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世耕氏キックバック「秘書任せ」では終わらない…国会での政治資金めぐる“ド正論”がブーメラン
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/335092
2024/01/22 日刊ゲンダイ
自身の発言が大ブーメランとなり…(世耕前参院幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
「秘書に任せきりにしていた。秘書が私に報告しないまま、政治資金収支報告書の簿外で管理していた還付金について、把握することができなかった」
自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、19日、党本部で開いた会見で、こう釈明したのは最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)の世耕弘成前参院幹事長(61)だった。
世耕氏は、派閥から自身へのキックバックが2018年からの5年間で総額1542万円だったと明らかにしたうえで、「検察の徹底捜査の結果、法と証拠に基づいて起訴されなかった。法的な責任には区切りがついた」と語っていた。
「秘書に任せきりにしていた」と弁明した世耕氏だが、過去に自身のX(旧ツイッター)で、立憲民主党の小沢一郎氏(81)の政治資金を巡る「陸山会事件」に触れた際、《担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出していることが、むなしくなってきます》などと投稿していたことが判明。ネット上では、《秘書にひとつひとつ質問していたのでは》《秘書に責任押し付けか》などと“大ブーメラン”状態となった。
政治資金問題について「本質を見極めること」が重要と指摘
国会議員に内緒のまま秘書が独断でカネを簿外処理するとは考えにくく、その意味も理由も不明だが、世耕氏のブーメラン発言はこれだけではない。ザル法と呼ばれる政治資金規正法についても、2010年3月19日の参院総務委員会でこう言っていたのだ。
「私はここで申し上げたいのは、今まで事件が起こるたびに政治資金規正法を変えて強化をしてきましたけれども、私はここの規制の強化の仕方が間違ってきたんじゃないかというふうに思っています。起こっている事件の本当の原因、何が原因なのかということをきちっと本質を見極めて、その部分を再発をさせないために適切な規制強化をやるということを今までやってこなかった」
「プラン・ドゥー・チェック・アクションのサイクルが回っていなくて全くお門違いのところで規制をただただ厳しくしていたから、私は本質的にこの政治と金の問題というのは後を絶たないのではないかというふうに思っています」
さらに世耕氏は「餅代」や「氷代」といった名前で配られるカネの在り方についても、持論を展開。
「特定の人に、派閥の事務総長にどんとお渡しをして、そして後は、その人がちゃんと政治活動に、自民党のための活動に使ったんだから問わないという形で政治資金規正法上は整理をされているわけなんです(略)渡し切り経費という形でやるにしても常識の範囲があるわけですから、そういう範囲で上限を認めるのか、あるいは組織活動費として渡したら、その渡した先の細目の報告をやっぱりしっかりと義務付けて、最後の最後まで一体幾らどう使ったのかということをやるというような穴をふさぐ手が必要だと思います」
世耕氏は5年間でキックバックされた1542万円を一体何に使ったのか。「細目の報告」が必要なのは言うまでもない。
お金が個人のところへ入るのは非常に不透明と言っていたのに…
同委員会ではこう締めくくっていた。
「組織活動費名目で来たお金が個人のところへ入って、自民党も昔もち代はそうやって処理をしていた。個人のところへ入って、それを個人が政治活動に使ったという前提において、税務署は何も言わないという仕組みになっていたわけですけれども、ここも非常に、今政治と金の透明化が求められている中で、非常に不透明なお金の流れだというふうに思う。ここはもうしっかりやめて、個人が受け取るようなことはしない、全部資金管理団体か政党支部でしっかり受け取るという仕組みに変えるべきだと思います」
「お金が個人のところへ入るのは非常に不透明」「個人が受け取るようなことはしない」──。世耕氏は確かにこう明言していたにもかかわらず、今回の裏金事件はまさに個人に不透明なカネがキックバックされていた。やはり世耕氏はこのまま秘書に責任を押し付けることなく、すべてを明らかにするべきだろう。
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