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ウクライナ置き去りの停戦、世界各国への関税強化…アメリカが失った「コモングッド」とは?/JBpress on MSN
http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/411.html
投稿者 仁王像 日時 2025 年 3 月 22 日 05:04:15: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

ウクライナ置き去りの停戦、世界各国への関税強化…アメリカが失った「コモングッド」とは?/JBpress on MSN
西田 亮介 によるストーリ
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E7%BD%AE%E3%81%8D%E5%8E%BB%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%81%9C%E6%88%A6-%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%B8%E3%81%AE%E9%96%A2%E7%A8%8E%E5%BC%B7%E5%8C%96-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%8C%E5%A4%B1%E3%81%A3%E3%81%9F-%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89-%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-AA1BlHBE?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=f243f37a91eb462b8e4b2a2e9a71f416&ei=12
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

トランプ2.0に翻弄される世界
 第2次トランプ政権、トランプ2.0の選択に世界が翻弄されている。

 紛争当事国であるウクライナを置き去りにして、ロシアとの侵略戦争の停戦を模索し、一方ではイスラエルによる「停戦破り」を黙認している。

 自由貿易の旗手でもあったはずだが、カナダやメキシコといった国境を接する国々や日本のような同盟国も含めて世界中に関税をかけていこうとしている。

 日本に関連するところでいえば、在日米軍の機能強化停止が検討されているという。

◎在日米軍強化の中止検討 トランプ政権、連携に影響も―報道:時事ドットコム

 日米安全保障条約と憲法9条は、アメリカの核の傘と抑止力を借り、日本は「最小限度の実力」を保持するという戦後安全保障の基軸であり根幹にあたる。

 北東アジア地域の安全保障上のリスクの増大はかねてから指摘されているとおりである。中国の台頭、北朝鮮、ロシアの隣接などを挙げるだけでも十分であろう。

 在日米軍の機能強化停止は、その分、日本の負担増加や、そもそも有事において米軍を期待できるのかという問いを日本に想起させかねない。

 日米安全保障条約の片務性は歴史のなかで相当程度解消されてきただけに日本社会に与える影響も大きい。

 新安保への改正や、1978年の日米防衛協力指針の漸次的発展などが挙げられる。特に97年指針と、安倍政権下の2015年の新指針では現状を鑑みて、平常時からの対応、周辺事態から存立危機事態という概念の変化、サイバーや宇宙といった新領域への対処、在日米軍と自衛隊の一体的運用など含めて日米協力のあり方は良かれ悪しかれ進化してきたはずだった。

 やはり1970年代にはじまった世界最高水準の在日米軍駐留経費負担等の、いわゆる「思いやり予算」もあれば、横須賀基地は米海軍のインド太平洋地域を担当する第7艦隊の母港でもある。アメリカの環太平洋戦略の要でもあるはずなのだ。

 いったいアメリカはどうしてしまったのだろうか。

アメリカは振れ幅が大きい国だ
 アメリカは極端な社会である。他の国では認め難い大きな振れ幅とダイナミズムを持っている。

 自由民主主義の盟主と目されるが、かつてアメリカは憲法修正第18条によって禁酒法時代を迎えている。個人の自由が制限され、密造や裏の流通ルートが広がり取り締まりといたちごっこを繰り広げた。

 映画『アンタッチャブル』(1987年)で描かれるような世界である。

 連邦政府においては1920年代のことであるから、せいぜい100年前の話である。それほど昔の話ではない。しかも1933年にフランクリン・ルーズベルトの手で廃止されるまで10年以上も続いているというから凄まじい。

 今回も立ち返ることができるのだろうか。

 アメリカと直接の関係を持つものでなくとも、いまのアメリカを理解する手がかりが必要だ。我々はともすればすっかり忘れているか、気付かないフリをしているが、安全保障に限らず、生活のすみずみまで、そしてその根底にまで「アメリカ的なもの(アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ)」が浸透しているからだ。

現在でもアメリカには40万人以上の在米邦人がおり、日本にとっては中国に次ぐ輸出先であり、アメリカにとっても4番目の輸出先である。

 日本からみれば輸出超過だが、日本は世界最大の対米直接投資国である(外務省によれば、対米直接投資残高は92兆円。それに対して、米国の対日直接投資残高は10兆円にとどまる)。

 そんな大仰な話を取り上げなくても、我々は日々アメリカから輸入した飼料で育った肉を食べ、マクドナルドでハンバーガーを食べながら、米企業が提供するSNSや情報プラットフォームをiPhoneで眺めている。

 先日、私用で宮古島を訪れた。

 だいたい出張や旅行の際には荷物に本を詰め込み過ぎるきらいがあるのだが、そのなかに「コモングッド(common good)」の概念から読み込もうとした一冊があったのである。

 90年代にクリントン政権で労働長官を務めたロバート・ライシュの最新刊の邦訳である(『コモングッド 暴走する資本主義社会で倫理を語る』(東洋経済新報社、2024年))。

 公共政策のプロフェッショナルで、アメリカの代表的なオピニオンリーダーのひとりと目されてきた人物である。

アメリカで毀損された「コモングッド」とは
 邦訳も豊富で、1990年代のIT企業とビジネスの台頭、いわゆる「ニュー・エコノミー」の時代を見据えて、従来の産業で重視されたスキルとは異なる情報処理能力をもった「シンボリック・アナリスト」による生産性向上の必要性を説く『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』などは日本でもよく読まれた。

 その一方で、日本の低生産性は現在に至るまで社会経済的課題であり続けているから、ライシュの指摘を活かすことはできなかったのかもしれない。

 そのライシュは本書で「なぜ、アメリカにおいて、『コモングッド』が毀損されたのか」を問う。

「コモングッド」とはなにか。

 ライシュはこう書いている。

「コモングッド」は、かつてこの国で広く受け入れられ、理解もされてきた。もとより合衆国憲法は、「われら人民」の「一般の福祉を増進」するために制定されたのであって、「身勝手な輩が自らの富と権力を増進」するためのものではない。一九三〇年代の世界恐慌や第二次世界大戦時、アメリカ国民はコモングッドを守るべく団結し、「共通の危機」に立ち向かった。そのコモングッドとはフランクリン・ルーズベルト大統領の「四つの自由」に明示されている。すなわち、「言論の自由」「信教の自由」「欠乏からの自由」「恐怖からの自由」である。

 ライシュはコモングッドが危機に晒されていると警鐘を鳴らす。コモングッドは市民が自ら鍛えるべき産物であると同時に、教育を通じて「コモングッドの感覚」を養うべきだという。

 日本でも肯定されがちな「いい仕事に就くための自己投資」としての教育を否定しながら、教育を「国家を賢明に統治する能力を育成するという公共善」とみなす。

 そして民主主義は「教養ある大衆」を前提としているとして、根本原理であるという。アメリカにおけるプラグマティズムの影響を受けているものと思われる。

 なお合衆国憲法への回帰やプラグマティズムからの批判といった議論自体はそれほど目新しいものではない。新刊『少数派の横暴』(新潮社、2024年)も注目される政治学者のスティーブン・レビツキーとダニエル・ジブラットは『民主主義の死に方』(新潮社、2018年)において「柔らかいガードレール」が損なわれていると指摘した。それはそもそも二大政党制による討論以前の異なる意見を持つものを尊重する慣習といった基礎的前提のことである。

 それでは、こうしたコモングッドの毀損はトランプ誕生が原因なのだろうか。

 詳細は本書を読んでみてほしいがライシュは否という。

 むしろライシュはオバマ政権に厳しい批判の目を向ける。オバマ政権の当初2年間は上院下院ともに民主党が多数派を占めていた。そのため対立する共和党の支持を取り付けることなく法案を成立させることができた。

その政治環境の下で、共和党の協力を取り付けることなく2010年にオバマケアを成立させたのはオバマ政権であった。態度を硬化させた共和党は2011年に下院多数派、2015年に上院多数派を握り、オバマ政権の政策のほぼすべてに反対した。

 オバマは大統領令を使い、立法を回避して環境規制やトランスジェンダーのトイレ利用、気候変動のパリ協定への参加を決めた。

 ライシュは、リベラル派は「共和党の障害物」を避けてコモングッドをめざしたのだろうが、権力分立や民主的な協議という「より大きなコモングッド」を傷つけたと分析する。

 トランプ政権はこの党派対立をいっそう加速させたというのがライシュの見立てである。その後、対立の波紋は冒頭述べたように世界に深刻な影響を与え続けている。

 分析の秀逸さに対して、ライシュの「解決策」はいささか心もとないものにとどまる。

 経験教育を含む市民教育というのである。

ライシュは公共への奉仕を提案するが
 教育を投資とみるのではなく、「責任ある市民」になる場とみなし、国民皆徴兵時代を想起させつつ慎重に2年間のボランティアや炊き出し参加といった公務への従事を通じて、おそらくベラーの古典的議論を踏まえた「心の習慣」を育む公益への奉仕機会を提案する。

 いかにもアメリカプラグマティスト的だが、実際には教育を投資とみなすインセンティブは強く、人々、特に富裕層が認識変更する動機づけは弱く、同じ理由で奉仕活動従事も敬遠されるだろう。

「解決策」としては説得力に欠くものの、合衆国憲法(とその精神)への回帰、コモングッドを再考せよというライシュに限らないアメリカにおける主張はいささか規範的ではあるものの力強く映る。

 国民と国家が立ち返る先があるからだ。

 翻って、2010年代に明らかになった世界的な分断の機運から遅れて、今まさに同じ道を歩もうとしているように思える我々の社会においてはどうか。

 ネットメディアの主流化と政治における活用、インフレの進行と実質賃金低下の慢性化とインフレ対策の遅れ。訪日外国人の増加と外国人労働者の政策的増増加、排外主義的言説のひたひたとした蔓延……。

 いま、日本の各地で起きている諸問題は2010年代に欧米で本格化した問題と共通点があるようにも見えるし、まだとば口に立っているに過ぎないようにも思われる。

 コモングッドを日本語で直訳するなら、「公共の福祉」ということになるのかもしれない。しかし法学者はいざしらず、「公共の福祉」という文言から何か具体的な姿や歴史を想起できる人がいったいどれだけいるだろうか。

 かつて日本がまだまだ経済的に豊かで経済大国と目されていた時代にすら、「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われたものである。

 そのアメリカは経済に限らず、留学生の受け入れ中止や留学プログラムそれ自体の中止など大混乱である。アメリカの今の振る舞いはくしゃみどころではないだろう。もはや激しい発作のような状態だ。

 すっかり斜陽の大国と化した現在の日本はどのような影響を受けるのだろうか。そして、グローバルなトレンドに対してどのような備えができるのだろうか。それとも世界の教訓を活かせないままに世界が辿ったのと同じ道を歩むのだろうか。どうもそんな気がしてしまう。

 宮古島便の道中、3時間の読書でトランプ2.0と、アメリカと世界が経験した混乱、そして本邦社会の参照点の不在とこれからにぼんやり思いを馳せた。
 

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コメント
1. おーいおい[5] gqiBW4KigqiCog 2025年3月22日 15:11:19 : wHz0tjbCVA : eE4wUmhpbldOcEk=[2391] 報告
置き去りほっぽり出されているの
このにポンじゃねえか
他人のことよりてめえの国のこと新派しろって

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