<■1148行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 東京都知事選 進化するネット選挙 政策もプライベートもアップ 街頭告知にとどまらず 2024/7/5 21:10 https://www.sankei.com/article/20240705-WORJWPSJMFJ3LEVG7UCC2R7LMQ/ 東京都知事選(2024年7月7日投開票)では、各陣営とも交流サイト(SNS)やユーチューブなどを中心としたインターネットによる発信に力を入れている。 これまではネットを通じた街頭活動の告知がメインとなってきたが、今回の都知事選では、様々な角度から有権者の関心を呼ぼうとする取り組みが目立つ。 公約発表やイメージ映像に加え、プライベートな様子を曝け出す者まで出ている。 ■AI、ライブ 無所属現職の小池百合子氏(71)が自身のSNSで使い分けるのはリアルと人工知能(AI)。 自身が出演して話しかける 「リアルゆりこ」 の動画では、追加公約などを発表。 自身の音声を学習したCG(コンピューターグラフィックス)が登場する 「AIゆりこ」 では、これまでの政策を振り返る。 無所属新人の前参院議員、蓮舫氏(56)は 「東京には夢がある」 と呼び掛ける動画をSNSのトップに固定。 支援者が作成・投稿した動画や画像などを積極的に引用して、支持の広がりを目指す。 リアルタイムで視聴者とやり取りができるライブ配信にも取り組んでいる。 ■大病や愛犬 ともすれば、強い女性¢纒\と目される両氏。 両陣営ともそんな世評を気にしているのか、いずれも柔らかさ≠演出する発信に力を入れている。 小池氏は、過去に患った大病や母の介護経験を振り返ったものから、自宅にカメラを招き入れるなどを日常生活を明かす発信も多い。 小池氏陣営によると 「若手スタッフが色々な面を引き出す質問を作り、本人も楽しんでいる」 という。 蓮舫氏のSNSでは、その日の予定を終えて帰宅し、愛犬に抱き着いて癒やされる姿や、自身の子育てを振り返る動画などがアップされている。 蓮舫氏のスタッフによると 「強いイメージを持たれがちなので、違う側面も知ってもらいたい」 との考えがあるという。 ■拡散呼び掛け 無所属新人で前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)は、街頭演説に集まった聴衆に動画などを撮影してもらい、ネット上で拡散するよう呼び掛けている。 市長時代からSNSや動画を積極的に使って知名度を上げてきただけに、本人、陣営共にネットの活用方法は心得ているもようだ。 「石丸伸二」 で検索すると、公式以外にも多くの動画が上がっていることが分かる。 無所属新人で元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は、昨今の日本の状況を憂う様子などを 「としおのぼやき」 としてシリーズ化し、短い動画に編集して配信している。 ◇ 東京都知事選でも話題になっているインターネットによる選挙活動について明治大の湯浅墾道教授に話を聞いた。 要旨は以下の通り。 インターネットでの選挙活動は解禁当初、影響力に否定的な見方もあったが、選ぶ側も選ばれる側も当選者を出せると分かり、潮目が変わった。 特に東京都知事選のような浮動票の多い大型選挙では、現職知事さえ無視できない存在だ。 ただ、3つの点で問題がある。 1つは立候補していないのに立候補しているかのような 「フェイク候補者」 が現れたこと。 2つ目は有権者以外のネット上の支援者が大勢いること。 有権者ではない人たちの活動が有権者の判断に影響を与えてよいのかということだ。 3つ目は営利目的の選挙活動が定着していること。 これが最も問題で、動画サイトやSNSなどを運営する、いわゆるプラットフォーマーによる自主規制やチェックが必要だ。 大手メディアは厳格な基準を設けているが、プラットフォーマーは現状、チェック機能を果たしていない。 自主規制を強く求めるべきだし、それが出来ないなら規制を導入する公職選挙法改正を検討すべきだ。 海外企業であっても違法性を示す意味はある。「恫喝受けた」と投稿…石丸伸二氏言動で控訴棄却 市に賠償の1審支持、広島 2024/7/3 13:46 https://www.sankei.com/article/20240703-YFVEJOMLYJIAJKSPUG35JH2BJU/ 広島県安芸高田市の石丸伸二前市長(41)の 「恫喝を受けた」 との嘘の主張で名誉を傷付けられたとして、山根温子市議(68)が市と石丸氏に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、広島高裁(倉地真寿美裁判長)は2024年6月3日、市に33万円の賠償を命じた1審広島地裁判決を支持し、市と市議双方の控訴を棄却した。 1審広島地裁判決によると、石丸氏は令和2年9月、本会議中に男性市議が居眠りしていたと交流サイト(SNS)に投稿。 更に令和2年10月、この投稿を巡って山根氏ら複数の市議から 「敵に回すなら政策に反対する」 などの 「恫喝を受けた」 と投稿するなどした。 1審判決では、市長だった石丸氏の言動は真実と認められず、名誉を損なったと認定。 公務員の職務中の行為だったとして、石丸氏個人への訴えは棄却した。 市側が控訴し、山根氏側も慰謝料の増額と、石丸氏に対する棄却を不服として控訴した。 現地匿名座談会 前安芸高田市長・石丸伸二とは何者か? Hanada2024年8月号 安芸高田(あきたかた)市は、広島市から北東へ80kmほどの中山間部にある。 「平成の大合併」 で、2004年に高田郡吉田町、八千代町、美土里(みどり)町、高宮町、甲田町、向原町が新設合併して安芸高田市が発足した。 林業などが盛んだったが、地域は過疎化が進んでいる。 人口は約2万5000人。 中心部の吉田町には、戦国武将の毛利元就が本拠地とした郡山城の跡や墓がある。 その安芸高田市の石丸伸二市長(41)が、東京都知事選に出馬した。 1期にも満たなかった地元での評判はどうなのか。 安芸高田市の市議、元市議ら4人の男性に集まって頂いた。 ■京大卒、三菱UFJ勤務 ーー4年前(2020年)、石丸さんはどういう経緯で市長に当選したのですか。 ★A 2020年の7月、この辺りを地盤(広島3区)にしている衆院議員の河井克行さん(法務大臣)に絡む”収賄事件"で、現職だった児玉浩市長が引責辞任、2020年8月に選挙になりました。 児玉さんは後継として竹本峯昭副市長を立て、無投票かとばかり思われていた。 ところが、ここの出身で、京都大学(経済学部)を卒業して三菱UFJ銀行に勤め、ニューヨークに4年ほど赴任していたという石丸氏が突然、そんな 「エリート色」 を引っ提げて立候補したんです。 ”贈収賄”事件で街の空気は沈滞ムードでした。 その上、過疎・高齢化が進む一方だったので、市民からは 「高収入を投げ捨てて故郷に戻って立候補した37歳の彼なら、街を活性化してくれるのではないか」 と期待する声が多かったですね。 結果、票数は石丸候補が8000ちょと、竹本候補が5300くらいで、大差で石丸氏が勝ちました。 ★D 当時の石丸氏は、銀行で年収1000〜1300万円も稼いでいたんでしょう。 有権者は 「それをかなぐり捨てて故郷に尽くすのは立派だ」 と思った。 ここじゃ、市長をやっても1000万円あるかどうかだから。 ★C 石丸氏にとって、逆の意味での 「河井風」 が吹いて、 「立候補した副市長なんて、どうせ前の収賄市長と変わらない」 と見られていた。 ★B 石丸氏の親父さんは、地元の電鉄会社に勤めていました。 同じ会社の人が私の関係者にもいて、その伝で、立候補する時、本人が私にも挨拶に来ましたよ。 「立場上、応援はできなけれど、石丸さんは大都会にばかりいたんだろうから、しっかり中山間部の安芸高田市の事を勉強して下さいよ」 とは言っておきました。 ■議会で議論が進まない ーー石丸氏が辞めた現在、市議の熊高昌三さんが、その後継として市長選(2024年7月7日投開票)に出馬する。 ★A 彼は石丸市政を評価していた男ですが、それでも議会などで意見が違うと、石丸市長は熊高議員を激しく罵倒していた。 私なら、とても付き合う気になりませんけど、熊高さんは忍耐強いんでしょうね。 ★B そういう人すら大事にしないんだから、2期目に出る気なんてさらさらなかったのでしょう。 ーー市長就任後、まず騒動になったのが、議員の居眠り問題でしたね。 ★A 亡くなった武岡(隆文)市議のことですね。 2020年9月25日のことで、居眠りは事実です。 石丸氏がツイッター(現X)で、名前と共に 「恥を知れ!」 と投稿し、拍手喝采を浴びました。 武岡さんは翌日、すぐに 「居眠りしたことを会ってお詫びしたい」 と伝えましたが、石丸市長に 「会う気はない」 と断られました。 携帯メールでも謝意を伝え続け、それは市長も認めています。 それでも 「説明責任を果たせ」 と言われ続けたので、2021年6月10日に武岡さんは記者会見をし、 「医師から睡眠時無呼吸症候群の診断を受けて、居眠りではなく、軽い脳梗塞による意識の喪失だった」 と説明。 しかしその後、 「何で今更また謝罪しなくてはいけないのか」 と口にした発言が、またYouTubeで流されて叩かれてしまい、大変悩んでいました。 亡くなる直前に電話で話しましたが、憔悴しきっていました。 本当に気の毒です。 ★B 武岡さんという人は神経質といってもよい性格で、医師の診断書も、市議長を通して正式に石丸市長に出されていました。 しかし、市長は 「個人情報だから受け取れない」 と言って、診断書をシュレッダーにかけたとか。 そもそも議会に出された診断書は公文書ではないのか。 ■何でも「無駄だ」と潰す ーー議会ではどんな事が。 ★B 議員の質問に対して 「日本語が正しくない」 と噛み付いたり、 「おっしゃる意味がよく分かりませんが」 などと言葉に拘ってばかりで、内容が前に進まない。 まるで国語の試験のようでした。 正確な日本語でなくとも分かるはずなのに、議論の入り口で止まってしまっていた。 しかも切り取りで映像をYouTubeで発信する。 「あなた方は国語力がない」 といったつまらないやり取りばかりが流れて、議会でどんな事を議論しているのかがさっぱり伝わっていない。 ★C そりゃあ、私ら田舎の爺さんだから、正しい国語になっていないかもしれない。 しかし、石丸という男はハナから地方の年寄りを馬鹿にしているんです。 目上の人を敬うなんて気持ちはかけらもない。 学校の勉強はよくできたかもしれてないけど、人間としては失格だよ。 ーー石丸市長は、既存の事業の廃止を次々と打ち出してきましたね。 ★B 2代前の浜田(一義)市長が 「田んぼアート」 という事業を提唱したのですが、石丸市長が 「鶴の一声」 で中止してしまった。 ーー田んぼに絵を描くことで、遠くや空から色んな図柄が楽しめるアート企画ですね。 ★B 観光客誘致にも繋げたいとした 「田んぼアート」 は、特別委員会も作って 「さあやろう」 という時で、JAも含めて実行委員会を作り、先進県の青森まで視察に行って研究していました。 色んな企業から苦労して協賛金も集めていたのに、石丸市長は 「そんなものは金にならん」 といった感じで、一方的に中止を決めてしまった。 ★A 他にも、八千代の森美術館を 「市外の人が利用するのに税金を使う必要がない」 「市の人は誰も利用してない」 と言って休館。 ★B 安芸高田市には他に美術館がなく、八千代の森美術館は地域の文化を発信する重要な拠点でした。 今は赤字でも、長い目で見て施設を活かすやり方を模索することが政治ではないのでしょうか。 何でも 「無駄だ、無駄だ」 と潰す政治なら誰でもできるよ。 ★A 市では従来からお見合いのような 「婚活事業」 もやっていましたが、これも潰してしまった。 多い時で年間5組くらい成立していて、他県から 「ノウハウを教えて下さい」 と安芸高田市に学びに来ていましたし、広島県庁からも 「県でやる」 と視察に来ていました。 高齢者ばかりになる中、若い人が増えてほしいという切実な思いで始めたのですが・・・。 ★C 12年間やって、59組成立した。 ★A 彼は中学の模擬議会にこの事業を持ち出して、生徒から 「続けるべきでは」 と言われ、 「結婚のようなプライバシーに行政が介入すべきではない」 と説明していたとか。 ーーそんなことを中学生に諮るのもちょっと妙ですね。 ★C 高宮町に 「たかみや湯の森」 という温泉施設があります。 ここの温水プールは、高田町や高宮町のお年寄りが健康のために使っていたのですが、 「利用客が少なく、採算が悪い」 「1800万円は無駄な出費だ」 とプールをなくしてしまった。 ★B 健康福祉という観点が全然ないんですよ。 全て今の採算性だけで物を考えている。 ■評価された政策は? ★A 地元の総菜屋さんから給食を納入させることをやめさせ、廿日市(はつかいち)市から納入させるようにした。 地元の商売を潰しているんです。 廿日市の業者と個人的な繋がりでもあるのではないかと疑ってしまう。 また、 「土砂災害が起きると危険だ」 とある保育所の移転を言い出したのですが、代替地がなかなか見つからない。 市長は全く地元の人たちと協議もせず、机上で地図を見ているだけ。 ★B 保育所の隣には小学校があるから、保育所が危険なら小学校だって危険だよ。 だけど、そっちはさっぱり言わない。 あれほど市民と直に接しない市長は今迄いなかった。 小中学校の入学式、卒業式や運動会、そういった地域の行事に、石丸市長はまず出なかった。 先日、中国地方の防災協会の表彰式がありました。 市で選ばれた人に市長が賞状を渡すのですが、 「この人はどういう事をしたのですか?」 と言ったことは何1つ訊かない。 地元の受賞者の業績など何の興味もなく、ただ賞状を渡せばいいと思っている。 最初からずっと、安芸高田市とは違う方を見ていたのでしょうね。 安芸高田市のために尽くす気はさらさらなかった。 ■教育関連は評価、高かった ーー逆に、石丸氏が評価された政策はないんですか。 ★B 最も受けが良かったのは教育関連ですね。 学校の冷暖房などを充実させ、更に2つの高校(県立向原高校と県立吉田高校)に 「生徒が決める100万事業」 と言って 「自由に使って下さい」 と100万円ずつ渡した。 それも生徒会長に対してで、 「教員は使途に口を挟むな」 と。 そりゃあ、生徒は喜びますよ。 他にも、リクルート社の高い教材を高校生に無償提供して喜ばせている。 そういう若者への受け狙いは大変上手です。 学校も椅子や机を新調するなど手厚くしているので、当初、石丸市長を批判していた教育長は完全にシンパになり、 「石丸市長のお陰で」 と盛んに言うようになった。 ーー子育て政策も評価されているようですね。 ★A 小中学校と保育所の給食費を無償化するのに1億円投じました。 廃止施設にかかっていた管理費などから捻出したのですが、毎年やるとなれば、今後どこから捻出するのか。 まあ、国が給食無償化をやるのが分かっているから、一足先にやって自分の業績のように見せたのでしょう。 そういう手法は上手い。 ーー自分から言い出して始めた政策はあるんですか。 ★A 広島は大阪と違うお好み焼きで知られています。 そこに目を付けて、 「あきたかた焼き」 を名物にしようというプロジェクト。 他県にまで職員が行って研究して作ったのですが、その時点で市民は市長に着いて行けず、飲食店はほとんど手を上げませんでしたね。 売っているのは3軒くらいですよ。 ★B 幟(のぼり)1つ立っていません。 よそから旅行で来ても、どこで食べられるのか分からない。 ■人を見下す発言が多い ーー石丸市長の公費の使い方が問題視されています。 ★C 2024年5月に、2泊3日ほど上京して、橋下徹さんのYouTube番組に出演。 そして東京都江東区で行われたイベントで、都知事選に立候補することを宣言した。 安芸高田市のことで上京したわけでも何でもないのに、市の公費で出張したんですよ。 そのことを追及されると、 「市の窓口を通して依頼があったから、市長としての公務だ」 と抗弁しています。 それならどんな依頼だって、市の窓口を通させれば公費でどこにでも行けることになってしまう。 信じられない言い草ですよ。 さすがに趣味のトライアスロン大会は自費で行ったようですが、これも問題があった。 広島市では2018年に多くの人が亡くなった豪雨があったので、2年前(2016年)に台風が広島を直撃するという予報が出た際、市民は緊張して備えていました。 その 「台風直撃」 とされていた日、石丸氏は千葉県でトライアスロン大会に出場し、地元に居なかったのです。 台風はそれたのですが、自慢げにトライアスロンで何番になったという動画を配信していたのを山根温子市議が見付けて問題視した。 すると、 「(台風への)万全の準備を取らせている」 「遠くからでも指示はできる」 ーーそれなら、自治体首長はどんな時でも遠くに遊びに行けますね。市民は監査請求などをしないのですか。 ★C 「安芸高田市政刷新ネットワーク」 という市民団体が監査請求をしたことがあります。 ところが、監察委員が調べたところ 「違法性はない」。 市の出張規定では市長、副市長、教育長の3役は 「出張の際、費用を支給する」 となっているだけで、 「公務で」 という条件が書かれていないのです。 市職員や市議会議員の場合は 「公務で」 という条件が付いています。 ーー議員との訴訟沙汰もあったとか。 ★C トライアスロン動画を追及したという山根温子議員とです。 石丸市長は4年前(2020年)、市議会全員協議会で、山根市議から 「議会を敵に回すなら政策が通らなくなる」 などと恫喝された、といった内容をツイッター(X)に複数回投稿した。 山根さんは 「嘘だ。名誉棄損だ」 と石丸市長に500万円、市に330万円の損害賠償を求めたんです。 広島地裁は録音記録を精査して、2023年12月に 「山根さんの恫喝発言はなかった」 と石丸市長による名誉棄損を認め、市に33万円の賠償を命じました。 更に、 「市長としての裁量を逸脱したもの」 「SNSで広報活動をする際に注意義務を尽くしておらず、違法な行為」 としました。 ★A 議会では、山根議員が質問すると 「今の質問はウザイ」 とか 「きもい」 とか見下す。 人を蔑視するような発言が多かった。 控訴審判決(広島高裁)が2024年7月3日にありますが、石丸市長は 「控訴する」 という決定も議会に諮らず、 「控訴期限まで時間がない」 と専決処分しました。 ここまで訴訟費用は公費ですよ。 既に市長は退任していますが、2024年7月7日までの期間の市長代理を利用して、判決に不服で専決処分による最高裁への上告をするのかも見所ですね。 ■売名のために市長に? ーー石丸市長は自画自賛しているようですが、財政再建の実際の評価は。 ★A 財政調整基金は残し、他の基金を切り崩し、数字のマジックのようなもので 「再建した」 と言っているだけです。 あれこれ事業をやめれば支出は減る。 新しい事をしないので償還金は減り、経常経理は下がり、立ち直っているように見えるだけ。 ★C 基金を切り崩しただけですね。 ああいうことは、銀行出だから上手いのよ。 ーー石丸氏は、政治家になりたいという希望を早くから持っていたのでしょうか。 ★B 持っていたでしょうけど、国会議員や県会議員では埋もれてしまう。 「お山の大将」、 即ち自分がトップの地位でなくては気が済まない。 だから議員にはならずに、首長という位置を狙ったのでしょうね。 ★C 名を売るために1期市長になっただけ。 この市に尽くすなんていう気などさらさらない。 全国的に顔を売るチャンスを窺っていたところ、都知事選に目を付けたんでしょう。 ★A 4年前(2020年)にここで立候補した時も、ある新聞社の記者が 「ここの市長を長くやろうなんて気は絶対ない」 「当選したら市は困るのでは」 と言っていたけど、その通りでしたね。 ーーネットを駆使されていましたが、既存メディアとはどういう関係でしたか。 ★B ある新聞記者をよく攻撃していました。 本来、自治体の首長なら地元紙とは良好な関係を持とうとするはずですが、そんな気は一切ない。 2期目以降は出ないつもりだったからでしょう。 ★A 聞いた話ですが、ある社は彼を取材する時は事前に社内で会議を開いて打ち合わせて、質問は最低限にする。 やめることもあったそうです。 石丸市長は、自分の事が書かれた気に食わない記事、あるいは記者会見の質問が気に入らないと、会社宛てに公開質問状を送る。 新聞社はその対応に煩わされるから、記者に彼を刺激するような質問をやめさせ、当たり障りのない質問しかさせないんです。 この市出身の都民で、都知事選で彼を応援する人なんかいなんじないかな。 ★B 彼の4年間は完全な売名行為ですよ。 1期で辞めるのも、早くから決めていたんじゃないですかね。 繰り返しになるけど、あれほど市民と接しない市長はいなかった。 2期目に出る気ならあり得ない。 ★A 1年経って、騙されたと思う人が多くなってきましたからね。 ★D 年寄りをあれほど馬鹿にした人はいませんね。 目上の人を敬うことなど全くない。 自分が世の中で一番賢い、頭がいいと思っていて、プライドばかり高い。 ★A 市議会では、石丸氏の一番の攻撃対象になったのは私でしょうね。 SNSやYouTubeの影響は本当に怖い。 部分的に切り取られて世界中に発信され、それを真に受けた 「石丸応援団」 から色んな脅しが来ました。 最近は身の危険を感じて、一般質問しようと思っていた質問を封じてしまうことも・・・。 ああいうメディアに踊らされる人が多いのは、本当に怖い世の中ですね。 ーーでは、石丸市長の功績はゼロ? ★C この騒動で、安芸高田市の名が全国版になったことくらいでしょうね(笑)。 「国籍の嘘」で蓮舫は政治家失格 Hanada2024年8月号 評論家 八幡和郎 ■場当たり的な説明に終始 蓮舫参議院議員が東京都知事選挙に立候補を表明してい以来、二重国籍(多重国籍)への関心が再燃し、 「第1発見者」 である私は、様々な機会に意見を述べている。 二重国籍問題が激しく再燃するというのは、蓮舫陣営にとって想定外だったようだ。 「小池氏の抱える『学歴詐称疑惑』に対比させる形で、決着が着いたはずの蓮舫氏の『二重国籍問題』が蒸し返されている」 といった論調もあちこちに見受けられる。 しかし、蓮舫氏の二重国籍を能天気に擁護した記事を書いた人がヤフコメの世界で見事に炎上したのを見て、最初の指摘から8年間、私としても蓮舫氏の事件と二重国籍の弊害を地道に説いてきたことの成果が浸透しているのが感じられて嬉しい。 問題が発覚した2016年は 「何が悪い」 「政治家だからおかしいが、一般人なら問題ない」 と言う人が多かった。 メディアは人権侵害になるのではないかなどという見当外れの懸念を持っており、おっかなびっくりでほとんど取り上げなかった。 蓮舫二重国籍発覚事件とはどういう事件だったのか、顛末を改めて振り返り、その過程で見せた蓮舫氏の場当たり的な説明の酷さや、残ったままの疑惑、そして、なぜ二重国籍はいけないのかを、提起したい。 蓮舫氏は、台湾人(中華民国籍)の父親と日本人である資生堂の花形美容部員だった斎藤桂子さんの長女として、1967年に東京で生まれた。 祖母の陳杏村は台南地方の出身で、未亡人となった後、東京で洋裁を学び、軍関係者の知己を得て、日華事変後の上海で暗躍した政商だった。 戦後は、蓮舫氏の父で同志社大学出身の謝哲信と共に、台湾バナナ輸入の利権を握って日本政界で暗躍。 政治家にダミー会社を創らせて政治資金を渡す手法を使い、国会でも公明党の黒柳明参議院議員から追及されたことがある。 ■「二重国籍」を自称 蓮舫氏は3人きょうだいで、幼稚園から大学まで青山学院で学んだ。 高校生時代からタレント活動をしてクラリオン・ガールとなったり、男性週刊誌のグラビアなどで人気を博し、テレビキャスターとなった。 子供の頃は、夏休みなど台湾に長期滞在していた。 1993年、田原総一郎氏のスタッフ的な存在だったジャーナリストの村田信之氏と結婚。 夫婦で北京に留学し、それ以降、中国政府の外交にも理解を示すようになる。 この留学のお世話をしたのは高野孟(はじめ)氏らしい。 タレント時代には、中国籍だとか二重国籍だとか自称していたが、2004年に参議院選挙東京都選挙区から出馬し当選した時には、選挙公報に 「1985年、台湾籍から帰化」 としていた。 誕生時の戸籍法では父親の国籍にされたから、台湾(中華民国)籍の謝蓮舫だった。 ところが17歳の時、国籍法の改正で、22歳までに両親どちらかの国籍を選択する条件の下で母親の日本国籍を取得出来るようになり、それを行使して合法的な二重国籍になった。 その時に、斎藤蓮舫という名も17歳にして獲得した。 「帰化」 と選挙公報に書いたが、法律用語としては間違いで、 「国籍取得」 である。 私が蓮舫氏をネットメディア「アゴラ」で追及し始めたのは、蓮舫氏の出馬が噂された2016年の東京都知事選の時だ。 私は「アゴラ」でこう書いた。 「帰化した人が政治家になっても構わないが、帰化した国の文化への愛着を示すとか、母国との関係で日本の国益を強く支持することが求められるのが世界の常識である」 「蓮舫氏はどちらでも失格だ」 こういった見方をしたのは、フランスでのアルジェリア系などの政治家や官僚に興味を持ち、彼らから話を聞いて研究していたからだ。 その後、蓮舫氏が野党第1党・民進党代表選に立候補したので、尖閣諸島についての問題発言とか、和服を着たこともなく日本文化への愛着がないといった視点から批判すると共に、蓮舫氏は日本国籍を選択した経緯と台湾籍離脱についても、日付も含めて説明すべきだと指摘した。 ■言い訳の数々 ところが、蓮舫サイドは夕刊フジからの問い合わせにも答えず、慌てた様子だった。 私は、22歳までに国籍を選択はしたにしても、台湾籍からの離脱をしておらず法に反する形でそれなりの期間、あるいは、現在に至るまで二重国籍の可能性がある、と指摘した(2016年8月29日)。 それに対して、蓮舫氏は 「父親が台湾籍離脱手続きをしてくれたはず」 「(本人の名も載ったはずの)父親の台湾の戸籍は見たことがない(遺産相続しているので見なかったとは考えにくい)」 「私は18歳(実際は17歳)で日本国籍を選んだ」 「台湾籍をいつ抜いたかは台湾当局に問い合わせ中」 などと反論。 タレント時代の二重国籍発言については、深く考えずにしたとか、記事の原稿を確認しなかったとか、言を左右にした。 ただ、この段階では、 「日本国籍の選択」 をし、日本の戸籍法上の手続きは完了し、台湾の国籍を離脱するべきなのが遅滞しているだけだと、私も含めて思っていた。 離脱手続きを強い義務にしていないのは、ブラジルのように国籍離脱を許さなかったり、インドのように多大な時間や費用が生じたりするケースがあるからだ。 しかし、台湾では国籍離脱はそんなに難しくない。 ここで、更なる 「証拠」 が見つかる。 台湾籍を離脱したら台湾の官報に記載されるはずだが、 「謝蓮舫」 の国籍離脱の公示はされていないことを、ネット民が突き止めたのだ。 台湾の官報はネットで公開されていたので、過去の離脱記録を調べるのは何人かで手分けしたらさほど難しくなかった。 そこで、蓮舫氏は 「台湾籍を抜いたかどうかは確認中だが、抜いていない可能性があるので改めて離脱申請をした」 と言う(2016年9月6日)。 死んだ父親の責任にしたのである。 当時、民進党党首の党員・サポーター投票が続いていたから、それに影響すると困ると思ったのだろう。 締め切りの翌日になって、 「台湾当局から国籍が残っているという連絡を受けたので離脱手続きを進めたい」 とやっと公表した(2016年9月13日)。 ■親兄弟も知らなかった? ここに至って、蓮舫氏の説明全体が信用できる状態ではなくなり、蓮舫氏が国籍離脱手続きをしていないとの疑問も生じたので、アゴラ編集部から 「国籍選択をしたことを証明する書類」 「台湾旅券」 「台湾からの国籍離脱証明」 の3点セットを公開するようにという公開質問状を出した(2016年9月29日)。 そして2016年10月15日に、蓮舫氏は2016年9月23日に台湾の 「国籍離脱証明書を目黒区役所に提出」 して戸籍法に定める国籍選択をしようとしたが、台湾と国交がないことを理由に、もう1つの方法である 「国籍選択宣言」 の方法を選ぶように指導されて、その手続きをしたと語った(この時点ではいつか不明だったが、後に2016年10月7日だと判明)。 17歳から22歳までは合法的な二重国籍だった蓮舫氏は、その後は法に定められた 「日本国籍の選択」 と 「台湾籍からの離脱」 のどちらもしていない 「法的義務に反した」 二重国籍者だったことが判明したのである(ちなみに、この状況の法的説明としては、違法であるとか違法でないとかいう言葉に馴染まず、法的義務に反した状態と言うのだそうだ)。 つまり、2016年10月7日までは、台湾人謝蓮舫が日本国籍も併せ取って斎藤蓮舫、次いで村田蓮舫という名を獲得しただけだったのである。 これほど嘘が連鎖して、バレルと違う説明を繰り返せば、上記の説明すら信じてもらえないのは当然だ。 そこで、追い詰められた蓮舫氏は、翌年2017年の7月18日になって決断した。 つまり、日本国籍選択宣言日を 「平成28(2016)年10月7日」 と明記された戸籍謄本の複写の一部、2016年9月13日付発行の台湾籍の 「国籍喪失許可証書」、 離脱手続きのために提出した台湾の子供時代の旅券などを公開した。 しかし、今も多くの疑問がある。 最大のものは、二重国籍状態であることを知らなかったという発言を、まだ撤回していないことである。 如何にも不自然だし、本人の発言としても大々的に二重国籍とか報道されていた。 限りなく黒に近いが、身の潔白を説明しようとしないのは何故か。 蓮舫氏が余程物覚えが悪いとしても、親や兄弟が知らなかったはずがない。 公開した台湾の旅券は子供の時だけのものだが、台湾国籍を持っている以上は、日本の旅券で台湾に出入りすることは台湾において違法で、その疑問にも答えていない。 台湾の国籍離脱証明の様式が普通と違うとか、写真も真正面でないなど不自然で、偽物ではないにせよ、特別の便宜の結果ではないかと疑う人もいる(小池知事の卒業証明に似ている)。 戸籍謄本は国籍選択を記したページだけを公開したが、これが18〜19ページもある。 新しい夫婦と子供だけの戸籍が、これだけのページになることは普通ない。 何か複雑な状況でもあるように思える。 2021年になって、長男の琳(りん)さんが元自民党議員で資産家の糸山英太郎氏の養子になって、その後、解消したらしいが、例えば国籍についてのややこしい事情とか、本人か子供か知らないが、複雑な養子縁組でもしたかでないと説明できないと推察する人もいる。 保守派の中には、中国政府との繋がりを訝る人もいる。 ただ、蓮舫氏の人脈は台南地方出身であることもあって、民進党系の方が強いという指摘もあるし、陳水扁総統(当時)に会ったりもしている。 しかし、このような有力者の子弟で有名タレントが、日中交流の実力者の仲介で中国へ留学し、中国政府が繋がりを作らなかったなど不自然だ。 そもそも、台湾の有力者は大陸との繋がりを作っておき、保険を掛けているケースが多い。 中国との関係についても、蓮舫氏の過去の経緯、また、二重国籍を隠していたことを踏まえたら、証拠がないと開き直るべきではないのだ。 ■なぜ二重国籍はいけないか なぜ、二重国籍はいけないのか。 一言で言えば、1人分の義務で2人分の権利を有するという不公平な状態だからである。 国籍を持つと、その国のルールに沿って権利と義務とが生じ、外国にいても自国の政府に守ってもらえる。 だから、複数の国籍を持つと法的関係が複雑になるので、二重国籍を認めている米国政府も推奨はできないと明言している。 中国は禁止で、フランスはテロ組織に絡んだ場合は国籍剥奪するなど、規制が厳しくなっている。 一方、当事者にとっては、二重国籍はとても美味しい。 2人分の権利があるので、両国の選挙にも投票できるし、2枚の旅券も使い分けられる。 一方、二重課税されたり、両方の国で兵役を求められたりすることは皆無ではないが、少ないからだ。 両国の選挙で投票したり、候補者になれ、両方の国会議員になることもあり得るだろう。 また、就職にも有利だ。 両親がアメリカにいる時に生まれた米国との二重国籍者の場合、留学や勤務の際、ビザ取得や永住権の苦労がない。 企業にとっても余計な手間がなく、便利だから就職の時に有利に働き、ライバルたちに差を付けられる。 米国では前科などがあると入国拒否されるが、二重国籍ならそれもかいくぐることが出来る。 ■安全保障上のリスク 二重国籍の容認は、不公平なだけでなく、安全保障上のリスクもある。 将来、韓国・北朝鮮・中国から反日的な行動を取るような義務を負ったまま帰化した大量の二重国籍者が、日本で参政権まで持つという危険性だってあるのだ。 いずれにせよ、日本では二重国籍を禁止している。 帰化するには前の国籍からの離脱を条件とし、よその国籍を取ったら日本国籍は剥奪が原則だ。 あるネットメディアで、政治ジャーナリストが 「決着が着いたはずの二重国籍問題」 とか書いていたが、国籍で嘘を付いた政治家は一生、政治家である資格はない。 少なくとも、蓮舫氏は一旦議員辞職するべきだった。 それに先述したように、 「疑惑」 はまだ残っているのだ。 法的義務に反する二重国籍であって、それを隠してい議員になった政治家を、そのまま党首として首相候補にしていた民進党はおかしかった。 「学歴について粉飾する」 のも問題だが、 「国籍について全くの嘘を付いて議員になった」 方が、政治家にとっては重大な 「欠格事由」 なのである。 東京都知事選 女の戦い カビ饅頭2つに割って誰が食う 小池百合子対蓮舫という究極の選択ー東京はどうなるのか WiLL2024年8月号 元東京都選挙管理委員会事務局長・元東京都環境公社理事長 澤章 東京都議会議員 上田令子 ■小池知事の作戦ミス ★澤 上田先生とお会いするのも久しぶりですね。 都庁の職員時代には、まさかこうして『WiLL』で対談をすることになるとは夢にも思いませんでした。 ★上田 お互い”小池批判の急先鋒”ですから(笑)。 こうして対談できて嬉しいです。 ★澤 2024年6月20日、東京都知事選挙が告示されました。 小池百合子知事は2024年6月20日、都議会定例会の最終日に都知事選挙への出馬を表明した。 当初、定例会の初日に表明をすると見られていましたが、大幅に遅れました。 これは先手を打った蓮舫氏の出馬表明が世間の耳目を集めたからでしょう。 ★上田 ”小池劇場”を格好よく幕開けしようと画策していたところ、自分よりも若く、しかもタレント出身の蓮舫氏が注目を集めたので、出鼻を挫かれたわけです。 さぞ、悔しがったに違いありません(笑)。 小池知事は蓮舫氏の出馬表明に焦り、自分をアピールするため、すぐさま都庁保育園の視察に行きました。 その時、小池知事が子供たちに 「おいで」 と手招きしたら、子供が嫌がって逃げたという”放送事故級”の映像がテレビで流れています(笑)。 ★澤 お得意のパフォーマンスが失敗に終わったわけですね。 ★上田 実は保育園視察のパフォーマンスは、2016年の最初の知事選の際も江戸川区の保育園で行っています。 これがマスコミにも大きく報道されたので、”成功体験再び”という狙いで、8年前と同じジャケットを着て都庁保育園へ視察に行ったのでしょう。 ★澤 8年前と同じジャケットですか(笑)。 ★上田 小池知事は物持ちが良いので、ゲンを担いで同じ物を着たのでしょう。 ★澤 更に小池知事は自分のやってきた事をアピールするため、生成AIで自分の似姿を作り、 「AIゆりこ」 を使ってSNS上で自分の実績を流しました。 ★上田 相変わらず自分をアピールすることには余念がない(笑)。 ★澤 上田先生は小池知事が出馬表明した定例会最終日に、知事への不信任案を提出しています。 ★上田 結局、不信任案に賛成したのは提出者の私1人でした。 2017年の都議選で、小池知事に一杯食わされた自民党も、ここ数年は小池知事に擦り寄っています。 今回の知事選でも小池知事支援を表明しており、不信任案には反対。 ここ数年の自民党を見ていると、本当に情けなく感じます。 しかし自民党以上に酷いのは、立憲民主党と共産党です。 この2党は都知事選で蓮舫氏を支援するのに、不信任案に反対しています。 もし不信任案が通った場合、知事は対抗手段として10日以内に議会を解散できます。 そうなると、都議会議員選挙になりますから、選挙準備の出来ていない彼らは自分の身が危うくなる。 つまり、自己保身のための反対です。 ★澤 都議会も保身ですが、小池知事の出馬も同じです。 「カイロ大卒」 という”大嘘”を貫き通すためにも、小池知事は政治家という立場を続けている限りは、カイロ大側も日本の首都の知事が卒業しているというステータスとして利用価値があるので、口裏を合わせるはずですから。 ★上田 アラブはギブアンドテイクの社会なので、旨味がなければ切り捨てられます。 小池知事がニュースキャスターのままなら、エジプト大使館も、わざわざフェイスブックで彼女の卒業証明なんてしなかったでしょう。 カイロ大卒の虚飾を続けるためにも、小池知事は都知事選で3選を目指すしかないのです。 ■”アラブ人モドキ” ★澤 小池知事の動きを見ていると、小池知事側から自民党・公明党に擦り寄っているように見えます。 小池知事自身も、自民党の組織票がなければ、都知事選での勝利は厳しいと考えているのでしょう。 ★上田 2016年の都知事選の時は、自民党東京都連を 「ブラックボックス」 と非難し、”反自民”を貫いて当選しましたが、今回は反自民の旗を蓮舫氏が掲げていますから、反自民票は蓮舫氏に流れやすい。 ★澤 小池知事は”選挙の鬼”ですから、如何に票を得るかという策略には抜かりがありません。 各市町村の首長が応援してくれれば有権者が動いてくれると目論見、応援を要請しています。 ところが、その応援要請が何故か 「各首長から出馬を依頼された」 という 「出馬要請」 に掏り替わって報道されました。 ★上田 これは小池知事による見事な”自作自演”です。 ★澤 小池知事は 「応援要請はしていない」 と否定していますが、日野市の大坪冬彦市長が 「元々は小池知事からの応援要請だった」 と”暴露”しています。 どうしてこのような暴露が出るのかと言えば、東京都には三多摩格差(特別区と多摩地域の間に存在する社会基盤の格差)があり、多摩地域の首長が不満を持っているからです。 小池知事は臆病な性格なので、蓮舫氏の出馬で自分が不利なるのではないかと過剰に反応し、各自治体の首長に泣きつきました。 2020年の都知事選の際の学歴詐称疑惑を巡る騒動の時、沈静化のためにエジプト大使館に泣きついたのと同じ構図です。 ★上田 小池知事は”アラブ人モドキ”なのです。 アラブ人は自ら脅す分、脅されることにも強い。 しかし、”モドキ”の小池知事は中途半端にエジプトにいたので、脅すことは出来ても、脅されるのには弱いのでしょう。 澤さんは都知事選の行方をどう見ますか? ★澤 小池都政の8年間、ピンポイントでの批判は多々ありますが、”政治とカネ”といった大きなスキャンダルはありません。 すると、多くの都民が 「小池さんでいいんじゃないの」 となるでしょう。 蓮舫氏の出馬会見も見ましたが、余りに小池知事に攻撃的でした。 国政と違い、都知事選では対立構図を鮮明にしても有権者には響きません。 「私ならこうする」 という具体的な政策で小池知事と戦わなければ、蓮舫氏が支持を広げることは難しいでしょう。 更に蓮舫氏は共産党との共闘を進めているので、共産党を嫌う 「連合東京」 も小池知事支援を決めています。 加えて、小池知事には現職の強みもあり、いくら知名度が高い蓮舫氏でも小池知事に勝利するのは至難の業です。 ★上田 確かに蓮舫氏が小池知事に勝利するのは難しいでしょう。 しかし、私が地元を回っていると、映像に映る姿がふてぶてしいという理由で小池知事を嫌う声も多く耳にします。 私は当初、小池知事を圧勝させないことで力を削ぎたいと考えていました。 「辛くも勝利」 となれば、自公に頭が上がらなくなり、好き勝手な事が出来なくなるからです。 前回の選挙では366万票の支持を得て圧勝したので、その自信が 「私がいないと、政策実現が出来ないでしょ」 と言わんばかりに、”暴走”と”女帝化”に繋がりました。 いずれにしても小池知事、蓮舫氏。 カビた饅頭を2つに割って左右どちらかを食べろと言われても・・・という虚しい選択です。 (中略) ★上田 石原慎太郎都政下で積み上げた財政調整基金1兆円を使い果たした小池知事と都民ファーストの会(以下、都ファ)の議員。 ★澤 都の財政調整基金がコロナの時に底をついてしまいましたが、小池知事が協力関係にあった公明党の要望を聞くために予算を膨張したのが原因で、都民を馬鹿にしています。 ■女帝による陰湿なイジメ ★上田 お互い小池知事とは直に接してきていますが、澤さんは知事の人間性に対してどんな印象をお持ちですか? ★澤 ネチネチしたパワハラ気質だと感じました。 豊洲市場の追加対策工事がひと段落し、いよいよ1年後に豊洲移転が決まった直後、小池知事と市場当局の管理職との夕食会がセッティングされました。 私を含めた市場当局の管理職の面々はこれまで小池知事と移転について散々揉めてきましたから、遂に知事と和解できると手を叩いて喜びました。 ところが、職員が豊洲移転の詳細が書かれた資料を小池知事に見せる前にマスコミと議会に配ってしまったことで、知事は激怒。 小池知事に呼び出され、 「なぜ見せなかったのか」 とお説教が始まりました。 お説教が終わり、部屋を出ようとした際 「澤さん、今日は楽しい夕食会になるでしょう」 「でも、私は用事ができたので、野田(特別秘書を務めた小池知事の元側近・野田数(かずさ))を代わりに行かせます」 と言われました。 私は小池知事の静かなる怒りに背筋が凍るような感覚を覚えました。 ★上田 小池知事が冷徹な口調で言い放った様が目に浮かびます。 澤さんが東京都環境公社の理事長を辞められたのも、事実上の”排除”でしたね。 ★澤 私は理事長在任中に『築地と豊洲』(都政新報社)という本を出版し、小池都政を批判していましたから、目障りな存在だったのでしょう。 都庁人事の権限を握る副知事から呼び出され、クビを告げられた時に黙って従うのも嫌だったので、理由を聞きました。 すると、 「お前は常識がない」 「都知事選の前にマスコミに出て、雑誌・メディアで小池知事を批判している」 「これは都庁OBとしてあるまじき行為だ」 と言われました。 事実を主張しただけなので怒りで体が震えましたが、それ以上に呆れて何も言えませんでした。 ★上田 まるでどこかの独裁国家みたいですね。 東京都に長年貢献し、知識もある澤さんをクビする一方、ただのイエスマンを要職に起用する。 小池知事は自分より目立たず、ほどよく利用できる人を重用します。 都ファの議員を見ていても、小池知事よりも目立って排除されないよう、服装も発言も地味に徹しています。 ★澤 女帝に対し、皆、戦々恐々としている証拠です。 ★上田 私は2016年の都知事選で小池知事を支援した際、仲間の無所属議員を集めて雨の中ポスター貼りなどの支援をしたにもかかわらず、”グリーン旋風”が吹き荒れた途端に街頭演説では、きっかけを作った私たちがマイクを持つことを許しませんでした。 これは手柄を全て小池知事自身と側近のものにしたいからで、私をはじめとした無所属議員は応援したのに”排除”されたのです。 私が媚びへつらうような態度を取らなかったので、面白くなかったのでしょう。 ★澤 1度小池知事に疎まれると、”手を変え、品を変え”虐められます。 最近では、SNSで安易に都政関連の情報をアップすると都の職員がチェックしており、発信元の”犯人探し”が始まります。 私も1度、SNSで都庁の内部に関するコメントを書いたら、 「消して下さい」 と現役管理職から言われたことがあります。 このように今の都庁は、監視の目が常に光っている職場と化してしまった。 ★上田 まるで言論統制ですね(笑)。 都庁に 「職員目安箱」 があり、小池知事は職員ファーストを掲げ、 「直接私に言って下さい」 と設置しましたが、そこに意見を投稿した職員が犯人探しされたという話も私の元に届いています。 都庁で何かあれば、秘書は必ず守るので、私のホームページにある問い合わせホームで相談してほしいと思います。 ■小池知事最大の愚策 ★上田 小池知事は人間性は疎か、都知事としての実務能力も欠いています。 安倍晋三元首相が『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)で、 「小池知事は実務が苦手」 と述べていましたが、当初の公約である 「7つのゼロ」 に関して、 「ペットの殺処分ゼロ」 しか達成出来ていないことがその象徴です。 しかし、ペット殺処分ゼロに関しても、譲渡可能なペットを殺すことを 「殺処分」、 病気の動物の処分を 「安楽死」 としているので、結果的に殺さてしまうペットがゼロになっているわけではありません。 ★澤 私が小池知事の愚策としてまず思い浮かぶのが、多くの混乱を生じさせた築地市場の豊洲移転問題です。 また、直近のものでは2023年1月に突如宣言した0歳から18歳までの東京在住の子供に月5000円の支給を行う 「018サポート」 です。 018サポートは1200億円の予算がかかっていますが、議会で熟議されないまま政策が通ってしまった。 これでは議会制民主主義の体をなしていません。 しかも、マスコミから財源についての批判がないことも不自然です。 国の政策の場合、防衛費にしても少子化対策にしても財源が問題になり、マスコミから批判を浴びます。 マスコミは岸田政権と小池都政を対比させたいがために小池知事の財源問題に対しては”ダンマリ”を決め込む。 ★上田 月額5000円を所得制限なしに子育て世帯に支給する018サポートは、2023年1月4日、都庁の仕事始めの午前中に突如発表されました。 これは所轄である福祉保健局の局長も知らなかった話です。 実は同日午後、岸田政権が異次元の少子化対策を発表することを受けて、小池知事は国より先に目立つ意図もあり、慌てて発表したのです。 018サポートが急に決まったこともあり、行政上の手続きが追い付かず、あろうことかこの支援を一番必要とする生活保護世帯が、恩恵を受けられないことが発覚しました。 小池知事が慌てて収入認定からの除外要請を依頼する手紙を、厚生労働大臣に送る事態に発展。 更に、案内チラシを17万件もの転居者に誤って送るミスまでありました。 この誤送付で、多額の血税が郵送費等で消えています。 それについて、私は情報開示請求をしています。 私が最も驚いたのは、小池知事の政策設計が悪かったにもかかわらず、あたかも政府に原因があるかのような報道をさせることで責任転嫁する始末です。 ★澤 岸田首相と比較して自分がどれだけ目立つかということだけで018サポートを始めたので、まさに選挙を意識した”バラマキ”です。 小池知事はコロナ禍でも意味もなく国と対立構造を作りました。 また、忘れていけないのは、環境問題に関するパフォーマンスのため、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける条例改正をし、大混乱を引き起こしたことです。 都民の利益を考えずに、自分ファーストで突っ走っています。 ★上田 本誌『WiLL』でも散々指摘してきましたが、太陽光パネルは8割が中国製です。 しかも、新疆ウイグル自治区での強制労働によって作られており、欧米では中国への制裁を発動しているにもかかわらず、小池知事は強硬に進めています。 最近新築戸建て住宅の価格がパネル設置で100万円上昇するということが報道され、それ見たことかという状況になりました。 更に、元日に発生した能登半島地震でも、経産省が、落下したパネルに触らないよう異例の注意喚起をするなど、危険性が明らかになりました。 万が一、東京都で首都直下型地震が起きてしまったら、目も当てられないような2次災害が起こりかねません。 ★澤 自分のパフォーマンスのために都民に被害や犠牲が出かねない判断です。 都庁OBとして、都民のためにも職員のためにも小池知事には1秒でも早く都庁から去ってほしい。 皆が戦々恐々としながら、何も言えないという状況は異常です。 この状況を改善しなければ、都民のためにも東京の街のためにもなりません。 でも蓮舫氏はなあ・・・。 ★上田 嘘つきは泥棒の始まりと言われているように、私たち日本人の美徳は正直であることです。 にもかかわらず、日本の首都・東京の顔である知事に学歴詐称疑惑が持ち上がっているのは如何なものか。 カイロ大学とエジプト政府に学歴を証明してもらって弱みを握られていることも外交上、”百害あって一利なし”です。 小池知事にはこの責任をきっちり取って頂きたいです。 「エコ」は財布に全く優しくない 正論2024年8月号 明治大学教授 飯田泰之 キャノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志 ★飯田 2024年6月から所得税の定額減税が始まりました。 その一方で政府による家庭向け電気料金の補助が2024年6月使用分から廃止されるため、電気料金は大幅に値上がりします。 なぜこの時期に補助を打ち切るのか、非常に疑問です。 今は世界的なインフレが収まってきて、春闘での賃上げがあり、ようやく家計が一息つけるところです。 本来ならここで1〜2年、その恩恵を享受してもらう期間を設けるべきなのに、間髪を入れず電気料金を上げてしまうことには 「民力を養う」 という意識の低さが感じられました。 ★杉山 電気代に政府が補助金を出すというのは、一時的な激変緩和措置としての役割はあったかと思いますが、いつまでも続けるべきものではないでしょう。 とはいえ、電気料金が高止まりしている根本的な原因には手を打たねばなりません。 最優先事項は、止まっている原子力発電所を再稼働させることで、それで電気料金はグッと下がります。 ウランの燃料費は圧倒的に安いわけですから原発を造った以上、動かさない手はありません。 それが不合理な規制で止まってしまっている。 安全性に問題があると言われますが、原発を稼働させながら安全対策をすればいいだけの話で、実際に海外ではそうしています。 そして太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーについては、電気代に上乗せされる再エネ賦課金が2024年4月から上がったことが話題になっています。 国によれば1世帯当たり負担額は1万3000円程度とされていますが、2024年度国民が負担する再エネ賦課金の総額は2兆7000億円ほど、3人世帯なら6万円の負担となります。 ★飯田 実は家庭用の電気料金に上乗せされている分に加えて、産業用の電気料金に上乗せされている分があり、それは回り回って結局、国民が幅広く負担しているのですが、そこが見えにくくなっているわけですね。 現在、電気料金が高止まりしているのは間違いなく、東日本大震災以降に原発再稼働の時期が政治的に先延ばしされてきたツケが回ってきているのだと言えます。 原油価格が高騰の折にこれだけ動かせる原発を止めていた国は日本くらいのものでしょう。 第2次安倍政権も、高い支持率があり党内基盤も強かったのですから、本来は原発再稼働を強行するべきだったと思います。 結局、私たちは現在、物凄くコストの高い発電方法を選んでしまっている。 この電気代高騰は実は人災なのだ、ということを認識する必要がありそうです。 ■再エネは本当に安いのか ★飯田 台湾の半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が典型的ですが、日本国内に生産拠点を持つ海外企業が九州を選ぶ例が多いのです、 それは電気料金の安さもさることながら、原発をきちんと再稼働しているという電力供給に対する安心感もあります。 一方で東北地方でも工業団地を造成して工場の誘致に成功している事例もありますが、やはり九州に比べると振るいません。 やはり九州に比べて、東北の電気料金は高く、電力供給にも不安があるというわけです。 今、西側諸国が中国との関係を見直し、日本への生産拠点の移転を始めています。 日本にとっては千載一遇のチャンスなのですが、電気料金が高く電力供給にも不安があるという問題があって、移転が一部地域でしか進んでいません。 これまた日本は、自分で成長の芽を摘んでしまっていると思うのです。 日本の産業界も、外国人労働者の受け入れに熱心になるよりも、電力の問題にきちんと取り組むべきではないでしょうか。 ★杉山 原発の問題に加えて再エネの方も問題山積で、日本政府は菅義偉政権の時に小泉進次郎環境相や河野太郎行政改革担当相らが旗を振った 「再エネ最優先」 を今も言い続けています。 2023年5月には 「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」 なる法律が成立して今、第7次エネルギー基本計画の策定に向けた検討が始まっており、 2024年末ぐらいまでにまとまるとのことです。 そこでは、向こう10年間で150兆円の投資を官民で実施することになっていますが、お金の行き先の大半は再エネでしょう。 しかし再エネを導入し過ぎると電気が余る場合があるので、電池を用意する。 それでも余った分は送電線で他の地域に送るので、送電線も増強することになる見通しです。 そもそも太陽光発電自体が年間の設備利用率、即ち稼働率は17%程度しかありません。 雨の日や夜間でも電気は必要ですから、火力発電所をなくわけにはいきません。 太陽光発電は必然的に2重投資になるのです。 更に電池も必要、送電線も必要となれば3重投資、4重投資です。 国は毎年15兆円、つまりGDP(国内総生産)の3%をそうしたグリーン投資に回すとしているのです。 さすがに全ては実現しないと思っていますが、そういう方向になっている。 それで日本政府は 「グリーン経済成長が実現します」 と言っていますが、私は当然信じていません。 これまで太陽光発電を大量導入して経済成長したかと言えば、全くしていないわけですから。 ★飯田 今後、グリーン投資の収益性は益々下がっていきます。 平成29(2017)〜平成30(2018)年くらいまでの日本では労働者が余っていたので、政府がお金を使うことで雇用の増加という結果を生み出すことができました。 当時であれば、とにかく国がお金を使うことに意義があったのです。 ただ現状、日本は人手不足状態です。 それに以前なら、日本国内で太陽光パネルの需要を増やすことによって研究開発投資が進んで、日本国内の企業を育成する支援になったかもしれません。 しかし今や太陽光パネルを導入することは、中国から買うことに他なりません。 再生可能エネルギーは火力発電や原子力発電に比べて安い、と主張する人が一部にいますが、本当に再エネが安いのであれば補助金など出さずとも、放っておいても普及するはずですから、国は何もする必要はないのです。 再エネ関係の人たちが 「再エネ賦課金が必要だ」 などと主張するのは 「実は採算が合わないのです」 と自分で言っているようなものです。 ★杉山 最近でも再エネ推進論者の方は、再エネは安いと言いながら、再エネ賦課金は必要だという意味不明の主張をしています。 ★飯田 まともな論理能力のある人間なら、そしておよそ真面目な人としての良心があれば言えない事を平気で言って、それを一部メディアが素晴らしいと取り上げているという地獄絵図のような状態になっています。 話を戻しますと、人手不足状態となっている今の日本では、衰退している産業から生産性の高い産業へと人材、資源、資金、土地を如何に移動させるかが重要になってきます。 それこそ生産性の低い太陽光発電に土地や人手や資金を投入してしまうと、その他の成長すべき分野の足を引っ張ることになってしまいます。 今の日本経済がそういう局面にあるのだ、ということを意識しなければいけません。 ■世界の潮流は脱・脱炭素 ★飯田 私は発電の技術については素人なので質問ですが、発電のコストを比較する場合には必ずと言っていいほど 「発電所を新設した場合の比較」 になっていますが、何か変なのでは。 ★杉山 それには理由が2つあります。 まず、新設のコストと言っても発電電力量、例えば1キロワット時当たりの比較になっており、これは全く適切な比較ではありません。 太陽光発電は晴れた時に発電するだけです。 電気は何故価値があるかと言えば、スイッチを入れたら必ず使えるからこそ価値があるわけで、気まぐれにしか発電しない電気というのは実際のところほとんど無価値なのです。 本当に公平に比較するのであれば、太陽光発電+大量のバッテリーで必ず電気が使える状態にして比較すべきです。 となると、太陽光の電気は桁違いに高額になります。 もう1つ、既設の発電所が考慮されていないという問題があります。 特に原発は、発電コストがキロワット時当たり約10円とされていますが、うち燃料費は1円程度なのです。 ですから既設の原発の再稼働というのは断然、安上がりなのです。 それも寿命を延ばせば、更に安くなります。 現在、原発は発電開始から40年で一旦審査し60年までは使えるようになっていますが、実際のところ原発が古くなったと言っても内部の主な機器は取り替えられているし、保守点検もされていて、寿命など無いに等しいのです。 米国などは80年〜100年、更にそれ以上の運転も視野に入れており、日本もそうすればいい。 この断然、安い電源を失くす手はありません。 ★飯田 なるほど、世間では 「老朽化原発」 とよく言われますが、原発が自動車みたいな物だとイメージされているようですね。 自動車であれば、50年動かすのは難しいかもしれません。 けれども原発の場合、メンテナンスをして入れ替えるべき物は入れ替えており 「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず」 なわけですね。 ★杉山 そうです。 ちなみに水力発電所であれば、100年以上稼働している例はいくつもあります。 ダム本体のコンクリートはそのままだとしても、原発と同じように発電機などの機器は必要に応じて更新されているのです。 ★飯田 そうだとすると圧倒的に安い原発の発電コストのレベルに太陽光が追い付くのは、到底無理なのではありませんか。 ★杉山 太陽光発電の本質的な限界は、日差しのある時しか発電できないということです。 そのため太陽光の電気は先の3重投資、4重投資を考えればどうにも安くならず、原発に代わることは到底無理でしょう。 ★飯田 私が危機的だと思っているのは、非効率的な発電方式である太陽光を導入する理屈として、国際的・外交的な理由が挙げられているのです。 世界各国は現在、如何にして自国はCO2を削減せず、他国にCO2を削減させるのかに血眼を上げています。 その中で、何故か日本では 「どんどん頑張って日本の発電コストを高くしましょう」 とする政治家が評価されてしまう。 ★杉山 いや、日本だけでもありません。 米国でもバイデン政権・民主党は 「2050年にCO2をゼロにする」 と公言しています。 欧州でもイギリスの保守党政権、ドイツの歴代政権、フランスのマクロン大統領なども同じ事を言って、それなりに政権が支持されてきたのです。 当初は皆、余り意味が分かっていなかった。 しかし実際にはとんでもない事だということが、次第に明らかになって来ています。 例えばガソリン車の禁止だとか、ガスボイラーでの暖房禁止といった話が出始めて、国民が怒り始めた。 それで最近の欧州での選挙結果では、右派勢力が勝つようになってきました。 その一番大きな要因は移民問題だとしても、次に大きいのは 「脱炭素は馬鹿げている」 ということになのです。 ★飯田 ただその一方でウクライナ戦争以降 「CO2ゼロ」 の持つ意味合いが変わってきたのが感じられます。 特に欧州では、原発の重要度を上げていくことでCO2を減らすという方向に、徐々に舵を切っていく兆候があります。 今はドイツ以外には 「太陽光や風力で脱炭素する」 という国は、ほとんどないのでは。 ★杉山 いや、再エネ重視勢力は結構しぶとくて、イギリスなどは今度の総選挙で労働党政権になったら、もっと無茶なグリーン政策を展開しかねません。 ドイツの環境重視勢力も、弱っているとはいえ、まだ太陽光・風力を推しています。 それでも私は、気候変動の話というのはそのうちに国際的な議題ですらなくなると思っています。 というのは、ウクライナ侵攻しているロシアが石油を掘ったり、天然ガスを輸出するのをやめることはあり得ないからです。 ロシアの経済はそもそも石油とガスでもっていて、軍事力もそれで維持している。 中国も口では脱炭素とか再エネ重視とか言っていますが、実際には石炭火力発電にどんどん投資しており、インドも同様です。 そうしたことがウクライナの戦争で明白になりました。 既に新しい冷戦状態になっており、各国とも 「身銭を切ってCO2ゼロを目指します」 などという局面ではないのです。 その中で日本では、GXの制度化が着々と進んでいて、ある意味、世界の流れに逆行しているとも言えるでしょう。 ★飯田 日本では現在、一定以上の規模のある企業にとって最も儲かるのが再エネ関連ビジネスになっています。 なぜ儲かるかと言えば、補助金が出るからです。 今、皆で頑張って補助金を分捕ろう、ということに日本人の頭脳が費やされています。 これは非常に憂うべき状態で、だからこそ再エネ賦課金などというものは早く廃止すべきだと私は思います。 CO2の削減は否定しませんが、であれば原発の再稼働を急ぐのが筋でしょう。 ■太陽光パネル義務化という愚策 ★飯田 東京都では2025年4月から、新築住宅への太陽光パネル設置が義務化されますが、私はこれは 「愚の骨頂」 だと以前から指摘してきました。 何が馬鹿げているかと言えば、都内の小さな住宅に太陽光パネルを設置しても、エネルギー効率が良くないのです。 そもそも住宅密集地には 「北側斜線制限」 なるものがあり、簡単に言えば北向きの屋根が多くならざるを得ません。 ★杉山 隣の家にきちんと日が当たるように配慮しないといけないわけですね。 ★飯田 ですから太陽光発電に向いていない屋根が多く、更にパネルを設置すれば光の反射で近隣に迷惑が掛かりかねません。 これは日本でも訴訟になっている例もあります。 そのように、日本で一番、太陽光発電に適していない地域で義務化しようとしているわけです。 ★杉山 付け加えれば、太陽光発電の設置には逆進性の問題もあります。 都内で南向きに大きな屋根のある家を建てられる人は、再エネ賦課金その他の補助金が付いて来るから太陽光パネルを設置して元が取れるのです。 一方で小さな北向きの屋根の家しか買えない人は単にお金を払うだけになる。 ★飯田 まさに皆に税金(賦課金)を課してお金持ちに渡そうという構図になっているのです。 なぜ日本の左翼の皆さんは、これを批判しないのか不思議でなりません。 ーーところで小池百合子都知事は4年前(2020年)、「都内で新車販売される乗用車の2030年までの非ガソリン化を目指す」と宣言していました。 ★飯田 さすがにそれは実現しない、あるいは延期になると思いますよ。 ここへ来て電気自動車の普及はペースダウンしてきていますから。 ★杉山 イギリスでも結局、ガソリン車の販売禁止時期を2030年から2035年に延期しましたし、東京都も延期になるでしょう。 ★飯田 仮に東京都がガソリン車の新車購入を禁止したとしても、欲しい人は所沢(埼玉県)で購入すればいいだけの話です。 ★杉山 埼玉のガソリン車は東京に入って来るな、となるかも。 何だか映画「翔んで埼玉」みたいな話ですね。 いや笑い事ではありませんが。 ■国民が広く薄く損をする ★飯田 今、再エネ導入は税や補助金によって、余りに儲かり過ぎるビジネスになっています。 これにブレーキを掛けるのは並大抵の事ではできません。 疑問を持っている官僚もいるかもしれませんが、抵抗したら失脚してしまいますし。 しかし、多くの国民は再エネで利益を受けません。 というよりも、これは国民から搾り取って一部の人にお金を回すというシステムですよね。 ★杉山 ごく一部の人たちだけが儲かるシステムで、国民は広く薄く皆、損をするけれど、ボーッと生きていると気が付かない。 再エネ賦課金の事もよく知らない、電気料金の明細も確認しないという人も結構いますから。 元々、脱炭素については、昔は経済産業省は猛烈に抵抗していたのです。 しかし令和2(2020)年に菅義偉首相が所信表明演説で 「脱炭素社会の実現」 を宣言した辺りから、経産省も官邸から相当な圧力もあったのでしょう。 今はすっかり宗旨替えして脱炭素路線を突っ走っています。 現在は経産省が音頭を取って脱炭素利権をどんどん膨らませているのが実態だと言えそうです。 ★飯田 そもそもの話ですが、日本がどんなに頑張ってCO2の排出を半減させたところで、中国がちょっと増やしたらすぐに帳消しになってしまうのです。 日本はお付き合いできる範囲での脱炭素でいいのではないでしょうか。 ★杉山 今、日本の石炭火力発電の設備投資はおよそ5000万キロワットですが、中国はその20倍の石炭火力を持っており、今後数年で建てる石炭火力が日本全体の6倍もあるので、日本が石炭火力を全廃したところでまるで意味がないのです。 仮に日本が2050年までにCO2をゼロにしても、それで下がる地球の気温は0.006℃です。 ★飯田 それはもう誤差の範囲で、計測は不可能です。 そのために日本の産業を壊滅させていいのでしょうか。 まともな計算ができる、そして目先の利権から少し距離を置ける政治家の登場が待たれるところです。 <正論>「グリーンエネ」で日本は滅びる キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志 2024/5/30 8:00 https://www.sankei.com/article/20240530-ZTVU3EHV2FN5HP2OYPHCJ3IXOI/ 日本のエネルギー政策の方向性を定めるエネルギー基本計画の政府による改定作業が始まった。 年度内を目途として、2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。 だがそもそもの現状の認識を大きく間違えている。 ■世界は脱炭素ではない 政府は 「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5℃に抑制する」 「そのために日本も脱炭素を達成する責務がある」 「今脱炭素に向けて国際的な産業大競争が起きている」 としている。 だがこれは本当か。 確かに多くの国はCO2ゼロを宣言している。 だが実態を伴わず、本当に熱心に実施しているのは、日本と英独など幾つかの先進国だけだ。 米国はと言えば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は猛烈に反対してきた。 実際のところバイデン政権下ですら米産業は世界一の石油・ガス生産量を更に伸ばしてきた。 中国は表向きはいずれ脱炭素にすると言うが、実際は石炭火力発電に莫大な投資をしている。 グローバルサウスのCO2排出は増え続け、 「2050年脱炭素を宣言せよ」 というG7の呼び掛けを端から拒否している。 インドもベトナムも石炭火力発電に投資をしている。 つまり世界は脱炭素に向かってなどいない。 理由は簡単でエネルギー、就中安価な化石燃料は経済活動の基盤だからだ。 ■戦争の枢軸との新冷戦 そもそも気候変動が国際的な 「問題」 に格上げされたのは、リオデジャネイロで1992年に開催された 「地球サミット」 からである。 これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。 冷戦期は米ソ協力は不可能だった。 冷戦が共産主義の敗北に終わり、民主主義が勝利し、世界平和が実現したという高揚感の中、国際協力を深め地球規模の問題を解決しようという機運が生まれた。 当初から幻想に過ぎなかったが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで完全に崩壊した。 今ロシアはイラン製のドローンを輸入し、北朝鮮から弾薬を購入している。 中国へは石油を輸出して戦費を調達し、あらゆる工業製品を輸入している。 ロシア、イラン、北朝鮮、中国からなる 「戦争の枢軸」 が形成され、ANATOやG7は対峙することになった。 ウクライナと中東では戦争が勃発し、台湾有事のリスクが高まっている。 この状況に及んで、自国経済の身銭を切って、高くつく脱炭素のために全ての国が協力することなど、あり得ない。 戦費の必要なロシアやテロを支援するイラン、その軍事費が米国に匹敵するようになった中国が、敵であるG7の要求に応じて、豊富に有する石炭、石油、ガスの使用を止めるなど、あり得ない。 ごく近い将来、気候変動はもはや国際的な 「問題」 ですらなくなるだろう。 ところが日本政府は未だ世界平和の幻想から覚めやらず、脱炭素に邁進している。 ■日本製造業が崩壊する 政府は日本のCO2排出はオントラックだと自慢している。 何の事かと言うと、2013年以降日本のCO2は減少を続けており、同じペースで直線的に減れば2050年にはゼロになる。 だがこの理由は何か。 8割方は産業空洞化で、省エネや再エネではない。 一体政府は何を自慢しているのか。 このままCO2が減りゼロになれば、産業も壊滅してゼロになる。 原子力を推進するならばよい。 だが政府は規制と補助金により、再エネと、その不安定を補うための送電線と蓄電池を大量に建設し、またCO2回収貯留やアンモニア発電、水素利用も進める。 これら高価な技術にGDPの3%も投じるというが、光熱費が高騰し経済は衰退する。 それでも政府はこのようなグリーン投資こそが世界の潮流だとして、欧州の例を盛んに引き合いに出す。 けれども欧州は、とても日本が真似をすべき対象ではない。 欧州では既に産業空洞化が進行している。 今世界の製造業の29%は中国が占める。 他は米国が16%、日本が7%だ。 欧州勢は、ドイツは5%だが、英仏伊は各2%に過ぎない。 ナンバー1と2である中国と米国は、どちらも化石燃料を大量に利用し、安い光熱費を享受している。 他方で日本以上に脱炭素に邁進しているドイツ等は極めて光熱費が高くなった。 今製造業は益々中国と米国に立地し、日本やドイツ等から逃げ出している。 次期米大統領は 「たぶんトランプ」 だと言われている。 すると脱炭素政策は180度変わる。 米共和党は、気候危機など存在せず、中国やロシアの方が遥かに重大な脅威だと正しく認識している。 バイデン政権が推進した脱炭素政策は悉く改廃される。 日本はどうするのか。 中国そして戦争の枢軸に負けるわけにはいかない。 愚かな脱炭素政策によってドイツ等と共に経済的に自滅するのを止めるべきだ。 <主張>エネ計画の改定 原発の積極活用を目指せ 社説 2024/5/20 5:00 https://www.sankei.com/article/20240520-GQVVF5675ZMSVPAJIA2JGT6KRQ/ 国のエネルギー政策の指針である 「エネルギー基本計画」 の見直しに向けた議論が始まった。 令和22(2040)年度の電源構成などを検討し、令和6(2024)年度中に改定する。 ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。 次期計画では脱炭素と共に、低廉で安定したエネルギー供給を両立する戦略を描く必要がある。 そのために必要になるのは原発の活用拡大である。 岸田文雄政権は令和4(2022)年12月にまとめた 「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」 で原発を最大限活用する方針に転換した。 生成AI(人工知能)の普及などによって今後、増大が見込まれる電力需要に対し、原発は大量の電気を安定的に供給できる。 現行計画では令和12(2030)年度の電源構成のうち原発は20〜22%としているが、令和4(2022)年度の実績は5.6%にとどまっている。 活用拡大には、新規制基準に合格した原発を着実に再稼働すると共に、原発の建て替えや新増設が欠かせない。 政府は次期計画でそうした方針を明確に示し、実現に向け率先して取り組んでもらいたい。 脱炭素を進めるため、再生可能エネルギーの導入拡大も論点となる。 だが、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給は不安定化が避けられない。 立地を巡り地元住民とのトラブルも増えている。 蓄電池や送配電網の整備といった課題解決の手段も並行して議論しなければならない。 大量のCO2を排出する石炭火力発電の是非も重要なテーマだ。 先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力を令和17(2035)年までに廃止することで合意したが、日本は令和4(2022)年度で30%超の電気を石炭火力で賄っている。 日本は燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす技術開発を進めている。 軌道に乗れば、石炭火力の割合が高いアジアの脱炭素にも貢献できるはずだ。 政府は和4(2022)年に向けた脱炭素化と産業政策の方向性を盛り込んだ新戦略を和6(2024)年内に策定する。 次期エネルギー計画に沿う形で企業の投資を支援し、国内産業の競争力強化に繋げたい。 第7次エネルギー基本計画、原発の位置づけ踏み込めるか エネルギー経済社会研究所・松尾豪代表 2024/5/15 14:29 https://www.sankei.com/article/20240515-OKZDSY37RRNBJHNW3N2RTZK624/ 現行のエネルギー基本計画は、2050(令和32)年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、政府が令和12年度に温室効果ガスを平成25年度比で46%減らすと打ち出した目標を念頭に決まった。 今回の見直しで、どれだけ深堀りされた内容になるかが注目される。 電源構成では原発をどう位置付けるかだ。 この10年で原発再稼働は限定的だった。 原発の高経年化が指摘される中、 「リプレース(建て替え)」 の必要性など踏み込んだ議論ができるかだろう。 再生可能エネルギーに関しては、海外で導入拡大の動きが衰えず、化石燃料の依存度も下げないといけない中で、計画で野心的な数字(比率)が出てくる可能性もある。 再エネでは洋上風力発電と次世代太陽電池 「ペロブスカイト太陽電池」 の期待が大きい。 ペロブスカイトは国産技術で、サプライチェーン(供給網)の構築もテーマだ。 化石燃料は難しい課題だ。 先進7カ国(G7)は温室効果ガスの排出削減対策を取っていない石炭火力発電に関し、2035(令和17)年までの段階的廃止で合意した。 だが原発や再エネがうまく拡大しないと化石燃料に頼らざるを得ない。 人工知能(AI)の普及などで電力需要が急増すると、火力発電も必要だとの声が高まるかもしれず、情勢は不確実だ。 「原発新増設、次期エネ基に」 林欣吾・電事連会長 再エネ、負担のあり方議論 2024/5/3 2:00 https://www.sankei.com/article/20240503-RR7PTDAKSFK2FAM2XN5ZFJDZ3Y/ 大手電力で作る電気事業連合会の会長に2025年4月1日付で就任した林欣吾氏(中部電力社長)が2024年5月2日、産経新聞のインタビューに応じた。 2024年度は政府が、国のエネルギー政策の指針となる 「エネルギー基本計画」 を見直す重要な年で、林氏は 「長期的に原発の役割は増していく」 との認識を示した上で、原発の建て替えや新増設が計画に盛り込まれるよう、働き掛ける意向を示した。 国内では人口減少が進む一方で、生成AI(人工知能)の普及に伴い電力消費の多いデータセンターの増設が見込まれることから、林氏は 「電力需要のボリュームは増えていく」 と指摘。 その上で脱炭素化を進める観点でも 「原発は最も現実的でコストの良い電源だ」 と述べた。 東京電力福島第1原発事故後、廃炉を決めた24基を除くと、原発36基のうち再稼働できたのは12基にとどまる。 林氏は 「遅れている再稼働を進めるだけでなく、新増設、リプレース(建て替え)、新型炉を含めた開発を総動員しないと、日本を支えるエネルギーを賄うボリュームを、達成できない」 と強調した。 今後エネルギー基本計画の策定を巡り、電事連として国への働き掛けを行う。 また再生可能エネルギーについても 「最大限の開発をしていかなくてはいけない」 とした。 ただ再エネは選択肢が増える一方で発電コストが高く、普及に向けて電気料金に上乗せされる賦課金などが家計を圧迫するとの不満は根強い。 林氏は 「公平に、国民の負担で(再エネを)増やしていくことが必要」 と話し、東日本大震災後に国が電力自由化などを決めた 「電力システム改革」 の検証作業の中で、発電コストの負担の在り方について議論を進めたい考えを示した。 太陽光パネルの放置防げ 10年後に大量廃棄時期到来 技術確立へ対策急ぐ 2024/5/3 16:56 https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/ 急斜面に設置された太陽光パネル。国は大量廃棄時期を迎える前の技術確立を目指している=平成30年7月、静岡県伊東市 https://www.sankei.com/article/20240503-7SROT5ML6ZJWHNFSYHA4XJW5OQ/photo/A5Q3UVPMQFJT5IL5U3HU4746JA/ 全国に設置された太陽光パネルが2030年代(令和12〜21年)中盤に大量廃棄の時期を迎える見通しとなり、国が対策を急いでいる。 中国製の安価な輸入パネルはヒ素など有害物質が含まれる恐れがあり安全な処理が必要だが、費用がかさめば適切に廃棄されず放置や投棄が増えかねない。 太陽光パネルが全国で一斉に広がったのは平成24(2012)年からだ。 この年、政府が再生可能エネルギーの普及を目指し、発電した電気の全量を電力会社に買い取らせる固定価格買取制度(FIT)を導入したのを契機に、参入する事業者が続出した。 ただ、買い取り期間は10キロワット以上の設備で20年間。 令和14(2032)年には初期に参入した事業者の買い取りが終了し、売電価格が大幅に下落する見通し。 パネルの寿命は20〜30年で、およそ10年後には大量廃棄の時期を迎える。 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の試算ではパネル廃棄のピークは令和17(2035)〜令和19(2037)年頃になりそうで、年間17万〜28万トン程度の廃棄を見込む。 ■積立金不足の懸念 パネルの廃棄は事業者の責任だが、多くが対策を講じてこなかった。 このため、令和4(2022)年4月施行の改正再生可能エネルギー特別措置法で、太陽光発電設備の廃棄費用の積み立てが義務化された。 稼働から10年が経過した出力10キロワット以上の設備などが対象で、売電収入から廃棄に充てる積立金が自動的に引かれる仕組み。 問題になるのは廃棄コストが積立額を上回るケースだ。 パネルには一般的に鉛やセレンなど有害な物質が含まれる上、安価な中国製パネルには透明度を上げるため猛毒のヒ素などが含まれている場合があり、安全に廃棄するには費用が膨らむ。 また、パネルや土台などの設備が放置された場合は、火災や土砂崩れなど災害を誘発しかねない。 ■リサイクルを支援 リサイクルの技術的なハードルも高い。 ガラス技術研究所の織田健嗣所長によると、パネルに使うガラスには取り除くのが難しい化学物質が含まれているため、現状では断熱材に使うグラスウールなど取り除かなくても利用できる用途にリサイクルが限定されている。 環境省は産廃事業者の技術力向上に向け、高度な技術を活用するリサイクル事業を国が認定し、事業拡大を支援する法案を今国会に提出。 伊藤信太郎環境相は2024年4月の記者会見で 「(パネルの)安全な廃棄が重要だ」 「大量廃棄が起きる前に技術を確立したい」 と述べた。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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