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岸田首相「2つの約束」の無意味さ…実現できないことを約束することは相手を騙すこと 西村カリン ニッポン見聞考
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/339096
2024/04/18 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
約束します(会見する岸田首相=3月28日)/(C)J M P A
今年の3月28日、岸田総理大臣は記者会見を開いた。外国人記者の私も抽選で当選して総理官邸の記者会見場に行った。自分が選んだ席に自由に座れないので、司会者からほぼ一番遠い席に座らせられた。この席だと質問できる可能性はほぼゼロだと思った。予想通り指名されなかった。
それでも、岸田総理の冒頭発言にしっかり耳を傾けた。そこでびっくりしたのは次の発言だった。
「最後に、国民の皆さまに物価高を乗り越える2つの約束を明確に申し上げます。まず、今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現します。そして、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させます」
何がおかしいかというと「約束」という単語だ。過去も現在も民主主義かつ資本主義の国では、政府が物価上昇及び賃上げをコントロールすることはできない。「新しい資本主義」といっても、政府の意思と力で「物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」とは言えないはずだが、岸田総理はそう言っている。記者会見の場で質問する記者が、誰もその約束の無意味さを指摘しないことにも驚いた。
翌日に官房長官の記者会見に参加したので、総理にできなかった質問を林芳正官房長官に聞いた。
「昨日の岸田総理の発言についてお尋ねします。岸田総理は記者会見で国民に『2つの約束』をしました。なぜ『約束』なのですか?」
いつも私が質問する際には、官房長官は自分の言葉で答えようとせず、官僚たちに用意されたメモをもらってから答弁する。今回はあまりにも想定外の質問だったようで、なんと官房長官は50秒間も無言になってしまい、その間、私は待たされた。こんな長い沈黙は初めてだった。
林官房長官は自分の言葉で答えることができると思う。しかし、官僚たちのメモを読み上げた方が安心だからそれをしない。問題は、そうすると質問にちゃんと答えないことが多くなる。事前に用意されたメモに過ぎないので、聞かれた質問にピッタリ合った答弁にはならないのだ。
今回の岸田総理の「約束」は結果的に「約束」ではない。あくまで「目標」に過ぎない。「国民は深く考えないので信じてくれる」というのが総理の本音だったのか。ただ、自分で実現できないことを約束するのは相手を騙すことだ。
西村カリン ジャーナリスト
仏の公共ラジオ「ラジオ・フランス」とリベラシオン紙の特派員。1970年、仏で生まれ、2004年末から20年までAFP通信東京支局特派員。近著に「Japon,la face cachée de la perfection(日本、完璧さの隠れた裏側)」、初の小説「L'affaire Midori(みどり事件)」。
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