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※紙面抜粋
※2024年3月22日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
辞意表明が有権者の大意(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
さながら腐敗政治の見本市だ。告示(4月16日、28日投開票)まで1カ月を切った衆院トリプル補選。岸田政権の命運がかかる各選挙区から腐臭がプンプン漂ってくる。
東京15区は公選法違反の罪で有罪判決を受けた柿沢未途前法務副大臣の、長崎3区は安倍派の裏金事件で略式命令を受けた谷川弥一氏の、それぞれ議員辞職に伴う。刑事事件に発展した「政治とカネ」の悪臭を放つが、臭いのキツさは細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区も負けていない。
晩年の細田は統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との深すぎる関係やセクハラ疑惑が取り沙汰され、昨年11月の死去後に会長として長年率いてきた現安倍派の組織的な裏金事件が炸裂。温床である派閥パーティーのキックバックの差配は「会長案件」と指摘される。「死人に口ナシ」とはいえ、細田の政治責任は亡くなった後も残り、有権者のハナをつく腐臭はこびりついたままだ。
東京15区の醜悪さも特筆ものだ。柿沢の前任である元衆院議員の秋元司被告もカジノ事業を巡る汚職事件で実刑判決(控訴中)を受けた。逮捕者が2代続き、さすがの自民も独自候補を見送る公算が大きい。「不戦敗」は避けようとワラにもすがる思いで、小池都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会との「相乗り」を模索する中、渦中の秋元がナント、補選立候補を表明したのだ。
20日の会見で「東京15区の不祥事、混乱のスタートが私だったことも含めて、これをしっかりと正常化し、収めていかなくてはいけない」と強弁したが、どのツラ下げてとしか言いようがない。
選挙となれば厚顔無恥の「自民クオリティー」
秋元は1審で懲役4年、追徴金約758万円の判決を受け、22日控訴審判決を言い渡される。結果にかかわらず出馬の意向で、なぜか「必ず無罪を勝ち取ると信じている」と自信マンマン。逆転無罪の判決が出た場合、自民に公認申請する意欲を示した。「事件がすっきりカタがつけば、党に戻るという動きをさせていただきたい。可能性はある」と言い放ったものの、無罪はともかく、公認を得る可能性はゼロに等しい。
それでも補選に挑むのは古巣の足元を見て、ある程度は自民の票を奪えるという淡い期待ゆえか。かつての仇敵の小池にラブコールを送る党本部や都連の動きを含め、これぞ厚顔無恥な「自民クオリティー」。いざ、選挙となれば恥も外聞もなく、有権者度外視で手前勝手な行動ばかりやってのける。世にもおぞましい東京15区はその象徴だ。
長崎3区も自民は「不戦敗やむなし」。ただでさえ、裏金直撃の逆風選挙に加え、次期衆院選から小選挙区定数の「10増10減」に伴い、長崎3区は新2区と新3区に分割される。新2〜3区はすでに自民候補が固まり、仮に補選で当選しても処遇が面倒になる。わざわざ、火中の栗を拾うバカはいないということだ。
2つの選挙区で「不戦敗」が濃厚となれば「全敗」回避のため、苦境に立つ自民は「島根だけでも」とシャカリキとなる。それこそ、何でもやってくるに違いない。
島根は竹下登元首相や青木幹雄元官房長官らを輩出した「保守王国」で、自民にとっては「弔い選挙」だ。本来なら負ける要素は皆無のはずが、裏金事件や細田の数々の問題が尾を引き、想像をはるかに超える逆風に苦しんでいる。
「党実施の情勢調査では対立候補に大幅リードを許す厳しい結果が出たといいます。楽観ムードは完全に吹き飛び、党本部も複数の職員を送り、テコ入れに必死。とはいえ、公募で擁立した元財務官僚の錦織功政氏は知名度不足。敗北の責任を負わされるのを恐れてか、選対本部長を買って出る人もなかなか現れなかった。ようやくベテラン県議が収まったものの、選挙を主導するには力不足です。本来なら現職の国会議員が務めるべき役職ですが……」(自民党関係者)
島根選出といえば青木幹雄の長男・一彦参院議員は茂木派を飛び出し、選挙を仕切る茂木幹事長とは対立関係にある。20日の錦織の事務所開きには、その茂木が自ら県連に打診して現地入り。党幹部として最初に応援に駆け付け、裏金事件をわびたが、明らかなミスキャストだった。
1つでも勝てば居直り裏金政治は変わらない
茂木は公開基準の緩い政治団体に資金を移し替える「茂木方式」により、億単位の使途不明金問題を抱え、野党の追及を受ける身だ。法の抜け穴をかいくぐる「新たな裏金」の当事者に、謝まられたって地元はドッチラケ。ますます票が離れるだけである。
対する立憲民主は元職の亀井亜紀子氏を擁立。07年の参院島根選挙区で自民候補を破り、17年衆院選で比例復活の実績もあり、知名度に勝る。18日には共産が予定していた新人の擁立を見送り、亀井を自主支援すると発表した。国民民主も県連レベルでの亀井支援を決め、日本維新の会は擁立見送りの公算大だ。
事実上の与野党一騎打ちの構図に持ち込み、自民が東京と長崎で候補擁立を断念すれば、立憲幹部が軒並み現地入りするなど島根1区に野党の戦力を集中できるメリットも生じる。
立憲にすれば願ってもない好機が訪れつつあるが、自民は劣勢に立てば立つほど「1勝」に賭け、アノ手コノ手を繰り出してくるに決まっている。
「野党は油断大敵です。自民も1つの選挙区に潤沢な資金を集中投下できるので、何をするか知れたものではない」と、政治評論家の本澤二郎氏はこう指摘する。
「負けが許されない選挙になれば手段を選ばず、どんな汚い手を使ってでも勝ちに行くのが自民の悪しき伝統です。候補者への誹謗中傷に近い禁じ手も考えられます。たとえ僅差であっても、自民が1勝すれば裏金事件に居直り、『禊』ムードを強めるに決まっています。逆に野党が島根1区を落とすと、裏金自民に辟易し、政治を大きく変えようとする機運も一気にしぼみかねない。全国の有権者もSNSなどで島根の人々とつながり、不正な選挙に監視の目を光らせる必要があります」
米国の威を借る傀儡国の「自発的隷従」
トリプル補選「0勝」に終われば一気に「岸田降ろし」だ。その保険のためか、岸田首相は「頼みは米国」とばかりに着々と布石を打っている。
先週は昨年11月の屋久島沖での墜落事故以来、全世界で停止していたオスプレイの飛行を再開。米国側の「訴訟に関わるから」との説明通り、事故原因すら国民にハッキリ示さないまま。米国が安全とおっしゃるなら、と唯々諾々と追従した。
19日には、米国からの武器“爆買い”で大幅に膨らんだ「兵器ローン」の時限法を恒久化する法案が衆院通過。来週26日には、日英伊で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出解禁の方針を閣議決定する見込みだ。
「裏金事件のドサクサ紛れに『戦時体制』への準備を加速とは、もってのほか。4月10日からの国賓待遇の訪米に向け、あからさまな“お土産”づくりです。岸田首相は自分の身を守るためなら、何でもする。今度は米国の威を借りて、裏金事件の火の粉を払い、政権継続のお墨付きを得ようとしているだけです。自己保身のためなら、戦後長らく日本が掲げてきた武器禁輸の原則をかなぐり捨てても平気の平左。宗主国に従う傀儡国の最高権力者のような振る舞いは、『自発的隷従』そのものです。世論調査を見ても『早く辞めてくれ』が有権者の大意であるなら、トリプル補選では岸田首相に退場勧告を突きつけ、自民を政権の座から引きずり降ろす足がかりにしなければいけません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
野党も真価が問われる。補選3タテで岸田政権にトドメを刺せなければ、半永久的に政権交代の選択肢には成り得ないと覚悟すべきだ。
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