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2024年6月10日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/329687
今秋の米大統領選で、もしトランプ前大統領が当選したら、日本はどうなるのだろう。そんな「もしトラ」の現実味が増すにつれ、専門家による解説がメディアでも増え始めている。米国でも、日本での関心の高さをワシントン・ポストが「Moshi-tora」と紹介する盛り上がりようだ。
それなら、最近はやりの生成型人工知能(AI)に聞いてみよう。そんな実験を、第一生命経済研究所の柏村祐(たすく)主任研究員がやってみた。「私たち人間は言わなそうな予想も、排除せずに検討対象に含め、考えを広げる『思考拡張』にAIを生かすべきだ」と話す柏村さん。さて、AIからは一体どんな答えが返ってきたのだろうか。(吉田通夫)
◆在任中には次々「要求」降りかかり…身構える日本
トランプ前大統領といえば、2016〜2020年の1期目在任中、安全保障や貿易などの政策を巡って国内外に軋轢をもたらしたのは記憶に新しい。
日本に対しても、18年3月に、日本などから輸入する鉄鋼やアルミニウムが米国の安全保障を損ねるとして、米通商拡大法232条に基づき鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を上乗せ。米国の自動車産業を守るため、日本車の輸入関税を大幅に引き上げる考えもちらつかせてきた。
もしトランプ氏が再登板したら、また自動車関税の引き上げを提案されるのではないか。米軍の駐留経費「思いやり予算」の大幅引き上げを求められるのではないか。いやいや、米国は日本の重要性を分かっているから、無茶な提案はしないだろう…。多くな専門家が、さまざまな推測を口にする。
米国の専門家ではない柏村さんは、「何が本当なのか」と混乱。今までも為替相場予想などさまざまな分析に活用してきたAIに聞いてみることにしたという。
◆「情報の精度が、無料版とは段違い」有料版AIを利用
米オープンAI社の「ChatGPT」やグーグルの「Gemini(ジェミニ)」などで急速に認知度が高まった対話型の「生成AI」だが、米国を中心に、ほかにも数多くの生成AIが登場している。
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生成AI 利用者の指示や質問に応じて、コンピューターがインターネット上の大量の情報から学習したデータを元に、新たな情報を生み出す技術。文章や楽曲、絵画などを作成できるが、虚偽情報の拡散や、学習元となるデータの個人情報保護や著作権侵害などの課題も指摘され、各国で開発や利用のルール策定に向けた議論が進んでいる。
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柏村さんは、このうち2種類を採用。こだわったのは、有料版を利用すること。「情報の精度が、無料版とは段違い」だからだ。
まずは、トランプ氏の思考パターンを知るため、情報検索に強みを持つ「perplexity(パープレクシティー)」に外交や経済、環境などの政策の方向性を尋ねた。
すると、「米国第一主義」や「中国への強硬姿勢」、「国際協調への消極姿勢」などのキーワードを示し、「同盟国との関係も金銭的な観点を重視し、国際協調よりも単独行動を好む傾向」などの回答を打ち出した。
◆関係悪化のシナリオは…
その結果を、今度は分析力に長けた「claude3(クロード・スリー)」に入力。友好的なシナリオと、関係が悪化するシナリオを予想させた。
友好的なケースについては、日米同盟は維持しつつも、就任当初の2025年から「日本の防衛費増額を求める発言をするなど、日本側に一定の負担を求める可能性がある」「通商問題では、日本との二国間交渉を進め、アメリカに有利な条件を引き出そうとする可能性がある」などと分析。これなら、想定の範囲内の予測ではある。
一方、関係悪化のシナリオでは、トランプ氏が2025年に日本に防衛費の大幅増額を要求し、「抵抗すると、在日米軍の削減をちらつかせ、圧力をかける」と要求が厳しくなる筋書きを描いた。通商問題でも「日本に対して一方的に有利な条件を要求。自動車などの主要輸出品に高関税を課すと脅し、日本経済に揺さぶりをかける」と、具体的な予想を打ち出した。
◆そして、2027年に
翌2026年には、「日本は防衛費増額と通商面での譲歩を迫られる。アメリカの要求は際限なく続き、日本の負担は増大する」。さらに、「米中対立が激化する中、アメリカは自国の利益のために日本を利用」すると見通す。日本に対しても、中国からの輸入関税引き上げなど敵対的な措置を強めるよう求める可能性があるとして、日本は「板挟みとなり、外交的に孤立する危険性が高まる」と暗雲が垂れ込める。
そして2027年。「日米同盟は形骸化し、日本は事実上、独自の安全保障政策を模索せざるをえなくなる。アメリカとの軍事的な結び付きは大幅に弱まる」と指摘。「対中関係の悪化により、日本経済は深刻な打撃を受ける。アメリカの(自国最優先の)保護主義的な政策も日本経済に悪影響を及ぼし、日本は経済的にも孤立する」との未来予想図を描いた。
もちろん、AIは「あくまでも可能性のひとつ」と注釈を加えた。とはいえ、トランプ氏が大統領なら、ありえそうなビジョンではある。
◆AIは忖度しない
専門家や外交当局者は「岸田文雄首相が安倍晋三政権時の外相として、安倍元首相がトランプ氏とうまくやっているのを間近で見ていた。だから、うまくやれるはずだ」(外務省幹部)といった希望的観測に流されがちだ。
しかし、柏村さんは「AIは忖度(そんたく)しない。人間だったら言うのをためらいそうなことや、先入観で排除してしまうようなことも、遠慮なく突き付けてくる」と語る。「それらを『AIの言うことだから』などと排除せずに検討対象に含めることで、人間だけでは思い付かなかったような対策や選択肢を考えることができるようになるのでは」と語った。
―――以上引用
記事内容が面白かったので、投稿しました。
この記事についての、私の意見は特にはありません。
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