<■1077行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 「帰るなといったのに」母介し帰国強制か 死亡した日本留学のウイグル人女性 知人が回想 2024/5/14 13:42 https://www.sankei.com/article/20240514-EGI6WBNDANA25B6YMRV4U2VYGY/ 欧州の人権団体セーフガード・ディフェンダーズが2024年4月に発表した報告書で、ウイグル人の元日本留学生、ミヒライ・エリキンさんが中国当局に2019年に強制帰国させられたケースが紹介された。 日本に住む知人は 「彼女は母親を通じて当局に圧力を掛けられた」 「帰国は危険だと警告したのに…」 と当時を振り返った。 ■「故郷の母を助けなければ」 エリキンさんについて語ったのは、千葉県で飲食店を経営するウイグル人のハリマト・ローズさん(50)。 エリキンさんは2014年に東京大大学院に留学し、ローズさんが子供らのために開設したウイグル語塾の教師を務めていた。 「神奈川県の住まいから、ほとんどボランティアで通ってくれた」 「アニメ好きで、将来は学校の先生になりたいと言っていた」 と話した。 エリキンさんは当時20代で、伯父は欧州でウイグル情勢について発信する著述家だった。 エリキンさんは2018年、奈良先端科学技術大学院大学に通い始め、ローズさんは2019年春、在日ウイグル人の集まりで再会した。 それぞれの境遇を話す証言会だった。 エリキンさんは 「地元でウイグル語塾を開いた父と連絡が途絶えている」 「親族が収容され、行方不明になった」 と不安な心のうちを明かした。 ■帰国後収監、翌年「病死」 「故郷に残されたお母さんを助けなければ」 と悩むエリキンさんに、ローズさんは 「帰国したら危ない」 と警告し、日本滞在を続けられるよう就職先も紹介した。 だが、エリキンさんは事前連絡もせずに、2019年6月に新疆ウイグル自治区に戻った。 その後、カシュガルの再教育センターに収監され、翌年2020年病死したと伝えられた。 ローズさんは 「日本にいた時は、彼女から病気したなどと聞いたことがない」 と訴えた。 日本ウイグル協会によると、中国当局はエリキンさんに叔父の 「口封じ」 をさせようとしたが、実現できず、母親を介して帰国を迫ったとみられている。 エリキンさんは帰国の飛行機に乗る直前、伯父に電話をして 「私は、あなたの発信をやめさせることができず、どうすればいいのか分からない」 「私が帰らないとお母さんも収容されるかもしれない」 と話したという。 セーフガード・ディフェンダーズの報告書によると、エリキンさんの葬儀は警察の監視下で行われた。 当局は家族に対し、 「口外したら収監する」 と圧力を掛けたという。中国、国外在住1万2千人に帰国強制 日本からも3人 威嚇や拉致横行 人権団体が報告書 2024/5/14 12:44 https://www.sankei.com/article/20240514-VZNUORWJWZGEHEZG4TPGBFFBLA/ 欧州の人権団体 「セーフガード・ディフェンダーズ」 は、中国が10年間で国外在住の約1万2000人を強制帰国させたとする報告書を発表した。 対象者リストには、日本にいた3人が含まれている。 報告書は帰国を迫るために威嚇や拉致など 「主権侵害に当たる違法な手段」 が多用されていると警告した。 ■当局、家族通じて圧力 中国公安部は2014年、海外に逃亡した汚職犯の拘束を掲げて 「キツネ狩り作戦」 を始めた。 しかし、実際にはその範囲を逸脱し、中国共産党に批判的な活動家やウイグル人、チベット人を強制帰国させているとみられている。 報告書は、中国の公式発表や報道により、120カ国・地域から1万2000人が強制帰国したと算出し、名前が確認された283人を公表した。 このうち、日本への逃亡者は2人いた。 1人は内モンゴル自治区出身で2015年に来日。 2017年に帰国した。 もう1人は2021年の帰国まで、日本に9年間潜伏していた。 中国の報道によれば、2人は汚職や密輸の容疑者という。 共に 「説得に応じて帰国」 し、逮捕された。 家族を通じて電話やメッセージで当局から圧力を受けたとみられている。 報告書はこの他、中国が公表していないケースとして、元在日留学生のウイグル人女性に言及した。 2019年に帰国したミヒライ・エリキンさんで、欧州に住む人権活動家の叔父の証言や中国国外の報道で明らかになった。 ■帰国後死亡 家族に「口外なら収監」 エリキンさんの父親は新疆ウイグル自治区の強制収容所に収監されており、当局は母親を通じて帰国を迫ったとみられている。 エリキンさんは故郷に戻った後、収容所に収監され、2020年11月に死亡したことが判明した。 当局は葬儀翌日、家族に対し、死亡を口外したら 「国家機密の漏洩」 「警察侮辱」 の罪で収監すると威嚇したという。 報告書は、エリキンさんを含め、外国の報道や人権団体の調べで62人の強制帰国が判明したとしている。 報告書の執筆者で同団体のキャンペーン局長、ローラ・ハースさんは 「エリキンさんのケースは、国外で体制批判を続ける叔父の口封じを狙ったもの」 「家族を痛め付け、精神的苦痛を与えることで罰しようとした」 と指摘。 その上で、中国当局は国外在住者に仲間の情報の密告を迫ったり、 「家族のことを考えろ」 と威嚇したりして不安を煽っていると述べた。 秘密裏に消される文化人…中国のウイグル弾圧はあまりに卑劣だ 日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット 2024/3/31 8:00 https://www.sankei.com/article/20240331-MUC3TII5FNJ6FM57MLP4YGRXFQ/ 2024年3月開かれた中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の期間中、中国共産党側はウイグルジェノサイド(集団殺害)を否定する主張を繰り返していた。 新疆ウイグル自治区の王明山党副書記は記者団に対し 「ウイグルで文化の大虐殺が行われているという報道は全くの噓だ」 「言葉の使用は保障されているし、文化も尊重されている」 と主張したが、その主張こそ噓八百だ。 例えば、2001年にウイグル自治区内の大学を卒業した私は、小学校から全ての学校教育をウイグル語で受け、中国語の授業は週に数時間の1科目に過ぎなかったが、現在、ウイグル語での学校教育は全て廃止になっている。 不満を抱く者は過激思想のレッテルを貼られ、容赦なく弾圧される。 2017年以降はウイグル文化人に対する大粛清が行われており、中国側から流出した内部資料などによると、400人以上の著名な知識人が強制収容され、行方不明になっている。 欧米メディアが確認しただけでも、新疆医科大の元学長で、現代ウイグル民族医学の父と言われるハリムラット・グブル教授ら3人が死刑宣告。 ウイグルの最高学府、新疆大教授でウイグルの伝統・文化研究の第1人者として知られる女性のラヒレ・ダウット氏ら7人が無期懲役の判決。 作家でカシュガルウイグル出版社の元編集者、ミリザヒド・ケリミ氏ら著名な知識人7人が強制収容され、死亡している。 皆、若者がウイグル文化を誇りに思い堂々と生きるよう希望を与えてきた人物ばかりだ。 粛清対象には、中国共産党を否定しない人々も含まれる。 ウイグル独自文化が継承されるルーツを断ち切りたい習近平政権は、彼らを 「両面人」(表向きは共産党支持者だが、心の中では民族を愛している者) として粛清するのみならず、ばれると、誤魔化そうとする。 代表例が新疆大の学長を務めていたタシポラット・ティップ教授の失踪だ。 東京理科大で理学博士号を取得し、立正大や九州大の研究者と共同研究するなど日本と縁の深い人物だが、2017年に消息不明となり、その後、秘密裏に両面人として死刑宣告を受けていた。 これが国際社会で表面化し、2019年12月に国連人権高等弁務官事務所が学者への死刑宣告は国際法に反するとの声明を発表すると、中国はティップ氏については 「汚職の罪で調査中」 と発表し報道を否定した。 しかし2022年5月に流出した秘密文書 「新疆公安ファイル」 には、当局が彼を 「両面人」 として糾弾していたことが記載されていた。 国際社会は、中国の共犯者にならないためにも、習近平政権のこの大粛清に声を上げる時だ。 中国の人権侵害を無視する国連 日本ウイグル協会会長レテプ・アフメット 2024/2/4 8:00 https://www.sankei.com/article/20240204-OEDRAL43CVKF5LPWZMBOS6AFAY/ 今から27年前の1997年2月5日、中国の弾圧政策に抗議するウイグルの若者たちがグルジャ(中国名・伊寧)で平和的なデモ行進を行った。 中国の武装警察はデモ隊に発砲し、これを鎮圧。 その後も広範囲の無差別拘束が続き、グルジャからは若者の姿が消えた。 後には拘束された人々の凍死、拷問死、釈放後に精神を病んだ人など多くの悲惨なケースが報告されたグルジャ事件である。 当時は通信手段が限られた上、厳しい情報統制のため世界は実情を知らず、中国が国際社会から厳しい制裁を受けることもなかった。 日本は事件の翌月1997年3月、中国の核実験を理由に原則凍結していた無償資金協力を再開すらしている。 中国はその後、日本を含む先進国の経済支援や技術支援によって飛躍的な経済成長を果たし、中国共産党の独裁政治を盤石にした。 もしあの時、国際社会が事件に注目し経済支援などをやめていれば、中国は今のような国際秩序を脅かす巨大モンスター国家になっていなかったかもしれない。 あれから4半世紀経った今、国連ではウイグル問題を巡り、人権の価値観を共有する民主主義国家と中国マネーに支配される国々の対立が続いている。 2022年8月、国連人権高等弁務官事務所が、中国のウイグル人に対する行為は 「人道に対する罪に相当する可能性がある」 と認める報告書を公表したが、国連人権理事会は2022年10月、この報告書基づいてウイグルの人権問題を討論するよう求める動議を否決した。 中国が加盟国に影響力を及ぼし続ける国連では、同じ国連機関が中国の人権侵害を指摘しているにもかかわらず、その報告を無視するという呆れた行為が罷り通っている。 最近、私たちが注目したのは、中国の人権状況を定期的に審査する国連人権理事会の普遍的・定期的審査(UPR)作業部会である。 2024年1月23日の会合では、 米国が 「ジェノサイド(民族大量虐殺)」 スイスが 「人道に対する罪」 と非難するなど、30以上の国々がウイグル問題に言及した。 その結果、 「ジェノサイド」 の非難は盛り込まれなかったが、作業部会は400以上の勧告をまとめた。 前回の作業部会ではウイグル問題に触れなかった日本も今回は言及してくれた。 ただ、この勧告も法的拘束力はない。 2024年1月23日の会合当日、ウイグルではマグニチュード(M)7.1の地震が発生したが、通信が遮断されているため、私たちはウイグルに住む家族の安否確認すらできなかった。 家族の生死を知る権利までも奪われているのだ。 国際社会は懸念を伝えるだけの不毛な芝居をやめ、経済制裁を含む具体的な行動を起こす時だ。 月曜コラム 父さんを人質にする中国 日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット 2023/11/20 9:45 https://www.sankei.com/article/20231120-HDKCFCZXANLALLB7SYY6R75NSI/ 中国共産党政権によるウイグル迫害は近年に始まったことではない。 1949年の 「中華人民共和国」 建国後、70年に渡りウイグル人の 「中華民族」 への同化を図ってきたと言っていい。 ただ、2017年以降、迫害が異常なレベルで行われるようになったため国際問題として注目されるようになった。 習近平政権は、同化が思うように進まないことに焦りを募らせ、ウイグル人を力で滅ぼす方向へ大きく舵を切ったのだろう。 300万人超と指摘される大規模な強制収容、強制労働、不妊手術の強制、親子の強制的引き離し。 AI(人工知能)による監視システム、ウイグル人宅に100万人規模で政府職員を寝泊まりさせるなど想像を絶する監視も常態化した。 著名な知識人や経済人らが一斉に収容され、行方不明となる悪夢の事態も起こっている。 外国に暮らすウイグル人らは故郷に残る家族との通信が遮断され、生き別れを強いられている。 私自身も2017年夏に、父や弟を含む親族12人が強制収容されたことを知ったが、その後、消息が確認できていない。 翌年2018年3月、地元警察から、収容所で撮影された父のビデオが送られてきて、 「中国共産党への忠誠心を示し当局に協力すればお父さんを出してあげる」 と告げられたが、断った。 それ以降、一切の通信は断ち切られたままだ。 私は日本のパスポートを持っているので、世界中ほとんどの場所に安心して行けるが、唯一怖くて行けない場所が実家だ。 2019年には、強制収容された家族を捜すために留学先の日本から帰国した20代のウイグル人女性ミギライ・エリキンさんが直後に強制収容され、収容所で死亡した。 今、欧州連合(EU)や英仏など10カ国・地域の議会と米国政府が、ウイグル問題をジェノサイド(民族大量虐殺)か、その深刻なリスクがあるものと認定しているが、日本ではどうだろうか。 国会でも2022年、決議を採択したが、中国へ配慮し過ぎた内容だった。 日本企業は無意識にこの問題に関与している。 日本ウイグル協会の調査では、複数の企業の技術が 「ウイグルジェノサイド」 を支える監視システムに悪用されていることが確認されている。 日本は太陽光パネルのほとんどを中国からの輸入に頼っているが、その多くはウイグル人の強制労働と繋がっていると指摘されている。 強制労働でもたらされた製品の供給先になっている可能性が高いのだ。 欧米では、強制労働防止法や外国の人権侵害に対し資産凍結などの制裁を科すマグニツキー法などの整備も進み、制裁の流れも強まっているが、日本は後れを取る。 日本が制裁逃れの穴場として利用されるリスクが高まっている。 習氏指示に日本ウイグル協会長「非常に危機的」 2023/9/11 17:38 https://www.sankei.com/article/20230911-OMVE7ZOFUBLAJBILI7JA5EUGTU/ 中国の習近平国家主席が2023年8月26日に新疆ウイグル自治区を視察し、 「イスラム教の中国化」 の推進や 「中華民族の共同体意識の増強」 を指示した。 国際社会が中国の民族迫害政策を非難する中、ウイグル人への同化政策を緩めない姿勢を改めて示した形だ。 日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長は2023年9月11日までに産経新聞の取材に応じ、 「『ジェノサイド』(集団殺害)の加速を謳い、非常に危機的なメッセージだ」 と懸念を示した。 ◇ 《習氏のウイグル自治区入りは2014年以来8年ぶりだった2022年から2年連続となる》 《今回、習氏は区都ウルムチ市で開かれた会議に出席し、地元幹部に 「社会の安定維持」 と 「違法な宗教活動」 を押さえ込むよう指示した》 《標準中国語(漢語)教育の徹底、漢人の自治区移住の推奨なども表明した》 ーー習氏のウルムチでの発言をどう受け止めているか ★レテプ・アフメット会長 欧米諸国などからジェノサイドと批判されるウイグル政策の加速を明確に謳った形で、非常に危機的なメッセージだ。 言語も宗教も人口比もウイグルのアイデンティティーを薄めようとしている。 国際社会がどんなに声を上げても、ウイグル民族や文化を滅ぼす意志は固いと受け止めている。 《国際社会はウイグルの人権侵害状況への批判を強めている》 《国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2022年8月、テロ対策の名目でウイグル人に 「深刻な人権侵害が行われている」 とする報告書を発表》 《米国は2022年6月、ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法を施行し、制裁対象の中国企業を追加するなど、運用も厳格化した》 ーー習氏はウイグル人の収容政策に言及しなかった ★レテプ・アフメット会長 中国共産党は2019年までに(ウイグル人を強制収容したとされる)『職業技能教育訓練センター』を閉鎖したと主張する。 だが、消息不明の人や施設から解放されていない人がいる。 2023年9月も新たな収容者の存在が相次いで報じられた。 私の親戚も12人が収容されたと確認された。 妻の兄弟は勤務先で警察に呼ばれたまま、消息が分からず、裁判も開かれていない状況だ。 ーー中国当局は自治区へのツアーを催し、平穏な暮らしぶりをアピールする ★レテプ・アフメット会長 習氏も今回、ウイグル自治区の良さを伝えるとして、外国人旅行者向けのツアーの拡大を指示した。 ツアーは中国政府がコントロールし、幸せに暮らしているウイグル人を装うプロパガンダ(政治宣伝)に過ぎない。 尾行や行動制限もない旅行は許可されていない。 隠したいことがあるからだ。 日本人がツアーに参加して統制された情報をそのまま発信することは中国の犯罪に加担することだ。 ーー自治区出身者に対する嫌がらせはあるか ★レテプ・アフメット会長 在日ウイグル人は中国当局から現地に残した家族を人質に取られ、ウイグル協会の活動情報などを求められている。 パスポート更新の申請も何カ月も放置され、現地で手続きを求められた人もいる。 ーー2023年10月に「国際ウイグルフォーラム」が開催される。日本で開く意義は ★レテプ・アフメット会長 中国がウイグル問題について欧米が作り上げたデマだと宣伝する中、アジアで唯一中国側の主張に反論している国が日本だ。 国際社会がこれまで以上に連携してウイグル問題に取り組まないと、民族迫害は改善しない。 中国の隣国の日本から 『国際社会は納得していない』 『責任を追及する声がここにある』 と発信してほしい。 <正論>中国の少数民族への工作と弾圧 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英 2024/3/19 8:00 https://www.sankei.com/article/20240319-HXQTHIT2DNLRJPYMRTNCWJVDDM/ 中国は自国の民族問題、モンゴルやウイグルなど諸民族に対する弾圧を隠蔽する目的で、日本と世界各国のマイノリティに対し政治工作を行ってきた。 日本の事例を回顧してみよう。 ■用意周到な「招待」 手元に1975年3月に発行された『北海道アイヌ中国訪問団記 1974年2月20日〜3月13日』という本がある。 中国による対日本とソ連切り崩し、対アイヌ政治工作の実態が記録されているので紹介しておこう。 まず訪問団の責任者は訪問の契機について伝えている。 1973年12月、陳楚・駐日中国大使一行が北海道平取町を視察訪問した。 日本が台湾と断交し、中国と 「国交を回復」 した翌年のことである。 「中国の少数民族との交流を希望する」 「是非、中国の少数民族政策を知りたい」 と申し入れると陳大使は招待しようと応じた。 アイヌの計画を社会党(当時)の岡田春夫衆院議員らは応援し、翌1974年1月16日に団員15人からなる訪中団が正式に結成された。 1974年2月19日に羽田を飛び立つ際も、中国大使館員と岡田議員らが見送り、北京空港では政府機関の中日友好協会秘書長と少数民族代表の出迎えを受けた。 中国側は一行を人民解放軍の歩哨が立つ北京飯店、上海錦江飯店といった高級ホテルに泊めた。 訪問先では招宴の連続で、宴席では 「幸せな少数民族」 の歌舞が披露された。 1949年の建国後に計画政策を取り続け、1958年からの人民公社公有化政策で自国の人民を3000万人も餓死させ、1966年からの文化大革命運動で数百万人もの死者を出しつつあった時期の中国は経済的に疲弊しきっていたし、政治的には動乱の最中にあった。 破格の厚遇を受けた訪中団は、飢餓に喘ぎ殺戮されていた中国人民と没交渉の旅を続けた。 訪中団は1974年3月6日にプロペラ機で北京から 「赤い太陽に照らされた」 内モンゴル自治区に飛び、翌日1974年3月7日にはシリンゴル草原へ向かった。 現地では革命委員会副主任は以下のように挨拶した。 ■事実と隔たる「礼賛」 「解放前はこれらの牧畜民たちは国民党反動派、貴族、牧場主らの残酷な搾取と野蛮な略奪を受けて、極めて苦しい生活であった」 「しかし、牧畜民は解放後党委員会の指導の下に<愚公、山を移す>精神を発揮して、現在の人民公社に発展した」 騙された訪中団も礼賛の言葉を贈る。 「中国に住んでいる少数民族は幸せです」 「そして、中国の行政は立派だと感じました」 「…私達アイヌ民族は、中国で或いは少数民族との交流の中で学んできたことを忘れずに、これから新しい道を切り開いていきたい」 と感激したようである。 また別の団員からは 「中国は国家も民族も超越して人道上の事実の上から<彼も人なら我も人>と考えている」 との感想があった。 では、事実はどうか。 シリンゴル草原に 「国民党反動派」 はいなかったし、貴族も平民と同じ生活を営むのが遊牧社会の特徴である。 現代に入ると、ここから生まれた稀代の指導者、徳王(デムチュクドンロブ王、1902〜1966年)は日本の力を借りて中国からの独立運動を1945年まで進めていた。 日本軍が撤退した後、モンゴル人は 「内モンゴル人民共和国臨時政府」 を樹立して同胞の国、モンゴル人民共和国との統一合併を進めたが、ソ連と米英が交わした 「ヤルタ密約」 により、民族自決の道は閉ざされた。 ソ連軍の手引きで侵略してきた中国共産党は日本統治時代のエリートを粛清し、漢人移民を定住させた。 文化大革命が発動されると、中国は自治区全体で34万人を逮捕し、2万7900人を殺害し、12万人に暴力を振るって障害を残した。 アイヌの訪中団はまさにこのような時期に招かれたわけである。 ほぼ同じ時期に同地を通過したモンゴル人民共和国の外交官は 「殺戮による血の匂いがした」 と証言している。 中国は当時 「社会主義の兄貴」 たるソ連とダマンスキー島(珍宝島)で激戦を交えた後、国際社会で孤立を深めていた。 アイヌ訪中団を迎えた招宴の席で、中日友好協会の王嚼カ副会長は以下のように中国政府の狙いを弁じている。 ■日本切り崩しの狙い 「日本人民は、未だにソ連社会帝国主義に不法占領されている日本固有の北方領土の返還を切実に要求しており、…我々は、この正義の戦いに、一貫して同調し支持しております」。 日本を反ソ陣営に招き入れようとする発言である。 ロシアとの関係を強化している中国は今や北方領土について沈黙を通している。 中国は数々の犯罪を隠蔽しながら、他国のマイノリティに対しては擁護するジェスチャーを示す。 当時のアイヌ訪中団はその計略に嵌ったのである。 今、イスラエルと紛争中のパレスチナ人に同情するポーズを取ることで、ウイグル人ジェノサイドに対するイスラム諸国からの批判をかわしているのである。 心削る証言も 変わらぬ中国圧力「それでも希望は‥」ウイグル女性 2023/11/2 12:42 https://www.sankei.com/article/20231102-366RO34XGJAZLPYFDP5T3UDNCQ/ 中国新疆ウイグル自治区の 「再教育収容所」 に収監され、体験記を出版したウイグル出身女性、グルバハール・ハイティワジさん(56)が2023年11月2日までに産経新聞のインタビューに応じた。 ハイティワジさんは2019年8月の釈放後、収容所の体験談を求めるメディアの取材に積極的に応じ、産経新聞も2021年4月に記事化した。 ただ、証言は収容所での凄惨な記憶のフラッシュバックを伴う作業となる。 中国政府にウイグル民族への圧力を緩める気配もないが、ハイティワジさんは 「希望は失わない」 と述べ、収容政策に終止符を打つ対応を国際社会に期待している。 ◇ ーー2019年8月に再教育収容所から解放され、フランスに戻った ★グルバハール・ハイティワジさん 釈放時、当局者から 『収容所の体験は公開するな』 『公開すれば中国に残した親戚が酷い目に遭うだろう』 と脅され、静かに暮らしていた。 だけど、(一緒に収監された)足枷を掛けられた女性収容者の可哀相な表情が頭から消えなかった」 ーー収容所の体験記を書き、日本でも2021年10月に 「ウイグル大虐殺からの生還 再教育収容所 地獄の2年間」 を出版した ★グルバハール・ハイティワジさん 体験を公開すれば、施設の実態が改善されるかもしれないと思ったからだ。 堂々と名前を名乗れば、ウイグルに残した親戚が当局者に虐められることもないだろうとも思った。 《話し終わると、ハイティワジさんは「はあ‥」と深い溜息ついた》 《記者の質問に答える際、表情を歪める場面も目立つ》 ーー証言は辛い作業 ★グルバハール・ハイティワジさん その通りだ。 改めて収容所に入れられた気持ちになる。 毎回、証言した後は2、3日寝られない。 音楽を聴いたりして、頭から(収容所での苦しい記憶を)追い出そうと努力している。 ーー証言の結果、ウイグル収容政策に変化はあったか ★グルバハール・ハイティワジさん 全く改善が見られない。 それが終わった後に真相が世界に知れ渡ったナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と違って、今のウイグルの問題は、人工衛星といったテクノロジーで新たな収容所の建設などが明らかになっている。 なのに‥失望する。 《2022年5月、収容所などの実態を示す写真や2万3000人超の収容者名簿など当局の内部資料「新疆公安ファイル」が公開された》 《ハイティワジさんら生還者の証言を裏付ける内容と言える》 《約2900人の収容者の顔写真からは絶望や悲しみといった感情が読み取れる》 ーー新疆公安ファイルも自治区の公安サーバーへのハッキングというテクノロジーを通じて流出した ★グルバハール・ハイティワジさん 収容者の顔写真を見た。 女性たちは泣いてはいないが、目から涙が零れそうだ。 私がいた収容所でも泣くことを禁じられていた。 収容所の生活を思い出した。 《日本の国会ではウイグルの人権状況の改善に取り組む海外の政治家や研究者ら約200人が対応策を話し合う「国際ウイグルフォーラム」が2023年10月30、31両日に開かれた》 《初来日というハイティワジさんもパネルディスカッションに登壇》 《2023年11月1日には東京都内で収容所の実態を告発する証言集会に参加した》 ★グルバハール・ハイティワジさん フォーラムは色々な研究者や政治家が来ていた。 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ侵攻など人道上の問題も起きて、相対的にウイグル問題への関心も下がりそうだったが、フォーラムの開催により、そうした事態がある程度、避けられるのではないか。 ーー日本や世界に期待することとは ★グルバハール・ハイティワジさん 決定的なアクションを取って、このジェノサイド(集団殺害)を止めてほしい。 (決議の発表などに終わらず)行動しないと意味がない。 釈放されて4年以上が経つが、当時期待した世界の対応はこのようなものではなかった。 でも、希望は失わない。 中国に対しては、経済的な取引、お金のやり取りの上位に、自分の良心と人間性を置いて対応してほしい。 ーー現在も収容されるウイグル人に伝えたいこととは ★グルバハール・ハイティワジさん 我慢して頑張ってほしい。 それ以外は言えない。 ーー今、幸せに感じる瞬間はありますか ★グルバハール・ハイティワジさん 収監前は、家中を片付けた後、1杯のコーヒーを飲むことで、世界で1番幸せだと思った。 今は孫や子供と一緒にいる時に、短いけれども幸せを感じられる。 ウイグル族学者判決を非難 米「中国は文化を根絶」 2023/9/30 8:25 https://www.sankei.com/article/20230930-NX4HBWYQVFLE3FMB2QESWF35ME/ 米国務省は2023年9月29日、中国の裁判所が国家安全を脅かした罪でウイグル族学者ラヒラ・ダウト氏に無期懲役判決を言い渡したことを 「非難」 し、 「ウイグル族のアイデンティティーや文化を根絶しようとする中国政府の取り組みの一環だ」 と批判した。 ダウト氏はウイグル族の民間伝承などを研究していた。 声明は、国家分裂罪に問われ服役中のウイグル族学者イリハム・トフティ氏にも言及し、不当に拘束されているあらゆる人の即時釈放を中国へ求めた。(共同) 加速する中国の「同化政策」 ウイグル人女性が実態を告白 2022/9/30 8:00 https://www.sankei.com/article/20220930-KIBGLSSFDJPWTHFFLKM2HEFNLI/ 中国の新疆ウイグル自治区でウイグル人に対する人権侵害が行われているとして、日本在住のムカイダイスさんが愛媛県西条市で講演し、植民地となった国に訪れる悲惨な実情を具体例を挙げて述べ、 「民主主義の日本がアジアを守る力を持ってほしい」 と訴えた。 ■深刻な人権侵害 この問題では、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が2022年8月、 「深刻な人権侵害が行われている」 とする報告書を発表。 報告書は、 ▽差別的で恣意的な身柄拘束は人道に対する罪に相当する可能性がある ▽職業訓練施設は自由に退所できず、収容は自由の剝奪 とし、中国に対し、恣意的な拘束を受けている全ての人の解放を勧告し、ウイグル族らに対する差別的な政策、法律の撤廃を要求する内容となっている。 講演会は 「美しいふるさと西条実行委員会」 の主催で、新型コロナウイルス対策として参加数を制限して2022年9月11日に開かれた。 ムカイダイスさんは 「ウイグル人女性が語る『祖国』への想い」 のテーマで壇上に立ち、 「私の故郷で何があったのかを話したい」 と語りかけた。 ■冬季五輪外交ボイコット ジェノサイド(集団殺害)を巡っては、1948年に国連総会でジェノサイド条約が採択され、1951年に発効した。 ▽集団の構成員を殺す ▽重大な肉体的、精神的危害を加える など5項目の定義があり、いずれかに該当するとジェノサイドとされる。 ムカイダイスさんは 「ウイグルは定義に全部当てはまる」 と指摘し、中国の人権問題が国際社会に認知された背景に、中国国外の亡命ウイグル人らの活動があったと説明した。 米国は2021年、ジェノサイド及び人権に対する罪を認定。 批判の声の盛り上がり、各国の2022年2月の北京冬季五輪の外交ボイコットにも繋がった。 中国は人権侵害を全面的に否定しているが、日本でも2022年2月1日、衆院で 「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」 がなされた。 「不十分な内容だった」 との指摘もあったが、ムカイダイスさんは 「民主主義の力が発揮された」 「対中非難決議はアジアでは日本が初めて」 「私は日本に感謝したい」 と評価した。 ■誰が助けてくれるのか ムカイダイスさんは、講演で故郷について紹介。 東トルキスタンはトルコの東という意味で、日本では西域、シルクロードの国として知られる。 広さは日本の約4.6倍で、中国の約5分の1を占め、美しい自然と豊かな文化を持つ、と語った。 「植民地となって以降、トルコ民族のウイグル人は出ていけと言われた」 「今は中国の植民地で、中国共産党により様々な人権侵害に苦しめられている」 「支配者は魂が怖い、文化が怖いのです」 「言語を失わせ、思想を改造しようとする」 「私たちを中華民族にしようとしている」 と人権侵害が続く実情を、強制される不妊手術、漢民族の男性兵士との結婚など事例を示しながら説明した。 「私たちは国を守れなかった」 「世界がジェノサイドを認定しても、誰が誰を助けてくれるのか」 「自分の国を渡したら悲惨なことになる」 「ホームステイといって漢民族が一緒に住みます」 「『親戚』となって家に入ってくるわけです」 「娘を持つ親は抵抗することはできない」 「これは合法化されたレイプ政策です」 「収容所では女性は髪を切られ、中国製のかつら、つけまつげとして日本でも売られています」 時折、涙ぐみ、言葉に詰まりながらもムカイダイスさんは語り続けた。 ■日本はアジアを救う力を 「収容所は人間の尊厳を踏みにじる」 「ダメです」 「犯罪です」 とムカイダイスさんは強調する。 「でも、そこで殴られた人は知っていても、証拠を示すのは難しい」 「助けてくれたのは、心ある漢民族の方々でした」 「14億人の漢民族の中に心ある人はたくさんいる」 「そのような人々は、真の意味で日本と仲良くなりたいと思っています」 「それを日本の皆さんも知るべきです」 と述べた。 ムカイダイスさんは東京の多磨霊園にウイグル人の墓があることも紹介し、 「大事にしてくれた日本に感謝しています」 と話した。 そして 「日本はダメなものはダメと言える民主国家」 「アジアを救う力を持つことが必要です」 「中国の暴挙から守ってほしい」 「日本は世界の平和をリードする国となってほしい」 と訴えた。 ウイグル族学者に無期懲役 中国、国家安全で判決 2023/9/22 23:11 https://www.sankei.com/article/20230922-DJULJ4ZHBZNXVFOC6Z6TW5V4MI/ 米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は2023年9月22日までに、中国の裁判所がウイグル族学者ラヒラ・ダウトさんに国家安全を脅かした罪で無期懲役の判決を言い渡したと報じた。 米国の人権団体によると、ダウトさんは中国新疆ウイグル自治区の大学で教授としてウイグル族の民間伝承などを研究していた。 中国外務省の毛寧副報道局長は2023年9月22日の記者会見で 「中国は法治国家で、法律に基づいて事件は処理される」 と述べた。(共同) 新疆人権行事に「行くな」 中国、国連で各国に 2023/9/20 19:58 https://www.sankei.com/article/20230920-VKQ5HOBHQFLSVMPBY6JZTYZDME/ 中国国連代表部が、国連総会に合わせて米シンクタンクがニューヨークで開いた新疆ウイグル自治区の人権問題に関するイベントに参加しないよう各国代表部に要求していたことが分かった。 米メディアが2023年9月20日までに伝えた。 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2022年夏、自治区に関する報告書を発表し、少数民族ウイグル族に対する中国政府の政策は 「人道に対する罪に相当する可能性がある」 と指摘した。 報告書発表の際も中国は、公表をやめさせようと国連での外交工作に動いたと報じられていた。 米メディアによると、米シンクタンク、大西洋評議会や国際人権団体が2023年9月19日、自治区の人権状況を議論するイベントを開催。 中国代表部は2023年9月14日付の書簡で他国代表部に対し、この 「反中イベント」 に参加すべきでないと警告したという。(共同) 主張 国連人権報告書 ウイグル弾圧は許されぬ 2022/9/4 5:00 https://www.sankei.com/article/20220904-P4ZWNCREF5L3LGPK6BPZ2HPSVQ/ 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が中国新疆ウイグル自治区の人権状況に関する報告書を発表した。 報告書は、少数民族ウイグル人に対し、テロ対策名目で 「深刻な人権侵害が行われている」 とした。 差別的で恣意的な身柄拘束などは、 「人道に対する罪に相当する可能性がある」 と指摘し、恣意的な拘束を速やかに解くことを中国政府に勧告した。 ウイグル人弾圧の実態を国連が公式に認めた意味は重い。 中国は報告を真摯に受け入れ、一連の弾圧を直ちにやめるべきだ。 同時に日本を含む国際社会は、状況が改善されるよう、連携して中国に圧力をかけていく必要がある。 報告書は、ウイグル人らを職業訓練の名目で収容した施設について、 「自由に退所できたり、一時帰宅を許されたりした人は1人もいなかった」 とした。 施設が事実上の強制収容所となっていることを示すものだ。 ウイグル人らが同自治区で拷問や性的暴行などを受けたと訴えていることについても 「信憑性がある」 と認めた。 中国政府には、拷問などの人権侵害の疑惑を速やかに調査することや、行方不明者の所在を確認すること、ウイグル人らに対する差別的な政策や法律の撤廃などを求めた。 ただ、欧米諸国が非難するジェノサイド(集団殺害)の認定には踏み込まなかった。 中国側は会見で、報告書について 「海外の反中勢力によるでっち上げだ」 と猛反発した。 だが、報告書は、弾圧されたウイグル人の証言や流出した内部文書などの証拠を基に作成された。 中国の虚言は国際社会に通用しない。 報告書は、中国の圧力で再三延期された。 発表されたのは、バチェレ人権高等弁務官の任期が終了する約10分前の2022年8月31日深夜というタイミングだった。 残念なのは日本政府の歯がゆい反応である。 松野博一官房長官は会見で、報告書を 「評価する」 としつつ、 「自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要だ」 と述べるにとどめた。 2022年が日中国交正常化50年であることを意識して抑制したのだとしたら、中国に足元を見られるだけである。 岸田文雄政権は、中国の人権状況について独自の調査を進め、ウイグル人への弾圧を即刻やめさせなければならない。 米報道官「残虐行為の即時停止」要求 国連ウイグル報告書を歓迎 2022/9/2 8:39 https://www.sankei.com/article/20220902-22QFV3HVRBPJFDDTHDVATR2M4U/ 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が2022年8月31日に発表した新疆ウイグル自治区の人権状況に関する報告書について、ジャンピエール米大統領報道官は2022年9月1日、 「中国が関わる継続的なジェノサイド(集団殺害)と人道に対する罪への我々の重大な懸念を深めた」 とし、中国政府に対し 「残虐行為の即時停止を要求する」 と訴えた。 米国は同自治区における人権侵害を 「ジェノサイド」 と認定。 強制労働や人権侵害への関与が疑われる企業への輸出規制や同自治区の産品の輸入禁止などの制裁を講じている。 同報道官は、バイデン政権として同盟諸国や国際社会と連携し 「強制労働とは無関係な世界規模の供給網の確立に引き続き取り組む」 と強調した。 ブリンケン国務長官も2022年9月1日、 「ウイグル人や他の少数民族・宗教グループに対する人権侵害や酷い扱いを記述したこの重要な報告書を米国は歓迎する」 とした声明を発表、 「不当に拘束された人々の解放や行方不明者に関する説明責任を要求する」 と訴えた。 EU、国連ウイグル報告の発表を歓迎 「中国の人権監視を」 2022/9/2 8:24 https://www.sankei.com/article/20220902-QGY7FITH7NNFXLMB3JVJ55AJHU/ 欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は2022年9月1日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が中国新疆ウイグル自治区の人権侵害について報告書を発表したことを歓迎した。 その上で、中国の人権状況を注意深く監視し、報告すべきだという立場を示した。 ボレル氏は声明で、報告書が 「人道に対する罪」 が行われている可能性に触れたことを強調。 自治区の人権状況について 「中国政府の他、特に人権に関する国連機関、国際社会が緊急に注意を払う必要がある」 と指摘した。 フランス外務省も2022年9月1日に声明を出し、中国が報告書の勧告に沿って、自治区の人権状況を改善するよう求めた。 国連人権理で調査開始を 新疆報告受け、団体訴え 2022/9/1 11:50 https://www.sankei.com/article/20220901-CXZ4U7LKG5OFBH3VDJ75WA4ALI/ 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは2022年8月31日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が中国の新疆ウイグル自治区を巡る報告書を公表したことを受け 「ウイグル族らを標的にした中国政府の人道に対する罪について、国連人権理事会は包括的な調査を開始すべきだ」 と訴える声明を出した。 報告書は、同自治区での中国政府のイスラム教徒少数民族に対する政策が 「人道に対する罪に相当する可能性がある」 と指摘。 このため、団体は声明で 「なぜ中国が必死になって報告書の公表を阻止しようとしていたかが分かった」 と中国政府の対応を批判。人権理が報告書も利用して調査し、人権侵害を行った者たちに責任を負わせるよう求めた。(共同) 「深刻な人権侵害」指摘 国連人権高等弁務官事務所ウイグル報告書で 2022/9/1 7:41 https://www.sankei.com/article/20220901-I3ZZY44A7ZPYLL5GLTIVMMV4VQ/ 国連人権高等弁務官事務所(スイス・ジュネーブ)は2022年8月31日、中国新疆ウイグル自治区を視察した結果を基に新疆の人権状況をまとめた報告書を発表した。 報告書は同自治区で 「深刻な人権侵害」 が発生していると指摘した。 バチェレ国連人権高等弁務官は同日、任期満了に伴い退任。 新疆の人権問題を否定する中国政府の圧力を受け、報告書の公表が遅れているとみられていたが、退任直前に発表した。 バチェレ氏は2018年9月に国連人権高等弁務官に就任。 2022年5月23〜28日に訪中し、滞在中に新疆の刑務所や多数のウイグル族らを収容した 「職業技能教育訓練センター」 だった施設を視察した。 国連の人権高等弁務官が中国を訪問するのは2005年以来だった。 バチェレ氏は2022年6月13日、1期目の任期が終了する2022年8月末で退任する意向を表明し、報告書を退任までに公表する方針を示していた。 欧州メディアによると、バチェレ氏の報道官は2022年8月31日、 「報告書は同日中に発表される」 と述べた。 ロイター通信によると、中国政府がスイス・ジュネーブにある各国の代表部に2022年6月終わり頃から書簡を送付し、報告書の公表について 「重大な懸念」 を表明。 公表すれば 「人権分野において(問題の)政治化と陣営間の対立を激しくさせ、国連人権高等弁務官事務所の信頼を傷付ける」 と主張した。 バチェレ氏は2022年8月25日、約40カ国から公表に反対する書簡を受け取ったと発言。 中国などから送付されたとみられる。 国連弁務官の新疆視察報告、中国が非公表を働きかけ ロイター報道 2022/7/21 19:24 https://www.sankei.com/article/20220721-WZDAPMCZB5OU3L4Z5K77TL37OU/ 中国政府が、バチェレ国連人権高等弁務官の中国新疆ウイグル自治区視察に関する報告書を公表しないよう各国に働きかけていると、ロイター通信が2022年7月21日までに報じた。 中国側は、米欧が批判する新疆の人権問題を否定しており、報告書を公にしないことで幕引きを図ろうとしている可能性がある。 ロイターによると、中国はスイス・ジュネーブにある各国の代表部に2022年6月終わり頃から書簡を送付した。 2022年5月に現地視察したバチェレ氏による新疆の人権状況に関する報告書が公表されることについて 「重大な懸念」 を表明。 報告書が公表されれば、 「人権分野において(問題の)政治化と陣営間の対立を激しくさせ、国連人権高等弁務官事務所の信頼を傷付ける」 と主張し、視察結果を公表しないよう強く求めた。 中国外務省の汪文斌報道官は2022年7月20日の記者会見で、ロイターの報道について 「一部の国は新疆問題にかこつけて政治的な策略を行おうとしている」 と反発する一方、働き掛けについて否定することはなかった。 汪氏は、バチェレ氏の新疆訪問について 「中国の人権の発展や成果を自分自身の目で確認した」 と述べ、米欧の人権批判を否定する材料として使った。 習近平国家主席は2022年7月中旬に新疆を約8年ぶりに訪問し、 「我々の民族政策は良く、効果的だ」 と強調した。 習氏の長期政権化を目指す2022年秋の共産党大会を控える中、報告書公表で新疆問題に関する海外からの批判が盛り上がることを警戒しているとみられる。 嘘拡散の”共犯”になる官製新疆ツアー 正論2023年9月号 日本ウイグル協会会長 アフメット・レテプ 中国共産党中央直属の中国外交出版発行事業局が管理・運営するニュースサイト、中国網日本語版(チャイナネット)に2023年6月22日に掲載された 「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」 と題する記事に目が留まった。 記事の前後には日本の悪口や日本批判の記事が溢れていた。 「核汚染水海洋放出の強行、日本の道徳の赤字と知恵の苦境を露呈」 とあり 「南京大虐殺の生存者が逝去 存命中は残り39人のみに」 や 「海洋で中国牽制、苦杯を喫するのは日本」 と題している。 対日感情の憎悪を煽る記事が並ぶ中で 「新疆をきっかけに日本社会の対中感情を改善」 とは一体、どういうことなのだろう。 日本国民を馬鹿にしているのかと不思議に思って調べた。 すると、中国在大阪総領事館主催 「日本市民新疆ツアー第1陣」 について、中国網日本語版や中国共産党中央機関紙『人民日報』のWEB版、人民網日本語版が自画自賛の記事を必死で発信していることが分かった。 発信は主に 「薛剣(せつけん)駐大阪総領事」 と 「新疆ウイグル自治区政府文化顧問」 を名乗る日本人僧侶 「小島康誉」 氏による記事だった。 薛剣総領事と言えば、大阪総領事館の公式アカウントや個人アカウントで外交官とは思えぬ過激ツイートを暴走させることで知れらる人物だ。 最近の事例で言うと、2021年10月、国際人権団体、アムネスティ・インターナショナルが香港オフィスをやむなく閉鎖すると発表した際に、 ツイッターで 「害虫駆除!!!快適性が最高の出来事また1つ」 と投稿し、 「人間性が言葉に出る」 などと批判を浴びた。 また、その2カ月後の2021年12月には在大阪総領事館の公式ツイッターが、ウイグルの子供たちの動画を投稿して 「顔面偏差値が高すぎる新疆の小学生たち、・・・新疆ツアーにご意向のある方は、ぜひご登録を!」 投稿を見た人々から 「人を顔だけで格付けし評価するなんて気持ち悪い」 「子供たちは装飾品ではなく人間です」 「さすがに人権無視の差別主義国家の言うことは違う」 等の批判が殺到した。 小島氏は 「発展」 と 「幸せ」 に満ちたウイグルをアピールし、ウイグルの現状に関するメディア報道の多くが色眼鏡的と主張している。 薛剣総領事らが同行し、最初から最後まで全てのプロセスに中国当局による誘導が組み込まれた今回の 「プロパガンダツアー」 の意義の大きさを繰り返し強調し、レコードチャイナへの寄稿では 「ギネス級の価値がある」 とまで称賛している。 ツアーの参加者でもないのに、日本社会に与えた影響はほぼゼロと言っていい 「プロパガンダツアー」 をここまで称賛するとは、この方は正気なのかと疑ってしまう。 家族と生き別れを強いられる身として、あるいは留学先の日本から一時帰国したら強制収容され死亡した仲間がいる身として、人命や家族を奪う犯罪者を擁護する行為は仏教の教えにも反しているとの疑問を感じ、僧侶としての自覚すらないのかと憤りを感じる。 ■新疆ツアー第1陣 薛剣総領事が、駐大阪総領事として着任したのは2021年6月だ。 着任から半年後の2021年12月には 「新疆は良いところーコロナ後の中国新疆ツアー大募集」 と題する団体旅行の告知を大阪総領事館の公式サイトに掲載した。 大阪総領事館の発表によると、2021年12月31日に締め切った募集には1カ月間で日本国内から1028人が応募した。 あれから1年半が経ち、去る2023年6月19日から27日に、中国当局に選ばれた小学5年生から83歳までの日本人男女20人のウイグル訪問が実現したそうだ。 中国当局としては日本国民を現地に案内し、ウイグル人らに対する非人道的犯罪で地に堕ちた中国への信用を回復したい思惑があったはずだ。 薛剣総領事らが発信したこのツアーの始まりから終わりまでのプロセスを見れば、決してこれは通常の団体旅行ではなく政治的意図が仕込まれた 「プロパガンダツアー」 であることは明白だ。 まず、1028人の申込者から20人を選別し(98%を審査の段階で落としている計算になる)、出発前夜の2023年6月18日に大阪総領事館で 「新疆ツアー第1陣壮行会」 と書かれた赤い横断幕を掲げた式典を開催し、薛剣総領事から中国ビザの押されたパスポートが参加者1人1人に手渡された。 通常のツアーで外国を旅行する際にこんな大袈裟な経験をすることなどないだろう。 ツアーには大阪総領事館の領事らが同行し、関西空港を飛び立つ直前に撮影された写真には 「中国駐大阪総領事館主催 日本市民新疆ツアー第1陣」 と書かれた赤い横断幕を持った参加者たちの姿があった。 後に人民網が発信した今回のツアーを特集した英語字幕付きの動画の最初にもこの写真は使われている。 ウルムチ到着時も、空港で 「日本市民新疆ツアー第1陣の皆様を熱烈歓迎」 と書かれた赤い横断幕を持った当局者たちが出迎える写真が撮られ、盛んに発信された。 だが、こうした写真撮影自体、日本国民が世界の他の場所を旅行する際には決して遭遇することはない不自然な光景だ。 一行の出発に合わせて、共産党機関紙、人民日報系の環球時報で薛剣総領事はこう述べている。 「今回の新疆ツアーは内容が豊富で充実している」 「一部の日程は想像を遥かに上回る」 「例えばトルファンではウイグル族の家庭を訪問し、現地人と共に昼食を取る」 「新疆少数民族の日常生活を近距離で体験する」 「更に現地のウイグル族の小学校を訪問する機会があり、子供たちの天真爛漫な笑顔を通じ現地の人民生活が幸福で満ち足りていることを直感的に感じる」 「アクスでは広々とした綿花畑を見ることができる」 「綿花紡績工場を見学することで、西側のいわゆる強制労働という根も葉もない話を一蹴する」 注目してほしいのは、薛剣総領事の自画自賛は、ツアーに参加した日本人らがどこで何を見るかだけではなく、そこで何を感じるのか、考えが変わって帰国するのか、といった細かい所まで初めから決まっていることだ。 ツアーがプロパガンダだと明白に物語る所以である。 前述の人民網が発信した英語字幕付きの動画と比べると、ツアー参加者が全てを薛剣総領事の”予言”通りに実感し、考えが一変したかのような内容になっている。 これが、この先どんな宣伝に使われるのか、ツアー参加者たちは注意深く見ておくべきだろう。 「今回の新疆ツアーの情報発表も異例で、新疆訪問団のメンバーが個人メディアで今回のイベント全過程を自由にライブ発信する」 などとわざわざ強調するのも首を傾げる話だ。 一体、そのどこが異例で凄いのか。 世の中の常識が通じるまともな国では、旅行者は旅先で写真や動画を撮り、ネットに自由に流している。 ごく普通で当たり前の話だ。 「自由にライブ発信」 を 「異例」 と強調すること自体が、自由が奪われた中国ならではの話でしかなく、果たして日本人参加者は本当に自由を感じたのか。 仕組まれたパフォーマンスによって自分たちの言動を全て中国当局が誘導し操ろうとしていると感じた参加者はいなかったのか。 聞いてみたいところである。 ■自己弁護の末の新看板 大阪総領事館のツアーは突如告知されたものではない。 告知のタイミングと国際情勢を思い出して頂きたい。 継続的に明らかになる証拠を受け、国際社会は2021年以降、ウイグル問題で態度を大きく変化させた。 2021年1月には、アメリカ政府がジェノサイド(特定の民族などの集団を破壊する目的で行われる集団殺害、及びそれに準ずる行為)認定し、2021年12月までにカナダ議会、英国議会、リトアニア議会、チェコ議会、ベルギー議会等でジェノサイド認定が続いた。 2021年3月には、米国、英国、カナダ、そして欧州連合(EU)でウイグル人らへの重大な人権侵害が行われているとして、中国に対する制裁措置が一斉に発表された。 ツアーが告知された2021年12月には、更に大きな出来事があった。 アメリカでは 「ウイグル強制労働防止法案」 が下院と上院で相次いで可決、2021年12月23日にはバイデン大統領が、ウイグルからの輸入を全面的に禁止する 「ウイグル強制労働防止法」 に署名し成立した。 2021年12月9日には英国に設置された国際法や人権問題の専門家も加わった民間法廷 「ウイグル特別法廷」 が18カ月に及ぶ調査の末、ジェノサイドと人道に対する罪がウイグル人や他のチュルク系民族に対して行われているとの結論を下していた。 それだけではない。 2021年12月1日には、英BBC等の主要メディアが、ウイグル人らに対する大規模強制収容や強制労働等に、習近平国家主席など上層部の関与を示す極秘文書 「新疆文書」 が流出したと大々的に報道され、ツアーの告知はその翌日2021年12月2日だった。 相次いで明らかになる中国の人権侵害の証拠と国際社会の非難。 それを前に中国当局はあの手この手で自己弁護せざるを得ない状況に追い込まれていた時期だった。 日本国内でもウイグル問題で中国への非難の声は高まっていた。 地方議会が次々とウイグル問題で国に対策を求める意見を採択し、その自治体数は80を超えていた。 ちなみに、2021年12月以降も採択は続き、私たちが把握しているだけで102の地方議会で採択されている。 ■日本国民がターゲットに 自己弁護に追い込まれた中国当局は、国連の調査チームや主要な外国メディアの自由な取材を徹底して断る一方で、都合の良い所だけを見せるパフォーマンスに納得してくれそうな外国人をピックアップしては 「やらせツアー」 を積極的に企画している。 この手のツアーは、2023年だけでも複数回確認されている。 例えば、2023年1月にシリアなど14のアラブ諸国から30名以上がツアーでウイグルを訪問した。 2023年4月にはベトナムやカンボジアなどの複数国の駐中国大使や領事らがツアーでウイグルを訪れている。 この時は 「新疆ウイグル自治区政府」 のトップ、馬興瑞が面会し、中国の友好国の大使・領事として、中国を擁護する発信を積極的に行うよう求めたと報道されている。 2023年6月になるとスーダンなどアラブ諸国から30名以上のツアーが実施され、ウイグル訪問が行われた。 2023年7月にはカザフスタンの市民らのツアー団が訪問した。 いずれも中国の影響力が強く、人権や価値観の面で中国とそう変わらない国々がターゲットとされている。 そう考えると、西側と同じ価値観を共有する日本の市民らをツアーのターゲットに選ぶのは異例と言っていいだろう。 ジェノサイドや人道に対する犯罪が今も進行中の東トルキスタンに比較的近い位置にありながら、国連などの国際舞台では中国の犯罪行為を非難する共同声明に毎年署名している唯一の国が日本であり、中国もそれを強く意識しているはずだからだ。 日本をターゲットに選んだものの、中国の意図や狙いが自分たちの思惑通りに日本人に果たして浸透するか否か。 アラブやアフリカ諸国の人々のツアーとは勝手が違って中国は決して自信満々ではなかったようである。 例えば、ツアーの対象者を日本人に限定すると初めから宣言したのもそのせいだろう。 これは日本に住むウイグル人が参加してしまうと中国人よりも遥かに現地に詳しい。 中国にとって都合の悪い所まで案内できる。 政府機関の主催ツアーだから、無事帰国を保証する義務もあるが、在日ウイグル人を除外したのは保証できる自信がないためでもあるだろう。 それだけではない。 日本のメディア関係者も除外されている。 薛剣総領事は、2023年6月13日のツイートで 「この度の新疆ツアーは基本的に参加者の皆様の自費で実施」 「日本メディアの同行取材について、問い合わせがあったが、新疆について余りにも酷い虚偽報道してきた為、敢えて断った」 「正直言って、現状では信頼置けない!」 と投稿している。 この投稿から分かることが2つある。 1つは、日本メディアを同行させる自信がないことだ。 これはメディア関係者を案内するとパフォーマンスに大人しく納得しない恐れがあるからだ。 もう1つは 「基本的に参加者の自費で実施」 という表現だ。 「基本的に自費」 とは穿った言い方をすれば一部に中国当局の負担があると言っているようなものだからだ。 ■ウイグル人とメディアお断り 2023年7月12日に大阪総領事館は 「新疆ツアー『第2陣』大募集」 の告知を出している。 そこには、 「募集対象:日本人のみ、訪中歴のない方大歓迎」 「日本メディアの同行取材はお断り致します」 「旅費は基本的に自己負担となります」 等と明記している。 第1陣と同じやり方で実施するらしい。 実は第1陣のツアーとほぼ同時期にJNNの記者がウイグルを取材し、連載記事(TBS NEWS DIGサイトに掲載)を発信している。 ツアー参加者を希望する人は是非読んでほしいものだ。 2023年7月5日、ウルムチを取材したJNN記者は、初日から帰りの空港まで尾行が続いて、現地のウイグル人らが恐怖に怯えて胸の内を語ることができなかったことを詳しく報じている。 大阪総領事館のツアーで見る光景とは180度異なる全くの別世界だ。 どちらが信用できるか、読者も考えてほしい。 ウイグルジェノサイドを隠し、私たちの家族を奪った恐怖政治を正当化するためのプロパガンダツアーに参加し、その中身を鵜呑みにして 「ウイグル人は幸せに生きている」 などと発信することは、ジェノサイドに加担することに他ならない。 「時間と大きな出費を伴う旅行なのだから、中国当局の思惑で振り回すのではなく、尾行・監視・行動制限を断って自由にさせて欲しい」 と突き付けるくらいであってほしいものだ。 ■薛剣総領事に申す 悪いことをしていないなら隠す必要などない。 メディア関係者を恐れる必要もない。 日本を見てほしい、国が日本を訪問する中国人を選別して、訪問先を全て国が設計し、国が手配した案内人が誘導する都合の良い場所だけ見せて大人しく帰国してもらったり 「中国メディア関係者は除外」 などと堂々と宣言したりするツアー等聞いたことがない。 いつ、誰と、どこへ行って何を見るか、見たこと感じたことをどう発信するかも本人が決める。 メディア関係者の友人と一緒に行くかどうかも本人が決める。 尾行や監視を気にすることなく好きな場所で好きな人に接触する・・・それが健全な社会における当たり前の旅行というものだ。 ウイグル人らに対して非人道的犯罪を犯していないと言える自信があるなら、家族と生き別れを強いられている在日ウイグル人の帰国を保証すると国際社会に約束し私たちを同行させてほしい。 「非人道的扱いを受けた」 と証言する強制収容所の生還者たちも同行させるべきで、国際法や人権の専門家、学者たち、そしてメディア関係者も欠かせない。 何よりも重要なことは、現地での行動制限や尾行、監視などがない自由な旅行であることだ。 悪いことをしておらず自信があれば、これらは全て簡単な話で、都合の良い所だけ見せて、それ以外は徹底的に隠すだけでは、中国と同じ価値観の国々の人たちは騙せても、国際社会の常識が通用する国々の人たちを騙せるはずがない。 全くもって説得力がなく、やればやるほど国際社会の疑念は深まるだけである。 私を同行させてくれれば、2017年以降、一切の通信ができずにいる家族をまず訪問したい。 それ以外にもどうしても会いたい人たちはたくさんいる。 例えば、ウイグル自治区教育出版社編集長のワヒットジャン・オスマン氏。 同じく教科書編集担当で著名な評論家、ヤリクン・ロズ氏や自治区教育庁の元庁長、サッタル・ダウット氏や自治区社会科学院副院長で新疆教育出版社長のアブドゥラザク・サイム氏らウイグルの教育を支えた人たちがそうだ。 新疆大学の学長、タシポラット・ティッブ教授や副学部長のアブドサラム・ジャリディン教授にも会いたいし、新疆医科大学の学長で現代ウイグル民族医学の父、ハリムラット・グブル教授や新疆師範大学教授で著名な作家、アブドゥカディリ・ジャラリディン教授、ウイグル文化研究の第一人者で新疆大学人類学研究所のラヒレ・ダウット教授、新疆人民出版社社長のアブドゥラヒマン・エベイ氏なども再会したい人たちだ。 新疆新聞社の社長、アリムジャン・メメットイミン氏、カシュガルウイグル出版社の編集者で著名な女流詩人、チメングリ・アウット氏、ウイグル人社会のIT化に最も貢献した人物として知られる著明なコンピュータープログラマー、アリム・エヘット氏等々・・・。 名前を挙げ始めると、際限がない。 この方々は、誰もがウイグル人に生きる希望を与え、ウイグルの文化が消滅しないよう先頭に立って尽力してきた人々だった。 2017年以降相次いで強制収容され行方不明となっている。 尾行・監視は当たり前、まさかの”手のひら返し”も…中国で最も“取材困難”新疆ウイグル自治区 超敏感エリアの中心都市「ウルムチ」の今 2023/7/7 https://uyghur-j.org/japan/2023/07/fnn-articles-552223/ 香港でウイグル族男性が行方不明、中国に移送か 人権団体アムネスティが指摘 2023/5/29 23:20 https://www.sankei.com/article/20230529-23KPOA7HEJMSTFXOMC3JFOENMY/ 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは2023年5月29日までに、韓国ソウルで留学生活を送っていた中国出身のウイグル族男性が韓国から空路で香港に到着した後に行方不明になったと明らかにした。 アムネスティによると、男性は2023年5月10日に、香港の空港に到着した後に中国の警察に尋問されているとの内容のメッセージを友人に送り、その後連絡がつかなくなった。 アムネスティは中国に移送された恐れがあるとの見方を示し、中国によるウイグル族への人権侵害に香港当局が加担している可能性を指摘した。 一方、香港政府は、入境の記録も入境拒否の記録もないと説明し、アムネスティの主張は事実無根だと非難した。 男性は新疆ウイグル自治区カラマイ出身で、ソウルで7年間留学生活を送り、2022年にスポーツ産業とレジャーに関する博士課程を修了した。(共同) 主張 ウイグル人弾圧 G7は対中圧力で結束を 2023/5/19 5:00 https://www.sankei.com/article/20230519-37IZL6T7M5MWTD73UGCC7KFIDQ/ 米国務省が 「信教の自由」 に関する国・地域別の報告書を公表し、中国政府による人権侵害を厳しく指弾した。 新疆ウイグル自治区のイスラム教徒少数民族ウイグル人らに対する 「ジェノサイド(集団殺害)や人道に対する罪」 が続いていると指摘している。 信教の自由をはじめとする人権は誰もが享受すべき権利である。 普遍的な権利の侵害は容認できない。 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、ウイグル弾圧を許さないという強いメッセージを出すべきだ。 特にG7議長を務める岸田文雄首相の責任は大きい。 日本は米欧と比べて対応が手緩いと言わざるを得ない。 G7の場で人権重視の外交姿勢を示してほしい。 報告書は、中国ではほかにもキリスト教徒やチベット仏教徒らが弾圧を受けているとし、不当な拘束や拷問、思想改造、宗教儀式の妨害などがあると指摘した。 イランやミャンマーなどでの人権侵害も取り上げているが、国務省高官は記者団に 「中国は、人権と信仰の自由を侵害している最悪の国の1つ」 と批判した。 中国の問題を封じるべきなのは経済的な影響力と相まって人権を無視する強権的な統治手法が途上国などに拡散する恐れがあるからだ。 中国企業がウイグル人の監視に使う顔認証のデジタル技術は、南米やアフリカなど60カ国以上に輸出されたことが米研究機関などにより明らかにされている。 サミットでは 「グローバルサウス」 とされる新興・途上国との連携も重要なテーマである。 途上国の健全な発展を支えるためにも、G7は結束して中国の人権侵害に対峙しなければならない。 問題は日本の対応だ。 米国のウイグル強制労働防止法で新疆ウイグル自治区からの物品輸入が原則禁止とされるなど、米欧は強硬姿勢を強めている。 日本ウイグル協会の代表らは日本政府に、人権侵害に悪用されかねない技術の輸出規制と人権侵害に関与した人物や団体に制裁を科す法の制定を訴えている。 日本もウイグル人を支える具体的な対応を示すべきだ。 人権侵害を巡っては、公開処刑や言論弾圧などにみられる北朝鮮の深刻な状況も取り上げるべきだ。 拉致問題の解決と併せてG7の強い決意を世界に発信できるよう、岸田首相は議論を主導しなければならない。 中国「ジェノサイド継続」と非難 米報告書 旧統一教会も言及 2023/5/16 8:44 https://www.sankei.com/article/20230516-AMXMRPCW5ZMUVPITXVAJ7WBGVY/ 米国務省は2023年5月15日、 「信教の自由」 に関する国・地域別の2022年版報告書を発表した。 中国政府による新疆ウイグル自治区のイスラム教徒少数民族ウイグル族らに対する 「ジェノサイド(集団殺害)や人道に対する罪」 が継続していると強く批判。 日本については、2022年7月に起きた安倍晋三元首相の暗殺を機に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への注目が高まっていることなどに言及した。 報告書は、中国ではウイグル族の他にもキリスト教徒やチベット仏教徒、非合法の気功団体「法輪功」などが政府の弾圧を受けているとし、不当な拘束や拷問、思想改造、宗教儀式の妨害などが行われているとの報告を列挙。 弾圧対象の宗教を信仰する人々に対する法執行機関の対応が 「透明性に欠いている」 などと非難した。 また、2022年中に行われた法改正により、宗教団体の収入や運営に関する中国共産党の監視が強まったことなどが明記された。 一方、報告書は、安倍氏の暗殺犯が、同氏と旧統一教会との関係性を動機として挙げていることや、宗教法人法に基づく「質問権」を巡る経緯などを記載。 信者が多くの嫌がらせや脅迫を受けているとする教団側の主張も併記した。 カナダ、中国人外交官に国外退去通告 ウイグル弾圧批判の下院議員を脅迫か 2023/5/9 9:09 https://www.sankei.com/article/20230509-ZRCFCWK6AFPZRD5HYUHIGUHLDQ/ カナダ政府は2023年5月8日、カナダに駐在する中国人外交官1人に対し、 「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」 として国外退去を通告した。 この外交官は、中国当局による少数民族ウイグルの扱いを非難するカナダ下院議員とその香港に住む親族への脅迫を企てたとされる。 在カナダ中国大使館の報道官は2023年5月8日、カナダ政府に 「対抗措置を取る」 と抗議した。 カナダのジョリー外相は2023年5月8日の声明で 「我々は如何なる形の外国からの干渉も容認しない」 と述べた。 カナダ放送協会(CBC)によると、退去を通告された外交官は5日以内にカナダを出国する必要がある。 カナダ紙グローブ・アンド・メールによると、カナダ情報機関は2021年の報告書で、中国・新疆ウイグル自治区の人権侵害をジェノサイド(集団殺害)と非難するカナダ下院決議を支持した野党保守党の議員とその親族らが中国当局による脅迫の標的にされていると指摘。 今回、退去を通告された外交官の情報取集活動に言及していた。 中国当局は脅迫を通じ、中国共産党に批判的な保守党議員らの態度を抑え込もうとしたとみられている。 加、中国外交官追放を検討 議員親族脅迫企て 2023/5/5 9:10 https://www.sankei.com/article/20230505-DDOLWGCRWZLV3BSM6PAMS2ZYRY/ カナダのジョリー外相は2023年5月4日、在カナダ中国大使館の外交官が野党保守党議員の香港に住む親族への脅迫を企てたとして、この外交官の追放を検討していると明らかにした。 両国は経済的に深い繋がりを持つが、最近カナダは中国の覇権主義的な言動に危機感を露わにしており、新たな火種になる可能性がある。 カナダ紙グローブ・アンド・メールが2023年5月1日、2021年のカナダ情報機関の報告書を報道したことが発端。 報告書には、中国のウイグル族への人権侵害はジェノサイド(民族大量虐殺)だと非難するカナダ下院の決議を支援した保守党議員とその親族らが中国当局から脅迫の対象になっているとの指摘があり、カナダ駐在の外交官が関わっていると言及されていた。 ジョリー氏は2023年5月4日、報道を認め、駐カナダの中国大使に 「このような干渉は受け入れられない」 と伝えると強調した。(共同) G7で中国の民族迫害停止声明を 中国人権究明議連などが松野長官に提言 2023/5/8 21:24 https://www.sankei.com/article/20230508-T6FEF4437BPBBDMRECRZLEWNXE/ 超党派の 「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」 や 「日本ウイグル国会議員連盟」 の幹部らは2023年5月8日、松野博一官房長官を衆院議員会館の事務所に訪ね、2023年5月19日に開幕する先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、中国政府に対し新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港での民族迫害行為の停止を促す声明の発出を求める提言を提出した。 提言はG7首脳に対し、各自治区や香港などで中国当局により不当に拘束されている人々の即時釈放や、母語で教育を受ける権利、信仰の自由、結社の自由などが保障されるよう中国に迫ることも訴えた。 日本政府に対しては、人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)の制定や強制労働で作られた物品輸入規制、人権侵害に悪用されかねない技術の輸出規制に関する法整備を求めた。 中国出身民族団体「人権侵害停止を」 G7首脳への要望全文 2023/4/19 22:04 https://www.sankei.com/article/20230419-6M2KSB6DNRKCRHBKKKK6PPZVAA/ 中国新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港の出身者で作る民族団体が2023年4月19日発表した先進7カ国(G7)首脳に対し、中国政府による民族迫害行為を止めるための具体的な措置を求めた要望書の内容は以下の通り。 □ 私たちウイグル、チベット、南モンゴル、そして香港各団体は、日本で開催される先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に参加される各国首脳と国賓の皆様を心より歓迎致します。 私たちは、自由、民主主義、人権などの基本的価値を共通理念とするG7参加国、そして議長国の日本が、日本のすぐ隣でこれらの共通理念を公然と踏みにじり、国際法や国際秩序を脅かしている中国へ結束して対処するのもG7首脳の使命の1つだと考えております。 G7広島サミット参加国の中で、米国政府、英国議会、フランス議会、カナダ議会、欧州連合(EU)欧州議会はウイグルジェノサイド(集団殺害)を認める決議を採択しています。 日本の衆院と参院はウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における深刻な人権状況に対する決議を採択しています。 しかし、ウイグルジェノサイド、チベット人や南モンゴル人に対する文化的ジェノサイド、香港人に対する深刻な人権侵害が続いています。 強制労働で作られた製品の輸入や、人権侵害へ悪用される監視技術の輸出等、G7参加国がこれらの犯罪行為を助長している側面もあります。 私たちは、G7参加国および議長国日本のリーダーに対して、中国を例外扱いすることなく、これらの犯罪行為を阻止すべく力強いメッセージと具体的な施策を求めます。 1、日本に対して、マグニツキー法(人権侵害制裁法)の早期制定を求めます。 日本を除くG7の各国はマグニツキー法を相次いで制定し、国際人権法に定める人権を著しく侵害する行為に関与した者に対し制裁を科し対処しています。 日本も、より能動的な人権外交に舵を切るべき時と考えます。 2、日本に対して、強制労働問題に日本企業が巻き込まれているとの調査報告、日本企業の技術が中国共産党政権による人権侵害に悪用されているとの調査報告を真摯に受け止め、強制労働と関与のある製品の輸入規制、人権侵害に悪用される技術の輸出規制に関する法整備を求めます。 3、ウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港人に対するジェノサイドや深刻な人権侵害の即時停止、不当に拘束されている人々の即時釈放を中国に迫るよう、G7首脳に求めます。 4、母語で教育を受ける権利、独自文化や信仰、集会の自由・結社の自由・表現の自由等基本的人権がウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港人に対しても保証されるよう、G7首脳が中国に迫ることを求めます。 5、ウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港人に対する人権侵害、同化政策、ジェノサイドの停止を促す声明を発表するよう、G7首脳に求めます。 G7は中国の民族迫害停止声明を ウイグル人ら訴え 2023/4/19 14:23 https://www.sankei.com/article/20230419-XWXFAKI6RZPCVIA2VP656LMQTU/ 2023年5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を前に、中国新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港の出身者でつくる団体の代表者らが2023年4月19日、国会内で記者会見し、G7首脳に対し中国政府による民族迫害を止めるための具体的な措置と声明の発出を求める要望書を発表した。 「自由、民主主義、人権など共通理念を踏みにじる中国へ結束して対処するのもG7の使命だ」 と強調した。 要望書はウイグル人やチベット人らに対する人権侵害や、漢民族への同化政策の停止を中国政府に促す声明を、広島サミットの場で出すよう要請した。 また、日本政府に対しては、海外で人権侵害に関与した人物や団体に制裁を科す人権侵害制裁法の早期制定や、中国で人権侵害に悪用されかねない技術の輸出規制に関する法整備を訴えた。 記者会見で、日本ウイグル協会の于田ケリム会長は 「ウイグルでのジェノサイド(集団殺害)を阻止するため、具体的な政策を取る段階にある」 「日本政府はサミットで指導力を果たしてほしい」 と求めた。 チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ代表は 「人権侵害や宗教迫害に対し、我々に自由と自決権を与えるよう促す声明をお願いしたい」 と訴えた。 内モンゴル出身者で作る世界モンゴル人連盟のオランチメグ氏も 「G7議長国として日本政府は中国に対し、ジェノサイド政策を中止するよう声明を求めたい」 と指摘した。 香港出身の民主活動家の葉錦龍(よう・きんりゅう)氏は 「アジアにおける民主主義、自由の砦である日本が先導し、香港人の権利と自由を守ってほしい」 と語った。 要望書は2023年4月19日、超党派の 「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」 に提出した。 G7各国の在日大使館にも届けるという。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
|