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晴海フラッグは「都有地9割引」の果てにマネーゲームの舞台と化した 小池都政3期目 どうなる負のレガシー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/357630
2024/07/17 日刊ゲンダイ
集中連載(上)
明りのともる部屋はまばらな「晴海フラッグ」/(C)日刊ゲンダイ
7日投開票の東京都知事選で「逃げの選挙」を徹底し、小池知事はまんまと3選を果たしたが、2期8年で積み上がった「負のレガシー」からは逃げられない。東京五輪の選手村を改修し、ファミリー向けマンションを整備するはずだった「晴海フラッグ」の問題もその一つだ。
海の日3連休初日の13日夕、本紙記者が現地を訪れると人影は少ない。敷地の外れにある公園で5、6人の子どもたちが楽しそうに遊んでいるくらいで、驚くほど静かだ。
今年1月から入居が始まり、2年後にはマンション23棟、5632戸に1万2000人が住む「新たな街」が誕生する触れこみだが、そんな賑わいの気配は感じない。
複数の住人に話を聞くと「住むには快適」と声をそろえる。「交通の便が心配でしたが、バスの本数が多く、苦になりません」(ある住人)とも。
「ただ、私の実感では入居棟の2〜3割の部屋には誰も住んでいない。やはり『あの問題』が影響しているのでしょう」(別の住人)
投機目的の法人が買い占め
「あの問題」とは、晴海フラッグの分譲マンションが転売・賃貸目的の投資家や法人に買い占められ、投機マンションと化していることだ。NHKが登記簿をもとに「サンビレッジ」という街区の1089戸の所有者を調べたところ、全体の4分の1以上の292部屋が法人名義での取得。棟によっては法人名義の部屋が全体の4割以上を占めていた。また、個人名義では最も多い人で10戸を所有していたという。
実際に日が暮れると、明かりのともる部屋はまばら。周辺の月島や豊洲のタワマンと比べても真っ暗な部屋が圧倒的に多い。東京都が投機目的の購入を想定せず、申し込み戸数の制限など規制を設けることなく黙認したツケだ。晴海フラッグはもともと、都有地。都民の共有財産だった土地がマネーゲームの舞台となってしまったのだ。
しかも、周辺地価の9割引きという破格値で、三井不動産レジデンシャルなど11社の事業グループに“投げ売り”された経緯がある。いわくつきの譲渡契約を締結したのは2016年12月、就任1年目の小池だった。
「都議会や都財産価格審議会にも譲渡価格を事前に諮らず土地を処分。本来なら地方自治法の規定に反します」と言うのは「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の市川隆夫事務局長だ。
正す会のメンバー32人は17年8月、売買は違法だとして都に周辺地価との差額の賠償を求める住民訴訟を起こした。1、2審は敗訴し、最高裁も今年3月に上告を棄却。6年7カ月に及ぶ法廷闘争は終わった。
「都側は都市再開発法108条2項で地方自治法の規定を免れると主張しましたが、所管の国交省の見解は『都有地などの財産の管理処分には適用できない』。しかし、この点に気づいたのは2審の結審直前。結局、最高裁は2審までの都の主張を追認し、国交省の見解について評価を避けました」(市川隆夫氏)
三井不動産グループには都の幹部OB14人が天下り。法解釈をねじ曲げ、天下り先に便宜を図ったようにも映る。今後も正す会のメンバーは「一般の感覚からみて、おかしいことには『おかしい』と声を上げ続ける」と意志を固めている。 =つづく
(取材・文=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)
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