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※紙面抜粋
※2024年1月20日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
本気度は疑わしい(安倍派の塩谷立座長と二階派会長の二階俊博元幹事長=右)/(C)日刊ゲンダイ
「宏池会(岸田派)の解散について検討している」──。唐突な岸田首相の宣言から一夜明けた19日、自民党内は大揺れ。慌ただしくも長い一日となった。
派閥パーティー裏金事件で、東京地検特捜部は19日、安倍派の会計責任者を政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で在宅起訴。裏金受領の安倍派議員側では、大野泰正参院議員と秘書を在宅起訴、谷川弥一衆院議員と秘書を略式起訴した。
さらに二階派の元会計責任者を在宅起訴したほか、派閥会長の二階元幹事長の資金管理団体も約3500万円の不記載を問われ、秘書が略式起訴。岸田派は元会計責任者が略式起訴された。
すでに逮捕済みの安倍派衆院議員の池田佳隆容疑者を含め、罪に問われる政治家はたった3人。そろって雑魚みたいな議員たちで、事務方ばかりに刑事責任を負わせる一方、安倍派幹部7人や二階ら“大きな獲物”は共謀が認められないとして立件を見送る判断を下し、逃げ切りを許した。
まさに大山鳴動して“ネズミ3匹”で、典型的なトカゲの尻尾切り。地検のブザマな発表を受け、二階・安倍両派が臨時の議員総会を開催。午後4時過ぎに二階派の解散表明後、午後8時前には安倍派の塩谷座長が「清和研(安倍派)を解消する」と会見で発表した。
他派閥に根回しナシ、突然の解散宣言という岸田の「先制攻撃」に屈し、最大派閥と第5派閥が次々解散に追い込まれた格好ではある。あとは、ひとまず会長の麻生副総裁が「派閥継続」のコメントを発表した麻生派や茂木派がどう応じるかが焦点。とはいえ、派閥を解散すれば上から下まで裏金まみれの腐敗体質が刷新されるわけではない。
派閥の問題にスリ替えた組織的な犯罪隠し
言い出しっぺの岸田をはじめ、安倍派も二階派も「派閥解散」にどこまで本気なのかは疑わしい。岸田は「派閥の看板を外す、事務所をなくす」としか周囲に言っていないようで、政策集団として存続するのか、派閥スタッフの処遇はどうするのかなど「解散のあり方」の具体的な説明はゼロ。
二階は会見で「人は自然に集まってくる。常識の範囲内で(交流を)やっていきたい」と早くも派閥温存を示唆した。安倍派幹部「5人衆」のひとり、萩生田前政調会長は「地元・八王子市長選の対応に全力を挙げる」として、派閥の臨時幹事会と臨時議員総会を共に欠席。自公推薦候補の応援に駆け付けた小池都知事の演説を選挙カーの横で眺めていたが、お家の一大事に地元選挙にかまけている場合なのか。
安倍派の総会の冒頭、塩谷は「長年にわたる事務的なミスリードにより誤った処理をさせた」と所属議員に陳謝したが、実態は「意図的な裏金化」だ。揃いも揃って皆、無反省で裏金政党の腐敗体質は派閥うんぬんでは解消できっこない。ジャーナリストの鈴木哲夫氏も怒気を含めて言う。
「裏金づくりは犯罪です。法の抜け道をどのように使い、どの議員にどれだけ渡り、何に使われてきたのか。まずは関与した全議員の実態解明が先決です。法の不備があれば改正し、政治資金の透明化を図る。そうしたステップを踏んで初めて、派閥のあり方を議論すべき。いきなり派閥解散を打ち出すのは、プロセスが真逆です。岸田首相たちは散々『捜査中』を言い訳に説明を拒んできただけに、捜査が一段落した今こそ、裏金の実態を洗いざらい打ち明ける必要がある。一昨年に旧統一教会との癒着を問われた際、不十分ながらも所属議員と関連団体との関係の自主点検結果をまとめました。なぜ、裏金事件ではできないのか。一足飛びに派閥解散を宣言した岸田首相も、追随した二階・安倍両派も、裏金事件を派閥の問題にスリ替え。組織的な犯罪隠しとしか思えません」
「裏金づくりは犯罪です。法の抜け道をどのように使い、どの議員にどれだけ渡り、何に使われてきたのか。まずは関与した全議員の実態解明が先決です。法の不備があれば改正し、政治資金の透明化を図る。そうしたステップを踏んで初めて、派閥のあり方を議論すべき。いきなり派閥解散を打ち出すのは、プロセスが真逆です。岸田首相たちは散々『捜査中』を言い訳に説明を拒んできただけに、捜査が一段落した今こそ、裏金の実態を洗いざらい打ち明ける必要がある。一昨年に旧統一教会との癒着を問われた際、不十分ながらも所属議員と関連団体との関係の自主点検結果をまとめました。なぜ、裏金事件ではできないのか。一足飛びに派閥解散を宣言した岸田首相も、追随した二階・安倍両派も、裏金事件を派閥の問題にスリ替え。組織的な犯罪隠しとしか思えません」
偽装解散で元の木阿弥の自民党派閥史
大メディアは岸田の唐突な派閥解散宣言を「乾坤一擲の大勝負」「捨て身の賭け」などと報じているが、そんなカッコいいものではないだろう。
18日、岸田派も立件対象となることが判明。安倍派などと比べて「悪質性は低い」との認識が広まっていただけに、想定外の事態に岸田は大慌て。解散宣言は追い込まれた末にひらめいた窮余の一策で、党内外の批判をかわすため、全派閥を巻き込んだ抜け駆けに過ぎない。
この日朝、官邸入りする際の見苦しい姿こそ、岸田の本性だ。記者団に「事務処理上の疎漏」「事務的なミスの積み重ね」などと繰り返し、説明責任を回避したが、岸田派の不記載額は2020年までの3年間で、計約3000万円に上る。これだけの額が裏金となった責任を会計責任者の「ミス」でゴマカし、自分は何の責任も取ろうとしない。こんな卑怯者を首相の座にとどまらせ、野放しにしていいのか。
そもそも古今東西を問わず、解散したグループが後に再結成するのは日常茶飯事。自民党の派閥も例外ではない。1960年代から派閥が批判を浴びると、解消を掲げては「政策集団」への看板の掛け替えなどで復活するの繰り返し。57年創設と最も古い歴史を持つ宏池会もご多分に漏れず、63年、77年、80年、94年と実に4回も解散し、今回で通算5回目だ。
派閥に逆風が吹くたび、形式的な解散でお茶を濁し、「政策集団」「勉強会」「親睦団体」と称して実態は温存。ほとぼりが冷めたころに息を吹き返すのが、自民党派閥の歴史なのである。
この政権はにわか仕込みの場当たり策の連続
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「リクルート事件で政治不信が高まった89年、自民党は『政治改革大綱』をまとめ、『派閥解消』などを掲げた。その後、93年に細川非自民連立政権の発足で下野した際、実際に派閥解消の動きは見られたものの、“喉元過ぎれば”で数年後には完全復活。自民党議員にとって派閥はカネとポストと選挙支援を得られる場であり、この3つを欲しがる限り、ゾンビのごとくよみがえる。企業・団体献金や政治資金パーティーを全面禁止し、腐った体質を改めない限り、今回も『偽装解散』で元の木阿弥がオチです」
ましてや岸田は人一倍、派閥への愛着が強い。選挙区は宏池会創設者の池田元首相と同じ広島で、祖父は宏池会創設メンバーのひとり。12年の会長就任時には「自分は生まれた時から宏池会だ」と語ったほど。首相就任に伴い派閥を離れる党内の慣例も、どこ吹く風。派閥の裏金疑惑を受け、昨年12月に派閥を離脱するまで、11年もの長きにわたり会長を務めた。離脱後も後任を置かず、会長職を空けたのも「俺の派閥」という強烈な自意識の表れだ。
派閥を抜けた岸田にどんな権限があって解散を一存で決めたのか。まだ派閥会長の気分が抜け切れず、派閥政治にどっぷり漬かっている証拠で、唯々諾々と従う岸田派幹部の面々も同じ穴のムジナ。派閥大好き人間たちが唱える「派閥解散」なんて、しょせん、いつものパターンの「死んだふり」でしかない。
「岸田首相の政権運営は『異次元の少子化対策』や『税収増の還元』など、にわか仕込みの場当たり策の連続。最大級の思い付き政治が今回の派閥解散です。だから、具体的な中身は一切なく、論理的にも破綻するわけです。26日召集の通常国会は本来、減税策のマヤカシや能登半島地震の初動の遅れで政権への厳しい追及が待っていましたが、今回の騒動で吹っ飛びかねません。派閥解散は、究極の目くらましです」(鈴木哲夫氏=前出)
前出の金子勝氏は「自民党の派閥は、派閥から派閥への疑似政権交代のためにも存在する」と指摘した。悪辣な利権屋集団に目にもの見せるには、野党による本当の政権交代以外に道ナシ。野党も「裏金政治改革」一本で、まとまるべきである。
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