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※紙面抜粋
パリ五輪で騒いでいるのは無節操なテレビ局だけ どこか空疎な「パンとサーカス」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/358272
2024/07/29 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
ど派手な開会式は話題を呼んだが…(C)J M P A /東川哲也
なるほどド派手な開会式は話題を集めたが、その裏では首相も決められないフランスの政治的大混乱。誰の目にも分断が明らかな世界での「平和の祭典」の空々しい偽善。 日本人も3年前に思い知らされた五輪の正体。作られる五輪熱狂の裹で隠されていることの方が問題なのだ。
◇ ◇ ◇
「さすがフランス!」とあちこちで、こんな声が聞こえたパリ五輪の開会式。デーブ・スペクター氏などは「感動100万点」「東京五輪のチームは反省会をするべきですね(笑い)」とスポニチ紙上で皮肉っていたが、ま、それはさておき、開会式が派手であればあるほど、それが覆い隠したものが気になってくる。
フランスは先の総選挙でマクロン大統領の与党連合が3位に沈み、1位に極右の「国民連合」(RN)が躍進した。2位には左派連合が入り、決選投票では与党連合と左派連合が候補者調整、なんとか、左派連合が1位となって、極右政権の台頭を封じ込めた。
とはいえ、与党連合が負けたマクロンは左派連合が推す首相候補者を任命せず、総選挙の結果、総辞職したアタル政権がなんと、新首相が決まるまでの暫定政権を率いている。マクロンは五輪中の政治休戦を宣言し、前代未聞の政治空白が続いている。そんな中、フランス高速鉄道TGVの施設が放火され、緊張が走ったことは記憶に新しい。
ド派手な開会式の裏側では空前の政治的、社会的大混乱が繰り広げられているのである。そんな五輪だから、パリの人もシニカルだ。
分断が進み、テロの恐怖が増すなか、「楽しめ」と言われてもそうはならない。日本のTV局のリポーターは盛り上げようと駆けずり回っているが、むなしく見える。それが今度のパリ五輪なのだが、そうした空気感は日本も同じではないか。
東京五輪以降、日本人はドッチラケ
スポーツジャーナリストの津田俊樹氏は「日本でてんで盛り上がっていない」とこう言った。
「メダルを取れば、そりゃ、一時的に沸くことはあると思います。でも、かつてのような国民的な盛り上がりはない。実をいうと、日本人はもっとも五輪が好きな国民性だったんですよ。他国を見ても、これほど、五輪で騒ぐ国はありません。そんな日本でも今は、シラけている。紛れもなく、東京五輪の負の後遺症です。3年前の五輪では大会組織委員会の高橋治之元理事を筆頭に22人、6法人が東京地検特捜部に立件された。賄賂と談合があからさまになり、五輪費用も青天井に膨らんだ。カネまみれ、疑惑まみれの五輪はくしくもIOCやJOCの腐敗体質も露呈させた。日本人もようやく五輪の偽善性に気づいたんですよ。それなのに無理やり熱狂しているTV中継を見させられると、その金儲け主義がまた、鼻につく。画面がバッハ会長を映すと、まだこの人、やってんのか、となる。五輪の国内招致なんてとんでもないし、海外開催では急速に関心は薄れてしまう。東京五輪を境に、五輪報道の在り方は完全に潮目が変わったと思います」
ローマ時代の詩人、ユウェナリスは「パンとサーカス」という言葉で権力者を揶揄した。食べ物と娯楽を与えとけば、市民は政治に無関心になり、為政者はやりたい放題ができる。衆愚政治のためにコロシアムでの競技が行われ、それが五輪に発展していく。
これまでの為政者は上手に五輪を利用してきたものだ。マクロン大統領はまさしく今、五輪=サーカスを利用しているのだが、国民の方が冷静かもしれない。
というより、そんな見え透いた仕掛けではどうにもならないほど、分断と混乱が深刻化しているということだ。
このパリ五輪は刹那の宴に見えてしまう。
「五輪しめしめ」とほくそ笑んでいる連中がいる
なぜ辞任しない(木原稔防衛相)/(C)共同通信社
実際、五輪の最中も、ウクライナやガザ地区は戦場と化しているのだから、いくらレーザー光線で「平和の祭典」を盛り上げようとしてもむなしいばかりだ。
国際刑事裁判所(ICC)から7つの戦争犯罪や人道に対する罪で逮捕状請求を明言されているネタニヤフ首相のイスラエルが堂々と行進しているのに、どこもそのおかしさを指摘しない。かつてヒトラーに利用された五輪は、その負い目があるからだろうが、かくも五輪の「平和」なんて欧米の事情によって左右されるということだ。ここもまた偽善の極みである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「この瞬間にも激しい戦闘が繰り広げられ、そうした映像が次々に中継されてくる。世界は分断されていますが、欧米側も一枚岩でなく、極右が台頭し、政治的混乱が続いている。この間、TVや大新聞の報道は五輪一色になるのでしょうが、その裏側の混乱がかくも不気味な五輪も異常です。五輪中継も無理やりナショナリズムを煽るような報道にならないことを祈るばかりです」
日本の政治に目を転じても、「五輪しめしめ」とほくそ笑んでいる連中が大勢いるような気がする。
海自の潜水手当不正受給では昨年11月に警務官によって、4人の隊員が逮捕されているのに、大臣に報告が上がらなかった。文民統制もへったくれもない。事務次官や海自トップなど218人が処分され、川崎重工からの賄賂疑惑まで噴出しているのに、木原防衛相はしがみつき、28日は日米韓の防衛相会議に出席。米国に言われるがままに軍事同盟強化にシャカリキだった。この問題を巡る国会の閉会中審査はようやく30日に開かれるが、衆参で1日だけ。それも五輪でかき消されてしまうのは見えている。本来であれば、大臣は即刻、辞任ではないか。
「それをしないのは、総裁選前後の内閣改造も視野に入れると後任のなり手がいないからです。時間稼ぎしてゴマカすしかない」(政界事情通)というからふざけた話だ。
誰もが「俺がこう変える」とは言わない
その総裁選もさながら「五輪休戦」ではないか。
「米国では11月の大統領選に向けて、活発な集会、議論が繰り広げられています。日本は9月に事実上、日本のトップが決まる選挙があるのに、この期に及んで、誰が出てくるのかすらわからない。それは与党・自民党だけでなく、野党・立憲民主党も同じです。候補者の名前は出てくるが、“意向を固めた”という報道だけで、本当なのか、わからない。本来であれば、このタイミングで候補者が揃って、活発な議論を展開し、メディアもそれをきちんと報じる。それこそが民主主義のあるべき姿なのに、五輪をコレ幸いにして、皆が息をひそめている。こうして、国民の忘却を待っているのだとしたら、とんでもない話です」(五十嵐仁氏=前出)
ある自民党議員は「岸田降ろしの動きは“凪”になった」「初めての派閥なき総裁選でどう動けばいいのかわからない」と言っていた。で、仕切っているのは菅前首相だ、麻生副総裁だ、ということになる。その菅は小泉元環境相か石破元幹事長か迷っている、などという情報が飛び交ったりする。だれも「俺がこう変えてやる」とは言いださない。野党も同じで、連合や維新の顔色をうかがっているのだから最悪だ。
やたらと熱狂して五輪を煽るアナウンサーにも辟易だが、こんな五輪を「隠れ蓑」にしている政治の貧困もまた、末期的惨状と言うしかない。
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