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※紙面抜粋
※2024年7月10日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
何もせず、辞めもせず、「外交の岸田」に熱を上げ(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
マジで何とかしてほしい。連日の猛烈な暑さに、もう息が絶え絶えだ。
9日も関東や東海、近畿、九州など各所で最高気温35度以上の猛暑日が続出。東京都心には「熱中症警戒アラート」が9日まで実に8日連続で発令され、危険な暑さが続く。福岡市では、8日夜から9日朝にかけて最低気温が30度を下回らず「超熱帯夜」になったという。もはや寝苦しさを超え、正気を保つのすら困難なレベルである。
こうも殺人的な酷暑が続くと、節約志向の人々もケチってはいられない。「命には代えられない」と泣く泣くエアコンのスイッチを入れる向きも多いはずだ。岸田政権は「酷暑乗り切り緊急支援」と称し、5月使用分で打ち切った電気・ガス補助金を8月から10月までの3カ月間だけ復活させる。しかし手続きに時間がかかるとして、7月使用分は補助の対象外だ。冷房で室内が涼しくなっても、多くの庶民は来月に届く今月分の電気料金の請求書におびえ、肝を冷やしているに違いない。
エアコン代がかさめば、他の出費を削るしかない。日本生命が先月実施した「夏季休暇の過ごし方」のアンケート調査の結果、最多は「自宅・自宅周辺で過ごす」の48.4%だ。とてもレジャーどころではないのだろう。
かくも「節約の夏」が広まっているのは、言うまでもなく延々と続く「円安・物価高」のせいだ。なけなしの給与は目減りするいっぽうで、生活費の切り詰めに追われる日々。苦しみの種は酷暑だけでなく、フトコロの寂しさにも庶民は青息吐息なのである。
足元を見られて投機筋は安心の円売り
厚労省が8日に発表した5月の毎月勤労統計調査によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から1.4%減。マイナスは26カ月連続で過去最長を更新した。
基本給を中心とする所定内給与は2.5%増。大企業で賃上げが相次いだ今春闘を受け、1993年1月以来31年4カ月ぶりの上げ幅となったが、消費者物価指数は3.3%上昇し、差し引きは結局マイナスだ。賃上げが物価高騰にちっとも追いつかず、マイナス幅は4月の1.2%減よりも落ち込んだ。
2年2カ月も実質賃金が下落の一途をたどれば、その間、オギャーと生まれた赤ちゃんもしっかり歩けるようになる。「おむつ卒業」にはまだ早いが、おむつ代が惜しくてトイレトレーニングを始めざるを得ない子育て世帯は確実にいる。実質賃金がプラスに転じなければ、異次元の少子化対策もヘチマもないのだ。
それでも所定内給与の大きな伸びに気を良くしてか、経団連の十倉会長は中小企業の賃上げ分が6月以降に反映されれば「少なくとも年内にはプラスになるのではないか」と期待を寄せたが、甘い見通しだ。財界トップが庶民に淡い希望を抱かせるとは罪深い。
「今後も円安は加速し、物価上昇分を上回る賃上げは困難です」と言うのは、経済評論家の斎藤満氏だ。こう続ける。
「世界規模でドル安の流れは強まっているのに、円相場だけは1ドル=160円台に定着したまま。一向に円高に進まないのは投機筋に足元を見られているからです。政府・日銀の為替介入の原資は20兆円程度。既に4〜5月に計10兆円程度を使い込み、そう簡単に追加介入はできないと見透かされています。逆に残り10兆円を使い切れば、投機筋が猛烈な円売りを仕掛け、1ドル=200円台に向かいかねません。じゃあ、植田日銀が追加利上げで円安退治に動くかといえば非常に心もとない。小出し小出しの貧乏根性で、まず巨額の国債購入を減額し、次に小幅利上げと常に政権側の顔色をうかがって『戦力の逐次投入』の愚策を重ねそうです。だから投機筋は安心して円を売る。おかげで通貨の購買力を測る総合指標『実質実効為替レート』を見ると、日本円の価値はトルコ・リラやアルゼンチン・ペソよりも安い。今や世界最弱通貨と言ってもいいくらいです」
世界最弱通貨がもたらす物価高への怒り
世界最弱通貨に成り下がり…(2019年6月の円為替=下)/(C)共同通信社
世界最弱通貨がもたらす物価高に苦しむ庶民の悲鳴に岸田首相は「聞く耳」なし。手をこまねいて何もせず、辞めもしないのが、今のレームダック政権のタチの悪さだ。たかだか1人当たり4万円のケチな定額減税なんて焼け石に水である。
「むしろ、6月の給与明細への減税額の明記を義務づけ、煩雑な手間をかけさせたせいで、多くの企業は余計な事務処理コスト、つまりムダな出費を押しつけられてしまった。実質賃金が下がり続けているタイミングで、新紙幣を発行するのも大いに疑問。経済効果は1兆6300億円ともいわれていますが、その大半は新紙幣に対応するために金融機関や小売業などが支払うもので、コストとなって経営に跳ね返る。要するに定額減税も新紙幣発行もコストアップにつながり、賃上げ抑制の圧力となりかねない。岸田政権の打つ手は全てチグハグ過ぎます」(斎藤満氏=前出)
7日の東京都知事選と同日投票だった都議会補欠選挙で、岸田自民は8選挙区に公認候補を擁立。無党派対策として知名度の高い石破元幹事長や河野デジタル相らが応援に入ったが、結果は2勝6敗と大きく負け越し、大惨敗を喫した。
4月の衆院3補選以降から続く「負の連鎖」が断ち切れないのは、裏金事件の大逆風だけが理由ではない。どのメディアの都知事選の出口調査を見ても、投票の際に最も重視した政策は「景気・雇用対策」がトップだ。
それだけ庶民が、「何とかしてくれ!」と絶望的な物価高地獄に喘いでいる証拠。それを尻目に脱税まがいの裏金づくりに励んできた自民の議員連中にあきれ、ますます怒りを募らせているのだ。
彼我の差の克服に何倍もの怒りを突きつけろ
そんな庶民たちの苦悩と憤怒を知ってか知らずか、岸田は都議補選惨敗にも平然とした顔である。記者団に自らの責任を問われても「真摯に受け止める」と決まり文句を繰り返すのみだった。
ケチな減税も不発に終わり、都議補選でも惨敗。さすがに党内から「辞めろ」コールが上がっても、この人の往生際の悪さは筋金入り。9月の党総裁選を見据え、例によって「外交の岸田」のアピールに熱をあげている。
10日、政府専用機で米国に飛び立ち、米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に3年連続で出席。その後、14日までドイツに滞在し、ショルツ首相と会談する。8月もカザフスタンで中央アジア5カ国の首脳と初めて会合を催し、モンゴル訪問も調整中だ。
目いっぱい外交日程を詰め込み、どうにか政権の立て直しにつなげたいのだろうが、有権者の審判は明確だ。どんなに総選挙から逃げ回っても、しょせんは悪あがき。かくなる上は14年ぶりに政権交代を成し遂げた英国の有権者のように、与党の大惨敗に持ち込むしかない。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「忖度なしのメディアの強い追及、政治家が非を認める文化と議会制民主主義を重んじる伝統、働く人々の真の味方である労組に支えられた野党の存在……。ハッキリ言って英国とは彼我の差があるとはいえ、経済失策と歴史的なインフレ苦、相次ぐ不祥事に党内抗争、世間の感覚とズレた金持ち議員など、国民を無視した与党の惨状は日本も大差ありません。英国とは相当なハンディがある以上、この国で政権交代を果たすには、2倍も3倍も民衆が怒りを爆発させ、与党に突きつけるしかないのです」
むろん、怒りの受け皿も不可欠で、野党第1党には「立憲共産党」批判に屈し、内ゲバを繰り広げている暇などない。
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