<■896行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 都知事選、風俗店広告ポスターで警告 風営法違反疑い 2024年6月23日 21:03 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE231FX0T20C24A6000000/#:~ 東京都知事選の選挙ポスター掲示板に風俗店の広告ポスターを張ったとして、警視庁は2024年6月23日までに、政治団体の党首に風営法違反の疑いで警告した。 捜査関係者への取材で分かった。 捜査関係者によると、警告は2024年6月22日付。 「NHKから国民を守る党」 の立花孝志党首に出された。 渋谷区の掲示板に女性専用風俗店を紹介するポスターを張っていた。 政治団体側は警告に応じ、既にポスターを張り直すなどの対応をしているという。 都知事選のポスター掲示を巡っては、ほぼ全裸の女性のポスターを張ったとして、警視庁が2024年6月20日に都迷惑防止条例違反の疑いで候補者に警告した。〔共同〕「公選法改正見直し必要」自民・田村氏 産経新聞2024年6月24日 自民党の田村憲久政調会長代行は2024年6月23日のフジテレビ番組で、東京都知事選の選挙ポスター掲示板に同一のポスターが多数張られた問題に関し、公選法を念頭に見直しが必要だとの認識を示した。 「知事選を目的にしていないなら大きな問題だ」 「法改正を含め検討しなければならない」 と述べた。 2024年6月19日に成立した改正政治資金規正法では、抜け道が残った可能性にも言及した。 オンラインによる政治資金パーティー開催を挙げ 「あまり準備もかからず一定程度の金が集められる」 「透明性がないとすれば見直す必要がある」 と語った。 政治資金パーティー収入不記載事件の対応を巡り、岸田文雄首相への批判が党内で上がっていることについては 「総裁が代わっても支持率が上がるほど甘い状況ではない」 と指摘した。 東京都知事選で候補者乱立 供託金没収1億円超の可能性も 2024/6/22 16:16 https://www.sankei.com/article/20240622-ZCI7RBL2XROEZA2Q2L6OVTBPJI/ 2024年6月20日に告示された東京都知事選では史上最多の56人が立候補している。 都選管によると、都知事選は昭和22年以降、前回までに21回実施され、立候補者の平均は約12人。 これまでの最多記録は前回の22人で、過去最少は平成15年の5人だった。 現行公選法では、選挙を利用した売名行為を防ぐ目的で供託金制度が設けられている。 知事選の場合は1候補者につき300万円を予め供託し、得票が有効投票数の1割未満であれば供託金は没収され、都に納められる。 前回の都知事選では、当選した小池百合子氏を含む3人を除いた19人が没収の対象となり、合計額は5700万円に達した。 今回も多くの候補者が没収対象になるとみられ、合計額は1億円を超える可能性が高い。 にもかかわらず乱立が起こるのは、街頭演説や政見放送で得られる候補者や団体の宣伝効果のためとみられており、現行の供託金制度に疑問を投げかける有権者の声も多く聞かれる。 新宿区の60代の無職男性は 「いつも選挙公報などで政策を見ているが、これだけ多くの候補者がいると見きれないと思う」 と困惑気味。 これまで選挙には毎回欠かさず票を投じてきたという葛飾区の70代の無職女性は 「主義主張と関係のない人がこんなにたくさん出てくるのは、おかしいと思う」 と話した。 「掲示場をジャックせよ」 都知事選候補者乱立の陰で掲示枠「販売」に波紋 2024/6/22 15:12 https://www.sankei.com/article/20240622-6YZCQ3GS6BOGVEJVT7HR5N4RYI/ 神宮通公園前に設置されている選挙ポスター。「ぱんちゃん璃奈」のポスターが多数を占めている=2024年6月22日午前、東京都渋谷区(相川直輝撮影)※画像を一部処理しています※ https://www.sankei.com/article/20240622-6YZCQ3GS6BOGVEJVT7HR5N4RYI/photo/677ZNE6UFJMLJG3BOV6CRTPQKU/ 2024年6月20日に告示された東京都知事選(2024年7月7日投開票)で24人を擁立した政治団体が、ポスター掲示場の枠を事実上 「販売」 していることが波紋を広げている。 公職選挙法には権利譲渡を禁止する規定はないが、売名≠ネど本来の目的とは異なる掲示場の使用が行われており、有識者からは対策を求める声が出ている。 ■「広告媒体」 「ポスター掲示場をジャックせよ。選挙ポスター掲示場の常識をぶっ壊す!」 政治団体 「NHKから国民を守る党」 の公式サイトは、こうした文言で参加者を募る。 具体的には1口2万5000円を 「寄付」 すると、都内約1万4000カ所のポスター掲示場のうち1カ所を選び、候補者の枠に自ら作成したポスターを貼る権利が与えられる。 1口の寄付額は2024年5月は5000円、2024年6月1〜19日は1万円だったが、告示以降更に引き上げられた。 同団体から出馬したのは関係団体を含め24人。 応募した人は掲示板の半分ほどを占める最大24枚分のポスターを貼れることになる。 同団体によると、2024年6月21日現在で約1000カ所分の応募があり、1人で約100カ所分を応募した人もいるという。 同団体としては、1口1万円、掲示場1万4000カ所で単純計算した場合、1億4000万円の寄付収入が入る可能性がある。 24人分の供託金(1人300万円)を支払っても6800万円の利益が出る計算だ。 同団体の代表は今回の 「ポスタージャック」 について紹介した動画の中で、配信サイトで生計を立てるユーチューバーを念頭に 「いわゆる末端でも有名な人でもご自身の主張をしていくには広告媒体としては最高だと思う」 とアピールする。 ■選管に苦情殺到 同団体の担当者は 「寄付者に許可を出しているのであって、収益目的ではない」 と説明するが、ビジネス利用と取られかねない動きに対し、林芳正官房長官は2024年6月21日の記者会見で 「候補者自身の選挙運動用ポスターを掲示するために設置されるもので、候補者以外が使用できるものではない」 との見解を示した。 選挙運動を所管する総務省によると、公選法の規定では選挙ポスターは他候補の応援や虚偽内容でない限り自由で、チェックするための仕組みもない。 ただ、松本剛明総務相は 「公選法上、掲示の権利を売買するものとはされていない」 と指摘し、処罰対象になるかどうかは捜査機関が判断するとしている。 都選挙管理委員会には2024年6月21日までに 「同一のポスターが貼られているのは何なのか」 などとする苦情や問い合わせが1000件以上寄せられた。 また、大量擁立で候補者数が増え、1カ所の掲示場に貼れる最大数48を超えたため、都選管は候補者にクリアファイルを支給し、個別に増設を要請する対応を迫られた。 都内のある区選管関係者は 「税金で運営される以上、疑問は感じる」 「ただ、違反がなければ取り締まるのは現実的に難しい」 と漏らした。 ◇ ■「広告収入制限など事業者側の規制必要」 白鳥浩・法政大大学院教授の話 行政の長を決める真摯な選択の場である選挙をビジネスにすることは、日本の民主主義自体を空洞化させ、政治不信を助長させる。 今回の 「掲示板ジャック」 は、供託金を没収されても掲示板を全部売れば収入が大きく上回り、ポスターを貼る様子を動画投稿するなど、選挙をビジネスモデルとして確立しようとする狙いがあると考えられる。 現行の公選法はインターネットがない時代に作られた法律で、ビジネスに利用される事態は想定されておらず、掲示板の内容は表現の自由の範囲であれば法的には問題ない。 制限することも検閲に当たるので難しい。 動画投稿サイトなどを使って広告収入を得ることと、選挙で政策を訴えることは切り分ける必要がある。 選挙期間中の候補者や、候補者が属する陣営が出すコンテンツなどに対し、事業者側が広告収入を制限するなどの規制が必要だ。 「政見放送がカオスに」「候補者に足切り条項を設けよ」千葉・熊谷知事が都知事選に懸念 2024/6/22 15:07 https://www.sankei.com/article/20240622-ER4GMHALK5JMJLUO4VIAFRIAAE/ 千葉県の熊谷俊人知事が2024年6月22日、自身のX(旧ツイッター)で候補者が乱立し、選挙ポスターの過激な表現が問題になっている都知事選について 「今後は政見放送がカオスになるでしょう」 と懸念を示した。 選挙カーや選挙ポスター・ハガキなどが全て公費で賄われる現状に対し、 「ネット選挙の時代、選挙カー自体が不要という候補者もいる中、そろそろ公費支援の対象を見直す議論があって然るべきだ」 と主張した。 「ユーチューブで個人が利益を上げることが出来るようになった現代において、国政選挙や知事選などの大型選挙における選挙ポスターと政見放送は、売名行為として供託金分を回収できると見込めるものになっており、選挙の本質を大きく歪めるものだ」 と指摘した。 その上で、 「選挙の対象有権者の一部(数百〜数千)の署名提出をもって立候補者とするなどの足切り条項を設ける方が、供託金という『お金』を積んで足切りにするよりもマシだと思う」 「候補の乱立も防げるかと思う」 「今のままでは年を追う毎に酷い状況になるでしょう」 と訴えた。 マスメディアにも注文を付けた。 「マスメディアには表層的な報道ではなく、ましてや悪ふざけしている候補者を視聴率・インプレッション目的で過剰に取り上げ、売名目的を更に満たすような真似はせず、日本の公選法と諸外国の選挙関連の実態を比較の上で、日本の今に合った制度議論を展開して頂きたいと切に願います」 と結んだ。 都知事選の多数同一ポスター 選管に1000件以上の苦情殺到、電話鳴りやまず 2024/6/21 20:26 https://www.sankei.com/article/20240621-GTY7VFOXGNPC3PAOL7MRQFQD2A/ 過去最多の56人が立候補した東京都知事選の選挙ポスター掲示板に、同じ人物やデザインのポスターが多数張られ、有権者に困惑が広がっている。 東京都選挙管理委員会には、告示翌日の2024年6月21日までに1000件以上の苦情や問い合わせが寄せられた。 同一のポスターが張られていることに関して 「何なのか」 などとするもので、担当者は 「電話がひっきりなしに鳴っている」 と話す。 中野区役所前の掲示板には、様々な人物の画像と共に、デザインの同じピンク色のポスターがずらりと張られていた。 QRコードも記載され、読み込むと特定の交流サイト(SNS)の画面に誘導される。 画像の人物のほとんどは選挙と無関係とみられる。 総務省によると、ポスターで他の候補者の選挙運動をすることや、虚偽があった場合は処罰の対象になる。 一方で、内容を直接制限する規定はなく、事前のチェックもない。 有権者「ばかにしている」 都知事選の掲示板に大量の同じポスター 2024/6/21(金) 20:30配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/2e8b8f5edfcf38e783b0c9eedff08b500fda7baf 2024年6月20日に告示された東京都知事選(2024年7月7日投開票)で、候補者のポスターを張る掲示板に、同じポスターが大量に張られる事態が起きている。 候補者を24人擁立した政治団体が掲示板のスペースを寄付者に譲っていることが主な原因だ。 選挙と関係ない人物や主張が掲示板中に広がり、都民からは 「有権者を馬鹿にしている」 と憤りの声が上がっている。 東京都中野区の区役所前では2024年6月21日午後、候補者48人分を掲載できる横長の掲示板に、女性の写真が印刷されたピンク色のポスターが凹の形のように計24枚張られていた。 それぞれQRコードが印刷され、スマートフォンをかざすと有料サイトを宣伝するページに誘導された。 近くの50代女性は 「馬鹿にされているようだ」 「税金が使われているのだから、常識の範囲内で正しいものを張ってほしい」。 男性(74)も 「アイドルのポスターかと思った」 「張る内容を規制できる方法を考えてもいいのでは」 と呆れた。 毎日新聞は都内で、候補者ではない女性格闘家のポスターや、政治的主張が書かれたポスターなどが24枚ずつ張られた掲示板を複数確認した。 いずれも、政治団体 「NHKから国民を守る党」 に関係する24人の候補者がポスターを張るスペースだった。 同団体は、5000円〜1万円(現在は2万5000円)の寄付者に、ポスターを張るスペースを譲る方針を公表している。 立花孝志党首は2024年6月21日の記者会見で、一連の動きは 「掲示板は無駄だ」 と知ってもらうためだとした上で 「無くすか徹底的に減らすべきだ」 「大きな問題提起ができた」 と持論を展開した。 ただし、内容を把握できていないポスターもあるといい 「違法なものや事実と異なる政治的主張は私の判断で剥がす」 と説明する。 同団体以外でも、物議を醸すポスターが張られたケースがあった。 警視庁は2024年6月20日、選挙ポスター掲示板に卑わいなポスターを掲示したとして、都迷惑防止条例違反(卑猥な言動)の疑いで、諸派の男性候補者に警告を出した。 捜査関係者などによると、候補者とは別の女性が裸に近い姿で写り 「表現の自由への規制はやめろ」 などの記載があった。 警視庁は、ポスターが公共の場所で卑わいな言動をすることを禁じた都条例に違反すると判断。 2024年6月20日夜に候補者の男性を呼び出し、口頭で警告した。 都選管によると、大量のポスター掲示については2024年6月21日だけで1000件以上の苦情が寄せられた。 公職選挙法にはポスターを大量に張ることを禁じる規定はないといい、担当者は 「警察が事案毎に(違法性を)判断していくと思う」 「対応を見守りたい」 と話した。 元自治省(現総務省)選挙部長で公選法に詳しい片木淳弁護士は 「選挙と関係ないポスターを大量に張るのは不適切だ」 「選挙運動は有権者の投票行動を助けるためにあり、公選法が想定した選挙の在り方ではない」 と指摘している。 東京都知事選挙の掲示板に多数同一ポスター 有権者困惑 2024年6月21日 20:50 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC21COV0R20C24A6000000/ ■東京都知事選のポスター掲示板 過去最多の56人が立候補した東京都知事選の選挙ポスター掲示板に、同じ人物やデザインのポスターが多数張られ、有権者に困惑が広がっている。 政治団体 「NHKから国民を守る党」 は、団体に寄付をした人の作ったポスターを掲示板に張っているとしており、制度の隙間を突いたとの意見も。 識者は 「規制を考えていく必要がある」 と指摘する。 「カワイイ私の政見放送を見てね」。 中野区役所前の掲示板には、様々な人物の画像と共に、デザインの同じピンク色のポスターがずらりと張られていた。 QRコードも記載され、読み込むと特定の交流サイト(SNS)の画面に誘導される。 画像の人物のほとんどは選挙と無関係とみられ、同区の男性会社員(57)は 「広告なのか、候補者ポスターなのか分からない」 「違和感を覚える」。 東京・秋葉原付近では、立候補していない女性キックボクサーとみられる人物のポスターが並び、スマートフォンで撮影する姿も。 総務省によると、ポスターで他の候補者の選挙運動をすることや、虚偽があった場合は処罰の対象になる。 一方で、内容を直接制限する規定はなく、事前のチェックもない。 林芳正官房長官は2024年6月21日の記者会見で 「(掲示板は)候補者以外が使用できるものではない」 と発言。 松本剛明総務相も 「公選法上、掲示の権利を売買するものとはされていない」 と述べた。 東京都選挙管理委員会には、2024年6月21日までに1000件以上の苦情や問い合わせが寄せられた。 同一のポスターが張られていることに関して 「何なのか」 などとするもので、担当者は 「電話がひっきりなしに鳴っている」 と話す。 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)は 「掲示板は候補者の政策や顔、人となりといった情報を有権者に提供するためにある」 「法に触れないとしても趣旨から外れた行為だ」 と批判する。 その上で 「表現の自由を考慮すれば直ちに法改正までする必要はないが、選挙運営の規則などで禁止していくべきだ」 「時代の変化に合わせて選挙の在り方を見直す時期が来ている」 と述べた。 団体の立花孝志党首は2024年6月21日の記者会見で、設置費用がかさむ掲示板をなくせば供託金の額が下がり、政治参加がしやすくなると主張。 今回の取り組みは 「非常に大きな問題提起だ」 と説明した。〔共同〕 ほぼ全裸の選挙ポスターは表現の自由か 警視庁が警告 専門家「適切な表現考えるべき」 2024/6/21 18:20 https://www.sankei.com/article/20240621-RDANH77JONLB5IWPLHI6HLWDYE/ 東京都知事選(2024年7月7日投開票)で、ほぼ全裸状態の女性を使用したポスターが波紋を呼んでいる。 作成した候補者は 「表現の自由を訴えるため」 としているが、相次ぐ批判に警視庁が告示日当日の2024年6月20日、都迷惑防止条例違反の疑いで警告。 候補者はポスターを剥がすことに同意した。 都選管は今回のポスターについて 「公職選挙法に抵触していない」 との見解で、選挙と表現の自由を巡る論争は今後も続きそうだ。 ■想定外の選挙運動 「子供に見せられない」。 都知事選の選挙掲示板のポスターを見た都内に住む40代の男性会社員は憤った。 問題視されたポスターには、胸や下半身の一部を隠したほぼ全裸の女性があしらわれた。 書かれている内容も 「売春合法化」 「表現の自由への規制はやめろ」 「モザイク解禁」 など数パターンある。 都選管の担当者は、 「告示日に都民から多くのお叱りを頂いた」 という。 一方、表現の自由を尊重する公選法には抵触していないとの判断で、 「選管として勝手に剥がすなどの措置はできない」 と警視庁に相談。 今回、警視庁がすぐに対応したため、候補者は警告を受けた2024年6月20日夜以降、問題のポスターの撤去を進めた。 ■想定外の運動に困惑 選挙と表現の自由を巡っては、2024年4月の衆院東京15区補欠選挙で他陣営を妨害したなどとして代表らが逮捕された政治団体 「つばさの党」 の事件でも注目された。 都選管は、今回のポスターも含め 「想定外の選挙運動が出てきている」 「今後の選挙がどうなるのか」 と困惑を隠せない。 産経新聞の取材に問題の候補者は、 「法の範囲内で作成したつもりだが、警視庁がルールを示した以上従う」 とした。 ■有権者は意思表示を 拓殖大政経学部の岡田陽介准教授は 「どの候補にも主張はあると思うが、世の中に与える影響を考えなければならない」 「掲示板は小学校の近くなどに設置されることが多く、子供への影響や適切な表現かは考えるべきだった」 と指摘。 多様な選挙手法が出てくる中、公選法の厳格化は法の隙間を狙ういたちごっこを生みかねず現実的ではないとして、 「多くの有権者が違和感を覚える手法もある」 「望まない選挙運動に対し、有権者が意見表明をすることで、より良い選挙に繋がる」 としている。 東京都の小池百合子知事 学歴記載は「これまで通りです」 2024/6/18 16:07 https://www.sankei.com/article/20240618-MTCI3CQRONMFNN2KCWS2FCTBXI/ 東京都の小池百合子知事は2024年6月18日、自身の元側近が、学歴を詐称した疑いがあるとして小池氏に対する公選法違反(虚偽事項の公表)罪での告発状を東京地検に提出したことに関して報道陣の取材に答え、 「選挙(都知事選)に入るに当たってそのような行動をされるのは如何なものか」 と批判した。 その上で、2024年6月20日告示の都知事選で、選挙公報に記載する自身の学歴について 「これまで通りです」 と述べた。 学歴詐称の疑いで小池百合子都知事の告発状を東京地検に提出 元側近の小島敏郎氏 2024/6/18 12:53 https://www.sankei.com/article/20240618-XPO3L3KSWNIDJNRYQ7R2WTOLAE/ 東京都知事選(2024年6月20日告示、2024年7月7日投開票)に出馬を表明した小池百合子都知事が学歴を詐称していた疑いがあるとして、小池氏に対する公選法違反(虚偽事項の公表)罪での告発状を2024年6月18日、小池氏の元側近で元都特別顧問の小島敏郎氏が東京地検に提出した。 関係者への取材で分かった。 関係者によると、告発状は小池氏がエジプトのカイロ大学を卒業していないのにカイロ大卒という肩書を長年、公表し、学歴に対する疑惑が生じても訂正しなかったことなどが虚偽事項の公表にあたるとしている。 公選法は選挙の候補者の他、出馬を表明するなどして 「候補者になろうとする者」 についても虚偽の経歴の公表を禁じ、違反した場合は2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金を科すとしている。 小池氏の学歴を巡っては前回都知事選直前の令和2年6月、小池氏の卒業を認めるカイロ大学長名の声明文が公表された。 告発状は声明文作成に小池氏が関与した疑いがあるとしている。 小池氏はこれまでの会見で 「声明は大学当局が意思をもって出されたと認識している」 など述べるなどして疑惑を否定している。 小池都知事元側近、やりとりのメールは「証拠として保全」 会見で改めて学歴詐称主張 2024/4/17 20:02 https://www.sankei.com/article/20240417-HSGE4TCH7VA6XCDX7OQD4PCMIQ/ 東京都の小池百合子知事が学歴を詐称しているとの主張を改めて展開した、元側近の小島敏郎氏による2024年4月17日の会見。 予定時間を超過して質疑が行われるなど、一定の注目度の高さを窺わせた。 日本外国特派員協会(千代田区)で行われた会見は、午後3時頃から始まった。 小島氏は会見の冒頭で、小池氏の 「カイロ大卒」 との学歴について令和2(2020)年に詐称疑惑が取り沙汰された際、卒業証明の声明を同大から出してもらうことを自身が小池氏へ提案したことなど、月刊誌上で既に発表した経緯を改めて説明。 当時の小池氏とのやり取りのメールなどは、 「証拠として保全している」 と説明した。 今後、小池氏がカイロ大卒と明記して選挙に出た場合、小島氏は公職選挙法違反の罪での刑事告訴を示唆。 その後の質疑で記者から、 「証拠」 を提示するよう求められると、 「訴訟の段階になれば、全てを明らかにする」 「裁判官や検察官に(証拠を)出す」 などと説明した。 会見は当初予定の1時間を超え、1時間半ほどに渡って行われた。 小池百合子都知事の学歴疑惑告発の元側近会見「正確にお答えを」 刑事告発の可能性も示唆 2024/4/17 18:21 https://www.sankei.com/article/20240417-U7QSJIAEOBMXVFRFDOZESQ6UEY/ 東京都の小池百合子知事のカイロ大卒業を認める同大学長名の2020(令和2)年の声明文を巡り、月刊誌で学歴詐称を主張している小池氏の元側近、小島敏郎氏(75)が2024年4月17日、都内で記者会見した。 小島氏は 「学歴詐称は公職選挙法違反に問われかねない」 「(小池氏には)正確にお答え願いたい」 と求めた。 問題となっているのは 「学歴詐称疑惑の隠蔽工作に加担した」 と小島氏が告発したとする 「文芸春秋」 の記事。 小島氏は声明文が小池氏側の主導で作成された可能性があると指摘した。 その上で、小池氏の経歴に疑義が生じているとして、今後、カイロ大卒と明記して小池氏が選挙に出た場合、公職選挙法違反の罪で刑事告発する可能性を示唆した。 小島氏は、小池氏が特別顧問を務める 「都民ファーストの会」 元事務総長。 旧築地市場の豊洲移転を巡り、移転に否定的な立場から小池氏をサポートした。 小池氏はこの記事に対し2024年4月12日の定例記者会見で、 「声明は大学当局が意思をもって出されたと認識している」 と反論している。 小池都知事、カイロ大卒「大学が卒業を認めている」 声明は「大学が意志を持って発出」 2024/4/12 14:36 https://www.sankei.com/article/20240412-Z73SM2XGSBO2FBKIRUMT2L2YEE/ 東京都の小池百合子知事は2024年4月12日に都庁で開かれた定例記者会見で、前回都知事選直前の令和2年6月に自身がカイロ大を卒業したことを認めた大学側の声明の作成に、当時小池氏の周辺にいた人物が関わったとする一部報道について、 「記事が出たことは承知しているが大前提が違う」 「卒業していないと言っておられるが、大学が卒業を認めている」 と述べた。 小池氏はこれまでも同様の説明を繰り返し卒業証書も示してきたとして、 「選挙の度にこうした記事が出るのは残念だ」 とした上で 「卒業を証明するのは大学で、(カイロ)大学が何度も(卒業を)証明している」 と強調。 文案を小池氏側で作成したとされたことに 「大学が意志を持って発出された」 と指摘した。 月刊誌『文芸春秋』2024年5月号に掲載された記事によると、令和2(2020)年6月に駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された小池氏のカイロ大卒の経歴を 「証明する」 とした声明の作成過程を指摘。 元環境省官僚で当時は小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会事務総長だった小島敏郎氏が公開した手記では、小池氏から文書作成の協力を求められたとしている他、作成に他の周辺人物も関わっていたと指摘。 小島氏が卒業の事実に関して疑義を示している。 小池百合子都知事とカイロ大学、そのどす黒い闇 学歴詐称より深刻な「政治犯罪」 Hanada2024年7月号 ジャーナリスト 浅川芳裕 小池百合子都知事の学歴詐称と、その隠蔽工作の疑惑が深まっている。 小池都知事の元側近・小島敏郎氏が『文藝春秋』2024年5月号で、 「学歴詐称工作に加担してしまった」 と告発記事を発表した。 「カイロ大学声明」 への関与の事実である。 声明は都知事選前の2020年6月8日、駐日エジプト大使館の公式フェイスブック及びウェイブサイトに掲載されたもの。 学長名で”小池氏の卒業証明”と”カイロ大学の卒業証書の信憑性に疑義を呈するジャーナリストへの警告”が記されている。 詐称疑惑が再燃し、”焦燥”する小池都知事からの相談を受け、小島氏は 「それなら大学から声明を貰っては」 と提案。 文案は別の側近ジャーナリストA氏が書いたという。 その後の記者会見(2024年4月12日)で、小島氏は 「正式な手続きを経てカイロ大学を卒業しているのであれば、なぜ隠蔽工作をしなければならなかったのか」 「卒業していないから、と考えるのが相当」 とした上で、告発に至った問題意識を明かした。 「我が国の東京都知事がエジプトからもカイロ大学からもいざという時に言われて、失職するかしないかを左右する弱みを握られていれば国益上、非常に大きな問題だ」 「そんな日本国ではダメではないか」 『カイロ大学”闘争と平和”の混沌(カオス)』(ベストセラーズ) の著者として本疑惑を長年取材してきた筆者の結論は更に深刻だ。 既に日本の国益毀損も甚だしい、より本質的な問題が生じている。 ”超法規的な”カイロ大学卒業証書保持者である小池氏は、エジプト軍・情報部に生殺与奪の権を握られており、その見返りを長年果たしてきた言わば”エジプトのエージェント”も同然の存在なのだ。 本稿では、その後の取材・調査を踏まえ、新事実を基に真相を解明していく。 ■外国勢力を日本に手引き まず、今回の小島氏の告発で重要なのは、カイロ大学声明のエジプト大使館での発表について、小池氏の関与が明らかになった点である。 大使館と言えば、我が国におけるエジプトの全権を代表する外国使節である。 声明の日本語訳にはエジプトの国章 「サラディンの鷹」 の紋章が記されており、まさしく国家紋章だ。 カイロ大学声明を取材した現地メディアも、当時、こう報じている。 「大学はコメントを控えながらも、エジプト・アラブ共和国の日本における公式代表であるエジプト大使館からの発表通りだと認めた」 (報道サイト「アルバラド」2022年6月11日) 小池氏がその作成・発表に関与した行為とは、外国の国家機関と通謀、共謀したことに他ならない。 我が国の首都の指導者を決める選挙活動において、再選を目指す現職知事が外国政府の権力行使・介入を日本に手引きしたのだ。 「反逆罪」 を呼んでも大袈裟ではない。 少なくとも、外国勢力による選挙介入という民主主義の下で犯せる深刻な 「政治犯罪」 であり、日本国民・東京都民に対する重大な裏切り行為である。 たかが外国の1大学に過ぎないカイロ大学声明ではないか、と問題を過小評価する人もいるだろう。 しかし、声明発表を本国エジプトのメディアがどう報じたかを知ればそうはいかない。 カイロ大学は。政治的意図を持って都知事選に介入したのだ。 憶測ではない。 エジプト軍・情報部の管理下にあるエジプトの現地メディアははっきり、カイロ大学声明は介入が目的だと報じている。 一部の見出しを挙げる。 「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に点火」(前同) 「カイロ大学、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的手段で脅迫」(「アルワフド新聞」ネット版2020年6月11日) 「カイロ大学、危機に瀕する東京都知事を救うために介入」(総合ニュースサイト「アハバーラック」(2020年6月11日) 何のための介入か。 「(2020年)7月5日に行われる日本の都知事選を前にして、小池百合子都知事の反対派や対抗馬はカイロ大学卒業の学歴を認めないキャンペーンが展開されている」(同「アルバラド」(前同) 「カイロ大学の学位を取得していないとの発言・主張をしているが、これは事実に反する」(前同) 「カイロ大学が在日エジプト大使館のフェイスブックを通じて声明を発表」 「小池百合子氏は1976年に文学部社会学科を卒業しており、日本の一部メディアが卒業証明書に疑問を呈し報じた内容を非難」 (前同) 現地メディアが解説するように、小池氏の再選目的の介入であることが明らかだ。 そのために、カイロ大学卒業に疑念を呈する者は皆、都知事の反対勢力と見做し、声明は再選を目指す都知事に代わって対抗措置を取る、との強権的な脅迫である。 しかも、何の根拠、反論も示さず、取材・報道の行為自体を罰しようとしている。 実際、声明では 「エジプトの法令に則り対応策を講じる」 と警告しており、現地取材を封じようとする意図が見える。 実力行使もあり得る。 エジプトで取材をした多くのジャーナリストが、今も軍事監獄に拘束されている。 その数は、中国、トルコに続き世界ワースト3位だ(CPJ:ジャーナリスト保護委員会2020年調べ) この強権的な姿勢は、カイロ大学の問題を指摘する教職員に対しても同じだ。 メディア学部の教授が学長の汚職の疑いを示す証拠文書を自身のフェイスブックに挙げ告発したところ、何が起きたか。 捜査保留のまま留置場で手錠をはめられた教授の画像がいきなり現地メディアに掲載されたのだ(ニュースサイト「アルカーヒラ24」2022年1月26日)。 カイロ大学長に逆らうとこんな目に遭うぞ、という見せしめだ。 この学長こそがカイロ大学声明を出したアルフシュト氏だ。 ★カイロ大学の権力と腐敗の構造 カイロ大学は、日本人が一般に想像するような大学では決してない。 軍事独裁政権の支配下にある国家機関である。 国会や省庁、裁判所、軍隊のように、国家の正式な統治機構の一部に組み込まれている。 そして事実上、カイロ大学の権力を完全に掌握しているのは、泣く子も黙るエジプト軍・情報部である。 大学と言えば”学びの園””学問の自由”といった平和な生温いイメージから理解しようとすると、本質を見誤る。 実際、筆者が小池都知事の学業・卒業実態を示す 「学生ファイル」 (学業状況「入学、試験、結果、成績、卒業」及びその日付を記録) の取材に大学事務局を訪れたところ、通されたオフィスに現れたのは、陸軍の軍服を着た人物だった。 3人が同席し、1人は大佐のバッジを付けている。 小池氏の 「ファイル」 は軍事機密なのだ。 カイロ大学の”卒業生”のことなのに、 「彼女のことならカイロの日本大使館に行って聞け」 と横柄な態度であしらわれた。 軍事法廷や軍事監獄に連行されてはかなわない。 大人しくオフィスを後にしたが、少なくとも、大学の管理を掌握するトップクラスの軍人が小池氏の状況を認識していた様子は垣間見えた。 軍人が大学にいるのは不自然に思われるだろうが、 「軍幹部が大学の管理職の要職を独占しており、学びの場は軍の兵舎と化している」(「アルタウンニュース」2012年5月1日) もっと詳しく言えば、軍・情報部をトップに、総合情報庁(エジプトのCIA)や国家安全保障局(内務省の治安部隊=国家憲兵)が傘下にあり、両者が派閥争いをしながら大学を統治する多層構造になっている。 更に実態を言えば、両官庁にも軍人・情報部員が天下り、結局のところ、全権を掌握しているのは軍・情報部だ。 その頂上にいるのが、軍事独裁政権トップのシシ大統領である。 カイロ声明を発表した学長のみならず、各学部長でさえ大統領に任免権があることは、エジプト・アラブ共和国大統領令1972年第69号「大学組織法及び施行規則」(2014年改正)で定められている。 学長・学部長の任命は、学術的に優れているとか、大学人として指導力があるといった理由ではない。 「大学の発展プロジェクトに照らして、共和国大統領の決定により任命される」(同法第25条)。 そもそもカイロ大学の設置自体も、 「専門家を国に提供し、社会主義社会の建設及び強化、祖国の未来の形成に貢献する」 と第1条にあり、大学そのものが国家プロジェクトなのだ。 カイロ大学を貶める報道は、エジプト国家そのものへの攻撃と同じである。 日本メディアへの圧力など、何ら驚くべき事ではない。 実際、脅しの効果は抜群だった。 小池都知事の反対勢力である都議会自民党は声明発表の翌々日、 「小池氏のカイロ大卒業の証明を求める決議案」 を取り下げた。 その理由として、川松真一朗都議は 「声明直後に決議を出せば、僕らはエジプトと闘うことになる」(日刊スポーツ」2020年6月10日) と語ったが、まさにエジプト側の思うツボである。 川松氏は 「間違ったメッセージのように捉えられかねず、冷静に判断した」 と続けるが、それは脅しに屈した者が発する常套句そのものだ。 現地メディアが報じた通り、まさに 「危機に瀕する東京都知事を救うための介入」 に成功したのだ。 ■学長レターが声明の下敷き そうは言っても、声明の主体はカイロ大学ではなく、小島氏の告発にあるように小池都知事が依頼した側近のジャーナリストA氏が書いた作文ではないか。 そう疑問を持つ読者もいるだろう。 仮に、ジャーナリストA氏が書いたとしたら、相当なエジプト政治通である。 小島氏に直接確認した。 「カイロ大学長が文藝春秋編集部に宛てたレターがベース」 「それを見ながら、ジャーナリストAさんが書いたんです」 「そうじゃないと、声明文案を30分で書けないですよ」 「Aさんが自分で考えたわけではないんです」 声明を書いたのは国家権威主義的なエジプト人に違いない、と初めて読んだ時から確信していたが、その通りだった。 レターの内容は『女帝 小池百合子』(石井妙子著・文藝春秋)にも載っている。 「小池百合子氏は1976年にカイロ大学を卒業したことを表明しています」 (中略) 「小池百合子氏について貴誌が書かれたことは根拠のない虚偽であると思います」 「カイロ大学の名誉を汚す報道に対しては法的措置も厭いません」 (後略) とある。 記事のどこが虚偽なのか一切示さず、法的措置を警告する内容。 声明の骨子と同じだ。 この手紙は文藝春秋社にカイロ大学の郵便封筒で届き、 「President's office」(学長室) と書かれたレターヘッドのある用紙に日本語で 「カイロ大学長のPro Dr=Mohanmad Al Khustです」 と書かれている。 用紙の体裁と出所の学長名も、声明と全く同じだ。 レターと声明双方を出したのがカイロ大学学長室というのも、見過ごされやすいが重要な点である。 室長はエジプトの 「大学組織法」 上、高等教育大臣任命の公職。 その指名に実権を持っているのは、同省の治安局長である。 カイロ大学文学部元歴史学科長の著作『我が足跡を辿る』(未邦訳・原文アラビア語) に明記されている。 同書はカイロ大学の権力と腐敗の構造を数々の実名で世に晒し、エジプトで大騒動となった自伝的告発本だ。 一部引用する。 「教育省の治安局長は、大臣よりも大学に対する影響力を行使し、偽善者の大学教員たちは競って彼に媚びを売った」 「大学の独立性が損なわれ、教員たちは権力に憧れ、自由を制限し、大学を治安当局の権威に服従させる、大学に対する法律(前述の「大学組織法」による統制を受け入れたのだ」 「(高等教育省治安局の上位にある)国家安全保障当局が、教員の誰に対しても左遷を正当化することができるのだから」 「(教授が代筆するなどして)国家治安当局に文学博士号を(正規の過程を経ずに)取得させた時、教員たちの権力への媚びへつらいは頂点に達した」 「その後、高等教育省の治安局長やカイロ大学内の治安局長までもが『博士号』(不正取得)という(権力)モデルを繰り返した」 (括弧内は筆者補足) カイロ大学声明の出所が、如何に権力と腐敗にまみれた所か察しが付くだろう。 相手が権力者であれば、博士号の学位・証書の不正授与までする。 まして、論文審査がなく(小池氏の学歴にある社会学科の場合)、成績の改竄が容易な学士号の卒業証書の発行であれば、権力者からの命令(詳細は後述)1つで朝飯前だろう。 ■小池再選を祝う学長祝辞 カイロ大学アルフシュト学長は都知事選直後の2020年7月7日、小池氏再選の祝辞を大学公式ホームページに載せた。 権力者に媚びを売ったり、治安当局からの指示で、要人が信任された時に学長や教授が競って祝電を送るのはカイロ大学の腐敗した習慣の1つである(参考文献『我が足跡を辿る』)。 祝電は以下の通りだ。 <カイロ大学文学部の卒業生である小池百合子氏は、日本の首都東京都知事選史上初となる22人の候補者と競い合い、2度目の当選を果たした> <文学部を1976年10月に卒業した小池百合子氏は、民放テレビ局でニュース番組の司会者を務めた後、政界に転じ、参議院議員、衆議院議員を歴任した> <カイロ大学学長ムハンマド・オスマン・アルシュフト博士は、カイロ大学卒業生が日本初となる女性東京都知事として、2期目の当選を果たしたことに誇りを表し、小池百合子氏が日本での重要な指導的地位を勝ち取ったことに祝辞を述べた> <カイロ大学はあらゆる分野、あらゆる国における本学卒業生を誇りとしている> <彼らは世界、特にアフリカと中東で多くの指導的地位に就いており、アルフシュト博士は「彼らの成功はカイロ大学の成功であると考えている」と話している> <カイロ大学で学び、各国の要職に就いた著名な卒業生には、農学部で学んだシェイク・スルタン・アルカシミ(UAE・シャルジャ首長国首長)、法学士号を取得したサダム・フセイン(イラク大統領)、工学部を卒業したヤセル・アラファト(パレスチナ大統領)などがいる> (後略) 祝電のポイントは2つある。 1つ目は、小池都知事の経歴を微細に紹介し、世界的な政治家と並べ、著名な”卒業”生として取り上げている点。 カイロ大学にとって、小池都知事が如何に重要かが分かる。 小池氏に対するおべっかのみが目的ではない。 カイロ大学の偉大さを証明し、国際的に宣伝するための極めて貴重な存在だからだ。 新設中のカイロ大学国際支部では 「カイロ大学はアラブの科学者や天才たちを多く輩出してきたように、日本の元防衛大臣である小池都知事の輩出に成功」(公式フェイスブック) と、まさしく広告塔になっている。 卒業生でノーベル賞を獲った人物が4名いるが、エジプト人とアラブ人。 海外で首脳に就任した人も、やはりアラブ人。 カイロ大学を”卒業”した先進国の要人は小池都知事1人しかおらず、極めて希少価値が高いのだ。 日本でいくら学生詐称が騒がれようが、頑なに 「カイロ大学が卒業を認める」 背景がお分かり頂けるだろう。 ■サダム・フセインとの共通点 2つ目のポイントは、小池氏と並び、 「法学博士号を取得したサダム・フセイン(イラク大統領)」 の紹介だ。 2人は奇しくも、カイロ大学卒業について真偽が取り沙汰されてきたという共通点がある。 更に、2人とも要人になった途端、エジプト軍事政権下のカイロ大学が偉大な卒業生として公式に発表し、賞賛されるようになった人物という稀に見るもう1つの共通点がある。 実は、フセインはカイロ大学中退説が根強かったが、後年、本人の自伝で法学部2年中退と認めている。 その点、正直で潔い。 しかし、カイロ大学はいくら本人が中退と認めていても、自国にとって有利だと見做せば、勝手に卒業を公認する学風である。 入学の待遇については、フセイン大統領と小池都知事の間には大きな違いがある。 フセインは高校時代、共産主義化を図るイラク首相暗殺未遂に関わり、秘密警察に追われ高校を中退してカイロ大学に亡命してきた人物だ。 その武勇伝がナセル大統領の目にとまり、アラブの大義を目指すエジプトの工作員にするため、大統領自身が招いたという説もあるが、学業については特別扱いしなかった。 高校中退では名門カイロ大学には入れない。 そこで、カイロのドッキ地区にあるナイルパレス高校に入り直して卒業し、正規の試験を受けて、法学部に合格している。 ★小池百合子氏とハーテム情報相の深い関係 一方、小池氏の場合、同居人だった北原百代氏の証言(『女帝 小池百合子』)によると、いきなりカイロ大学2年に編入している。 エジプト人でもあり得ない話だ。 「小池さんのお父さんが、ドクター・ハーテムに頼んだ」 のがきっかけだという。 ハーテム氏と言えば当時、エジプト副首相兼文化・情報相だったアブドル・カーデル・ハーテム氏(1918〜2015)のことだ。 1952年、エジプト革命を起こした自由将校団の一員で、軍の諜報部員だった人物だ。 ナセル大統領と同郷の1年後輩で、革命後は大統領顧問に就任し、諜報機関の情報部創設を任された。 「ナセル政権はドイツ情報部に学ぶため、元ナチス将軍やゲシュタポ(秘密警察)、SS(ナチス親衛隊)の元責任者を召喚」 「これらの人物はエジプトの治安当局を前例のないレベルの残虐性と鉄拳支配に導くのに貢献した」 「その後の数年間、ナセル派の諜報機関は、政権に政治的に反対する可能性のある人物に対して、弾圧キャンペーンを展開」 「特に国家機関から反政府志向の強い人物を徹底的に粛清していった」 (アルジャジーラ電子版『誰が影を支配するのか?エジプト情報闘争の全貌』2018年3月16日) 弾圧キャンペーンは国家機関カイロ大学にも及んだ。 カイロ大学の知識人やエリート学生を支配下に置くため、キャンパスにSSに倣った 「革命親衛隊」 を送り込んだのだ。 それに対し、自由な大学を堅持しようとリベラル派とムスリム同胞団の教授・学生たちが団結し、デモ活動で対抗したが、治安部隊との力の差は歴然だった。 1954年、カイロ大学は軍部に制圧され、革命指導評議会下に置かれてしまった(エジプト現代史では「カイロ大学粛清事件」と呼ばれる)。 それ以来、軍・情報部支配というカイロ大学の伝統は今も続いており、情報統制面でその体制を作った大元の1人がハーテム氏である。 ハーテム氏から見れば、軍事独裁政権の現シシ大統領は、軍部時代の弟分タンクウィー(元国軍総司令官、2011年革命後の国家元首代行)の部下、つまり孫弟子に当たる人物だ。 また、シシ大統領の出世は軍・情報部長官就任から始まっている。 つまり、人脈的にも組織的にもハーテム氏の直系と言える。 ハーテム氏は更に、シシ前の3代の大統領ナセル、サダト、ムバラクの下、要職に就き、権力を保持してきた唯一の人物でもある。 小池氏の学歴詐称については長年、疑惑が出る度に、日本からのメディアの取材に対して 「カイロ大学が卒業を認める」 と繰り返しては収束してきたが、その背後には、こうした小池氏のハーテム人脈を頂点とするエジプトの軍・情報部と大学の権力階層構造があることも、念頭に置く必要がある。 また、カイロ大学では1954年の粛清後、小池氏が留学する1970年代まで、特殊な外国人留学生枠が存在した。 1つは、アラブ諸国で反政府活動をする若者を亡命させ、ナセルの 「アラブの大義」 で洗脳し、国に戻った時に工作員にする枠。 先述したように、イラクのフセイン大統領もその1人だった。 もう1つは、表向きは文化的だが、同様にエジプトの国策に都合の良い将来のエージェント育成のため、非アラブ特定国の若者を優遇する枠だ。 ハーテムは情報・文化省のトップとして、外国の若者の受け入れを推進すると同時に、それらの国々と友好協会を立ち上げていた。 ■14歳の女の子を養女に 小池氏は、ハーテム氏が作り上げたエジプトのエージェントなのか。 エージェント育成の経緯から、いつ誰の支援で”卒業”したか。 卒業後、大臣にまで出世した小池氏がエジプトへの奉仕を語り出すまでの詳細を、政府系新聞アハラーム紙が綴っている。 「小池氏は非常に特殊な女性である」 「ハーテム情報大臣の支援を受け、彼女は社会学科を卒業」 「彼は小池を自分の子供のように見做した」 (2016年8月3日付) とある。 小池氏自身も同紙インタビューで、ハーテム氏は 「私のエジプトの父」 「私のスピリチュアル・ファーザー(守護者)」 などと複数回、語っている。 「カイロ大学時代の教授陣(複数形)は?」 の質問に対して、小池氏は 「私の教授はハーテム博士で、私にとってエジプトの父です」 (2004年3月2日付) と答えている。 普通、教授陣の名を訊かれれば、選考学科(小池氏の場合、社会学科)の恩師や少なくとも印象に残っている先生について語るものだが、小池氏は違う。 カイロ大学の教授ですらないハーテム氏の名を挙げるのみだ。 ハーテム氏は当時、エジプトの副首相(情報担当)であったが、2人は一体、どういう関係だったのか。 「ハーテム氏に面倒を見てもらい、小池氏はカイロでの留学中のかなりの期間、ハーテム家で家族と子供たちと一緒に住んでいた」(2019年9月3日付)。 つまり、同居していたのだ。 小池氏が1976年、カイロをあとにした後、どうなったのか。 「ハーテム氏と学生から政治家、そして大臣になった彼女の関係は、カイロの地で途切れたわけではない」 「彼女はスピリチュアル・ファーザーと呼ぶハーテム博士(中略)と常に連絡を取り合っていた」 (同) 「ハーテム博士がエジプト日本友好協会(ハーテムはその創始者で、長年会長を務めた)を通じて行った活動の1つに、次の事がある」 「1970年に日本の首相からの要請で、当時14歳だった小池百合子という日本人の女の子を養女にしたこと」 「彼女は1976年にカイロ大学を卒業」(2004年6月21日) 「小池氏は2003年9月から日本の環境大臣であり、日本の内閣でイスラム教の寛容性を説いているとハーテム博士に語った」 「博士は彼女から連絡があることを嬉しく思っている」(同) 「(小池氏が今回、カイロに来たのは)ハーテム博士から(2011年)8月にかかってきた電話でのリクエストがあったからだ」 「彼女は学生時代に過ごしたハーテム家で、ハーテム博士の家族や孫たちと再会した」 「そこで小池氏は、ハーテム博士に対して、エジプトやエジプトの友人のために奉仕するプロジェクトを話題にした」 (同紙2011年9月3日付) ★”エジプトのエージェント” 一言で言えば、小池氏はハーテム氏の目論見通り、エジプトの利益を代弁するエージェントとして立派に育ったというわけだ。 その記録をハーテム氏は歴史の証拠として、政府系新聞に明確に残している。 もちろん、ただの新聞ではない。 アハラーム紙はハーテム氏が最高執行員を務めていた新聞であり、彼が創設したエジプトの国家情報部の従属下にある 「政治機関」 である(参考文献『ハーテム回想録 10月戦争政府の首相』未邦訳。*日本で言う第4次中東戦争。ハーテム氏は戦時中、首相代行を務めた)。 つまり、記事は全てエジプトの国益に根差し、政治的意図を持って書かれた声明なのだ。 その証拠に、ハーテム氏が小池氏について最初に新聞紙上で語り始めたのは環境大臣後のこと。 日本政府の要職に就いたところで、入学・卒業の実態が正規のものというより、ハーテム氏の”支援”であることに言及。 小池氏の学歴について、”弱みを握っていること”を仄めかしたと言える。 記事の中には奇妙な記述もある。 「1970年に日本の首相からの要請で、当時14歳だった小池百合子という日本人の女の子を養女にしたこと」。 直訳すれば 「養女にした」 だが、 「子飼いにした」 「採用した」 との意訳も出来る。 アハラーム紙の政治的文脈から解せば、 「エージェントとして採用」 という訳が一番しっくりくる。 「1970年に日本の首相の要請」 という記述も意味深長だ。 時の総理は佐藤栄作である。 両者に面識はあったのか。 確かに1970年、 「*アラブ連合のアブデル・カーデル・ハーテム特使(元副首相)は首相官邸に佐藤首相を訪れ、歓談した」(読売新聞1970年6月17日付) との記録が残っている(*当時のエジプト国名。シリアと連合を組んでいた)。 その翌年の1971年9月、小池氏は 「カイロ留学へ(家族、アラブ協会中谷武世会長が見送る)」 旅立ったと、 「李刊アラブNo54」(1989年) に本人が書いている。 同じ記事の中で、小池氏は 「アラブ協会名誉顧問であるエジプトのハーテム氏とは現在に至るまで文字通り家族的付き合いを続けている」 「エジプトでの父親的存在だ」 と、ハーテム氏との特別な関係を明かしている。 そして、カイロ留学を見送った中谷武世アラブ協会会長こそ小池氏の”師父”と呼ばれ、佐藤首相の兄・岸信介氏の戦前からの盟友にして、佐藤自身のブレーンだった人物である。 佐藤氏自身が日記で 「中谷武世が総裁選を心配してやって来る」 「本部で中谷武世と対談」 (『佐藤栄作日記』からの一部抜粋) と記すほどの関係だ。 中谷氏とハーテム氏の関係も相当深い。 1958年1月に初面談しており、その年の9月に 「ナセル大統領(ハーテム氏は当時、大統領顧問兼副首相)の要請に応じて」、 中谷氏はアラブ協会を設立(引用は「李刊アラブNo23」(1974年)、更に小池氏の父、勇次郎氏は中谷氏と親しく、長く同会会員だった。 以上のディープな人物相関関係からすれば、佐藤首相の要請だとして、中谷氏が勇次郎氏の娘をハーテム氏の懐に差し出すことはあながちあり得ない話ではない。 佐藤首相からハーテム氏への要請が本当なら、極めて特例な小池氏のカイロ大学編入についても説明が付く。 先述したように、フセインやその他のアラブ諸国からの亡命工作員でさえ許されなかった特別待遇のことだ。 大学組織法の87条に 「極めて必要かつ不測の事態の場合、教育大臣は、共和国大統領の決定により発行された規則及び規定に従って、学生を編入させることができる」 とある。 日本の首相からの要請は、まさに 「極めて必要かつ不測の事態」 だ。 この法律は、ナセル大統領死去後、後任のサダト大統領が1972年に制定したものだ。 この年は、小池氏がカイロ大学”入学”を謳っている年でもある。 同居人の証言・物証(母親に送った手紙、小島氏が証拠保全済)では、”編入”したのは1973年のはずだが、 「共和国大統領の決定により発行された規則及び規定」 によって、入学年の改竄などどうにでもなる。 ハーテム氏は大統領ではないが、サダト大統領とは共に革命を起こした同志であり、軍・情報部権力の中枢にいた人物であったことは、これまで見て来た通りだ。 何よりエジプトにとって日本権益の窓口であった。 ■エジプト日本権益の後継者 「日本の首相の要請で小池氏を養女にした」 と記述のあるアハラーム紙の記事で、ハーテム氏は日本の権益を細部に渡って語っている。 「ハーテム博士は日本(政府)や日本の首相との良好な関係に投資した結果、日本はカイロ大学小児病院(訳注:カイロ大学医学部附属の教育機関でもある)や製鉄会社、オペラハウスの設立援助に同意したという」 「しかし、博士の日本関係での最も重要な功績は、1973年10月戦争後、スエズ運河の再開に漕ぎつけたこと」 「日本が全面的に資金を提供し、第1段階で1億8000万ドル、更に第2段階で1億8000万ドルの援助を実施したことであり、現在、スエズ運河はエジプトに年間30億ドルの利益をもたらしている」 「日本の偉大な業績のお陰である」 それにしても、首相の要請時、 「14歳であった」 の年齢が気になる。 当時、中学生だった小池氏を、佐藤栄作首相がハーテム氏の養女にさせたとは俄かには信じ難い。 しかし、相手は 「プロパガンダの父」 であり、イスラエル軍の不意を突いた奇襲攻撃を仕掛け、情報戦で勝利した第4次中東戦争における 「戦略的欺瞞計画」 を立案したほどの人物である。 小池氏が14歳の時と言えば、記事の1970年ではなく、1966年。 この年の1月14日、 「来日中のアラブ連合の副首相ハーテム氏来邸」(『佐藤栄作日記』) と官邸で会っている。 その翌月、佐藤首相は特使をエジプトに派遣しており、ハーテム氏の出迎えを受けている(「読売新聞夕刊」1966年2月4日)。 2人共あの世に行き、真相は闇のままだが、これこそハーテム氏が生み出したエジプト流プロパガンダの真骨頂だ。 いくら疑念や疑問が寄せられても、一切答えず、更に大きな”誇張”や”法螺(ほら)を被せていく。 それを何層にも重ねることで、疑念を持つ者の追求心を削ぎ、真相を闇に葬り去る。 全てはエジプト国家に有利な言論空間を生み出していくためだ(参考文献『プロパガンダ 理論と実践』ハーテム著、未邦訳)。 首相要請の有無は別として、分かったことは小池氏が”エジプトのエージェント”として育成され、今もハーテム氏が築いたエジプトの日本権益の後継者であることだ。 話をカイロ大学に戻そう。 ★「カイロ大学声明」の見返り 小池氏の”卒業”を公認する声明を出して、カイロ大学に何のメリットがあるのか。 常識では考えられない声明を出せば、大学の国際的な信用失墜に繋がる危険性もある。 この問いは、カイロ大学長の発表を見れば解ける。 2022年11月22日、都職員10人を引き連れ、小池氏が学長とした会談の内容がカイロ大学の公式ホームページに掲載されている。 小池氏側の発言要旨は、 「カイロ大学留学時代について謝意を表明」 「エジプトと日本の2国間協力を称賛」 「東京都知事、カイロ大学との協力拡大を要請」。 本文は 「会談の中で、東京都知事はカイロ大学留学時代の日々を振り返り、彼女の人生に如何に影響を与えたか、そのお陰で現在の自分に至れたことに感謝の意を表した」 「会談では(中略)、様々な分野での協力の方向性を定めるため、カイロ大学と共同協力議定書を作成することが合意された」 とある。 都の予算を使って出張し、都政と全く関係ないカイロ大学時代の思い出話に浸りながら、 「カイロ大学に対して協力拡大を要請」 するなど、知事として完全に越権行為だ。 自身の学歴詐称を否定する 「カイロ大学声明」 を出してくれた学長へのお礼の表敬訪問と見返り支援と見做せば、合点がいく。 学長もそのお返しにとばかりに、 「小池百合子東京都知事は、カイロ大学文学部社会学科を1976年に卒業した最も著名な卒業生であり、その後、参議院議員、衆議院議員を歴任し、防衛大臣を務め、初の東京都知事に選出された」(同発表資料) と小池氏の学歴・経歴を持ち上げるのも忘れない。 現在、カイロ大学長と合意した協力議定書の中身は不明だが、前学長との会談での約束は、カイロ大学文学部日本研究センターという形で実現している。 「本センターの設立については、以前、小池都知事がカイロ大学を訪問した際に、ナッサール学長と協議したもの」 (2017年3月2日カイロ大学ホームページ) ナッサール氏は、1度目の都知事選当時の際、祝辞を送っており、その中で日本の小池議員事務所を訪問した時のことにも触れている。 「小池氏はカイロ大学、エジプト国民に対する感謝の意を強調した」 2022年の小池氏のエジプト外遊時に要請した支援事業の中で、既に都の予算に計上されているものもある(9700万円。エジプト外遊費含む)。 「小池都知事が文科大臣に提案した、文部科学省と東京都の間で学生分野における協力の第1号議定書」(エジプト文部科学省ホームページ) だ。 その中身はと言えば、エジプト人学生を都に受け入れたり、都立高校生に母校カイロ大学等をダイバーシティの美名の下、訪問させるプログラムだ。 わざわざ第1号議定書とあるから、2号3号と続く虞(おそれ)がある。 ■援助、口利きの手口 こうした小池氏のエジプトに対する支援・援助の申し出、口利きはパターン化している。 「カイロ大学時代の思い出を語るーその時にお世話なったカイロ大学そしてエジプトに謝意ーその見返りとして、援助内容を仄めかす/要人の要望を聞くーその事業の実現ーエジプト要人から褒められる」 という流れだ。 もちろん、全てがあからさまに書いてあるわけではない。 政府系新聞が伝える小池報道を時系列に丹念に読み直すと、その実態が浮き彫りになる。 1つのパターンを紹介しよう。 2016年3月にエジプト政府系のアハラーム紙が報じた記事によると、来日した当時のシシ大統領は、小池衆議院議員(当時)と面会。 大統領は 「謝意を表した」 「彼女がエジプトとの関係発展に注意を払い、両国関係を有利に進めている事柄に対してである」。 具体的にどんな事柄なのか。 記事では 「大統領の訪日では、教育プログラムに関連して多くの目標を達成した」 と紹介されている。 実は、この報道の約1カ月前、三百数十億円に上る日本のODA(政府開発援助)による教育支援策 「エジプト・日本教育パートナーシップ」 が発表されている。 つまり、シシ大統領はODAという形で援助が実現したことについて、小池氏に謝意を表したわけだ。 このODAに小池知事が関与したのか。 アハラーム報道から約1年遡った2015年5月、現地メディアのアルマスダル紙電子版によると、エジプト大統領府で小池氏と面会したシシ大統領は 「教育分野において日本の経験から利益を得ることについて、関心を示した」 とされる。 大統領の関心に対し、小池氏は 「エジプトと日本の関係を強化する努力を惜しまない」 と後押しを表明。 更に、小池氏は 「私がエジプトを大切に思っているのは、公式のレベルだけでなく、個人のレベルのことでもある」 とまで語っている。 「エジプト・日本教育パートナーシップ」 には2つの事業がある。 1つは 「エジプト・日本学校(小中学校)支援プログラム」(186億円)、 もう1つが 「エジプト人留学生・研修生受け入れ事業」(102億円) だ。 後者が小池発言 「個人レベルのエジプトへの思い」 に基づく事業のことである。 先程引用したアハラーム紙記事の記者が 「小池氏の経験とエジプトへの美しい対応」 と題するコラムを寄せ、種明かしをしている。 「以前、小池氏を取材した際、こう語っていた」 「『故ナセル大統領が外国人学生に対し、奨学金を提供するという重要な政策を採用していた』 『私自身もエジプト政府から月額8エジプトポンドの助成金を受け取っていた』 『ナセルの行った投資は有益で成功だったでしょ』 『だって、そうじゃない!』」 「小池氏は今日、日本政府のエジプトの学生に対する広範囲な奨学金プログラムについて、強力な支援者である」 記者は 「美しい対応」 と題し、如何にも美談のように語るが、全く違う。 小池氏が自分のエジプトからの借りを今回、100億円にして返しましたという下品な話だ。 ■エジプトの召使 小池氏とエジプトとの貸し借り関係は、カイロ大学声明を発表した駐日エジプト大使館の発表からも透けて見える。 「アブバクル駐日エジプト大使は、小池都知事と会談し、エジプトと日本の関係が過去数年に渡り様々な分野で大きな勢いを見せていることを踏まえ、両国の共同協力の側面や、この協力を様々な分野に発展させるための方策について協議した」 「小池都知事は、エジプトが自国にとって特別な地位にあることを踏まえ、また、エジプト側との協力に個人的な関心を寄せており、2国間協力のレベルが具体的に飛躍することを望んでいることから、両国関係の強化に向けた全面的な支援を表明した」 (エジプト大統領直轄の「国家情報部公式ホームページ」2022年1月27日) エジプトに外遊に出かけた2022年の年初における小池氏と大使の会談の内容だ。 次に外遊後、大使にお礼の表敬訪問をした際の記事 「東京都知事、エジプトと日本の2国間協力を称賛」(一部抜粋) がこちらだ。 「東京都知事は今回のエジプト外遊を成功裏に終え、エジプト政府へ感謝を伝えるため、東京のエジプト大使館を訪問した」 「その中で、東京都知事はCOP27に参加した喜びを表明し、シシ大統領が議長を務めるセッションに出席する栄誉に浴したことを感謝した」 「都知事はまた、訪問したエジプト日本科学技術大学を賞賛した」 「同大学は2国間協力のユニークなモデルであると述べた」 (「アハラーム紙」2022年11月22日) まるで、エジプト政府かやシシ大統領に仕える召使いのような扱いの内容だ。 小池氏が賞賛した 「エジプト日本科学技術大学」 はODA(40億円)で運営されている。 同大学のアドリー学長は2023年、東京で面談した小池都知事に対して、 「大学設立時から常に支援、尽力して下さっていることに感謝の意を表した」 (エジプト「国家報道局(NPA)傘下のエジプト報道サイト」2023年5月23日)。 つまり、今もエジプトへ見返りを続けながら、自分が口利きして出来た大学を都の費用で訪問し、自画自賛しているのだ。 都知事としての公約実現はゼロだが、長年エジプトへの公約(見返り)は果たしているということである。 我が国の首都のトップが、外国勢力に生殺与奪の権を握られているのだ。 今後、どんな条件を突き付けられるのか。 この状況は都民、国民にとって極めて危険な状態である。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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