継ぎ早に閣僚、事務方におろし、実行に移させている。
「集団的自衛権の行使」という憲法破壊を断行したのが安倍晋三元首相ならば、米軍の傘下に完全に入ろうとしているのが岸田だ。そのために「何でもやります」と尻尾を振って米国に媚びている。防衛費を倍増し、先制敵基地攻撃を可能にし、殺傷能力がある武器輸出も解禁。自衛隊員も基地も差し出し、挙げ句は企業にまで協力させて、米国に全面協力だ。そのための大増税も既定路線だから、さながら「国家総動員体制」である。
そんな首相が「二度と戦争を起こさせない」などという嘘を繰り返す。それをNHKなどが垂れ流す。まるで情報統制下の国みたいだ。
なぜ、軍事的対抗の論理しか持たないのか
防衛庁で官房長を経験し、その後、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理)を務めた柳澤協二氏はこう言った。
「ちょっと待って欲しい、と言いたくなります。米中の対立が先鋭化する中、台湾有事が迫っているとして、岸田政権が選択しているのは軍事的な対抗の論理でしかありません。米中の対立は何が根本問題なのか。そこに向き合おうとせず、軍事的に対抗する側面だけを推し進めている。そのための準備を国会の議論をすっ飛ばして進めて、民間企業まで巻き込んでしまった。そもそも、台湾有事は日本が攻められる事態ではなく、巻き込まれる事態です。それなのに、岸田首相は勝手に米軍との完全一体化を進め、先の訪米で“何でもやります”みたいなことを言ってしまったものだから、日本の国益に立った判断ができなくなっている。ここは一度、立ち止まって、何が国と国民にとっての利益なのかを国民全体で考え直さなければいけません」
まったくだ。岸田や防衛省の腐敗堕落官僚・軍人に任せていたら、彼らの保身の犠牲になり、国民は置いてきぼりだ。ここはカッと目を見開いて、彼らがやろうとしていることに「待った」をかけるしかないのである。
原爆の日でも薄っぺらな正体露呈
それにしても、首相を長く続ければ続けるほど、岸田という政治家の薄っぺらな正体が見えてくる。広島出身、宏池会、従ってハト派の「核兵器廃絶論者」というイメージはすべて幻想、虚像どころか、中身は空っぽだった。広島、長崎の「原爆の日」では相変わらず、「核兵器のない世界への歩みを止めるわけにはいきません」などと言っていたが、その10日前には「拡大抑止」の強化を日米の閣僚同士が確認したばかりだ。
広島の松井一実市長は平和宣言で「核抑止力に依存する為政者に政策転換を促そう」と語ったが、二枚舌の岸田を念頭に置いていたのは間違いない。核兵器禁止条約には背を向け、オブザーバー参加も拒否。長崎市が式典に虐殺のイスラエル大使を招待せずに、イスラエル寄りの欧米の大使が参加をボイコットする騒ぎになっても黙殺を決めた。「原爆の日」がどれだけ特別の日なのか、という説得にも動かないのだから、広島の政治家とは思えない。と思ったら、ボイコットの強行論者、エマニュエル駐日米大使は自分の出世のためなのか、11月になったらさっさと離任し、本国に帰るという報道がなされた。これが本当ならば、とことん、日本もなめられたものだ。
「日本では核の傘に入っている以上、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加も無理だという岸田首相の論理がまかり通っていますが、同じように核の傘に入っているドイツ、オーストラリア、ノルウェーはオブザーバー参加しています。岸田首相は核保有国と非保有国の橋渡し役になると言っていますが、オブザーバー参加もしなければ、橋を渡ったことにならず、橋渡しなどできません。ライフワークなどと言っていた核廃絶にしてこれですから、結局、岸田さんという首相は権力維持だけが目的なのでしょう。最近は憲法9条の改正をいきなり言い出しましたが、思いつきと口先だけの政治家にしか見えません」(半田滋氏=前出)
亡国の偽善首相による「全国戦没者追悼式」は今年を最後にしてもらいたいものだ。
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