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原子力緊急事態宣言発令中
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2024年3月11日 植草一秀の『知られざる真実』
東日本大震災・フクシマ原発事故から13年の時間が流れた。
そして、2ヵ月前に能登半島地震が発生した。
マグニチュード7.6、最大震度7の地震だった。
最大震度を観測したのは石川県志賀町領家(りょうけ)と輪島市。
志賀町には北陸電力志賀原子力発電所が所在する。
この地震で志賀原発の変圧器が故障して油が漏れ、外部電源5回線のうち2回線が使用不能になった。
1月16日の余震後には1号機の非常用発電機3台のうち1台が試運転中に自動停止した。
京都大学原子炉実験所元助教の小出裕章氏は中日新聞のインタビューで次のように指摘した。
「志賀原発が10年にもわたり停止していたことが何より幸いだった。
原発の使用済み燃料は発熱しているが、10年たつと発熱量は運転停止直後に比べ、千分の1以下に低下する。
今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機も一部停止した。
稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない。」
志賀原子力発電所が運転中であったなら、極めて重大な事態に直面した可能性が高い。
小出氏は原発運転中の地震災害に関してこう述べる。
「出力100万キロワットの原発の場合、原子炉の中では、ウランが核分裂して3倍の300万キロワット分の発熱をしている。
大地震の際は制御棒を入れて核分裂反応を止めるが、実は300万キロワットのうちの21万キロワット分の発熱は、ウランの核分裂で出ているわけではない。
それまでに生成された「核分裂生成物」が原子炉の中に膨大にたまっており、「崩壊熱」を出している。
制御棒でウランの核分裂反応を止めても、21万キロワット分の崩壊熱は止められない。
膨大な発熱だ。
福島でも核分裂反応は止まったが、崩壊熱を止めることができないまま、電源が何もなくなり、冷やせないために炉心が溶けて、(放射性物質が)大量に出てしまった。」
運転停止から10年が経過した原発と、運転中の原発との間には比較にならない大きな差が存在する。
北陸電力志賀原子力発電所では変圧器が損傷し、外部電源の一部が絶たれた。
わずか13年前、日本は2011年3月の東日本大震災によって人類史上最悪レベルの重大な原発事故を経験した。
いくつもの奇跡が重なったために原子炉大爆発を免れた。
原子炉大爆発が生じていれば東日本は壊滅したと考えられる。
2ヵ月前の能登半島地震は「天の最後通牒」である。
13年目の3.11を迎え、日本の原発断念を決断するべきでないのか。
メディアはこの日が来ると地震を振り返るが、いま何をすべきかを問うべきだ。
歳時記としてこの日だけ、「あの地震は大変だった」と振り返っても意味はない。
犠牲になられた方々の御霊も浮かばれない。
志賀原発原子炉直下に断層の存在が確認されている。
この断層が「活断層」であるか否か。
不毛な論争が繰り広げられているが、志賀原発敷地内で地表のズレが確認された。
これは「活断層の証明」ではないのか。
原発直下に活断層が存在し、活断層が動けば原発は壊滅する。
北陸電力は志賀原発の稼働が絶望的になったと判断しているだろう。
政府が主導して廃炉を決定するべきだ。
東京電力柏崎刈羽原発の稼働もあり得ない選択になった。
すでに柏崎刈羽原発では2000ガルを超える地震動が観察されてしまっている。
フクシマ事故を再現することは許されない。
「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」ことがあってはならない。
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