<■329行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> <主張>海自いずもを空撮 ドローンの奇襲に備えよ 社説 2024/5/23 5:00 https://www.sankei.com/article/20240523-AEFJXUUUDZKHZCJ3P74PMJZJZE/ 自衛隊がドローン(無人機)による攻撃に脆弱である深刻な問題が露呈した。 海上自衛隊横須賀基地に停泊中のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」を、ドローンが違法飛行して撮影した動画が、中国の動画投稿サイトやX(旧ツイッター)で拡散した。 撮影したドローンは海自基地に侵入し、「いずも」の甲板上空を飛んだが、自衛隊も警察も探知できなかった。 「いずも」はF35B戦闘機を搭載する軽空母へ改修中の海自主力艦だ。 爆弾を積んだドローンで奇襲攻撃すれば「いずも」の出港や作戦行動を比較的長期間、阻める。 日本の防衛体制に大きな穴が開いてしまう。 木原稔防衛相は 「(事態を)極めて深刻に受け止めている」 と述べ、警備に万全を期すと表明した。 失態を猛省し、対策を講じてもらいたい。 小型無人機等飛行禁止法(ドローン規制法)により、海自横須賀基地と周囲300メートルの上空は許可なくドローンを飛行させることが禁じられている。 ドローンで空撮したのは中国人とみられる。 いたずら目的だったと釈明しているが、日本の安全保障を損なう違法行為であり許されない。 警務隊や警察当局は摘発すべきだ。 「いずも」動画が投稿されたXには米軍横須賀基地での米原子力空母「ロナルド・レーガン」の空撮動画も投稿された。 米軍基地も規制の対象だ。 日本が実効性ある対策を迅速に講じられるかが問われている。 探知できなかったのは問題だし、探知できてもドローンを排除、無力化する態勢は不十分だ。 電波妨害をするというが、ドローンを遠隔操作する電波は民生用の周波数帯だ。 自衛隊や警察が十分に活用できる態勢になっているのか疑問だ。 迎撃用レーザーの導入も急ぐべきだが、これを含め、自衛隊のドローンへの武器使用は防衛出動前は容易ではない。 基地周囲の警備は警察が主として担うが、現状の都道府県警察に自衛隊、米軍施設を365日24時間ドローンなどから守る能力と意志があるとは思われない。 警備強化が掛け声倒れになれば侵略を企む国が喜ぶ。 防衛省、警察庁、電波を所管する総務省、国家安全保障局は対ドローンの検討会合を直ちに開き、抜本対策を講じるべきだ。ドローン撮影動画 海自、厳重監視も不備が露呈 2024/5/9 20:15 https://www.sankei.com/article/20240509-OXJKPA36NVIP7BDW4I4UBZPQME/ 防衛省は2024年5月9日、海上自衛隊の護衛艦「いずも」をドローン(無人機)で空撮したとする動画について、実際に撮影された可能性が高いとの見方を示した。 いずもが停泊する海自横須賀地区は無許可のドローン飛行が禁止されており、海自が厳重に監視しているにも関わらず、ドローンの侵入を許したことで、警戒体制の不備が露呈した。 同省は当初、偽動画である可能性を示唆していた。 木原稔防衛相は動画が拡散され、話題に上り始めた2024年4月2日の記者会見で 「悪意を持って加工、捏造されたものである可能性を含め分析中だ」 と述べていた。 同地区周辺は原則、ドローンの飛行が禁止され、平時から海自が警戒している。 一般的に操縦者とドローンの間で交わされる電波を検知するなどしてドローンを探知。 違法に飛行している場合は電波妨害による強制着陸や網を投射して捕獲するなどして対処する。 防衛省は問題のドローンを探知していたかどうか明らかにしていない。 酒井良海上幕僚長は2024年4月の記者会見で 「電波を探知すればそれなりの対応は取れる」 と対処能力に自信を覗かせていたが、警戒網をすり抜け、いずも上空を飛行した可能性が高い。 ドローン関連技術は急速に発展し、軍事分野でも存在感を増している。 ロシアによる侵略を受けるウクライナは、大規模なドローンによる攻撃が主要な抵抗手段の1つになっている。 自衛隊施設に攻撃の意図を持ったドローンが容易に接近できるようであれば、防衛上甚大な被害を受けかねない。 2024年5月9日の自民党国防部会などの合同会議では警戒体制を懸念する声が相次ぎ、小野寺五典元防衛相は 「このような動画を撮られてしまったことは安全保障上の重要な問題だ」 と述べた。 防衛省はより能力の高い対処機材を早期に導入するなどし警備能力を向上させる方針だが、実効性のある対策が急務だ。 中国にこびる鳩山由紀夫元首相の危険性 阿比留瑠比の極言御免 2024/5/23 1:00 https://www.sankei.com/article/20240523-MXFTPPAZFBMEBODEISMKNGLJXQ/ 民主党政権の初代首相、鳩山由紀夫氏の言動はバカバカしくて取り上げたくはないのだが、余りに有害で危険なので記録に残しておく。 中国の呉江浩駐日大使が2024年5月20日に開いた座談会で、日本が 「台湾独立」 や 「中国分裂」 に加担した場合についてこう警告した。 「民衆が火の中に連れ込まれることになる」 日本の一般国民に攻撃を加え、焼き殺すと言わんばかりの恫喝である。 当たり前の政治家であれば、直ちに厳しく反論すべき場面だが、社民党の福島瑞穂党首らと共にその場にいた鳩山氏は、反対に呉氏に同調したという。 「日本は台湾が中国の不可分の一部であることを尊重しなければならない」 これは、昭和47(1972)年の日中共同声明を意識した言葉だろうが正確ではなく、より中国に媚びた内容となっている。 日中共同声明は台湾が中国の不可分の一部であると 「表明」 する中国の 「立場」 について、日本は十分理解し、尊重する旨を述べているだけである。 鳩山氏は日本政府が中国と合意し、長年堅持してきた見解を飛び越え、勝手に 「台湾は中国の不可分の一部」 だと明言してしまっている。 ■「領有問題」の前科 また、鳩山氏には中国への対応を巡り、”前科”がある。 現職の首相時代の平成22(2010)年5月の全国知事会議に出席した鳩山氏は、日本政府が、 「日本固有の領土であり、中国との間に解決しなければならない領有権問題は存在しない」 との立場を取る尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、こんな発言をした。 「米国は帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見い出してもらいたいということだと理解している」 日本政府が、存在しないと主張してきた領有権問題の存在を認めた上で、これから中国との交渉のテーブルに着くかのような発言であり、中国の 「領有権問題の存在を認めろ」 という要求に擦り寄っている。 その前年の平成21(2009)年には自民党の麻生太郎政権が米オバマ政権から 「尖閣諸島に日米安保条約は適用される」 との確認を取っていた。 その安保条約の当事者である米国は第3者扱いである。 「こんなバカを言う首相がいるのか」 「バカな会合だ」 「ナンセンス!」 懐疑に出席していた石原慎太郎都知事は記者団にこう憤然と言い棄て、会議を途中退席したほどだった。 「日本列島は日本人だけの所有物ではない」 「国というものが何だかよく分からない」 こんな言葉も残している鳩山氏は、領土的野心を隠さない中国を、日本に招き入れかねない。 ■怒るべき時に怒れ ちなみに、無所属の松原仁元拉致問題担当相は2024年5月21日に、前掲の呉江浩駐日大使の 「民衆が火の中」 発言に対し、呉江浩駐日大使を国外追放すべきだとして日本政府に見解を質す質問主意書を提出している。 これについて筆者がX(旧ツイッター)に 「政府答弁が楽しみ」 と記したところ、山上信吾前駐オーストラリア大使が次のようにコメントした。 「実質的に 『日本人を殺す』 とまで言われておきながら、 『答弁』 だけで誤魔化せては駄目です」 「まずは外務大臣が(呉江浩駐日大使を)呼び付け、厳重に抗議し、謝罪と発言の撤回を強く求める」 「応じなければ、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として中国に送り返す」 「怒るべき時には怒る、それが抑止力になります」 怒るべき時には怒る、日本政府に最も足りない姿勢かもしれない。 呉江浩駐日中国大使の「火の中」発言要旨 2024/5/22 17:16 https://www.sankei.com/article/20240522-DB3TKL3WFRK4TGWPLRUA32X2KQ/ 中国の呉江浩駐日大使が2024年5月20日の座談会で行った 「火の中」 発言の要旨は以下の通り。 ◇ 我々は最大の努力を尽くして(台湾の)平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない。 台湾海峡情勢に緊張がもたらされている根源は、台湾当局の外部勢力を巻き込んでの独立を企てる試みや、外部勢力が台湾問題でもって中国を制しようとすることにある。 長きに渡って台湾に武器を売り込んでいるのは誰なのか。 中国の周辺で軍事的なグループを作るのは誰であるか。 答えははっきりしている。 日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる。 中国大使の「火の中発言」 昨年も「台湾有事は日本有事」を巡り問題発言 2024/5/22 17:15 https://www.sankei.com/article/20240522-3UTUJ35WMFKEZEHCRAVFETMMNA/ 林芳正官房長官は2024年5月22日の記者会見で、中国の呉江浩駐日大使が台湾との関係を巡り、日本政府が中国の分裂に加担すれば 「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」 と発言したことについて 「極めて不適切だ」 「直ちに厳重な抗議を行った」 と述べた。 呉氏は過去にも同様の発言をし、日本政府が抗議した経緯がある。 発言は2024年5月20日、台湾の総統就任式に合わせて呉氏が東京都内の在日中国大使館で開いた座談会で出た。 呉氏は 「台湾海峡情勢に緊張がもたらされている根源は、台湾当局の外部勢力を巻き込んでの独立を企てる試みや、外部勢力が台湾問題でもって中国を制しようとすることにある」 と主張し、 「中国の周辺で軍事的なグループを作るのは誰であるか」 「答えははっきりしている」 と暗に米国を批判。 その上で 「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」 と日本が米国に追随しないよう牽制した。 呉氏は同時に 「耳障りな言葉だが、言っておく必要があると思った」 と述べ、反発を予想していることも窺わせた。 座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首、外務省OBら十数人が出席していた。 だが、呉氏を諫める出席者はなく、鳩山氏は呉氏の発言に 「基本的に同意する」 と述べた。 呉氏は2023年4月28日の日本記者クラブでの記者会見でも 「台湾有事は日本有事」 との見方は 「荒唐無稽で極めて有害だ」 とし、 「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」 と発言した。 この時は林氏(当時は外相)が国会答弁で 「極めて不適切」 として外交ルートを通じて抗議したと明らかにした。 同種の発言を繰り返す呉氏に対しては、政府に厳しい対応を求める意見が出ている。 松原仁衆院議員(無所属)は2024年5月21日、政府の見解を問う質問主意書を衆院議長に提出。 「脅迫発言」 を 「2度も繰り返すのは極めて不見識」 「日本政府に対し敬意を欠く」 と指摘し、外交関係に関するウィーン条約に基づき 「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)であることを通告し、追放すべきだ」 と求めた。 「極めて不適切」 林官房長官、中国駐日大使の「火の中」発言を非難 2024/5/22 12:31 https://www.sankei.com/article/20240522-EHRFUERXD5N77IAW6SNV4MRFZA/ 林芳正官房長官は2024年5月22日の記者会見で、中国の呉江浩駐日大使が日本と台湾の関係を巡り、中国の分裂に加担すれば 「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」 と発言したことについて 「極めて不適切だ」 「直ちに厳重な抗議を行った」 と非難した。 また、林氏は中国の王毅共産党政治局員兼外相が台湾の総統に就任した頼清徳氏を 「民族と祖先に背く恥ずべき行為」 をしていると名指しで非難したことに関し 「台湾海峡の平和と安定は我が国の安全保障は元より、国際社会全体の安定にとっても重要だ」 と指摘。 その上で 「我が国の一貫した立場は台湾を巡る問題が対話により平和的に解決することだ」 と強調した。 中国大使の「民衆が火の中」発言、日本政府が厳重抗議 外交ルートで「極めて不適切」 2024/5/21 20:16 https://www.sankei.com/article/20240521-BYDXXHG2JJKRPE5YUQAWIFUWTM/ 中国の呉江浩駐日大使が日本と台湾の関係を巡り、中国の分裂に加担すれば 「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」 とした発言に対し、日本政府が外交ルートを通じて 「極めて不適切だ」 と厳重に抗議したことが分かった。 政府筋が2024年5月21日、明らかにした。 呉氏は2024年5月20日、日本の超党派議員団による台湾総統就任式への出席を 「台湾独立勢力を公然と後押しした」 「断固反対する」 と非難した上で 「火の中に」 と強く牽制。 2023年4月にも記者会見で同様の発言をし、日本政府が抗議した経緯がある。 中国大使の「日本の民衆が火の中に」発言に鳩山元首相「基本的に同意する」 2024/5/21 16:54 https://www.sankei.com/article/20240521-46IYWPVPPBLHTIWKZLOYJ5NEYA/ 中国の呉江浩駐日大使が、日本が 「台湾独立」 や 「中国分裂」 に加担すれば 「民衆が火の中に連れ込まれることになる」 と発言した2024年5月20日の座談会に出席していた鳩山由紀夫元首相が、 「基本的に同意する」 と述べていたことが分かった。 招待を受けた鳩山氏は 「和を以て貴しとなすという言葉は中国にも日本にも通用する言葉で、私はそれを『友愛』という言葉で置き換えている」 と持論を展開。 「東洋の持っている精神を十分に理解をすれば、決してこの地域全体が不安定になることはない」 と言い切った。 一方、鳩山氏は中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張し、周辺海域で中国海警局の船が日本漁船を追尾するなど、中国側の挑発行為が活発化していることには言及しなかった。 呉氏の発言は2024年5月20日、同氏が東京都内の在日中国大使館で開いた台湾問題と日中関係について意見交換する座談会で飛び出した。 座談会には元外務省関係者ら10人以上の招待者がいたが、呉氏をたしなめる同席者は見られなかった。 呉氏は2023年4月に都内の日本記者クラブで行った記者会見でも、同様の発言を行っていた。 「民衆が火の中」発言の中国大使は「追放すべき」 松原仁氏が質問主意書 2024/5/21 14:00 https://www.sankei.com/article/20240521-OU6DREDDAJO43L777RGDPR3ELI/ 松原仁衆院議員(無所属)は2024年5月21日、日本が 「台湾独立」 や 「中国分裂」 に加担すれば 「民衆が火の中に連れ込まれることになる」 と発言した中国の呉江浩駐日大使を国外追放すべきだとして、政府の見解を質す質問主意書を額賀福志郎衆院議長に提出した。 呉氏は2024年5月20日、在日本中国大使館で開いた台湾問題に関する 「座談会」 で、この発言を行った。 松原氏は質問主意書で、呉氏が2023年4月28日にも同様の発言をし、当時の林芳正外相が 「在京大使の発言として極めて不適切で、外交ルートを通じて厳重な抗議を行った」 と国会で答弁したことを紹介。 「脅迫発言」 を 「2度も繰り返すのは極めて不見識」 「接受国である日本政府に対し失礼千万で、敬意を欠く」 と指摘した。 その上で 「さすがに今回は、(外交関係に関する『ウィーン条約』に基づき)ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)であることを通告し、追放すべきだと考える」 として政府の見解を求めた。 政府は2024年5月31日に答弁書を閣議決定する見通し。 中国の呉駐日大使、日本が「台湾独立」加担なら「民衆が火の中に連れ込まれる」と警告 2024/5/20 19:12 https://www.sankei.com/article/20240520-2QALPXWBORMHZI5FZTPI3464KY/ 中国の呉江浩駐日大使は2024年5月20日、台湾の総統就任式に日本から国会議員30人超が参加したことに対し、 「(台湾)独立勢力に加担する誤った政治的シグナルだ」 と批判した。 東京都内の在日本中国大使館で開いた台湾問題に関する 「座談会」 で語った。 呉氏は 「民主進歩党の歴代総統は全員が正真正銘の独立主義者」 「民進党が政権を握り続ければ両岸(中台)情勢の厳しさが増す」 と頼清徳政権を牽制した。 更に、中国が台湾の武力統一の選択肢を放棄しないのは 「台湾独立を抑制する切り札だ」 と強調。 日本が 「台湾独立」 や 「中国分裂」 に加担すれば 「民衆が火の中に連れ込まれることになる」 と警告した。 座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首が参加。 鳩山氏は 「日本は台湾が中国の不可分の一部であることを尊重しなければならない」 と呉氏の主張に同調した。 自由がなければ生きていても意味がない。 自由を求めるためには時として死ぬ覚悟で戦うことが重要だ。 <正論>台湾のレジスタンスを支える鍵 東京国際大学特命教授・村井友秀 2024/2/21 8:00 https://www.sankei.com/article/20240221-35UAIMQ6LRLV7J37VPKJD6SQZA/ 台湾有事は隣接する沖縄の有事である。 日本の一地方である沖縄有事は日本有事である。 ■台湾は中国か 中華帝国にとって台湾は長い間、中華文明の外(化外の地)であった。 沖縄の支配者が中国に朝貢を始める前の時代は、中国の東の海にある沖縄や台湾などの島々を中国は琉球と呼んでいた。 しかし、14世紀に沖縄が中国に朝貢を始めると、中国は中華文明に取り込んだ沖縄を大琉球、朝貢しない野蛮な 「蛮族」 が住む 「化外の地」 である台湾などの島々を小琉球と呼んだ。 その後、17世紀に清朝が台湾を占領し、原住民の言葉(タイオワン、ターヤン)に倣い 「台湾」 と表記されるようになった。 これが中国が主張する 「歴史的権利」 の背景である。 今でも中国人の世界観には、沖縄と台湾を一体化して考える思想がある。 ■台湾は独立国か 2024年1月の台湾総統選挙で、かつて 「台湾独立の仕事人」 と自称していた頼清徳氏が新総統に選ばれた。 頼清徳氏は選挙直前のインタビューで中国共産党(中共)が主張する 「1つの中国」 を否定した。 頼清徳新総統が率いる台湾は独立の方向に動くのか。 国際法によれば、独立国家の成立要件は、 @国民 A領土 B統治能力を持つ政府の存在 と定義されている。 また、スターリンは独立国家の条件として、 @100万人以上の人口 A外国と国境を接している B国名を冠する民族が過半数を占める の3条件を主張していた。 台湾政府の統治下にある2300万人の人口は世界57位、台湾政府が排他的に統治する領土の面積は3万6000平方kmで世界138(ベルギーより大きい)、そして外国に支配されていない政府が存在する。 台湾は独立国たる条件を備えている。 しかし、台湾は中国の武力行使を恐れて独立を宣言しない。 他方、台湾が中国の一部ならば、台湾の独立運動は正統性のある中央政府に対する地方の反乱ということになり、中央政府が国家の統一を維持し主権を守るために地方の反乱を武力鎮圧することは国際法上問題がない。 また外国が地方の反乱に介入することは内政不干渉原則に反する国際法違反である(友好関係原則宣言)。 ただし、台湾が独立国家ならば、中国の台湾に対する攻撃は、国際法が禁止する独立国に対する侵略戦争になる。 ロシアのウクライナ侵略と同じである。 その場合は国際法によれば世界中の国が集団的自衛権によって、外国に侵略された台湾を軍事的に支援することができる。 ■台湾の抵抗力 中共は台湾政府が独立宣言すれば台湾に武力行使すると言っている。 世論調査を見ると(台湾民主基金会、2022年)、中国が台湾統一のために武力侵攻した場合は72%の台湾住民が 「台湾を守るために戦う」 と回答した。 なお2021年の世論調査によれば、外国軍の侵略に対して戦うと答えた国民は中国が88%、米国が60%、日本は13%であった(World VaLues Survey)。 戦争は勝つか負けるか泥沼になるかである。 小国が大国と戦うと戦争の結果は、負けるか泥沼になるかである。 小国が大国に負けない唯一の戦略は、戦争を泥沼化し大国が戦争に倦み疲れるのを待つことだ。 米国のベトナム戦争を止めたのは、戦死者の増大と増税による反戦運動だった。 ただし戦争が泥沼化すれば戦争による犠牲は巨大になる。 大きな犠牲に耐えられなければ小国は大国に負ける。 中共は勝てると思えば戦争し、負けると思えば戦争しない合理的な政権である。 いくら米国政府や日本政府が台湾防衛に言及しても、中共は台湾防衛に米国や日本が血を流すとは考えない。 中国の台湾侵攻を抑止する最大の鍵は、大きな犠牲に耐える台湾人の覚悟である。 台湾人が 「中国の一部になるくらいなら死んだ方がましだ」 と考えるなら中共は戦争を躊躇するだろう。 台湾人が 「死ぬくらいなら中国の一部になる」 と考えるなら中共は台湾を攻撃するだろう。 今、中共は 「我に順(したが)う者は昌(さか)え、我に逆らう者は亡(ほろ)ぶ」 と言っている。 順えば金持ちになり、逆らえば死ぬ、という2つの選択肢で、死ぬ選択をする台湾人はいるだろうか。 米国独立の英雄であるパトリック・ヘンリーは 「我に自由を与えよ、然(しか)らずんば死を」 と言った。 死ぬ覚悟で自由を求める台湾人は少数だろう。 普通の人は自由がなくても生きることを選ぶ。 もし、台湾人が自由を選ぶとしたら、それは自由を選んでも死なないと感じた場合である。 即ち、戦争になっても台湾が勝つと思った時であろう。 中共が 「順我者昌、逆我者亡」 と言った時、台湾人が中国の宣伝に抵抗できるのは、中国に逆らっても亡びないという自信がある場合である。 台湾人の自信を支えるものは、中国軍の侵攻を阻止できる軍事バランスであり、米日の軍事的経済的支援は台湾人の覚悟を支える最大の柱である。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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