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元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2061751.html
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国際関係の悪化や異常気象などが頻発する中、政府は「農政の憲法」と呼ばれる食料・農業・農村基本法(農基法)を25年ぶりに改正しようとしている。わが国の食料自給率は2022年度カロリーベースで37.6%にとどまり、主要7カ国(G7)の中で最も低い。しかし、改正法案の中身は食料供給をさらに海外に頼り、国内農業の足腰を弱くする方針に終始している。
この改正に対し、全国の農業関係者から「農業の軽視」との批判が相次ぐ。国会周辺では抗議活動も展開されているが、マスコミ各社は肯定的な扱いに終始する。農基法改正案の問題点が報じられない中、4月18日には与党などの参政多数で衆院農水委員会で議決された。
同法案の中身を検証した上で、同法成立を阻止する動きを見てみる。
URL: https://www.maff.go.jp/j/law/bill/213/attach/pdf/index-1.pdf
食料自給放棄し、大手IT利する農基法改正案
法案の第1条で「食料安全保障の確保」という語句を初めて登場させた。第2条第1項でこの語句を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態をいう」と定義づけている。
ところが、第4項で「国内の人口の減少に伴う国内の食料の需要の減少が見込まれる中においては、国内への食糧の供給に加え、海外への輸出を図る……」とうたい、22条は見出しを「農産物の輸出の促進」としている。人口回復は目指さず、生まれ来る子孫が食べる分を売ってしまえと言っているに等しい。どこが食料安保だろうか。
致命的なのは、基本計画について定めた第17条。第2項で「基本計画は、次に掲げる事項について定める」としているが、第2号にあった「食料自給率の目標」を「食料安全保障の動向に関する事項」に変え、第3号を「食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する事項の目標」としたのだ。農業経済学が専門の鈴木宣弘・東京大学大学院特任教授によれば、最初の案には「食料自給率」という言葉が一掃されていた。自民党議員との折衝で文字だけは復活したという。食料自給率向上を国家目標から外したい本音が見える。
農業の生産性向上のため、「先端的な技術を活用」することも強調されている(第20条、第29条、第30条)。農水省のホームページによれば、ロボットやAI、IoT(モノのインターネット)などを活用した「スマート農業」を指すと思われる。
国内でまかなえない農産物や肥料その他の農業資材を確保するため、「輸入の相手国への投資の促進」もうたっている(第21条、第22条)。
きな臭いのは、第24条を「不測時における措置」と題し、凶作や輸入の減少など不測の事態が発生するおそれがあると国が判断したときから「備蓄する食糧の供給、食料の輸入の拡大その他必要な施策を講ずる」と定めたこと。まるで戦争を想定しているように思える。というのは、2月27日に農基法と一緒に閣議決定されたのが食料供給困難事態対策法案だからだ。
URL: https://www.maff.go.jp/j/law/bill/213/attach/pdf/index-19.pdf
この新法では、状況を「平時」と「食料供給困難兆候」「食料供給困難事態」「最低限必要な食料が確保されない恐れ」の4段階に分ける。「平時」には農水相が国内外の情報収集に努める。
「食料供給困難兆候」と判断したときは首相をトップとし全閣僚が参加する政府対策本部を設置。商社やメーカーなどに計画的な出荷調整や輸入拡大を要請する。農林水産品の生産者にも増産を求め、必要があれば補助金を出す。
「食料供給困難事態」は供給量が2割以上減り、価格高騰などが発生した場合。政府は生産者や事業者に食糧確保に向けた計画の策定を指示する。計画を届け出なければ、20万円以下の罰金が科される。
「最低限必要な食料が確保されない恐れ」があると認めたときは、計画の変更を指示できる。変更に応じれば、追加の財政支援もある。事態がさらに悪化し、事態がさらに悪化したときは、政府がコメやサツマイモなど熱量の高い品目への生産転換を要請・指示する。
農基法では他に、SDG’sに基づいた「環境への負荷の低減」という言葉も頻出する(第4条、第5条、第20条、第32条)。科学的根拠のない地球温暖化人為説を理由に農業生産活動が制限される恐れがある。
第37条に「農作業の受託、農業機械の貸渡し、農作業を行う人材の派遣、農業経営に係る情報の分析及び助言その他の農業経営の支援を行う事業者」の活動支援がうたわれている。農水省のホームページによれば、これは「サービス事業体」を指す。すなわち、スマート農業技術を活用した次世代型事業体で、これへのアウトソージングによってスマート農業の導入・運営にかかる投資を抑えられるとしている。
第41条では、家畜の伝染性疾病や有害な動植物の発生予防・まん延防止のための施策を講じることとしている。コロナ騒動では何ら強毒性ウイルスの存在証明が示されなかったが、「パンデミック条約」や国際保健規則(IHR)改定と相まって、「感染」を口実に大量の家畜処分が強制される懸念を持つ。
瀕死の農家にむち打つマスコミ報道
農業を切り捨てるような内容の同法案を、マスコミはどう報じているだろうか。
毎日新聞は「農業基本法と食料安保 担い手育てる政策急ぐ時」と題する社説を載せている。高齢化が進む今の農業の窮地を救うには、「若手や農業法人に集約させることが不可欠」として、規模の拡大と集約化を説く。「ITを活用したスマート農業にも期待」し、「企業が農家と連携して参入する選択肢を増やしたい」としている。肥料や電気代の高騰に対しては、「効率改善の施策を講じ」よと主張する。
しかし、これは基本法の趣旨を支持するもので、小規模農家に引導を渡し、グローバル企業を利する意見にすぎないのではないか。
産経新聞は「農業基本法の改正 食料安保に資する基盤を」と題する社説を掲載した。気候変動や地政学上のリスクが高まる中、「食料安保の確保を目指す方向性は妥当」であり、「環境負荷低減などの新たな課題も盛り込んでおり、今国会での確実な成立を図りたい」としている。
「海外への輸出促進」が提言されたことは「農業経営の収益性を高めるだけでなく、不足時に国内供給に回す余地にもなり得よう」と評価。食料自給率に加え新たな指標が設けられることについて「肥料」や「生産資材」などの要素を挙げ、「実効性のある目標を設定してもらいたい」と期待する。
不測時の対応を規定した食料供給困難自体対策法案も「周知を図らねばならない」と歓迎している。
同法案を全面的に肯定しており、国内で完結する平時からの農家存続のための支援には言及していない。
北海道新聞は「農業基本法改正 食料安保支える道筋必要」と題する社説を掲載。改正案は「戦時中の配給統制のようにならぬか懸念がある」としながら、「社会全体のあり方を変えねば食料安保は『絵に描いた餅』に終わる」と猛烈な変革を訴えている。
しかし、その内容は「農地集約や機械化による生産性向上は重要命題」「共同化と技術革新がなければ集約には限度があろうであろう」などと、改正案に沿ったものにすぎない。
「ITを活用した自動運転トラクターなどスマート農業は省力化に効果的である。開発や普及は国が財政面で負担し、担い手確保への基盤づくりを進めるべきだ」と主張する。
一方、普通の農業への財政支出には冷淡だ。コスト高騰の中、「価格転嫁がなかなかできていない」ことを問題視するが、「かつての米価のように国が介入する手法では消費者が納得しないだろう。食品会社やスーパーなど小売りとも連携し、適正価格の合意を図る開かれた場が必要だ」と訴え、農家が調停申し立てを行えるフランスの例を挙げている。
しかし、フランスは農業所得に占める補助金の割合が90%を超えている。わが国は3割程度で類を見ない。鈴木宣弘東京大学大学院教授によれば、「農家に払う価格は、イオンがいくらで売るかで決まる」のが現実だ。
瀕死状態の国内農家の経営に対する冷遇に、マスコミも加勢しているのが実態だ。(中)へ続く
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