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※紙面抜粋
※2024年7月4日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
満面の笑みだった岸田首相だが…(左は日銀の植田総裁)/(代表撮影)
日銀は3日、20年ぶりとなる新しい紙幣の発行を始めた。新紙幣の肖像は、1万円札が「近代日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一、5000円札が女子英学塾(現津田塾大学)創立者の津田梅子、1000円札が「近代日本医学の父」といわれる北里柴三郎。3日はNHKを筆頭にテレビは新札のニュースでバカ騒ぎ。世間も新札の話題で持ちきりである。
大手メディアは、偽造防止の一環として「ホログラム技術を世界で初めて取り入れた」だの、やれ「紙幣の透かしが進化した」だのと騒ぎ立て、岸田首相も「新紙幣が国民に親しまれ、日本経済に元気を与えることに期待したい」と満面の笑み。ドッチラケもいいところだ。
目下の問題は紙幣のデザインよりも、日本円の価値である。今や円の価値はボロボロで、岸田が言うように「新紙幣で経済を元気にできる」状況ではないのだ。
3日午後の円相場は1ドル=161円台後半まで円安が進み、162円台目前となった。約38年ぶりの安値水準で、円安進行に歯止めが利かない。
通貨の購買力を測る総合的な指標「実質実効為替レート」(2020年=100)を見ると、円の凋落ぶりは明白だ。前回、新札が発行された2004年11月は「138.13」だったのに、直近の今年5月は「68.65」。この20年で価値は実に半分となってしまったわけだ。
ピークだった1995年4月の「193.97」の約3分の1で、データが残る70年以来、過去最低である。70年といえば、1度目の大阪万博が開催された年。くしくも来春に2度目の開催を控えるが、希望に満ちていた当時との隔世の感を禁じ得ない。
とにもかくにも、20年前と比べて価値が半減とは、新紙幣どころか「ボロ紙幣」と言うしかない。
「1ドル=200円」に向かう可能性
ただでさえ、目も当てられない状況なのに、まだまだ円は下落する恐れがある。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「相場は今後、1ドル=200円台に向けて進んでいく可能性があります。ポイントは日本政府の為替介入です。介入の原資は政府・日銀が持つ外貨準備で、すぐに使える預金は20兆円程度。既に4〜5月で計10兆円程度の介入に踏み切りましたから、残りは10兆円。これを使い切れば、投機筋は猛烈な円売り・ドル買いに打って出るでしょう。したたかな投機筋は、介入に踏み切るタイミングを待っているはずです。円の価値はさらに目減りし、下手をすれば昨年、通貨の急落で過剰なインフレに見舞われたアルゼンチンの二の舞いになる恐れもある。いいかげん、利上げに踏み切らないと、円安は止まりません」
こうした惨状を招いた原因は明白だ。安倍政権が日銀の黒田前総裁のもとで始めたアベノミクスが最大の元凶である。
「『3本の矢』を掲げたアベノミクスでしたが、やったのは1本目の大規模緩和くらいのもの。デフレ脱却を掲げながら、10年以上も続けてしまったことで、一部の輸出大企業と株式を保有する富裕層だけは潤ったものの、円安物価高で庶民の生活はギリギリです。円の価値を徹底的に貶め、日本経済の体力を奪ったのがアベノミクスです。生みの親の安倍元首相、それを引き継いだ菅前首相、今なお継続させている岸田首相の罪は極めて重い。総懺悔させるべきでしょう」(斎藤満氏=前出)
新札をボロ紙幣にした男たちの重罪を放置してはダメだ。
企業の「モラル崩壊」続出の背景にアベ政治
全ての元凶(安倍元首相と黒田前日銀総裁)/(C)日刊ゲンダイ
新1万円札の肖像に選ばれた渋沢がこの世を去ったのは1931年。90年後の日本経済がこんな状況になるとは予想だにしなかったはずだ。
500近い会社の設立に関わった渋沢は、会社のあるべき姿として「合本主義」を掲げた。1人の出資者が会社を支配するのではなく、多くの出資者が企業の設立に関わり、利益を分け合うという考え方である。
渋沢の玄孫に当たるコモンズ投信の渋沢健会長は、2019年、東洋経済オンラインのインタビューで合本主義の行く先について、こう語っている。
〈その目指すところとは、人々の幸福や富に永続性を持たせることです。目先の富を得るために手段は問わないというのではなく、富に正しい道理を持たせることによって初めて、人々の幸福や富の永続性が担保されるというわけです〉〈民間企業にとって利益追求は当然ですが、道徳が必要になるのは持続可能性のためです〉
道理や道徳を失って拝金主義に走れば、経済や社会は持続しない。当たり前のことだ。
ところが、日本の企業は、今まさに渋沢が掲げた合本主義の精神を失っている。日本を代表する自動車メーカーには、国の認証試験を巡る不正が相次いで発覚。トヨタ自動車の子会社は下請け約50社に金型を無償で長期間保管させていた問題が噴出した。中古車販売大手のビッグモーターは保険金の不正請求問題にまみれ、旅行大手の近畿日本ツーリストはコロナ関連の委託事業で人件費を偽って費用を過大に請求していたことが判明している。
渋沢栄一の理念に逆行する自民党政権
こうした企業のモラル崩壊の根っこには、何でもアリのやりたい放題が横行したアベ政治が影響しているのは間違いない。淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)はこう言った。
「政治献金と裏金、天下りを通じた政官財の利益共同体が、それぞれの私益をむさぼる。これが、アベ政治の本質です。私利私欲を追求する『強欲資本主義』と言えるでしょう。企業から献金や裏金を受けた政治家が見返りに公共事業を回し、天下り先を確保した企業に有利になるような制度設計を官僚が行う。共同体の輪の中だけで富を回していれば自分たちの利益を守れるわけですから、当然、緊張感がなくなり、政官財は腐敗堕落していく。企業の不祥事が頻発するのも当然です」
そもそも、アベノミクスの異次元緩和そのものが、大企業を“ぬるま湯”にどっぷりと漬からせ、緊張感を奪う愚策だった。円安進行で輸出大企業はふんぞりかえっているだけでボロ儲け、内部留保ばかりを“蓄財”した。人材や新たな分野への投資も控えた結果、米国で生まれたGAFAのような新興産業が育つこともなかった。空前の円安が進む今なお大企業は好決算で左うちわ、逆に庶民の暮らしは円安物価高にあえぐばかりだ。
政府は物価高を背景に消費税収が増えてホクホクだろうが、渋沢の言葉にあるように、「富に正しい道理」を持たせなければ人々の幸福は担保されない。今すぐ、「道理」をブッ壊したアベ政治から脱却しなければ、永続的に国民は不幸になるだけだ。
「日本赤十字社の創設に関わるなど、公共・福祉事業でも役割を果たした渋沢が追い求めたのは、徹底した『公益資本主義』でした。さらに、欧米に追いつくため、次々と新しい事業にもチャレンジしていた。私利私欲をむさぼり、金融緩和で旧態依然とした経団連企業を温存するアベ政治とは真逆の発想です。まさか、自民党議員は渋沢の新紙幣の束で再び裏金をつくる気ではないか。笑えないブラックジョークです」(金子勝氏=前出)
こんな「オンボロ紙幣」の肖像に選ばれた渋沢は、草葉の陰で泣いているに違いない。
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