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※紙面抜粋
※2024年4月20日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
頭にあるのは票とカネ(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
問題だらけの「少子化対策法案」が、19日衆院を通過した。参院審議を経て、この国会で成立する見通しだ。法案の肝は、少子化対策の財源確保のために、医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」の創設である。しかし、こんな詐欺のようなやり方が許されるのか。
法案が成立すると、国民は新たに年間1兆円を負担することになる。事実上の「子育て増税」である。ところが、岸田政権は「国民負担は生じない」と、ミエミエの嘘をつき続けているのだから、ふざけるにも程があるというものだ。
コトの発端は2023年1月、岸田首相が人気取りのために「異次元の少子化対策」を打ち出したことだ。その時、問題になったのが、新たに必要となる1兆円の財源をどう捻出するかだった。「増税めがね」と揶揄されていた岸田が、苦し紛れに思いついたのが、医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」の新設だった。
すべては、増税批判を避けるために、医療保険料をアップして賄うというムリ筋からはじまったものだ。
「もし、岸田首相が日本の少子化を本気で心配しているなら、国民に危機を訴え、負担増をお願いするのが当たり前です。国民だって正面から『子育て増税』をお願いされたら、増税への賛否は別にして、少子化を深刻に受け止めたはずです。なのに『支援金』に形を変え、この期に及んで『実質的な負担増はない』と繰り返している。しかも、支援金を小さく見せるために、当初、国会で『月額450円だ』と恣意的な数字をあげ、衆院の採決直前になって『年収600万円なら1000円』という試算を出してきた。夫婦共働きなら年間2万4000円の負担です。それも野党から要求されて、やっと試算額を出している。1兆円の増税なのに、『月額450円』『実質負担なし』とは、岸田政権のやっていることは詐欺師も同然。国民が怒るのも当然です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
そもそも、医療保険料を「少子化対策」に使うのは、目的外使用にあたり、「受益者負担」の原則に反するものだ。医療保険料をアップするなら、医療サービスの拡充に回さないとスジが通らない。
なぜ、岸田は正面から「少子化」の危機を訴えないのか。
しょせん「異次元の少子化対策」も、支持率アップのためにブチ上げただけなのだろう。本気で少子化対策に取り組むつもりがないのは明らかだ。
子どもは増えないピント外れ
加藤鮎子こども政策相の答弁も支離滅裂(C)日刊ゲンダイ
実際、岸田政権の少子化対策はピントがずれているものばかりだ。このままでは「1兆円増税」をしても、子どもは増えないのではないか。児童手当の拡充など「子育て支援」に偏り、「少子化対策」になっていないからだ。
日本の少子化が止まらないのは、結婚するカップルが減っているからである。
夫婦の平均出生数である「完結出生児数」は、この数十年、ほぼ2人で推移している。結婚したカップルは、40年前と変わらず、ほぼ2人の子どもをもうけている。
少子化を止めるためには、まず若い世代が安心して結婚し、子どもを持てる環境を整えることが先だ。なのに「1兆円」も増税したら、逆効果になるだけである。ただでさえ、実質賃金が23カ月も連続ダウンして、庶民は苦しい生活をしているのに、現役世代の負担を増やしたら、結婚、出産を諦める若者を増やすことになる。
これだけでも、岸田政権が「少子化対策」に本気じゃないのはハッキリしているのではないか。それもこれも、頭にあるのは、国民生活ではなく、「票」と「カネ」だからなのではないか。
19日の朝日新聞の1面記事<法人税優遇 減収2.3兆円>を読んで、多くの読者は呆れ返ったに違いない。「研究開発減税」や「賃上げ減税」といった「租税特別措置」によって、「資本金100億円超」の大企業が、“巨額減税”の恩恵を受けているというのだ。実際、「研究開発減税」や「賃上げ減税」は、中小零細企業にはほとんど無関係なだけに、大企業だけで2兆3000億円の減税を享受している可能性がある。疑惑なのは、多くの大企業が自民党に献金していることだ。
朝日新聞は<企業や業界団体が自民党に多額の寄付をし、党は減税で大企業への恩恵をもたらしているのではないか>と書いていた。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「自民党の政策は、税制にしろ、補助金にしろ、政治献金をしてくれる大企業のために行われているのが実情です。庶民は輸入インフレに苦しんでいるのに、円安を放置しているのも、大企業が儲かるからです。もし、岸田政権が本気で少子化対策をやるつもりだったら、優遇税制は中小企業に限定し、大企業を潤している“研究開発減税”や“賃上げ減税”をやめてしまえば済むことです。ざっと2兆円の財源を捻出できますよ」
元凶が「対策」するブラックジョーク
こうなると、最大の「少子化対策」は、自民党政権の退陣なのではないか。庶民に目が向いていない岸田政権のままでは、少子化対策のための「1兆円」も捨てガネになるだけだ。
そもそも、ここまで少子化が進んだのも、自民党政治の責任が大きい。
自民党はスポンサーである大企業に恩恵を与えるために、平気で庶民を犠牲にしてきた。過去30年間を振り返っても、法人税減税を7回も実施し、その穴埋めのために、大衆増税である消費税増税を3回も強行している。消費税は逆進性が強いために、低所得者ほど負担が重くなる。税率が10%に引き上げられたため、いまや消費税収入は過去最高の23兆円に膨れ上がっている。その分、国民の懐が苦しくなっているということだ。
さらに、かつて「1億総中流」と言われた日本の強みは、雇用が安定していることだったのに、自民党政権は、大企業が労働者を安くコキ使えるように、労働者派遣法を改定してしまった。将来不安が強くなれば、若者世代が結婚しなくなるのは当たり前である。少子化を招いた元凶が、「異次元の少子化対策」とはブラックジョークである。
「少子化をストップさせるためには、これまでの発想を変え、自民党政権が行ってきた政策を大きく転換するしかない。なのに、岸田政権の少子化対策を見ていると、自民党は政策を変えるつもりがないように見えます。“政治とカネ”の問題にしても、これだけ自民党政治への批判が強まっているのに、政治資金規正法を抜本的に見直そうとしない。これまで通り、国民ではなく大企業優先の政治を続けるつもりなのでしょう」(金子勝氏=前出)
「1兆円増税」を強行するつもりなのに、「国民負担は生じない」などと、平然と詐欺師のように嘘をつく政権を絶対に許してはダメだ。
政権が交代すれば、少子化対策だけでなく、国民生活に関わるあらゆる政策が大きく変わるのは間違いない。
逆に言うと、自民党政権が続く限り、なにも変わらないということだ。
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