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2024年1月17日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/303235?rct=national
被災者の生活再建はもちろん、家屋の倒壊、道路の寸断、海底隆起など被害は甚大で、復旧復興が急務な能登半島地震。そのためには、来年の大阪・関西万博にあてられる費用・資機材・人材を、復興に向けるべきではという声が強まっている。日本維新の会などは、復興五輪をうたった東京五輪になぞらえて「復興万博」というイメージを打ち出し始めたが、そんな話でしのげるのか。(宮畑譲、山田祐一郎)
◆「よそ様の祭をやめろなんて言えない」
「万博をやること自体は反対しない。けど、能登に回ってくる支援が少なくなるのならやめてほしい」
石川県穴水町で酒屋を経営する七海友也さん(59)がしみじみと語る。店舗や家屋の倒壊は免れたが、店や倉庫にあった酒瓶など「割れるものは全部割れた」。業務用の卸が中心だが、飲食店や宿泊施設は壊滅状態。今後、商売が元に戻るのか不安は募る。
能登に東京ディズニーランドのようなテーマパークはない。四季折々に開かれる祭りは地域の楽しみの一つ。だからなのか、七海さんはイベントの開催自体には理解を示す。「自分たちがこんな目に遭っているからといって、よそ様の祭りをやめろなんて言えない。人や資材、予算を能登に十分回した上で、万博はやればいい」
◆「両方できればいいが、そうはいかんでしょう」
以前から過疎化が進んでいた能登地方。財政が脆弱(ぜいじゃく)な自治体も多い。穴水町元職員の男性(67)は「このままでは過疎に拍車がかかって、住む人がいなくなる。国の手厚い補助が必要だ」と強調する。
自身も行政の政策を進める側だったこともあり、「万博自体をやめろとは言えない」と漏らすが、「復旧・復興と万博、両方手厚くできればいいけど、そうはいかんでしょう。今、万博頑張れとは言えない。まずは復興優先でお願いしたい」と訴える。
◆首相「熊本地震を超える財政需要も想定しないと」
今回の能登半島地震で石川県内では16日午後2時現在、死者222人(災害関連死を含む)、負傷者1036人。安否不明者もまだ22人いる。2万1400棟以上の家屋に被害があり、避難者は1万7000人を超える。停電、断水も続いており、生活インフラが復旧する目途は立っていない。
復興の費用がどれだけかかるのかも見通せない。政府は一般予備費から、2016年の熊本地震の約2倍となる47億3790万円の支出を決定。熊本地震は補正予算で7780億円を計上した。岸田文雄首相は5日、「熊本の例を超える財政需要も想定しておかねばならない」と語った。
こんな状況に「万博中止」の声も上がるが、開催を推進する側からは前向きな発言が相次ぐ。
◆推進側は口々に「二者択一の関係ではない」
「北陸のみなさんにも、新たな夢や希望を持って、明るい将来に歩みを進めてもらえるイベントになるのではないか」。日本維新の会の馬場伸幸代表は5日の会見でこう述べ、「復興万博」をにおわせた。復興と万博の準備で資材や人材が取り合いになるのでは、との懸念には、「(万博の)建築資材がライフラインや住宅の復旧とイコールではないと思う」と答えた。
大阪府の吉村洋文知事も4日、「二者択一の関係ではない。万博があるから(復興の)費用が削減されるものではない」と述べ、年頭あいさつでは職員に向け、「総仕上げを行う勝負の年になる」と激励した。
また、日本国際博覧会協会の会長を務める経団連の十倉雅和会長は9日の会見で「(万博と復興を)二項対立で考えるのはふさわしくない」と述べた。自見英子万博相も中止や延期の可能性を否定する。
復興に向けて大量の資機材、人手が必要となる中、大阪・関西万博の工事との競合が懸念される。2025年春の開幕を目指す万博は、参加国が自前で建てるパビリオンなどの整備遅れが目立ち、今月10日にシンガポール館が初めて着工した。当初、自前で建設する参加国・地域は60カ国が希望していたとされるが、建設業者が決まったのは35カ国にとどまる。
◆支え手のゼネコンは人手不足に苦慮
今後、パビリオンの建設がピークを迎える。地震の復旧工事やその後の復興への影響について大阪府の吉村知事は「全く違う工事」と否定する。建築エコノミストの森山高至氏は「復旧工事と万博のパビリオン建設を乗用車とF1カーに例え、大手ゼネコンが特殊な資材を使用するから競合しないという見方がある。だが、実際には大手ゼネコンは職人不足で必死に人をかき集めている。資材も万博優先で集められ、一般工事の電線が既に足りなくなっている」と指摘する。
現状に追い打ちを掛けるのは、今年4月から始まる建設業界の働き方改革だ。これまで猶予されてきた時間外労働の上限規制が徹底されることになり、人手不足に拍車がかかることになる。倒産する建設会社は既に続出。帝国データバンクによると、昨年の建設会社の倒産は1671件で前年の約1.4倍となった。
◆「民間市場を荒らされ、被災地がほったらかしになりかねない」
「このまま建設業界の実態を把握しないまま、万博開催にこだわれば、民間市場を荒らした結果、被災地がほったらかしということになりかねない」と森山氏は危ぶむ。
復興には莫大(ばくだい)な費用が必要となる。東日本大震災では特別税の復興予算で財源をまかない、その規模は40兆円を超えた。これに対し、万博に関連づけて国や自治体、民間が投じる整備費は約10兆円。開催に直接関係する費用だけでも8000億円以上が必要となる。運営費がさらに上振れして赤字となった場合の穴埋め方法も決まっていないのが現状だ。
◆万博にはすぐ増額…「なぜ復興の金を出し渋る」
「万博で警備費の増額が必要となれば200億円がすぐに出るのに、今回の地震では道路が寸断され、集落が孤立する中、23年度の一般予備費5000
億円から支出が決まったのは47億円だけ。24年度の予備費が1兆円に倍増されたが、それでもお金の出し方や金額があまりにひどすぎる」と淑徳大大学院の金子勝客員教授(財政学)は指摘する。「被災地の建物や道路の復興を本気で考えていないのではとの印象を受ける。半年の開催期間で使い捨てとなる万博と復興のどちらが大事なのか。なぜ復興のための金を出し渋るのか」
こうした中、万博延期に言及する声も上がり始めている。日本国際博覧会協会の副会長を務める経済同友会の新浪剛史代表幹事は5日、地震被害を受けて「この状況を考えれば、被災者の対応が何より優先されるべきだ」と述べた。立憲民主党も9日に震災からの復旧・復興を最優先することを求める声明を出した。
◆問題は「中止を決断できるリーダーがいないこと」
11年の東日本大震災の際、政府はその後の東京五輪で「復興五輪」を掲げたが、新型コロナによる延期を経ていつの間にか「コロナに打ち勝った証しとしての五輪」へと変わり、被災地復興にはつながらなかった。今回、維新の馬場代表が万博開催が「夢や希望」になると述べるなど震災からの復興が再びイベント開催のお題目になりかねない。
「被災者の中に万博をやってほしい、私たちの希望になるという人はいないと思う。このような被害があれば中止しか選択肢はないはずだ」。思想家で神戸女学院大の内田樹名誉教授はこう訴える。「問題は、動き出したカジノを含め、中止の決断をできるリーダーがいないこと。このまま開催することは被災者を苦しめることになる」
◆デスクメモ
「一つの財布で国家の財政運営がされているわけではない」と維新・馬場氏。万博の財布と復興の財布は別だから並行してやるべしと。冗談ではない。どちらの財布も、もとは税金だ。昨秋の世論調査で7割が「不要」とした万博の財布から、復興の財布にお金を移すのがスジだろう。(歩)
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