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政倫審プロレスと東京都知事選
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2024年3月13日 植草一秀の『知られざる真実』
自民党の不祥事が止まらない。
政治資金の収支を収支報告書に記載しなかった裏金・脱税事件。
れっきとした犯罪行為である。
しかし、警察・検察は犯罪者をほとんど検挙していない。
また受領した裏金のうち、政治資金として支出しなかった金額は雑所得として課税対象になる。
納税をしていなければ脱税になる。
日本の警察・検察・裁判所は腐敗している。
犯罪が存在するのに無罪放免にする裁量権、犯罪が存在しないのに無実の市民を犯罪者に仕立て上げる裁量権が濫用されている。
犯罪を実行した主体が与党国会議員、霞が関官僚であると、無罪放免にすることが多い。
逆に政権与党を厳しく攻撃する人間に対しては無実の罪を着せて犯罪者に仕立て上げることが行われる。
このような国を「暗黒国家」と呼ぶが、日本は文字通りの暗黒国家である。
警察内部の犯罪も殺人や強姦を含めて無罪放免にされることが多い。
この現実を正視する必要がある。
自民党がセクシー懇親会を開催した問題も、現時点では動画がメディアに提供されていない。
メディアはすでに動画を入手しているだろう。
動画が公表されれば実態が明らかになる。
岸田内閣支持率と自民党支持率の合計が50%を切っている。
政権が崩壊する分水嶺を超えている。
2009年に麻生内閣が崩壊したときの状況と近似している。
ところが、岸田内閣崩壊のカウントダウンが始まらない。
最大の理由は野党第一党に対する主権者支持がないことにある。
2009年には自民党支持率が20%に低下するなかで民主党支持率が40%に達していた。
鳩山民主党に対する主権者国民の絶大な支持が存在した。
ところが、いまの立憲民主党支持率は10%を大幅に割り込んでいる。
自民党支持率より立憲民主党支持率の方がはるかに低い。
また、野党は乱立している。
したがって、いま解散総選挙が実施されても自民党が大敗する保証がない。
政権を維持する可能性すらある。
これが日本政治の空気をよどませている。
岸田内閣は絶体絶命の状況。
予算を成立させることも難しい状況だった。
野党は予算成立と引き換えに大きな成果を上げることができた。
ところが、立憲民主党は何もしなかった。
「政治とカネ」問題が顕在化したのだから、抜本策が必要だ。
抜本策とは何か。
法改正である。
「ザル法」の政治資金規正法を抜本改正する。
第一に、政党や政党支部から政治家個人への寄附を禁止する。
政策活動費の名目で政党から政治家個人に年間10億円もの寄附が行われ、その使途が明らかにされないなら政治資金規正法が存在する意味がない。
その根拠となっているのが同法21条の2の2項の例外規定だ。
政党および政党支部から政治家個人への寄附が禁止対象から除外されている。
この規定を削除すること。
第二に、政治家が抱える多数の資金管理団体ならびに政治団体の収支を総括して収支報告することを義務付けること。
資金の受領を漏れなく報告する義務を課す。
第三に、連座制を適用すること。
この三点を確実に法改正に盛り込む。
野党は岸田首相からこの法改正の確約を取り付けるべきだった。
自民党が応じなければすべての国会審議を拒絶する。
国会審議が停滞すれば批判は与党に向かう。
ところが、立憲民主党は何もしなかった。
「政倫審プロレス」を延々と繰り広げている。
「興行」だから主権者は関心を完全に失っている。
重要なことは野党の側に政治資金規正法を抜本改正する意思がないことだ。
まともな野党を作らないとこの国の政治は終わる。
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