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※紙面抜粋
※2024年2月22日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
5人が出席しても…(上は左から安倍派の塩谷立座長、二階派の武田良太元総務相。下は左から安倍派の高木毅、松野博一、西村康稔3議員)/(C)日刊ゲンダイ
往生際が悪いというか、国民をナメくさっているというか……。自民党派閥の裏金事件をめぐって、スッタモンダの末、衆院政治倫理審査会に5人が出席することになった。来週にも開かれる方向で調整されている。
野党が、自民党の裏金聞き取り調査の対象となった安倍・二階両派の衆院議員51人全員の出席を要求したのは先週金曜(16日)。それを岸田首相も自民党執行部もノラリクラリで放置し、19日になって旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着問題を抱える盛山文科相の不信任決議案を立憲民主党に出されると急に大慌て。新年度予算案の審議がストップし、年度内成立が確実となる来月2日までの衆院通過が危うくなってきたため、ようやっと対象議員の意向確認に動き出す始末だった。
ところが、一昨日(20日)自民党が野党に出してきた回答は、安倍派座長だった塩谷元文科相と二階派事務総長の武田元総務相のたった2人の出席。安倍派中枢を牛耳ってきた「5人衆」ではない“お飾り”座長だけじゃどうにもならないし、二階派も会長の二階元幹事長の説明があってこそだ。当然、激怒した野党から「話にならない」と突き返されると、きのうになって安倍派「5人衆」から事務総長経験者3人を追加。西村前経産相、松野前官房長官、高木前国対委員長が新たに出席することになった。
これでひとまず衆院では5人が政倫審に出ることが決まったわけだが、この間の自民党の対応の醜悪さには呆れるしかない。この党に自浄作用がないことが改めてよく分かった。
確定申告の真っただ中で「国民は増税、自民は脱税」だと“税金一揆”のような国民の怒りが巻き起こっているのに、自民党はどこまでも裏金の実態解明に後ろ向き。政倫審も予算案審議の日程闘争の材料程度にしか見ていない。そういう打算、狡猾さが国民にもミエミエだ。
情けないヒラメ議員ばかり
そんな中で驚いたのが、政倫審をめぐる自民党の内情について報じたきのうの朝日新聞の記事だ。裏金事件とは無関係な無派閥の閣僚経験者がこう言ったというのだ。
「政倫審に『出る』と言えば、永田町の狭い世界では『この野郎』となる。世の中では当たり前のことが永田町ではできない」
この話は本当なのか。朝日が、裏金づくりが判明している82議員に対して、政倫審出席の意向などを尋ねるアンケートを行ったものの、回答したのはわずか20人。出席の「意向」を明言したのは3人だけで、残りは「欠席」とも答えず曖昧だったという。明確な回答拒否が32人、未回答が30人いた。
答えないのは、自民党内を支配する「内輪の論理」だ。記事にはこうある。
〈政倫審に「出席する」と回答すれば、「お前だけいい顔しやがって」と裏金を作った他の議員から白い目で見られる〉
〈議員たちは他の人がどんな態度を取るかばかり気にしている。みんな出るなら出る。出ないなら出ない。横並びしかない〉
長期化した「安倍1強」の弊害で、「議員たちは『権力者ににらまれたらいけない』という感覚が染みついた」。それが、安倍・菅政権ほど強権的ではない岸田政権の今も続いているのだという。
政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「みんな保身第一でキョロキョロして、本当に情けない限りです。小選挙区制で一度当選すれば、一国一城の主。党内でいかに出世の階段を上るかばかりを考え、上の顔色をうかがうヒラメ議員一色になってしまった。特に第2次安倍政権の7年8カ月でそれが加速しました。安倍元首相というのは、ちょっとでも気に入らないとトコトン干す。一方で、安倍派5人衆のようにゴマスリ議員は重用しましたからね。裏金事件は1年生議員から総裁まで関わる自民党全体の問題です。世論の批判がかつてないほどに強まっているのに、若手が執行部を突き上げる場面すらない。それこそ自民党劣化の象徴です」
岸田政権は負のスパイラルに入った
逮捕者を含め3人もの現職議員が立件されたほどの裏金疑獄で、自民党が国民に見せてきたのは、やるやる詐欺の茶番劇でしかない。
岸田が肝いりの「政治刷新本部」とやらをつくってやったことといえば、派閥の“偽装”解散だけだ。最大派閥の安倍派を解体し、邪魔な二階派を蹴散らし、岸田は満足げ。
しかし、裏金が何に使われ、いつからのスキームなのかといった実態調査には手をつけず、党幹部によるお手盛りの聞き取りとお粗末なアンケートでお茶を濁した。
口では「先頭に立って」「火の玉になって」と言っても、岸田も自民党も本気じゃないのだ。派閥からキックバックされたカネについて、決して「裏金」という言葉を使わず「還付金」と言い換え、「中抜き」を「留保金」に置き換える見苦しさ。「しょせん、収支報告書の不記載だろう。訂正で済む話だ。何が悪い」ってなモンなのだろう。
月刊誌で〈立件されなかったのに、検察が期待値を上げたことで『この人たちは悪いのに助かった』みたいに思われるのは、すごく理不尽な話〉と不満タラタラだった安倍派「5人衆」のひとり、萩生田前政調会長の厚顔ぶりが自民党内の空気を表している。まさに、「永田町の常識は世間の非常識」である。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「政倫審をめぐって、自民党が新年度予算案の審議を理由に出してくるのは口実でしかありません。与党の不祥事追及などで野党が委員会を止めると、『もっと重要なことがある』と与党がリークし、マスコミがそれに乗じる。そんないつものパターンがそろそろ始まるんじゃないかと見ていますが、年度末までに予算案が通らなければ暫定予算を組めばいい。そもそも、審議日程が窮屈になったのは、自民党が裏金問題でまともな調査をしなかったからです。それに今、政倫審が最大の注目イベントみたいになっていますが、だまされてはダメです。原則非公開で、嘘をついてもいい政倫審は、国会における疑惑解明の3つの手段(他に参考人招致と証人喚問)のうち最も軽い。やるなら偽証罪に問われる証人喚問。もしくは別途、特別委員会を設置するべきです。それならば予算案の審議にも影響しませんよ」
強制力のない政倫審では意味がない
結局、政倫審なんて世紀の茶番劇の最たるもので、裏金事件の真相解明には程遠い。自民党はこれで幕引きしようとしているが、そうは問屋が卸さない。恐らく裏目に出る。「秘書がやった」「知らなかった」と逃げまくってきた連中が、真相を明らかにするはずがないのだ。
政倫審出席を明らかにした西村は、きのう記者団に囲まれると、「知り得ること、知っていることを全て正直に話したい」と神妙な面持ちだったが、ならば、森喜朗元首相が派閥会長だった時代のことや、引退後も森が派閥にどんな影響力を行使してきたかなども、洗いざらいしゃべるのか。
「強制力のない政倫審では、今まで通りの言い訳に終始するのが関の山で、やっても意味がない。世論も『なんだ、実態は何も分からないじゃないか』と納得しないし、逆に批判が拡大するでしょう。自民党にとって政倫審がむしろ裏目となるのは、あらゆるメディアの世論調査で岸田内閣の支持率が過去最低を更新しているのを見れば明らかです。岸田首相が改革や刷新を宣言して今国会は始まったのに、世論が求めていることをやっていないからみな怒っている。岸田政権は負のスパイラルに入っています」(鈴木哲夫氏=前出)
もはや自民党には岩盤支持層さえ愛想を尽かしている。政倫審が国民の怒りの火に油を注ぎ、いよいよ自民党の終わりの始まりだ。
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