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※紙面抜粋
※2024年3月13日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
投資だ、賃上げだと叫んでもこの始末…(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
史上最高値更新から急転直下。鉄火場の雰囲気が漂い始めた日本の株価は今後、どう展開するのか。
12日の東京株式市場は、終値ベースの下げ幅が2021年6月以来、2年9カ月ぶりの大きさとなった11日に続き、米国のハイテク株安を受けて売りが拡大。取引時間中としては2月21日以来、約3週間ぶりに3万8200円台まで下落。結局、前日比22円98銭安の3万8797円51銭で取引を終えた。
<岸田政権は物価上昇を上回る所得増に向けて、全力で取り組んでいます。賃金が上がる→家計が豊かに→消費が増やせる→経済成長、次の賃上げ あらゆる政策でこうした好循環を創り出していきます>
日経平均が史上最高の4万円台を付けた4日、岸田首相は官邸の公式X(旧ツイッター)に身ぶり手ぶりを交えながら投稿。大はしゃぎの様子だったが、しょせんは中身ナシの経済だったということがあっという間に露呈したわけだ。
それはそうだろう。そもそも4万円台となったのも、岸田が言うような経済成長や好循環が理由じゃない。
ハイテク関連銘柄の多いナスダックの株価指数が2月29日に史上最高値を更新するなど、好調な米国景気の流れを受け、日本でも半導体を中心とした関連株が上昇。さらに1ドル=150円前後の円安水準で輸出関連企業の株価が上がり、景気後退の局面に入ったといわれる中国マネーが日本市場に流れ込んだのが主な要因だ。
史上最高値の更新は、日銀の異次元緩和バブル
つまり、「史上最高値」と大騒ぎしたところで「外的要因」に支えられているだけだから、何かが起きれば、すぐに“逆回転”する。
米市場でエヌビディアなどの半導体株が軟調になれば、東京市場でも半導体関連株の売りが膨らむし、円相場が約1カ月ぶりに1ドル=146円台半ばまで上昇すれば、たちまち自動車などの輸出株が売られてしまうわけだ。
日銀の姿勢も下落要因となっている。植田総裁は7日の参院予算委員会で、「物価目標の実現が見通せる状況に至れば、マイナス金利など大規模緩和策の修正を検討する」と説明。高田審議委員も2月29日に大津市で行った講演で、「2%の物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた」と言っていた。
つまり、2人の発言をそのまま理解すれば、少なくとも日銀は、これまで続けてきた異例のマイナス金利策をあらため、解除する可能性が出てきたわけだ。為替がちょっと円高に振れ、日銀が緩和の見直しを示唆しただけでも下落に転じる脆弱相場。投資だ、賃上げだと叫んでもこの始末で、それが今の日本経済の実態なのだ。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)はこう言う。
「史上最高値を更新といっても、結局は異次元緩和という日銀バブル。庶民感覚の実体経済とかけ離れているのです。政府は盛んに企業に投資を呼びかけていますが、公表されている投資データの内容を見ると、既存設備の維持や管理が主で、新たに設備投資するほど企業意欲は高まっていないことがうかがえる。円高が進めば、大企業の賃上げもどうなるか分かりません。浮かれている場合ではないのです」
個人の犠牲の上に成り立ってきたいびつな株高
「実感がわきませんね」「我々の生活に何か良い影響があるのでしょうか」
株価が4万円台を突破したのを受け、テレビは街頭インタビューに答える庶民の様子を報じていたが、好意的に受け止めていた人はまばら。総じて多くの人は首をかしげ、よく分からない反応を示す映像を流していたが、無理もないだろう。
内閣府が11日に発表した2023年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)改定値は年率0.4%増。2四半期ぶりのプラス成長となったものの、GDPの過半を占める個人消費は前期比0.3%減で、3四半期連続のマイナスだ。
厚労省が7日発表した1月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月より0.6%減と22カ月連続で減少しており、資源高、物価高に賃金上昇が追い付かず、国民生活はカツカツ。岸田は4日の参院予算委で、株高について「日本経済の変革の足音に対し、マーケット関係者がポジティブな評価を行っていることは力強く思っている」などと言っていたが、家計に余裕のある富裕層であればともかく、株に資金を投じることができる庶民が一体どれだけいるのか。日々の暮らしもままならない中で、「日本経済の変革の足音」もヘッタクレもない。首相がいくら煽ったところで、実体経済の危うさを一番知っているのは国民なのだ。
国民もハリボテ株価のおかしさに気付き始めた
日銀が緩和の見直しを示唆しただけで急落する日本の株価。だからこそ、国内外の投資家は今、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合の動きに注目しているわけだ。
12日の参院財政金融委で、政策変更の可能性を問われた植田総裁は「適切な(政策)判断を下したい」と慎重発言に終始していたが、仮にマイナス金利解除に踏み切り、利上げに舵を切る決断を示すようなことがあれば、市場は阿鼻叫喚の展開になるだろう。
真っ先に大損するのは、「家計の資産形成につながる」などと岸田の口車に乗せられて新NISAに手を出した人たち。
「空前の株高」が下落に転じれば、日銀バブルで大儲けしてきた大企業も影響を受けるのは間違いない。
財務省と内閣府が12日発表した1〜3月期の法人企業景気予測調査によると、大企業全産業の景況判断指数はマイナス0.018で、4四半期ぶりのマイナスとなったが、展開次第では岸田がもくろむ通りの賃上げが実現するかどうか。
新NISAバブルがはじけ、賃上げのバケの皮が剥がれれば、国民生活よりも裏金づくりに全身全霊をかけてきたホラ吹き政権は一巻の終わり。支持率2割台の岸田自民にとって、株価の行方はいよいよトドメの一撃になるかもしれない。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「近年の日本は景気回復の実感もなく、経済的な裏付けも乏しいまま偏った株高が続いていました。偏ったというのは企業だけが利潤を蓄え続けてきたということ。つまり、個人の犠牲の上に成り立ってきたわけで、そのいびつな株高のボロがいよいよ出始めていると言っていいでしょう」
国民もハリボテ株価のおかしさに気付き始めているのだ。
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