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旅行支援で被災者追い出される矛盾
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2024年2月12日 植草一秀の『知られざる真実』
激甚災害に遭遇して避難を余儀なく迫られている被災者を救援することは国の責務である。
日本国憲法第25条は次のように定めている。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
A 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
日本国憲法は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をすべての国民に保障している。
これを実現することは国の責務である。
ところが、国の災害救援体制はこの基準を満たさない。
災害に遭遇した国民は避難所に避難するが、避難所の処遇が生存権を満たすものになっていない。
被災者の避難に関する処遇について最低基準を定めた国際基準が存在する。
「スフィア基準」と呼ばれるもの。
スフィア基準とは、災害や紛争の被災者に対する人道支援活動のために策定された「人道憲章と人道対応に関する国際的な最低基準」の通称。
1997年に初版が作られ、現在は2018年版が最新。
ネット情報に従えば、被災者に劣悪な避難所での我慢を強いるのではなく、今後の生活の再建に希望を持ちながら生活ができるよう、スフィアの原理は2つの基本理念に基づいているとのこと。
1.災害や紛争の影響を受けた人びとには、尊厳ある生活を営む権利があり、従って、支援を受ける権利がある。
2.災害や紛争による苦痛を軽減するために、実行可能なあらゆる手段が尽くされなくてはならない。
海外では被災者が環境の悪い中で生活することを人道的な問題と捉え、多くの避難所でスフィア基準が使われている。
日本の内閣府は2016年に『避難所運営ガイドライン』で参考にすべき国際基準としてスフィア基準を取り上げたが、日本では圧倒的多数の避難所の水準がスフィア基準に達していない。
例えば「給水、衛生および衛生促進の項目」で、基本指針として飲料水と衛生的な生活に必要な水の平均量を「1人1日最低15L」、最大利用者数を「蛇口1つにつき250人」とし、トイレについては20人につき最低1つ設置、男女比は1:3が必要などとされている。
能登半島地震での避難所のレベルがこの基準に達しない貧困なものであったことは周知の事実である。
地震発生直後の政府対応は著しく遅れた。
陸路が寸断されたため、空路を活用して人命救助のための人員を大量投入する必要があったが、対応は著しく遅れた。
岸田首相と石川県の馳浩知事が現地を初めて視察したのは地震発生から2週間経過した1月14日だった。
激しい余震活動が続いたため、被災者の生命を守るためには2次避難が必要だったが、その対応も著しく遅れた。
さらに、2次避難を希望する被災者に対して、2次避難所での3食の提供ができない、駐車スペースが確保されないなどの通告がなされ、2次避難を断念せざるを得ない被災者が続出した。
政府は2次避難を受け入れる宿泊施設に1人1泊あたり1万円を支給して受け入れを求めた。
1月の正月明けから2月末まで、宿泊施設にとっては宿泊客が激減する閑散期である。
このことから、多くの宿泊施設が2次避難者を受け入れた。
しかし、北陸地方では3月16日に北陸新幹線が敦賀に延伸される。
観光推進シーズンに移行する。
このことから、宿泊施設が2次避難者を、2月末をもって退去させる動きが本格化している。
3月以降が宿泊施設にとっての利益拡大期になるとの思惑を増幅させているのが政府の旅行に対する利益供与策である。
政府は北陸4県での宿泊に対して1人1泊2万円の補助を行う方針を示した。
この旅行支援政策によって北陸4県に旅行する者が激増する見通しである。
宿泊施設は高額の宿泊料金を設定して巨大な利益を獲得できるチャンスが到来するため、1人1泊1万円の宿泊料受領が相対的に邪魔な存在になる。
そのために、2次避難者を宿泊施設から追い出す方針が一斉に取られる様相を示している。
激甚災害が発生し、政府が第一に優先するべきことは、被災者の保護、支援である。
ところが、旅館業界への支援を優先させて、その余波で2次避難者が追い出されるというのは、いかにも本末転倒だ。
旅館業界と与党との癒着は鮮明である。
利権優先の災害対応は国家の責務を放棄するものと言わざるを得ない。
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