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※紙面抜粋
※2024年7月11日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
脆弱な国防レベル露呈、それでも武器の爆買いと軍事同盟の亡国外交、戦争する国に突き進む(岸田首相)(C)日刊ゲンダイ
処分対象者は一体どれほどの人数に上るのか。まさに前代未聞の出来事と言っていいだろう。
陸海空3自衛隊が発足して70年目の節目を迎えた今月、不祥事が相次いで明るみに出ている海上自衛隊のことだ。
10日、自民党本部で開かれた国防部会などの合同会議。防衛省は、海自潜水士が長年、任務や訓練で支給される潜水手当を架空請求し、不正受給していたことを報告。不正受給には数十人規模が関与し、その総額が数千万円規模に上る可能性があると認めた。
会議では、潜水艦修理に絡む川崎重工業から海自隊員への接待疑惑も議題になったほか、特定秘密について海自護衛艦内で資格を持たない隊員が関連業務に従事するなど不適切な運用が常態化していた実態も確認された。
「背広組」の管理職による部下へのパワハラも多数報告されているといい、同省は12日にもあらためて調査結果を公表し、関係者を処分する方針を明らかにした。
今年度中に陸海空各自衛隊を一元的に指揮する新組織「統合作戦司令部」を240人体制で発足させる予定の同省。沖縄の陸自第15旅団を師団に格上げするほか、陸自も加わる海上輸送部隊の創設、空自宇宙作戦群による衛星運用、サイバー防衛隊の強化──など新分野への対応が矢継ぎ早に打ち出されているものの、海自がおととい(9日)公表した4月の哨戒ヘリの墜落事故を巡る報告書を読む限り、能力不足との指摘は免れないのではないか。
兵士が二流、三流であれば戦いに負ける
事故は東京・伊豆諸島の鳥島沖合で発生。海自の哨戒ヘリ「SH60K」2機が訓練中に衝突、墜落した。
2機は長崎・大村基地所属で第4護衛隊群司令が指揮していた16号機と、徳島・小松島基地所属で護衛艦「すずなみ」艦長が指揮していた43号機。16号機が高度や速度を落とすため自動飛行で時計回りに旋回したところ、直進する43号機と進路が交錯し、16号機の左側面に43号機が突っ込む形で衝突したとみられている。
回収されたフライトレコーダーの解析によると、両機とも互いの存在を認識し、衝突2分前に43号機の乗員が機長に相手の距離や方位を報告する音声が確認されたものの、その後、両機に接近を警戒する様子はみられず、回避操作が取られなかったことから、事故調査委員会は夜間による距離の誤認や見張りが不十分だった可能性を指摘した。
海自では2021年にも鹿児島・奄美大島沖でヘリ同士の接触事故が発生。再発防止のため近接時は飛行高度を分ける「高度セパレーション」を原則としていたが、今回はこの原則が守られていなかった可能性があるというからお粗末だ。
第2次安倍政権以降、日本は中国脅威論をあおり、南西地域の防衛力整備などを訴えてきたが、この国の「国防レベル」がどれほどのものか。満天下に知れ渡ったに違いない。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう言う。
「ロシア軍によるウクライナ侵攻で、優れた武器を持っていたロシア軍をなぜ、ウクライナ軍がはね返すことができたのかといえば兵士の能力、意識の高さです。つまり、どれほど一流の武器を持っていたとしても、兵士が二流、三流であれば負ける。そういう視点でとらえれば、企業から常習的に接待を受けていたり、手当を不正受給したりしていた海自隊員は猛省するべきでしょう。他国の軍隊も呆れているに違いありません」
岸田政権は日米が一体で戦う段階に踏み込んだ
ひたすらどこまでも米国の言いなりのまま(C)日刊ゲンダイ
自衛隊員のなり手不足も深刻さを増している。
防衛省が8日公表した2023年度の自衛官採用人数によると、1万9598人の募集計画に対し、陸海空3自衛隊で計9959人。達成率はこれまで最低だった1993年度(56%)を大幅に下回る過去最低の数値(51%)となった。
23年度採用の内訳をみても、部隊の基幹となる原則終身雇用制の「一般曹候補生」の達成率は前年度比19ポイント減の69%。任期制の「自衛官候補生」は同13ポイント減の30%で、ともに10、07年度の制度創設来、最低に。岸田首相は22年に国家安保戦略を改定し、防衛費を23〜27年度の5年間で約43兆円に大幅増額するなど、武器の爆買いを進めているが、武器を扱う肝心の隊員が足りずにどう対応するのか。全くワケが分からない。
そうしたら、10日付の東京新聞に驚きの記事が載っていた。23年度予算に計上された防衛費6.8兆円のうち、1300億円程度が使い残され、不用額になったというのだ。
岸田政権下では防衛力強化のために増税もやむなし──との考え方が浮上しているが、カネが余るのであれば増税する必要もないだろう。繰り返すが、この国の「防衛レベル」は何から何までデタラメの極み。オペレーション、隊員教育、人材確保、予実管理……に至るまでボロボロの状態にありながら、よくもまあ、首相や外相があちこちの国に出掛けては、防衛協力だ、軍事同盟だ、などとエラソーに言っていられるものではないか。亡国外交とはこのことだ。
対話しないと事態はエスカレートする
とりわけ見過ごせないのは、新聞もほとんど報じていないフィリピンとの準軍事同盟の無謀だ。
日本、フィリピン両政府は日本時間の8日、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をマニラで開き、自衛隊と比軍による共同訓練の促進など、安全保障分野の協力強化で一致。自衛隊と比軍が共同訓練や防衛装備・技術協力を通じて相互運用性を促進させる「RAA(円滑化協定)」に署名した。
日本による「RAA」署名はオーストラリア、英国に続いて3カ国目で、発効されれば、フィリピン国内で自衛隊が、武器を携行した形の実動訓練も可能となるという。
背景には中国の海洋進出を牽制する米国の動きがあるのだが、この日米比が進める連携強化に警鐘を鳴らしているのが柳沢協二・元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)だ。
柳沢氏は10日付の朝日新聞(4面)で、「いずれは中比の武力紛争に巻き込まれるだろう」と懸念を示し、「海上自衛隊の主な役割は日本周辺の警戒と防衛であり、フィリピンへの関与は能力を超えている。身の丈を超えた約束をしてはいけない」と強調。「日本は中国とのパイプがほとんどない中で、米国主導の『中国包囲網』に加担してしまっている。中国との対話も重要だ。意見が合わないからこそ対話しないと、いざという時に事態はエスカレートするだろう」と訴えていたが、その通りだろう。
都知事選ショックの間隙を突く形で、裏金岸田は危険で無謀な戦争準備を着々と進めているが、岸田の言う「国益を守る」とは米国に隷従し、日本国民の命や暮らしを犠牲にすること。武器の爆買いも結局、米国の軍事産業を潤すのが目的なのだ。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「海自などで最近、不祥事が明るみに出ているのは、米国が今後、日本と共同戦線を張るにあたり、防衛省に対してずさんな体質の改善、情報管理の厳格さなどを求めているからではないか。それが示す意味とは、米国と日本が一体となって戦う段階にまで岸田政権が踏み込んだということ。いよいよ日本が『戦争する国』になる日が現実になりつつあるのです」
支持率2割台の政権に好き勝手させてはならない。
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