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※紙面抜粋
※2024年3月9日 日刊ゲンダイ
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虫唾が走る集団(C)日刊ゲンダイ
泥棒が泥棒を取り締まるなんて、どだいムリ。結論を端的に言えば2行で終わる。子供でも分かる当たり前の話だ。時間のない方は、この先を読み飛ばしてもらってもいいくらいである。
自民党政治刷新本部が7日、派閥パーティー裏金事件を受けた党則などの改定案を大筋で了承した。17日の党大会で正式決定し「生まれ変わった自民」をアピールしたいようだが、厚顔無恥にも程がある。
しょせんはお手盛りの党内ルールだ。自分たちの判断でいくらでも都合よく差配できる。刷新本部に出席した議員からも異論が相次ぎ、本部長の岸田首相に改正案を一任する際の拍手はまばらだったという。早くも党内から実効性に疑問の声が上がり、そんな党改革の“フリ”など論ずる価値はない。ここまで読んだ方も、どうぞ次のページに進んでくださっていい。
今回の派閥による裏金事件を含め、政治資金規正法違反事件の立件対象は、秘書などが務める会計責任者にとどまるケースが多い。
だからこそ「秘書がやったことで議員は責任逃れ」「トカゲの尻尾切り」などの批判がやまないわけだが、法の立て付けがそうなっている以上、当局の捜査に限界があるのも事実だ。
「政治家も当然の責任を取る。前例、慣行にとらわれず抜本的な出直しを進めなければならない」
刷新本部の冒頭でそうあいさつしたのは岸田だ。だったら「ザル法」と呼ばれて久しい規正法の改正こそ急ぐべきなのに、岸田自民はノラリクラリ。主要野党はもちろん、連立パートナーの公明党も独自の改正案を公表しているが、自民はまだ提示していない。
8日の読売新聞には「与野党協議に入る前に手の内を明かすと、協議でより厳しい内容を求められる」という自民幹部のフザけた匿名コメントが載っていた。この期に及んで“後出しジャンケン”で有利に法改正を進めたがる厚かましさ。盗人猛々しい集団が改革を論じる“フリ”で、お茶を濁そうとするとは、ちゃんちゃらおかしい。
「有名無実」と「支離滅裂」の改革もどき
とりわけ実効性が疑われる「改革案」は、会計責任者が逮捕・起訴された際の議員本人に対する党内処分の厳格化だ。裏金事件を受けた党改革の“本丸”が、そもそも怪しいのである。
党規律規約の改定案で@会計責任者が逮捕・起訴された場合は議員本人を離党勧告や党員資格停止などの処分A有罪確定時には最も重い除名、または離党勧告の処分──を科せるとし、処分の基準を初めて明文化した。形式上は「除名」や「離党」などまがまがしい言葉が躍り、厳罰化を打ち出しているようにも映るが、しっかりと「抜け道」は用意されてある。
会計責任者の有罪確定時の処分認定について「政治不信を招く政治的、道義的責任があると認められるとき」と、ただでさえ曖昧な条件を付したが、その前にこんな「ただし書き」がある。
「当該議員につき当該判決に係る事犯に関与する等」
つまり「議員の関与」が認められない限り、厳重な処分は免れるわけだ。朝日新聞によると、この文言は党内調整で後に追加されたという。安倍派幹部「5人衆」や二階元幹事長のように、裏金づくりに「関与していない」「違法性の認識はなかった」とシラを切り通せば、おとがめナシ。責任逃れを許す文言を潜ませ、もはや厳罰化は「有名無実」。見せかけの改革もどきに過ぎない。
ガバナンスコード(党運営の指針)の改定案には、裏金づくりの舞台となった派閥の見直しを盛り込んだが、こちらは典型的な「支離滅裂」。派閥を「資金力と人事への影響力を背景に国会議員を集め、数の力によって影響力を増そうとする組織」と定義し、こうした「旧来の派閥」の存続・新設の禁止を掲げた。
おや? 党内では今なお、麻生派・茂木派と「旧来の派閥」が存続し、活動中だ。どう落とし前をつけるかと思いきや、「政策研鑽の場」としての「政策集団」は継続を容認するというのだ。ホトホト、あきれてしまう。
どうせ国民は忘れるという特権意識の塊
こんなお目こぼしが許されれば、麻生・茂木両派は10日にでも「政策集団です」と言い張るだけで「旧来の派閥」の枠を残せる。単なる看板の付け替えだろうが、党のお墨付き。この屁理屈がまかり通るなら、裏金事件で解散を迫られた安倍派も二階派も岸田派も「政策集団として生まれ変わります」と堂々と宣言して、よみがえってくる。
裏金議員に「課税しろ」という税金一揆が静かに広がる現状で「きょうから政策集団です」と言われて「はい、そうですか」と納得するバカはいない。
改革する“フリ”の猿芝居でコロリとダマせると思ったら、大間違い。国民の怒りの火に油を注ぐだけだ。
刷新本部で岸田は「政治は特別なものだという特権意識を是正する」と強調したが、この発言こそ党全体を覆う特権意識を認めたに等しい。国民愚弄の改革案の提示は、「自分たちなら許される」という特権意識が決して消えていない証拠でもある。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「安倍派幹部同士の政治倫理審査会での証言は食い違いが残り、森元首相が裏金づくりのルーツに関与した疑念もくすぶったまま。におわせ続けた裏金議員や派閥幹部の処分も党大会までに間に合わず、メドも立たないグダグダぶりです。なぜ、真相解明に向けた調査や説明も裏金議員の処分も済んでいないうちに、再発防止の改革案だけを急ぐのか。それだけ知られたくないことがあるとしか思えず、党内改革は真相から目をそらすためのポーズに過ぎません。再発防止に論点をスリ替え、裏金事件にサッサとケリをつけたいだけです。ほとぼりが冷めるのを待ち、どうせ国民は忘れるとタカをくくっているのでしょうが、そうは問屋が卸さない。自民の特権意識に対する国民の怒りは最高潮に達しています」
反省ゼロの火事場泥棒は「総入れ替え」を
無理もない。刷新本部で岸田の次にあいさつに立ったのは、歩く特権意識の塊のような男だ。1面の写真を見て、気分を害した方も多いはず。「全く新しい自民党に生まれ変わる抜本改革に取り組まなければいけない」とエラソーに語ったのは、茂木幹事長である。
一体、どの口が言うのか。茂木は収支報告の記載が厳格な資金管理団体から、公開基準が甘い別の政治団体に多額の政治資金を移動。使途の隠蔽で裏金化を図る“マネーロンダリング”の脱法手口を国会で追及されている御仁である。移し替えた額は22年までの14年間で計4.4億円。うち約94%に当たる4.2億円が使途不明だ。政治資金の流れを明らかにし、国民監視の下に置くという規正法の趣旨を逸脱しても平気の平左。まずは自身の政治姿勢の「抜本改革」こそ必要だろう。
脱法幹事長が刷新本部ナンバー2の本部長代行として、愚にもつかない党改革の議論をふんぞり返って仕切るとは。もはや裏金、脱法集団の改革案を論じる“フリ”は笑止千万を通り越し、これぞ笑うに笑えない世紀のブラックジョークである。
「一連の党内改革案を読むと、総裁や幹事長ら党執行部への権限集中が目立ちます。実現すれば、民主主義に反する独裁組織となってしまう。裏金事件に乗じて岸田首相らに権力を集める火事場泥棒で、泥棒が泥棒を重ねるのを見過ごすわけにはいきません。うわべだけの改革の“フリ”でゴマカす岸田自民に反省をうながすには、次の総選挙で総入れ替えするしかない。それこそが真の改革の近道です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
ここまで読み飛ばさなかった方々は、次の選挙では必ず怒りの1票で岸田自民に鉄槌を下して欲しい。
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