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イランの親欧米派政権の政策で国民の生活が苦しくなり、政権が揺れている
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2025.03.07 櫻井ジャーナル
ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領府報道官はブルームバーグに対し、「アメリカとイランは交渉を通じてすべての問題を解決すべきだとロシアは考え」、ロシア政府は「そのために全力を尽くす用意がある」と述べたという。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は1月17日にモスクワを訪問した際、両国の包括的戦略的パートナーシップ協定に署名した。
親欧米派と言われているペゼシュキアンは昨年7月から大統領を務めている。その2カ月前、エブラヒム・ライシー大統領やホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らが搭乗していたアメリカ製のベル212ヘリコプターが墜落、搭乗者全員が死亡したのだ。
そして後任大統領として選ばれたのがペゼシュキアン。その就任式に出席するためにテヘランを訪れていたハマスのイスマイル・ハニヤが暗殺され、ベイルートでは7月30日にヒズボラのフアド・シュクルが殺された。
ハニヤやシュクルの場合、居場所に関する情報が漏れていた可能性が高い。墜落したベル212ヘリコプターに乗っていたライシーやアミール-アブドラヒヤンたちはダムの落成式に参加、戻る途中だった。濃い霧で視界が悪かったとされているのだが、同行していた2機のロシア製ヘリコプターは問題なく帰還している。
ヘリコプターが墜落する前月の4月1日にイスラエル空軍はゴラン高原方向からダマスカスを攻撃してイラン大使館領事部を破壊、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊コッズの上級司令官だったモハマド・レザー・ザヘディ准将と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害した。
そうした攻撃への報復としてイランは4月13日、ドローンやミサイルでイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃、大半のミサイルは目標にヒットしたと伝えられている。ところが新大統領のペゼシュキアンはイスラエルに対して寛容だった。
ペゼシュキアンの説明によると、イランが報復攻撃をしなければパレスチナでの停戦と二国家解決の進展が約束されたのだという。その説明を聞いて唖然とした人は少なくないだろう。ありえないからだ。
イランがイスラエル南部と中部に200機から400機の弾道ミサイルを発射、イスラエルが誇る防空システム「アイアン・ドーム」を突破して標的に命中させたのは2024年10月1日のことだった。80から90%が標的に命中したとイラン側は主張しているが、現地から流れてくる映像はその主張の信憑性を高めている。
ペゼシュキアン政権は経済政策でも議会で批判されている。新自由主義的な政策で通貨の価値が下落、インフレが進んで生活費が高騰、人びとの生活は苦しくなっている。「改革派」が行う政策の必然的な結果だと言えるだろう。3月2日にはイスラム諮問議会(マジリス)がアブドゥル・ナセル・ヘマティ経済財務相を解任、モハメド・ジャバード・ザリーフ戦略担当副大統領が辞任したとする話が流れている。
ライシーの急死で主導権を握ったイランの親欧米派は窮地に陥った。アメリカとイランの関係が難しくなる可能性がある。
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