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[社説]自民党は腐敗体質との決別を行動で示せ
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK116S80R10C24A1000000/
裏金づくりのような腐敗体質と決別する覚悟はあるのか。自民党が派閥の裏金問題を受けて政治刷新本部を新設し、11日に初会合を開いた。深刻な政治不信を払拭するには、政治資金や派閥のあり方を問い直す抜本的な議論と制度改革が求められる。
岸田文雄首相(党総裁)は会合で「信頼を回復するため、自民党自らが変わらなければならない。最優先、最重点の課題として取りくんでいきたい」と述べた。
刷新本部は首相が本部長を務め、麻生太郎副総裁や菅義偉前首相が最高顧問に就任した。1月中に中間とりまとめを発表する予定だ。派閥の問題点や政治資金パーティーを利用した裏金づくりの再発防止策などを検討する。
見直し案として@パーティー収入は口座振込に限定A党で収支を監査する――などが浮上している。購入者の公開基準を1回20万円超から5万円程度に引き下げ、罰則を強化するための法改正を求める声もある。
まず取り組むべきは、政治資金の透明性の抜本的な強化だろう。資金の流れが外部から極めてつかみにくいことが、組織的な裏金づくりを防げなかった遠因だ。収支報告のデジタル化を徹底し、政治団体の数も絞って一元的なネット公開を実現すべきである。
派閥や政治家個人への企業・団体献金はすでに禁止された。だがパーティー券購入は可能なため、以前から「献金の抜け道」との指摘があった。政党が議員に支給する政策活動費の制限や使途の公開も有力な選択肢である。
派閥の裏金問題は、東京地検特捜部が政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで捜査している。会計責任者だけでなく、政治家の監督義務を厳しく問うための罰則強化も検討すべきだ。
1988年に発覚したリクルート事件などをきっかけに、与野党は「政治とカネ」に関する法改正を繰り返してきた。にもかかわらず不正が後を絶たないのは由々しき事態といえる。
民主主義の健全な発展には政治家本人の自覚と不正の排除が不可欠だ。世論の批判をかわすための小手先の見直しは次の不祥事を誘発しかねない。政治活動にかかる費用をどう賄うかという総合的な見地からの議論が必要である。
自民党は有権者がその自浄能力に目をこらしていることを肝に銘じて行動してもらいたい。
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