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※2024年8月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
※2024年8月8日 日刊ゲンダイ2面
徹頭徹尾、無責任の元凶アベクロ(C)日刊ゲンダイ
大メディアはしたり顔で米国の景気後退や日銀の利上げばかりを強調しているが、ここまで 異常な円安とバブル株価を招いた極悪人は誰なのか。クラッシュの前に表舞台から去った2人の責任になぜか、どこも触れない摩訶不思議。その総括なくして実質賃金が上がるわけなし。
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この国の経済をとことんヘタらせたアベノミクスの巻き戻しは、やはり壮絶だ。
7日の東京株式市場も大荒れ。日経平均株価は一時900円超下げ、前日比414円16銭高の3万5089円62銭で取引を終えた。史上最高値の4万2000円台から1カ月足らずの間に、1987年10月の「ブラックマンデー」を超える暴落。一夜にして過去最大の上げ幅を記録する連日の乱高下。年初からの上げ幅は吹き飛んだ。株高わっしょいの刹那から一転、お通夜ムードが漂う。
しかし、金融正常化に向かう過程でこうした弊害が噴き出すのは分かり切っていたことで、時間の問題だった。混乱の大きさは長々と深掘りした異次元緩和に比例している。
「輪転機をぐるぐる回して日銀に無制限にお札を刷ってもらう」という安倍元首相の大号令の下、日銀の黒田東彦前総裁の指揮でアベノミクスが始まったのが2013年4月。「2年で物価上昇率2%」の目標は実現せず、典型的な戦力の逐次投入でズルズルと手じまいを先送り。
第2次安倍政権の路線を継承した菅政権、安倍やその取り巻きの顔色をうかがう岸田政権に至る11年にわたり、市中にマネーをジャブジャブと流す緩和を維持した結果がこのザマだ。
大手メディアはしたり顔で米国の景気後退懸念が高まっているからとか、日銀が先月末の金融政策決定会合で想定外の追加利上げをしたからとか、足元の動きばかりを強調しているが、異常とも言える円安や実体経済と乖離したバブル株価を招いた極悪人は誰なのか。言うまでもなく、アベクロだ。
遅きに失した利上げ
経済評論家の斎藤満氏はこう指摘する。
「株価の乱高下は、アベノミクスの歪みがいかに大きかったかを物語っています。無謀な大規模緩和によって、相場がいかに水膨れしていたか。消費が低迷する中での利上げは景気に水を差すとの批判がありますが、逆です。物価高に賃金上昇が追いつかず、実質賃金の前年割れが2年以上も続いたために消費が弱った。消費を喚起するには、賃上げか物価下落しかありません。一時よりも円が買われていますが、輸入物価は依然として上昇し、企業物価指数も引っ張られている。川の上流と中流の水位が上がっているのですから、下流にあたる消費者物価指数も上昇します。日銀の金融引き締めはむしろ遅すぎた。だから、リスクが増大してしまったのです。『2年で物価上昇率2%』を達成できなかった時点で出口を探るべきでしたし、せめて2年前にインフレに転じたタイミングで正常化へ向かうべきだった」
金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を掲げたアベノミクスによって、日銀が保有する国債は発行残高の5割超まで膨張。安倍、菅、岸田政権はそろって国債増発に頼り切り、財政規律を犠牲にした挙げ句、競争力を失って経済成長できない「安いニッポン」に成り下がった。
そうした中で物価が上昇したのは、コロナ禍からの正常化にロシアによるウクライナ侵攻が重なり、世界的な資源高に見舞われたからだ。円安が物価高に拍車をかけ、実質賃金は5月まで26カ月連続マイナス。6月は22年3月以来のプラスに転じたと大騒ぎしているが、変動の激しいボーナスの大幅増による上げ底だ。消費者物価指数が3.3%増だったのに対し、ボーナスを含む名目賃金は4.5%増だったのだが、ボーナスを差し引けば、2.3%増にとどまる。実体は1.0%マイナスで、27カ月連続の前年割れ。官製春闘で賃上げを演出しても「物価と賃金の好循環」は起きていない。
かたや英雄視、かたや殊勲の倒錯
ジェットコースター相場(C)日刊ゲンダイ
アベノミクスは百害あって一利なし。しかも、10年以上もこの国を蝕んでいる。クラッシュの前に表舞台から去ったアベクロ2人の責任になぜか、大手メディアはマトモに触れない摩訶不思議。アベノミクスの総括なくして、この国の経済は一歩も前に踏み出せまい。
反日カルト集団の統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着を背景に銃弾に倒れた安倍については、三回忌を経ても英雄視するやからが絶えない。9月末の自民党総裁選に「安倍の遺言」を引っ提げて挑む動きもある。そのあたりに忖度が働いているのか。悪人ほどナントカとはよくいったもので、かたわれの黒田は悠々自適の学者生活。異次元緩和を「粘り強く続ける」と言い張って、マイナス金利の導入や長期金利を低く抑え込む「イールドカーブ・コントロール=YCC(長短金利操作)」、ETF(上場投資信託)購入を通じた株価買い支えなど、禁じ手のオンパレードで出口をどんどん遠ざけた。後始末をせずに退任し、春の叙勲で瑞宝大綬章を受章。国民生活をどん底に突き落とした人物が何ら責めを負わないばかりか、国から勲章を授与される倒錯と言ったらない。
庶民はクジラの餌食
淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「与野党が衆院財務金融委員会の閉会中審査を近く開くことで合意しましたが、植田総裁や鈴木財務相を締め上げたところで何の意味もなさないでしょう。世界の株式市場を見渡しても、日経平均株価の値動きは激しすぎる。コンピューターを活用して高速取引をする投機ファンドの餌食になっています。アベノミクスによって金融政策の柔軟性を失い、右往左往している間に日本経済はどんどん弱体化した。マイナ保険証への切り替え強行にしろ、原発回帰にしろ、防衛費倍増にしろ、打ち出される政策は自民党に献金する大企業におもねったものばかりで、国民生活の底上げは度外視されてきた。この1年の株高は経済パフォーマンスの良さによるものではなく、円キャリートレードで味をしめた海外投資家がモーレツに仕掛けたからに過ぎません。いまだに正体の知れない『新しい資本主義』を掲げた岸田政権は今年1月に新NISA(少額投資非課税制度)をスタートさせ、貯蓄を投資に誘導していますが、デタラメの極み。鉄火場に引き込まれた庶民はクジラに食まれるプランクトンのようなもの。岸田首相に『食われろ、食われろ』とあおられるまま、プロの食い物にされている」
日銀の内田真一副総裁は7日の北海道函館市内の講演で、「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」「当面、金融緩和をしっかりと続ける必要がある」などと強調。追加利上げの臆測打ち消しに躍起だったが、後戻りはできない。
「場当たり的な相場維持に走ったら、アベノミクスの呪縛からいつまで経っても逃れられない。暮らしに悪影響を及ぼしている行き過ぎた円安を是正するためには、ツケをいま払うほかありません。まっとうな政治家であれば、国民にメッセージを打ち出し、理解を求める場面ですが、定見のない岸田首相には無理な注文でしょう」(斎藤満氏=前出)
市場の混乱の収束は見えないが、見事な八方塞がりとなった岸田の総裁再選の目がついえたのは間違いない。
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