<■513行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 次期戦闘機の輸出 産読日「同志国増やす」と評価 朝毎東「平和主義にそぐわぬ」 社説検証 2024/3/20 9:00 https://www.sankei.com/article/20240320-SRMAB4OGB5MQLMEYFL67D7NFR4/ 日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機について、自民、公明両党は第3国への輸出を解禁することで正式合意した。 現行の指針では、殺傷力のある防衛装備品は同盟国と共同開発国以外には輸出できない。 政府は近く、防衛装備移転3原則の運用指針を改定する。 安全保障を巡る環境が激変する中、産経、読売は合意を歓迎、日経も肯定的に受け止めた。 一方、朝日、毎日、東京は、 「平和国家として歩んできた日本への信用を揺るがしかねない」 などと合意を非難、与党に再考を迫った。 産経は、輸出解禁を 「歓迎したい」 と評価した。 輸出により生産数を増やせば調達単価を低減できる上、 「安全保障上の同志国を増やすことにも繋がる」 からだ。 それにより 「中国などへの抑止力が高まり、日本の守りに資する」 と説いた。 読売も、輸出解禁は友好国との 「安保協力を深める大事な一歩」 と見出しに掲げた。 戦闘機などの大型装備品は 「国際共同開発が主流」 であり、むしろこのまま輸出できなければ、 「日本は制約の多い国だ」 とみなされ、 「様々な装備品の共同開発に参画しにくくなっただろう」 と論じた。 日経は、安保環境の現実を考えれば 「(合意は)理解できる」 とした。 輸出先を広げるメリットとして、生産コストの縮減や防衛産業の育成を挙げた他、共同開発に当たり一方、朝日は正式合意前の2024年2月の社説で、輸出解禁は 「平和国家として歩んできた日本への信用を揺るがしかねない」 と反発を露わにした。 国民的議論を抜きに決められたとし、 「民主主義の在り方としても見過ごせない」 と難じた。 毎日も、国会で十分に議論されていないとした上で、戦闘機の輸出は 「国際紛争を助長する恐れがある」 「憲法の平和主義に反しかねない問題だ」 と批判した。 その上で 「平和国家としての日本の在り方が問われている」 「なし崩しで進めるべきではない」 と牽制した。 東京も 「平和国家の理念と価値を損なう」 とし、政府に 「再考を求める」 と迫った。 合意に至る過程も問題視し、 「憲法の平和主義に関わる基本政策の転換を、国会での審議を経ず、政府与党だけで決めることなど許されない」 と強調した。 今回の合意では、輸出対象を次期戦闘機に限定した。 政府と自民党は当初、共同開発する防衛装備品全般の解禁を目指したが、公明党が慎重姿勢を崩さなかったためだ。 輸出先も日本と 「防衛装備品・技術移転協定」 を結ぶ国に限定し、現に戦闘が行われている国は対象外とした。 こうした制約にも朝日、毎日、東京は 「歯止めが機能するかは疑問だ」(毎日) などと懸念を示した。 これに対し、産経は、共同開発の門戸を広げるためにも、 「次期戦闘機に限らず一般的な原則として輸出解禁に踏み切るべきだった」 と主張。 現に戦闘が行われている国は対象外とした規定には、 「実際に侵略され最も苦しんでいる国に救いの手を効果的に差し伸べることを禁じるつもりか」 と疑問を投げかけた。 産経は、防衛装備品輸出を批判する意見を 「偽善的平和主義の謬論(びゅうろん)」 と一蹴した。 ロシアがウクライナを侵略し、中国は台湾への軍事、政治的威圧を強めている。 北朝鮮は国連安全保障理事会決議を無視してミサイル発射を続ける。 これらの強権国家はいずれも日本の近隣国だ。 日本だけが平和であればよいという 「一国平和主義」 が通用しないことは明白だ。 戦争を回避し、自国民を守るには、同盟国や同志国と協力し、抑止力を高めていかなければならない。 それが積極的平和主義、現実的平和主義である、と知るべきだろう。 ◇ 戦闘機輸出解禁を巡る主な社説 【産経】 ・「次期戦闘機」だけなのか(2024年3月17日付) ・公明は平和履き違えるな(2024年2月29日付) 【朝日】 ・平和国家の信用揺らぐ(2024年2月23日付) 【毎日】 ・なし崩しで突き進むのか(2024年3月16日付) 【読売】 ・安保協力を深める大事な一歩(2024年3月16日付) ・輸出解禁へ政府は説明尽くせ(2024年2月8日付) 【日経】 ・戦闘機輸出を国際協調と抑止力の強化に(2024年3月17日付) 【東京】 ・平和国家の理念損なう(2024年3月15日付)公明党は 「第3国移転を一般的に認めれば、平和国家としての信頼が崩れてしまうのではないか」 と言うが、実際はむしろ逆だ。 日本は自国の都合・論理でしか考えない独り善がり・ワガママな国だと思わるだけだ。 もちろん立民・共産は論外だ。 単に紛争地域だからそこには武器輸出が出来ないというのは明らかにおかしい。 ウクライナのように明らかに侵略されて困っている国や地域を支援するために、日本も武器輸出・殺傷兵器の輸出を即時認めるべきだ。 歯止めばかり強調するのはナンセンスだ。 歯止めより重要な事は、侵略されている国や地域を支援するための武器輸出・殺傷兵器の輸出だ。 公明党は平和の党というより、腰抜けの党だ。 公明党は中国の顔色ばかり窺っている売国奴だ。 公明党は与党というより実質左派野党だ。 政府側の説明不足を指摘する公明幹部に対し、国家安全保障局幹部らは2024年1月以降、改めて説明に出向いているが、未だ理解は得られていない。 公明党は 「政府説明がない」 「2024年2月中に結論を出すことに繋がるかどうかは、政府側の努力にかかっている」 「真正面から議論されていない」 などと政府や自民党に責任転嫁しようとしているが、公明党自身が自ら・自主的に 「殺傷能力を持つ兵器の第3国への輸出の必要性」 を感じていないことこそが大問題だ。 自民党は公明党との連立を解消すべきだ。 <正論>積極支援こそ平和国家日本の道 元陸上幕僚長・岩田清文 2024/3/15 8:00 https://www.sankei.com/article/20240315-PWDY3DE7EJOVTET27KJ4B6LCNY/ ■次期戦闘機の第3国移転巡り 日英伊3カ国共同による次期戦闘機の第3国移転に関し、ようやく自公両党の合意がなされるもようだ。 2023年春から継続してきた両党実務者協議の議論では、公明党も合意をしていたようだが、山口那津男代表は2023年11月の会見で 「国民の理解が得られるように慌てないで議論していくことが重要だ」 と慎重姿勢を示した。 両党実務者協議成果の 「ちゃぶ台返し」 とも言えるこの発言に対し、自民党国防部会・安全保障調査会合同会議の場では 「連立を解消してでも進めるべきだ」 との声も上がっていた。 先祖返りした公明党の理解を得るため、岸田文雄首相は2024年3月5日の参院予算委員会で、第3国への輸出解禁の必要性を説明した。 この首相答弁を受け、山口代表は2024年3月5日の記者会見で 「かなり丁寧に出来るだけ分かりやすく説明をしようという姿勢」 と評価した。 山口代表とすれば、首相自らの説明を引き出したことにより、公明党支持基盤への理解が求めやすくなったということであろう。 防衛装備移転に関する自公調整の論点は、この共同開発装備のみではない。 輸出装備の対象を、現状の5類型(救難・輸送・警戒・監視・掃海)に限らず、殺傷兵器の分野まで広げる点については、未だ大きな隔たりがある。 自民党が5類型を撤廃する案や防空などの類型を追加する案を提示しているが、公明党は類型の撤廃に反対すると共に、類型を追加したとしても教育訓練や地雷処理に限定すべきとの主張をしている。 このように、1年近くに渡り自公調整が難航する背景はどこにあるのか。 そこには両党が描く国家像の大きな違いがあると筆者は見ている。 2022年12月に閣議決定された 「国家安全保障戦略」 には、第3国移転は 「日本にとって望ましい安全保障環境の創出」 の重要な手段と意義付けている。 また両党実務者協議の座長を務める小野寺五典元防衛相は 「共同開発・生産は半ば同盟と同じ意味がある」 「NATOとの関係強化は東アジアでの抑止力強化にも繫がる」 との認識を示してきた。 ■「消極的平和主義」への疑問 更に岸田首相は 「完成品の第3国移転を含め、国際共同開発生産に幅広く、円滑に取り組むことが国益に適う」 と明言している。 装備の輸出により、装備を絆とした相手国との同盟的な仲間を増やすことが可能となり、日本の安全保障にも寄与するとの考え方である。 一方、公明党の西田実仁参院会長は2024年3月5日の予算委において、 「次期戦闘機という最も殺傷能力の高い防衛装備品の第3国輸出が出来るようになれば、それが前例となり、如何なる殺傷能力を持った武器も輸出出来るようになるのではないか」 「にわかな政策変更は、これまで日本が培ってきた平和国家としての信頼を損なうことになるのではないか」 と疑問を示している。 公明党が描く平和主義とは、自らは殺傷や破壊行為に関わらない、 「消極的平和主義」 と言えるだろう。 日本国憲法の前文には 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」 とある。 現状に重ねれば、まさに今、ウクライナを助けるため努力している国際社会で、日本も自ら積極的にウクライナを支援することにより、国際社会から名誉ある地位を占めようとすることが理想とされているだろう。 ■激変する安保環境認識を まさに 「積極的平和主義」 だ。 2024年2月下旬、ゼレンスキー大統領は3万1000人のウクライナ兵が死亡したと発表し、各国の支援を強く求めている。 殺傷兵器は、ロシア軍を破壊することにはなるが、結果的にウクライナ兵を直接守るために不可欠な装備であり、ウクライナ自身が切望している。 他の民主主義国家と共に、兵器を含めウクライナが要望する装備を輸出することは、憲法の精神にも適う積極的平和主義ではないだろうか。 自分の国だけは殺傷兵器に関わりたくないという姿勢は、他国の目には、 「1国平和主義」 と映っているかもしれない。 今や世界は戦後最も厳しい安全保障環境に激変している。 米国でさえも1国では急拡大する中国の軍事力に対応できず、まして中国・ロシア・イラン・北朝鮮の権威主義国連合に対応できない状況になっている。 民主主義国家が揃って助け合わなければ生きていけない国際社会になりつつあるとの認識を持つべきだ。 「情けは人の為ならず」、 価値観を共有する同志国に対し、できる限りの積極的な支援を継続することにより、いざという時に助けてもらえる仲間を増やしていく。 このような積極的平和主義こそが、日本が仲間と共に平和を構築する国であるとの信頼に繫がるものと信じている。 日本の独立と平和に責任を持つ政党であるならば、世界の平和に積極的に貢献することが平和国家としての生き方であることを理解してもらいたいと切に願う。 <正論>平和を気取る身勝手な偽善排せ 麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男 2024/3/1 8:00 https://www.sankei.com/article/20240301-VGYN7DDSYFJR7KWB4VFNBGJTPI/ ロシアのウクライナ侵攻から2年が経過した。 2023年10月からウクライナ東部の防衛拠点アウディーイウカで激戦が続いていたが、遂に露軍の手に落ちた。 米国の軍事支援が滞っている今、同拠点のみならず全局面でウクライナ軍は苦境に立たされている。 ■ウクライナ支援継続、強化 「支援疲れ」 もあり、 「停戦」 をという声もある。 だが約18%の領土をロシアに占領されたまま停戦が実現すれば、軍事力による国境変更を禁じた戦後の国際規範は崩壊する。 しかもプーチン露大統領のいう 「停戦」 は、次なる戦争への準備期間にすぎず、真の平和が訪れる保証はない。 もし日本が侵略され、四国、九州、沖縄(合計で約15%)が占領されたところで、 「停戦」 を促されたらどう思うか。 約18%の領土を諦めるのは、ウクライナ国民にとって耐え難い事である。 「力による現状変更」 を認めないためにも日本は諸外国と連携しウクライナ支援を継続、強化しなければならない。 米国に対してはウクライナ支援継続を強く訴えるべきだ。 そのためにも日本自身が武器支援に踏み出す必要がある。 朝鮮戦争の際、日本は武器弾薬を輸出して国連軍に貢献した。 しかしながら1967年、佐藤栄作首相が共産圏・紛争当事国などへの武器輸出禁止を決め、1976年には三木武夫首相が 「武器輸出を慎む」 と答弁して武器輸出の全面禁止が定着した。 2014年、 「防衛装備移転3原則」 が閣議決定され厳格な審査を条件に武器輸出が認められた。 紛争当事国へや国連安保理決議に違反する場合、輸出はできない。 平和貢献・国際協力や日本の安全保障に資する場合などは認められる。 現在、「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5類型のみ認める指針で運用されている。 ウクライナは紛争当事国だから武器弾薬支援は認められない。 だがそれでいいのだろうか。 ウクライナを支援するのは戦後の国際規範維持のためであり、我が国の平和のためでもある。 単に 「殺傷兵器だから」 「紛争当事国だから」 と禁止するのは教条的過ぎる。 ■「武器」と付くだけで拒否 万が一、日本が侵略された場合、自衛隊は国家国民を守るために敢然と立ち向かうだろう。 だが武器弾薬は決定的に不足し、他国の援助に頼らざるを得ない。 そんな時、諸外国が 「(日本がそうしたように)武器弾薬は日本に支援しない」 となることもあり得る。 それだけで日本の抑止力は低下する。 日本はその覚悟があるのか。 侵略に立ち向かうウクライナに武器支援をしないメリットは何か。 平和を気取る、独り善がりで身勝手な偽善に過ぎないのではないか。 侵略を許さない国際規範を守るため、あらゆる支援を尽くしてこそ国際社会で 「名誉ある地位を占める」 ことができる。 防衛装備移転3原則は法律ではなく、政府の意思さえあれば変更可能だ。 ウクライナ国民を守る 「防空兵器」 くらいは直ちに支援すべきだろう。 5類型に 「防空」 を加えればいい。 2023年末、運用指針改正でライセンス生産の地対空ミサイルを米国へ輸出することが可能になった。 これをウクライナにも広げるべきだ。 ウクライナに発電機、変圧器は供与しても防空兵器は供与しないというのは、国際社会に理解されないだろう。 かつて機関砲が付いた巡視艇は輸出できなかった。 自衛隊のトラックも銃の懸架台があるだけで供与できなかった。 「武器」 と付くだけで心情的に拒否する偽善を続けている場合ではない。 ■国際社会で日本の孤立招くな 日本、英国、イタリアとで共同開発する次期戦闘機の第3国輸出に関する問題にも通底している。 共同開発品の直接輸出を巡っては、2023年春から自民、公明両党の実務者で慎重に検討がなされてきた。 2023年7月、実務者協議で容認の方向性が打ち出されたが、2023年11月になって突然、公明党幹部が 「ちゃぶ台返し」 をした。 この間何があったのか、ここでは触れない。 戦闘機は 「殺傷兵器」 ではあるが、開発装備品の輸出は 「友好国を作る」 「抑止力を強める」 「安価になり防衛力整備に貢献」 といった安全保障上のメリットが大きい。 装備品は高性能化、高価格化しており、今や1国では手に負えず、共同開発が主力である。 こんな時、共同開発国の日本だけが輸出できないのは、余りにも理不尽で共同開発国からの信頼も理解も得られない。 ロングボトム駐日英国大使も第3国輸出を巡り 「日本が防衛装備品の輸出ルールの変更を近く実現することが重要だ」 と述べ、 「(日英伊の)対等なパートナーシップに関わる」 と懸念を示している。 湾岸戦争では、日本だけが汗も流さず、130億ドル供与という金で済ませた結果、 「小切手外交」 「身勝手」 「価値観共有せず」 と非難され、孤立した。 国際社会での孤立は、軍事小国としては致命的である。 決して繰り返してはならない。 武器輸出についても諸外国と価値観を共有し、国際平和実現に貢献すべきである。 <主張>防衛装備品の輸出 「次期戦闘機」だけなのか 社説 2024/3/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20240317-YNSM75ACONJYBKUIP3TR5LTTNI/ 国際共同開発の防衛装備品の第3国輸出を巡り、自民、公明両党は日英伊3カ国が共同開発する次期戦闘機に限って認めることで合意した。 岸田文雄首相が歯止め策を示し公明が評価して容認に転じた。 次期戦闘機の輸出対象は 「防衛装備品・技術移転協定」 を結び、現に戦闘が行われていない国に限る。 個別の案件ごとに与党の事前審査を経て閣議決定する。 今回の合意を受け政府は防衛装備移転3原則の運用指針改定を閣議決定する。 次期戦闘機の第3国輸出が可能になることを歓迎したい。 望ましい安全保障環境創出のため積極的に実現したい。 次期戦闘機は令和17年までの配備が目標だ。 日本と移転協定を結んでいるのは現在15カ国でオーストラリア、インド、シンガポール、インドネシアなどインド太平洋の国が多い。 輸出を実現すれば、調達単価を低減できる。 安全保障上の同志国を増やすことにも繋がる。 力による現状変更を志向する中国などへの抑止力が高まり、日本の守りに資する。 ただし、与党合意には問題もある。 殺傷力のある防衛装備品の輸出は平和国家日本の在り方に反するという誤った思い込みから、出来るだけ抑制しようという発想が残っている点だ。 次期戦闘機以外に国際共同開発の装備品輸出の必要性が生じれば、改めて与党協議を経て運用指針に加えるという。 本来は、次期戦闘機に限らず一般的な原則として輸出解禁に踏み切るべきだった。 煩雑な手続きを嫌って日本との共同開発を躊躇う国が現れれば、日本の平和と国益が損なわれる。 現に戦闘をしていない国に限るのも疑問だ。 実際に侵略され最も苦しんでいる国に救いの手を効果的に差し伸べることを禁じるつもりか。 輸出の可否は個別に政策判断すればよい。 日本が侵略される場合、殺傷力のある防衛装備品を提供する国が現れなければ、自衛官や国民の命が一層多く失われかねない。 米欧がウクライナへ火砲や弾薬など防衛装備品を提供しなければ侵略者ロシアが凱歌を上げるだろう。 そのような非道な世界に直結するのが、防衛装備品輸出を批判する偽善的平和主義の謬論(びゅうろん:誤った議論)である。 輸出範囲を不当に限定する移転3原則の5類型の撤廃が欠かせない。 <主張>戦闘機合意先送り 公明は平和履き違えるな 社説 2024/2/29 5:00 https://www.sankei.com/article/20240229-EH4ACUXENFIPNOGWVRTDWIE5GU/ 国際共同開発する防衛装備品の第3国輸出解禁を巡り、自民、公明両党が2024年2月中の合意を断念した。 次期戦闘機を念頭に置いた与党協議で、政府は2024年2月月内の決着を求めていたが、結論を先送りした。 公明が、政府側の説明が十分ではないとして慎重姿勢を崩さないのが最大の理由だ。 殺傷力の有無に拘わらず、国際共同開発する防衛装備品の第3国輸出は日本の守りにも資する。 それを理解しない公明の姿勢は問題で、先送りは残念だ。 公明は早期に容認に転じてもらいたい。 懸念されるのは、公明が 「一国平和主義」 の残滓に捉われている点だ。 日本だけを守れればよい、日本だけが平和であればよいという一国平和主義は、同盟国や同志国と共に抑止力を向上させて平和を守る努力を妨げる。 現代日本に戦乱や危機を呼び込みかねない反平和主義の一種とも言える。 「平和の党」 を掲げているように、公明が真剣に平和を願っていることは分かる。 日本の守りのために次期戦闘機の国際共同開発も容認した。 だが、第3国輸出の意義を理解せず慎重姿勢を崩さないのであれば、平和追求の方法が間違っている。 責任ある与党であり続けたいなら、平和を守る手立てを履き違えてはならない。 「積極的平和主義」 による平和の追求が必要な時代になった点を理解すべきだ。 日英伊3カ国が共同開発する次期戦闘機の第3国輸出を日本が拒めば数兆円かかる開発コストの低減幅が縮む。 価格上昇で英伊両国にも迷惑をかける。 日本には経済力の伸長著しい東南アジアなどへの輸出が期待されている。 日本が見送ると英伊両国がカバーすることは難しく、中国製やロシア製の戦闘機が東南アジア各国で採用されていく恐れもある。 この地域と中露の接近が進みかねない。 法の支配など基本的価値観を共有する友好国に、日本が戦闘機など軍の主要装備を輸出できれば、同志国への格上げを図れる。 東南アジアの民主主義国家などを、専制国家の覇権主義に対抗する抑止力向上の環に加えられれば、日本の安全保障環境の改善にも大きく寄与する。 このような広い視野に立って防衛装備品の輸出を容認するのが、積極的平和主義、現実的平和主義の道である。 次期戦闘機輸出 安保協力を深める大事な一歩 2024/3/16 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240316-OYT1T50000/ 防衛装備品の輸出政策はその重要なツールである。 自民、公明両党が、日英伊3か国で共同開発する次期戦闘機について、第3国への輸出を認めることで合意したのは1歩前進だ。 次期戦闘機は、航空自衛隊が2000年から運用しているF2の後継機として開発する。 高度なステルス性や、無人機と連携するネットワーク戦闘能力を備え、2035年頃の配備を予定している。 開発費が嵩む戦闘機などの大型装備品は、資金を各国で分担する国際共同開発が主流だ。 欧米諸国は、量産化によってコストを下げるため、完成品を第3国に積極的に輸出している。 一方、装備品の輸出を制限してきた日本は、殺傷能力のある完成品の輸出先を、原則として同盟国である米国と、国際共同開発の相手国に限ってきた。 次期戦闘機について、これまでの方針を見直さなければ、日本は英伊両国に技術を提供するだけで、共同開発のメリットを得られなくなる可能性があった。 国際社会から、日本は制約の多い国だとみなされれば、様々な装備品の共同開発に参画しにくくなっただろう。 新たな方針では、次期戦闘機の輸出先は、日本と 「国連憲章に適合した使用」 を義務付けた協定を結んでいる国に限る。 現在の締結国は米英豪など15か国で、日本が輸出した装備品を侵略には使わないことなどを約束している。 国際情勢の変化に合わせ、装備品の輸出政策を見直していくことは当然だ。 今回の決定は、安全保障政策の大きな転換と言える。 平和国家の理念に沿って輸出の条件を厳格に定めることは大切だ。 ただし今回、第3国への輸出を認める装備品は次期戦闘機に限った。 政府が今後、共同開発した装備品を第3国に輸出する場合、事前に与党と協議した上で判断することになる。 公明党の主張で厳しいハードルを課した形だ。 だが、与党協議が難航すれば共同開発に遅れが生じ、友好国との関係に悪影響が出かねない。 大事なことは、世界の平和のために日本の技術をどう生かすか、という視点に立ち、装備品の輸出の是非を判断することだ。 政府・与党は常時、装備品の輸出に関する協議を行い、認識を擦り合わせておく必要がある。 次期戦闘機 輸出解禁へ政府は説明尽くせ 2024/2/8 5:00 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240208-OYT1T50013/ 平和国家の理念を保ちつつ、時代の変化に応じた海外移転のルールを整えたい。 岸田首相はイタリアのメローニ首相と会談し、英国を含めた3か国による次期戦闘機の共同開発を円滑に進める考えで一致した。 自衛隊は現在、F15、F2、F35の3種類の戦闘機を保有しているが、このうちF15とF2は老朽化が指摘されている。 次期戦闘機はそれらの退役を見据え、2035年頃に配備を始める計画だ。 日本周辺の安全保障環境は極端に悪化している。 抑止力を高めるために最新鋭機を導入することは重要だ。 次期戦闘機の共同開発では、部品の調達などを含めて多くの企業が携わることになる。 経済への波及効果も期待できよう。 次期戦闘機を巡って課題となっているのは、共同開発した戦闘機を英伊以外の第3国に輸出することを認めるかどうかだ。 日本は長年、装備品の輸出を制限してきた。 1967年には、紛争当事国などへの輸出を禁じる限定的な武器輸出3原則を定めた。 1976年にはこれを事実上、全面的に禁輸する政府見解を決めた。 現在の防衛装備移転3原則やその運用指針も、共同開発した完成品を輸出できる相手は、開発に携わった国だけに限っている。 一方、国際社会では、共同開発した装備品を第3国に輸出するのが慣例となっている。 量産化によって経費を抑えるためだ。 輸出ルールの緩和に向けて、政府は2023年、自民、公明両党に検討を委ねたが、公明党は見直しに慎重で、与党協議は停滞している。 公明党の山口代表は 「殺傷能力を持つ武器の輸出に国民の理解は得られていない」 と述べている。 日英伊のうち日本だけが第3国への輸出を行わなければ、開発コストを補えないどころか、技術を提供しただけに終わる。 また、国際社会から日本は制約が大きい国だとみられ、今後、他の共同開発に参加しにくくなりかねない。 このため政府は、次期戦闘機を第3国に輸出する場合、相手国の政情を調べる他、装備品の使用目的や管理方法を審査するなど、厳格な条件を付けることで輸出の容認にこぎつけたい考えだ。 日本が関わった装備品が紛争を助長するような事態は、もとより避ける必要がある。 自公両党は粘り強く協議し、一致点を見い出すことが大切だ。 [社説]次期戦闘機の輸出を国際協調と抑止力の強化に 社説 2024年3月16日 19:05 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK14C1N0U4A310C2000000/ 日本のあるべき安全保障の姿を国民的議論に発展させる契機としたい。 自民、公明両党は日英伊3カ国が共同開発・生産する次期戦闘機の日本から第3国への輸出を解禁すると合意した。 次期戦闘機は2035年の配備を目指す。 現行制度では、国際共同開発する防衛装備の完成品の輸出先は開発のパートナー国のみ認めている。 合意は武器輸出に抑制的だった基本方針の転換となるが、日本を取り巻く厳しい安全保障の現実を直視すれば理解できる。 合意は対象を次期戦闘機に限った上で、武器の適正管理などを定めた協定などを結ぶ国に絞る。 第3国が日本からの武器で武力行使に及べば、紛争を助長するとの懸念を踏まえ、戦闘中の国は除く。 輸出する際は案件ごとに閣議で決める一定の歯止めも設けた。 次期戦闘機の輸出先を広げる効果は小さくない。 生産数を増やせれば生産コストを下げられ、防衛産業の育成にも繋がる。 共同開発に当たり、日本は広い海域を防衛できる機体など自国の優先する性能を主張しやすくなる。 英伊は調達価格を下げるため、日本による輸出ルールの見直しを期待していた。 日本は平和国家の理念を守りつつ、地域安保の裾野を広げる努力は怠れない。 国際共同開発は世界の流れであり、東南アジアなどへの輸出を通じて同盟国・友好国の仲間作りを進めたい。 国際協調は多様化する脅威への抑止力になる。 そもそも2022年末に英伊と共同開発を決めた時点で輸出の問題も取り上げておくべきだった。 3カ国交渉が迫っているとして安保政策の根幹に関わる決定が急ぎ足になった点は否めない。 政府には見通しの甘さへの反省を求める。 防衛装備品を第3国に輸出すれば、供与された国の使い方によって日本も相手から狙われかねないリスクを排除できない。 合意では、この先も与党協議を経て新たな輸出案件を追加できるが、なし崩しで進めてはならない。 例えば、戦闘機やミサイルなど高い殺傷能力を持つ装備品については、諸外国の例も参考にしながら野党が求める国会の関与も話し合っていくべきだ。 防衛装備品の輸出は原則を打ち立てるのが筋だ。 例外措置を重ねるのは安保上の不安定要因になるだけでなく、企業も予見可能性が高まらないと投資しにくい。 与野党で議論を深める必要がある。 (社説)戦闘機の輸出 平和国家の信用揺らぐ 社説 2024年2月23日 5時00分 https://www.asahi.com/articles/DA3S15870275.html 殺傷能力のある兵器の輸出は、戦前の反省を踏まえ、平和国家として歩んできた日本への信用を揺るがしかねない。 国民的議論も抜きに、期限を切って拙速に結論を出すことなど許されない。 武器輸出緩和に向けた自民、公明両党の協議が再開された。 焦点は、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を念頭に、国際共同開発した武器を日本が直接、第3国に輸出することを認めるかどうかだ。 岸田政権は2022年末、自公の提言を受ける形で、 「防衛装備移転3原則」 と運用指針を改定し、限定的ながら、殺傷兵器の輸出に道を開いた。 地対空ミサイル「パトリオット」など、日本企業が許可を得て生産した武器をライセンス元の国に輸出可能とした他、「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型について、一定の殺傷兵器を搭載しての輸出を認めた。 更に、戦闘機という殺傷能力の高い兵器にまで対象を拡大するなら、国際紛争を助長する武器の輸出国にはならないという原則の一層の空洞化は避けられない。 次期戦闘機の共同開発は2022年末に発表され、2023年末には、事業を管理する国際機関を設立する条約に3カ国が署名した。 日本にとっては航空自衛隊のF2戦闘機の後継になり、2035年の配備を目指している。 共同開発を決めた時点では、日本は完成品を第3国に輸出しない前提だったとされるが、自民党側は、日本からの輸出がなければ販路が限られ、全体の生産計画に支障が出る他、開発体制などを巡る交渉で日本が不利になるなどと主張している。 政府は2024年3月から作業分担などに関する話し合いが本格化するため、2024年3月内に結論を出すよう求めている。 公明党の山口那津男代表は 「政府の方針が国民には届いていない」 と述べた。 僅か1週間で理解が得られるはずはないのだから、はやる自民党を抑える役割を果たすべきだ。 今回の戦闘機に限って認める案も浮上しているという。 しかし、1度道を開けば、他の共同開発品、更には日本の単独開発品と、なし崩しに広がっていく恐れは否定できない。 ここで立ち止まり、平和主義の原点に戻るべきだ。 一昨年末の安保3文書の改定を受けた武器輸出の緩和は、与党の限られた議員による非公開の協議で進んでいる。 国民に長年、受け入れられてきた原則を、国会など開かれた場での議論も経ずに変えるのは、民主主義の在り方としても見過ごせない。 戦闘機輸出の自公合意 なし崩しで突き進むのか 2024/3/16 東京朝刊 https://mainichi.jp/articles/20240316/ddm/005/070/127000c 安全保障政策の根幹に関わるルールが、与党の合意だけで変更される。 国会で十分に議論されないことを危惧せざるを得ない。 英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を日本が直接、第3国へ輸出できるようになる。 難色を示していた公明党が、政府の歯止め策を受け入れ、容認に転じた。 高い殺傷能力を持つ戦闘機の輸出は、国際紛争を助長する恐れがある。 憲法の平和主義に反しかねない問題だ。 政府は2014年、従来の武器輸出3原則を転換し、防衛装備移転3原則に改めた。 武器の輸出を慎むとしてきたものを、平和貢献や日本の安全保障に資する場合には輸出を認めることにした。 2023年末には、3原則の運用指針を改定し、地対空ミサイルなど殺傷能力のある武器の完成品を含め、ライセンスを持つ国に輸出できるようにした。 今回の合意により、殺傷武器の輸出が拡大することになる。 歯止めが機能するかは疑問だ。 対象を次期戦闘機に限り、武器の適正管理などを定めた協定を日本と締結している国に輸出先を絞った上で、現に戦闘が行われている国を除外するという。 3原則の運用指針の改定を閣議決定し、個別案件ごとの閣議決定もする。 だが、協定締結15カ国のうち、どの国への輸出を想定しているのか不明だ。 戦闘が行われている国には輸出しないと言うが、将来、戦端が開かれない保証はない。 次期戦闘機は、航空自衛隊のF2の後継機として、2035年の配備開始が予定される。 開発が決まった2022年当初は、完成品を輸出しない前提だった。 英国、イタリアと協議する中で、コストを低減するため、日本も輸出を求められたという。 応じなければ立場が弱くなり、日本が要求する戦闘機の性能が実現しない可能性があると政府は説明する。 事実なら、見通しの甘さを認めたも同然だ。 今後の共同開発でも同じようなことが起きかねない。 ネットワーク性能向上などの必要性は理解できるが、経済合理性だけを優先し、原則を安易に曲げるようでは本末転倒だ。 平和国家としての日本の在り方が問われている。 なし崩しで進めるべきではない。 <社説>戦闘機輸出解禁 平和国家の理念損なう 2024年3月15日 08時15分 https://www.tokyo-np.co.jp/article/315310# 政府が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の第3国への輸出を解禁する。 戦闘機は殺傷能力が高く、国際紛争を助長するとして輸出を禁じてきた平和国家の理念と価値を損なう。 再考を求める。 政府は2022年、次期戦闘機を英伊両国と共同開発することを決定。 当初は第3国輸出を前提としていなかったが、英伊から調達コストの削減を求められて方針を転換。輸出を認めるかどうか与党内で調整が続いていた。 公明党は戦闘機の第三国輸出に慎重だったが、政府が共同開発した武器輸出に関し (1)次期戦闘機に限定 (2)戦闘が行われている国は対象とせず、防衛装備品・技術移転協定を締結した国に限る (3)個別案件ごとに閣議決定する との条件を提示したため、容認に転じた。 自公は2024年3月15日にも輸出解禁に大筋合意する。 政府は近く防衛装備移転3原則の運用指針改定を閣議決定し、2035年までの配備を目指す。 ただ、政府が示した条件が 「歯止め」 になるとは言い難い。 移転協定を結んで輸出後の使い方や再移転を制限しても、他国に渡った兵器の行方を監視することはできず、国際法に反する武力行使に使われる懸念は残る。 英国など4カ国が共同開発した戦闘機ユーロファイターが第3国のサウジアラビアに輸出され、イエメン内戦で空爆に使われた例もある。 次期戦闘機の輸出を個別案件ごとに閣議決定するにせよ、政権内の手順に過ぎない。 憲法の平和主義に関わる基本政策の転換を、国会での審議を経ず、政府与党だけで決めることなど許されない。 そもそも取得費用を抑制するために輸出が必要なら、別の武器を他国と共同開発する場合も輸出が避けられない理屈になる。 残念なことは公明党が結局、連立維持を優先させ、戦闘機輸出で妥協したことだ。 「平和の党」 の理念はどこへ行ったのか。 戦後日本は、専守防衛や武器禁輸など 「平和国家としての道」 を歩み、国際的な信頼を得てきた。 その外交資源を安易に捨て去っていいのか。 国会はもとより国民的な議論を尽くさねばなるまい。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
|